共生体持ち八幡のエルドライブ生活   作:ぺるクマ!

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採用試験のターゲットである宇宙人は原作とは違います。
作者が思いつきで描いたオリジナルの宇宙人です。


採用試験 前編

ー千葉 総武高校付近ー

 

ドシーンッ

「いて」

「また転送失敗ッチュ〜。」

またかよ。何で逆さに着地するんだよ。頭いって〜!……ここは……あれ?見覚えがあるぞ。

『八幡、ここ総武高校の近くだ!』

「なっ、……本当だ。てことは俺ん家の近くじゃねーか。」

『近所に犯人が居たなんて面白いな、八幡。』

「……そう思ってんのはお前だけだぞ。」

「八幡、また独り言ッチュか?」

「え?いや、」

やべ、聞かれてたか。

「ん?……八幡、この近くに犯人がいるらしいッチュよ。」

「は!いきなりかよ。」

「さあ、行くッチュ。」

とチップスは前を歩いて行く。

『八幡、楽しみだな!」

楽しみじゃねーよ。うわ〜、行きたくねー。

 

 

 

sideレイン・ブリック

「さて、比企谷八幡はやってくれるかね〜」

「どうですかね?」

おっ。美鈴が帰ってきたな。……まだ目元が赤いな。

「どうだ?他人に泣かされた感想は。」

「……怒りますよ。」

「おっと、悪い悪い。」

ったく冗談が通じねぇな。さっきの比企谷八幡もそうだが。

「それで美鈴。彼をどう思う?」

「何度も言わせないで下さい。私はあの人に期待してません。」

「どうして?」

「あの人は学業に関しては国語と家庭科は優秀。しかしそれ以外は並で、数学は壊滅的です。性格はあの通り捻くれていて、変な作文を提出したせいで奉仕部とかいう訳の分からない部活に強制入部させられてました。」

……あいつ一体どんな作文を書いたんだ?そっちの方が気になるな。

「そして身体能力はまぁまぁと言ったことですが、それはあくまで地球人としてです。今回のターゲットであるオーガ星人は地球人の何倍も力が強いんですよ。地球人なんて簡単に殺されてしまいます。」

……酷評だな。確かに俺から見ても、口は達者だが力はあまり強くない。オーガ星人なんて相手にならないだろうな。だが、

「でも、我らがマザーコンピューターが選んだ適任者なのよ。弱い地球人ってこと以外にも何かあるんじゃないかしら?」

俺が今のは思ったことを前で作業しているトントが代弁した。

そう、あのマザーコンピューターが彼を選んだ。彼には何かあるはずなんだ。

 

すると、美鈴はこんなことを言った。

「そのことでなら、少し奇妙なことがあります。」

「奇妙なことだと?」

「はい。詳しく調べたところ、あの人は1年前に交通事故に遭っています。」

「交通事故?」

「何でも車という乗り物に轢かれそうになった犬を助けて、自身が轢かれたとか。」

「ほー、あいつ何気にそういうとこあるんだな。……それで何が奇妙なんだ?」

「問題は彼がその事故で負った怪我です。その事故の状況からして、あの人は全治2ヶ月の怪我をしてもおかしくなかったのに……

たった1週間の怪我で済んだと。」

「は?」

「たまたまじゃないの?」

「いえ、状況的にもこれはおかしいと地球の警察も首を傾げたそうですよ。」

ほう。中々興味深いな。

「更に、轢いた車もぶつかったのはあの人はだけなのに、まるで車同士でぶつかったような傷跡が残ったとか。」

「……どうなってんの?それ?」

「確かに奇妙だな。」

彼は見た目から普通の地球人であるはず……やはり何かあるな。あの少年。

side out

 

 

 

はあー、学校の近くに犯罪者しかも地球外生命体がいるなんて聞いてねえぞ。俺帰っていいかな?

『ダメに決まってるだろ?試験中なんだぞ。』

デスヨネー。

「ん?……八幡!ターゲットが近づいてきたッチュ!隠れるッチュ!」

前を歩いていてチップスがそう急かす。

マジで!えー、まだ心の準備が出来てないんだけど。そう思いつつ電柱の陰に隠れる。

一体どんな奴が出てくるんだ?こっそり物陰から見てみると………

 

「え?平塚先生?……と誰だ?」

 

そこには、今日学校で俺の作文にイチャモンをつけかつ奉仕部とかいう訳わからん部活に強制入部させた張本人である平塚先生と見たこともない男が歩いていた。

「ん?比企谷じゃないか。何してるんだ?こんなところで」

先生は俺に気づくと、そう質問してきた。

「…別に。ただの散歩ですよ。先生こそ、どちらに。」

「これからこの彼と食事に行くとこだ。この間の合コンで知り合ってな。今日食事に行く約束をしててんだ。」

マジで。あの平塚先生が……ついに先生にも春が来たか。

「おい比企谷、何か失礼なことを考えなかったか?」

「いえ!何も!」

え?何この人。エスパーなの?

