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ある日の夕方の学園。
良介と誠と兎ノ助がいた。
「よし、誠。
そろそろ行くか。」
「おう。」
「お月見・・・去年は律がはりきってたなぁ・・・」
「いやぁ・・・楽しみだなぁ。」
誠は怪しい笑みを浮かべた。
「こいつ、本当に月見が目的なのか?」
「俺も毎年、楽しみにしてるんだぜ!
それなのに・・・俺は外出禁止ときたもんだ・・・」
兎ノ助は肩を落とした。
「人形作戦は使えないのか?」
良介が兎ノ助に尋ねた。
「すっげぇ怒られた・・・いろんな人から・・・」
良介は何も言わずに頭を掻いた。
「だったら、団子でも持って帰ってきてやるか。」
「食えねぇよ!」
「撮った写真を見せてやればいいだろ。」
「うむ。
よきにはからえ。」
「ところでさ、クエスト先の寺は有名な所なのか?」
誠が良介に聞いた。
「ああ。
小さい寺なんだが、ススキが綺麗で、兎がいて、あと近くに明かりがないから月が綺麗に見えるんだ。
日本一のお月見スポットってことで、観光客が集まるんだよ。」
「へえ、そいつは楽しみだな。
明かりがないってことは街から離れてるのか?
魔物が出やすそうだが・・・」
「だから俺たちが行くんだよ。」
「なるほどね。
それじゃ、行くか。」
良介たちは出発した。
***
良介たちはお月見寺にやってきた。
すると、そこに心が走ってやってきた。
「はぁ、はぁ・・・間に合った・・・えっと、えっと・・・」
「ん?
心、どうしたんだ?」
良介は心に話しかけた。
「ひっ!
すいません、なんでもないんですぅ!」
「何か探してたみたいだが・・・」
「そそそ、そんなまさか!
探してなんかいません!」
誠は心の様子を見ていた。
「いや、探してるな。
何かを。」
「ああっ!?
わたし、わたし、やってしまいましたぁっ!」
良介と誠は心から話を聞いた。
「なるほど、餅か。」
「はい・・・すいません、勝手にやっちゃって・・・あの、あの・・・天文部のみんなで、学園でおもちをついたんです。
ここではお団子を作ってるから、持ってきてビックリさせようって・・・」
「が、持ってきたはずの餅が見つからないと。」
良介は顎に手をやった。
「クーラーボックスに入れてるから、衛生には問題ないんですが・・・みんなで探してるんですけど、もしかしたら誰かが持っていっちゃったのかも。
あ、だ、誰にも言わないでくださいぃ!
秘密のことなんですぅ!
本当に申し訳ないんですけど、どうか秘密に・・・すいません!」
「なるほど・・・なら、俺も探すか。」
「え?」
良介の発言に心は啞然とした。
「月見が終わるまでに見つければいいんだな。」
「そ、そんなお手間をかけさせるようなことは・・・!」
「他の奴には内緒しときゃいいんだろ。
んじゃ、俺も探すか。」
誠も加わることになった。
「あっ・・・ほ、本当にすいません・・・!」
良介たちはクーラーボックスを探し始めた。
「しかし、クーラーボックスか・・・普通は目立つな・・天文部も探しているなら、もうここらへんにはないのかもな・・・」
良介は独り言を言いながら探していた。
「もし見つからなかったら・・・みんなの努力が無駄に・・・わたしのせいで・・・」
「大丈夫さ。
きっと見つかるって。
別に心がなくしたわけじゃないんだろ?」
誠は心を励ました。
「そうなんですけど・・・でもとっても申し訳なくて・・・もう散々探したし、誰かが持っていったとしか・・・」
「持っていった・・・クーラーボックス・・・」
良介は手を顎にやると、何か思い出した。
「もしや・・・」
突然良介は寺の中に入っていった。
「おーい、良介?」
誠が呼びかけたが無視して行ってしまった。
数分後、クーラーボックスを持った良介が戻ってきた。
「あったぞ。」
「え?
ど、どこに・・・?」
「寺の中だ。」
「お寺の・・・ええええええっ!?
どうしてお寺の中に・・・!?」
「ノエルが落し物だと思って持ってきてたらしい。
来た人は寺の中に入るから、落とした人も気づくと思ったらしい。」
「あぁ・・・あぁ!」
「天文部に伝えてくれ。
餅をふるまってやってくれってな。」
「え?
で、でも・・・」
「ノエルにも言っておいたから。
見つけたことは秘密にして・・・心が見つけたことにしておいてくれってな。」
「そ、そんなこと・・・」
「いいんだよ。
俺たちがしたいと思ったんだから。」
「す、すいませぇん・・・!」
心はクーラーボックスを持って走っていった。
「これで一件落着だな。」
「良介・・・餅、1個ぐらい貰ってもよかったんじゃ・・・」
「バカなこと言うな。
ほら、見回り行くぞ。」
「へいへい・・・」
2人は見回りに向かった。
***
2人が見回りをしているとノエルがやってきた。
「ふんふふ~ん。
いい月夜だねぇ、お兄さん。」
「よう、ノエル。」
「あ、お団子おいしかったよ~!
