~講義室~
板東「おい、一真、チノさん、大変だ。」
入ってきた板東刑事は肩で息をしていた。
一真「まずは、落ち着いてください。チノ、早急に椅子の用意を」
チノ「は、はい。こちらへどうぞ」
チノと一真は板東刑事を椅子に座らせ、聞いた。
一真「それで、何があったんです?」
板東「ああ、第1発見者の女性に話を聞いたんだ。そしたら、大変な事実が発覚した。何とその女性が言うには被害者がひとりでにナイフを刺したっていうんだ。」
一真「でも…あの手紙には『死霊の犯罪者X』が直々に手を下したって書いてあった…。」
板東「ああ、だから不自然に思った俺は第1発見者の女性が嘘を言っているのかもと思って嘘発見器を使って再度、聞いてみたんだ。」
一真「でも、嘘の反応は出なかったと…そういうことですね。」
板東「ああ、だから行き詰っているんだ。」
一真「なるほど…うーん、チノはこの話を聞いてどう思った?」
急に振られたチノは少し戸惑いながらも考えつくしたことを言った。
チノ「えっと…まず板東さんにお聞きしますが第1発見者の女性は板東さんの質問にすぐに答えたんですか?」
板東「ああ、そうだよ。まるで質問の内容が分かっているみたいな感じだった。」
チノ「なるほど…」
チノは講義室の周りをぐるぐると回りながら考えていた。そして何か閃いたのか椅子に座った。
チノ「なるほど…ひょっとしたらそうかもしれませんね。」
一真「何か分かったのか?」
チノ「坂東さんの質問に第1発見者の人がすぐに答えた理由ですよ。」
一真「本当か!?教えてくれよ。」
チノ「そう焦らないでください、さて…被害者の女性がなぜ板東刑事の質問にすぐに答えたのか教えましょう。
第一発見者の女性は殺人が起こり、自分が第一発見者になることを予想していた。つまりこうなっていることを読んでいたのかもしれません。それに、もしかしたらですけど… 今、私たちがこの場にいることも知っているのかもしれません。念のために板東さんドアの隅にボイスレコーダーを付けてボリュームを最大にしてください。」
板東「ああ、付けたぜ。これで何が分かるっていうんだ?」
チノ「ここにあるのは私のボイスレコーダーです。私の方から板東さんのボイスレコーダーに大音量で送ります。さて…どうなるでしょうか?」
次の瞬間、板東のボイスレコーダーから大音量の音楽が流れ出た。
一真「うっ、なんだこの大音量は…やめろ…チノ…ストーップ!」
一真がストップを言ったときにはチノはもうやめていた。
チノ「はい、もうやめました。でもこれで周りに誰かいることや盗聴器が仕掛けられるなどということは無くなりました。板東さんもう外してもらって結構ですよ。」
板東「どういうことだ?なぜ、そう言い切れるんだ?」
板東の問いにチノは椅子に座ったまま答えた。
チノ「さて…それではなぜ私が大音量で流したのか理由を教えましょう。まず、盗聴器は一定以上の音量は盗聴できないようになっているんです。そしてそれを長時間やり続けていると盗聴器のスペックが足りなくなって最終的には壊れてしまいます。ちなみに長時間と言っても10秒くらいあればすぐに限界を迎えます。」
板東「もしかして、第一発見者の女性がドアのところに盗聴器を仕掛けていたのか?」
チノ「ええ…もし、つけていたら間違いなく今までの話は全て漏れていた…ということですね。」
そこまでを瞬時に解いたチノはまるで安樂椅子探偵のような感じだった。そんなチノに疑問を感じた一真はチノに聞いた。
一真「チノ…お前何者なんだ?」
一真の問いにチノは少し微笑みながら答えた。
チノ「喫茶店のマスターの孫娘ですよ。」
その表情に負けた一真はやれやれと首を振りながらチノを見た。
一真「盗聴器対策にそんな方法があるなんて思わなかったよ。教えてくれてありがとう。」
チノ「いえいえ、昔、『甘兎庵』というお店に盗聴器が仕掛けられた時があったそうなんですけどその時にいた男の子に教えてもらいました。」
そう、チノは子供のころに出会った一真を知っている。その時に教えてもらった知識を利用しただけなのだ。
一真「じゃあ、その男の子には感謝しないといけないな。」
チノ「ええ、そうですね。」
一真とチノは互いに微笑みあった。そんな光景を見ながら板東刑事はゴホンと咳払いをしてから2人に聞いた。
坂東「あー、お2人さん?そちらは何か収穫があったんですかい?」
板東刑事の質問にハッとなった2人は思い出したように詰め寄った。
チノ「そうです、板東刑事。先ほど一真さんと言ったときに大変なものを見つけましてね」
一真「ああ、とりあえずはこいつを見てくれ。どう思う?」
チノと一真の2人からの質問に慌て果てる板東刑事なのでした。
~校長室~
三栄「こちらが、今年度の入学生の試験の実力テストの結果です。」
校長「ふむ…やっぱりダントツでこの2人が跳び抜けているね。これはなかなか良いんじゃないかな?」
三栄「ええ、ですがこの2人の手によって我々の計画が世間に露見されないようにしないといけない。そうじゃないんですか?校長。」
校長「そうだな…『死霊の犯罪者X』にこの2人の抹殺をお願いしようか?」
三栄「ええ…ではそのように伝えたいと思います。」
三栄先生の持ってきたファイルの一番上には最優秀成績者『雛乃一真』、そしてそのすぐ下には優秀成績者『香風智乃』の名があった。
……To be continued
ども、咲くみょんです。『名探偵チノ第九羽』ご覧いただきありがとうございます。
新年から絶好調でごちうさの小説を書いております。
さて……。チノちゃんを真似して前文にさて…を付けましたが特にこの後何があるとかそういうのは全くありません。
ここで、この話の裏話を…前回のあとがきを書いているときにこれは次回のサブタイトルは決まったなとか考えていました。所が物語が進んでいくうちに別のタイトルでもいいかもなどと思ってしまいました。
その時のタイトルは『チノの頭脳が冴えわたるとき事件は新展開を迎える』というなんとも厨二病のようなタイトルでした。今見ると恥ずかしいですね。
長くなりましたが、今後とも名探偵チノ並びに僕自身もよろしくお願いします。
感想評価待ってます。