「あ、すみません。この少年は私の教え子なんですよ。性格は捻くれていて面倒な生徒ですが。」

おい、捻くれてんのは余計だろ。そんなこと他人に言うんじゃないよ。

「あー、そうでしたか。……こんにちは。」

「…うす」

相手の方を見てみると、何か結構筋肉質な体をしている人だった。顔も何か男前って感じだし。……あれ?何かこの人、高校生が怪盗するゲームに出てくる変態教師に似てるけど違うよね?俺の錯覚だよね?

『八幡、こいつゴツゴツしてるな。』

「いや、ムキムキだろ?どう見ても。」

 

 

「何やってるッチュか!そいつが犯人チュよ!」

 

 

突然チップスが男の方を指差してそう言った。

は?

「おい、チップス。この人どう見ても地球人だろうがよ。」

「騙されちゃダメッチュ!くらえ!《可視化SPH》!」

チップスは頭から緑色の胞子みたいなものを男の方へ向けて放射した。

おい、何やってんだよ!

「うおー!止めろ!止めてくれ!」

ほら、あの人苦しんでんじゃねーか!

「ひ、比企谷!何するんだ!」

いや、俺のせいですか?平塚先生。

「おい!チップス一体何を」

「止めろ!体が透けるー!」

は?何言ってんだ?体が透ける?

すると彼の体がみるみるうちに透けていき…

 

 

代わりに、さっきの姿より倍デカイ鬼のような形相をした怪物が現れた。

 

 

「何じゃこりゃー!」

思わず叫んじまったがマジでどうなってるんだ?

「………」

おい、平塚先生なんてどういう状況か分からなさすぎてへたり込んじゃってるよ。くそ、何がどうなってんだか。

『八幡、やっぱりゴツゴツだったな。」

「そんなことどうでも良いわ!」

確かに体がゴツゴツしてるがこんな状況で何言ってんだこいつは。

「ぐへへ、バレちまったか。」

バレちまった?……まさか。

「おい、これって。」

「そうッチュ。こいつはオーガ星人のスグーフ。地球人になりすまして地球人を捕食するC級犯罪者ッチュ。」

マジかよ。捕食ってことは…

「人間を食うってことか?」

「そういうことだ。俺は地球人が大好物なんだよ。ぐへへ。」

くそ、さっきから下品な笑いがムカつく。

「さぁ八幡、逮捕するッチュ!」

「はっ!」

いや、逮捕ってこんな巨体どうすれば良いんだよ。

「ん?逮捕だと?」

すると、スグーフとやらは訝しげにチップスを見る。すると、見る見ると表情が青ざめていった。

「そ、そのバッジ。…お前らエルドライブか!」

「え?……いや、俺は」

「くそっ!ここで捕まってたまるか!!」

そう言うと、スグーフは側でへたり込んでいた平塚先生を引き寄せた。

しまった!

「おい!エルドライブ!近づくんじゃねーぞ!さもないとこの女を殺すぞ!」

スグーフは平塚先生に隠し持ってたナイフを突き立てる。

「なっ!平塚先生!」

「まずいッチュ。人質をとられたッチュ!」

この状況はマズイ。刑事ドラマでもよく見るシーンだ。ドラマでは銃とかで犯人を撃ったり仲間が死角から犯人を抑え込むなどしていたが、生憎俺は銃なんて持ってないし仲間なんて今隣にいるチップスしかいない。

「おい。チップス、何とか出来ねーのか!」

「ヌー、何とかしたいのは山々ッチュが、さっきレイン署長が八幡一人でどうにかしろと言ってたッチュ。」

おい!何考えてんだあの人。素人の俺がこんな状況を一人で何とか出来るわけねーじゃねぇか!

「おい!どうした!小僧!俺は本気だぞ!」

「……くそっ」

 

一体どうすれば良いんだ?

 

続く


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