気づいたらシャーレイになっていた。
神様と出会ったのかそんな記憶はないけど、いつのまにかシャーレイになっていました。
で、今までシャーレイと過ごしていたら幼いころの切嗣とその父親の・・・名前なんだっけ?
その人が現れた、最初は物珍しさに近寄る村のひとたち、もちろん。アタシもそんな中にいたけどさ。
それから日々をすごして時間がたった。
「ケリィ! 今からお屋敷に行くけど乗っていく?」
トラックのような車に乗ったままアタシは話しかける。
ケリィはうなづいて車の助手席である隣に座るとアタシは発進させる。
「そういえば、ケリィはさ。 この島の名前の由来って知ってたっけ?」
「『アリマゴ』って蟹のことでしょ」
アタシの問いにケリィはそう言いながらこちらを見つめる。
「そう大昔この島は海の神様にお供え物をする場所でね。
ところがある時病気の母親に食べさせるものがなくて、困ってた女の子がつい神様への供物に手をつけてしまった。
それで女の子は祟りにあって沢蟹の姿に変えられちゃったの」
「ひどい話だなぁ」
ケリィはこの話を聞いて嫌悪を見せているようだ。
アタシもその気持ちはよくわかる。
「で、それ以来。この島で捕れる蟹を食べるとどんな病気もたちどころに治るって話になってね。
少女の母親もそれで長い患いから回復したってわけ」
「ますますひどい話じゃん、とんでもない神様だね」
ケリィは優しいね、そんなケリィがあんなふうになるのはわたしが原因なんだろうけどね。
「その神様が祀ってあった社はっていうのは?」
「もうないわ。 本当にあったのかどうかもわからない。 噂だとちょうどケリィのお屋敷の立ってる辺りがそうだって」
アタシはケリィに運転しながらそう返した。
きっとケリイは蟹にされた子はこんなジャングルの奥深くまで供え物をわざわざ盗まずに魚を捕まえた方が楽じゃないかと考えているんだろうな。
「村のみんながお屋敷に近づきたがらないのもそのせいよ。 不吉な場所なんだって。
あんなり出入りすると祟られるってアタシも脅かされてるのよ」
「そんな・・・・・じゃあ住んでる僕はどうなのさ?」
アタシの発言に不機嫌そうなケリィの声が聞こえてくる。
「ケリィはよそ者っていうより、アタシの弟みたいな感じだからね」
「弟、か・・・・」
アタシの言葉にちょっと不満そうな声がまじっているのがわかる。
「この島に越してきてもう一年だっけ。 もうそんなになるんだねぇ」
「はじめてケリィが来た時は日本人が珍しくて港に村中のみんなが押し寄せたっけ」
「うん、でも自己紹介したら村の人たち僕の名前ちゃんと呼べなかったんだよ。 父さんのは呼べたのに」
運転しながら昔のことで花をさかせるアタシとケリィ。
「だあって、日本人の名前って発音が難しいんだもん」
けらけらと笑いながらアタシが言うと。
「シャーレイがケリィなんて呼ぶからみんなが真似しちゃって・・・・。 シャーレイは僕の本名ちゃんと覚えてる?」
「エミヤ・ケリトゥグでしょ?」
きりっとした顔つきでわざと言ってやったらため息をつかれてもういいよ、ケリィで・・・と言われた。
あはは、精神は理解しているんだけどね~。
でるのは彼女らしい言葉にしか変換されないんだよね。