こっちも見回り頑張ってるからね!」
「そうか、ところで・・・ノエル、クエスト受けたか?」
ノエルは良介の発言を聞いて苦笑いをした。
「あ、あはは・・・来ちゃった・・・」
「え・・・それ校則違反じゃ・・・」
誠は少し引いていた。
「だ、大丈夫だよ!
1人、体調不良でキャンセルになったから!
時間過ぎてたからちょっと注意されたけど・・・」
「風紀委員に怒られても知らねえぞ。」
「そ、それでね。
なにかすることないかなって、やること探してたんだけど・・・お兄さん、なにかある?」
良介は少し考えた。
「そうだな・・・多分、見回りだな・・・団子はあるし、子供も来てるしな。
山の中で迷子にならないよう、見回りは多くいた方がいいからな。」
「うんうん、じゃあ見回りするよ!
やっぱり来たからにはお仕事しないとね。」
「んじゃ、よろしく。」
ノエルは見回りに向かった。
その後ろ姿を良介は不思議そうに見ていた。
「ノエル、どうしたんだ?」
「どうした?」
「いつもは、無理に来るような奴じゃないんだがなぁ・・・イヴとなにかあったか?
・・・よし。」
「良介・・・?」
良介はノエルの後を追いかけた。
「今年は、大丈夫かなぁ・・・」
「何が大丈夫なんだ?」
いつの間にかノエルの後ろに良介が立っていた。
「あ、お兄さん・・・今の、聞いちゃった?」
「ああ、それで何を心配してるんだ?」
「えへへ・・・ほら、去年のクリスマスなんだけど・・・頑張ってみたんだけど・・・やっぱりね、ね。」
「イヴのことか。」
「えっと・・・入学の時、お姉ちゃんと喧嘩しちゃったの、話したっけ。
本当に今思えば、なんで?
って理由だったんだけど・・・」
ノエルは少しの間黙ってしまった。
「なんで、なんだろうね・・・ずっと好きだったのに・・・」
「ノエル・・・」
「えへへ、ごめんね。
サボっちゃって。
ちゃんと見回りするからね!」
ノエルは走っていってしまった。
良介はその後ろ姿を黙って見ることしかできなかった。
近くの木の後ろから誠が出てきた。
「すまん、隠れて聞いちまった。」
「いや、別に大丈夫だろ。
それより・・・」
良介は何か考えているようだった。
と、何か思いついたように手を叩いた。
「よし、いっちょやるか。」
「ん、何をだ?」
「まぁ、俺に任せとけ。」
そう言うと良介はノエルの後を追いかけた。
「ノエル。」
良介はノエルに追いつくと、ノエルを呼んだ。
「お兄さん・・・」
「少し休憩しよう。」
「え?
で、でも始めたばっかりだよ?」
「ノエル、疲れてるんだろ?
ほら、座れって。」
良介はノエルを座らせると、団子を持ってきた。
「ほら、団子。」
「い、今食べるの?」
「ああ、いいから。」
ノエルは団子を食べ始めた。
「あっ。
おいしい!
すごくおいしいよっ!」
「だろ?
みんなが一所懸命作ったやつだからな。
がんばったから、知らない人にもおいしいって言ってもらうことができるんだ。
その人ががんばったから、ノエルにおいしいって思ってもらえたんだ。」
「えへへ。
お兄さん、上手だなぁ・・・おいしいの食べたら、元気出るに決まってるじゃん。」
「あ、そっちか・・・」
良介は苦笑いをした。
「よーし、お姉ちゃんに、おいしいお団子作って帰ろっと!
お兄さん、ありがとうねっ!」
ノエルは走り去っていった。
良介は黙って見ていた。
「ふぅ・・・ノエル、少し待ってくれ。」
良介呆れながらノエルの後を追いかけた。
***
良介と誠の2人が見回りをしていると、ゆえ子が荷物を運んでいた。
「うんしょ、うんしょ・・・おと、あとと・・・」
ゆえ子が倒れかけたところで良介が支えに入った。
「おっと、危なかったな。」
「すみません。
お団子を台無しにしてしまうところでした。」
「体調が悪いなら、休んでても大丈夫だぞ。」
「いえ、少し疲れただけです。
山登りしましたからね。
1年前に比べたら筋肉もついてきましたが、まだなかなか・・・ご迷惑にならないよう、少しお休みさせてもらった方がいいでしょうね。」
すると、良介は何か考え始めた。
「よし、ちょっと待ってくれよ。
おい、もも!」
すると、良介は近くを通りかかったももを呼び止めた。
「先輩、どうしました?」
「ちょうどいい所に来た。
もも、魔力を分けてやるから、頼めるか?
少し疲れたらしい。」
「ああ、なるほど。
わかりました!」
ゆえ子は不思議そうに良介たちを見ていた。
「あたし、保健委員として、クエスト中の回復魔法の許可をもらってるんです!
だからこうやって・・・」
ももはゆえ子に回復魔法をかけた。
「ふぅ・・・どうですか?
少しでも楽になってたらいいんですけど・・・」
「あ、疲れが・・・消えてます。
今のは回復魔法ですか?」
「はい!
疲労回復は効率が悪いんですけど、ちょっとした疲れくらいなら・・・」
「はい、元気になりました・・・でも、いいのでしょうか。
足を引っ張ってしまっているみたいで・・・」
「全然!
体調管理も保健委員の務めですから!
それに、お月見・・・楽しんでもらいたいですもんね!」
「桃世さん・・・」
少しして、ゆえ子が運んでいた荷物を無事運び終えることができた。
「ありがとうございます。
桃世さんのおかげで、無事に運ぶことができました。」
「いや、そこは呼んだ良介・・・」
すると、咄嗟に良介が誠の口を塞ぐと、少し距離をとった。
「いえいえ。
あたしもとりに来るものがありましたし。」
「それではかわりに、ゆえが桃世さんの未来を占いましょう。」
「えっ?」
「どうですか?
ゆえがお礼できることはこのくらいなので。」
「い、いいんですか?
お願いします!」
「はい。
特に占ってほしいこととかありますか?」
「あ、あの・・・」
ももは少し離れた場所で誠と話をしている良介の方をチラッと見た。
「れ、恋愛運など・・・」
「わかりました。
それでは・・・このタロットで・・・」
ゆえ子はタロットカードを取り出した。
「うーん・・・」
ゆえ子は一枚のカードを引いた。
「これは・・・月、ですね。」
「月?
えっと・・・前にちょっと聞いたことがあるんですが・・・月ってあまり良くなかったような気が・・・」
「不安や戸惑いを意味しますからね。
ですがこれは上下さかさまなので・・・逆に考えてください。
恋愛についてでしたね。
もし恋愛に不安を抱えている場合、それから解放されるようなことが起きます。
恋愛について臆病になっている場合、勇気が出るようなことが起きます。
もし桃世さんに特定の相手がいて、その方が嘘をついていた場合・・・それを見抜くことができます。」
「へぇ・・・」
「月の逆位置は前向きな意味があります。
今進んでいる道があるのなら・・・それに自信を持ってください。」
「わかりました!
なんだか胸のつっかえが取れた気がします。」
「お役にたててよかったです。
不安があれば、いつでもどうぞ。」
「はい、ありがとうございます!」
ももは嬉しそうに去っていった。
***
心はクーラーボックスの中を見ていた。
「よ、よかった・・・みんな、食べてくれました・・・」
「おいしかったですよ、お月見餅。」
ゆえ子は満足そうな顔をしていた。
「ああ・・・!
もしわたしの丸めたものだったらすいません・・・!」
「え・・・なにかあるんですか?」
「なんでもないはずなんですけど・・・なにかあったらすいませぇん・・・!」
そこにノエルがやってきた。
「あはは、それ逆に怖がらせちゃうよ!」
「えっ!?
そ、そんな、そんなつもりはないんですぅ!
すいません、どげ、土下座で・・・っ!」
「むにゃむにゃ・・・視えました。」
「え?」
「未来を視てました。
なにも悪いことは起きませんから・・・ご安心ください。」
「あ・・・そ、それは・・・ご丁寧に。」
「そだ、天文部の子たちが探してたよー?」
「あっ!
も、もう行かなきゃ・・・すいません、お先に失礼します!」
心は走り去っていった。
「暗いから気をつけてね!」
そこに入れ替わるように、良介と誠とももの3人がやってきた。
「よし、片付け終わったな。」
「お疲れ様!
こっちも終わってるよ!」
「さて・・・おっと、もうこんな時間か。」
良介はデバイスで時間を確認した。
「こんな時間まで起きてたのは初めてです・・・」
「寺の人が泊まって行っていいって言ってくれてるけど、どうする?」
誠が皆に聞いた。
「わっ!
お泊り会だ!」
「お泊り会・・・楽しそうですね。」
「学園には申請してくれてるみたいだから、甘えるか。」
「天文部の子たちも呼んで来るね!」
ノエルは天文部のところに向かった。
「良介さん、桃世さん、ありがとうございました。
初めてのお月見だったんですが、お二人のおかげで楽しかったです。」
「ううん、あたしも楽しかったから・・・先輩はどうです?」
「もちろん楽しかったよ。」
すると、良介は怪しい笑みを浮かべている誠に気づいた。
「誠、なんだそのニヤケ面。」
「だってよ、女子とのお泊り会だぞ?
何も起きないわけ・・・」
良介はため息をついた。
「俺たちは住職の人と同じ部屋で寝るからな。」
「な・・・なん・・・だと・・・!
だったら、夜這い・・・」
「なるほど、今のうちに深い眠りに入りたいらしいな。」
良介は両手をバキバキと鳴らした。
「大人しく眠るので堪忍してください。」
ももは良介の方を黙って見ていた。
「もしかして、ご不満ですか?」
ももは黙ってゆえ子の方を見た。
ゆえ子も黙ってももの方を見た。
「ま、まさか!
そんなわけないですよ!」
「むにゃむにゃ・・・」
「そ、それじゃあ行きましょうか!
残っているお団子、みんなで食べましょう!」
ももは寺の中に入っていった。