どうも三國志のシーラカンスです   作:呉蘭も良い
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ボーイミーツガール。
と、言う事でロマンス回です。


しあーわせのよーかん

-数日後-

 

「うむ。 今回の治療で、撈殿の治療は終了だ。 完全に治ったと言って良いだろう。」

 

「再発の可能性はございませんか?」

 

こんな事は二度とごめんだぞ。

 

「完全に無いとは言い難いな。 病魔とはいつ何時に来るかはわからんからな。 だが限り無く再発の可能性は低いだろう。」

 

完全じゃ無いのは怖いが、華佗が保証するなら一応は大丈夫なのだろう。

 

「ありがとね? 華佗君。」

 

「君付けは止めてくれ。 恥ずかしいではないか。 普通に華佗で良い。」

 

「えー? なら君も僕に殿って付けるのを止めてくれるかい? 僕の事は撈で良いよ。」

 

「うーん、しかしだなぁ……。」

 

「良いじゃん? ほら呼んでみなよ?」

 

「そうか? では、改めてよろしく頼む撈。」

 

「う、うん! よろしくね華佗。」

 

………。

 

……え?

何この空気?

 

え? えぇ!?

もしかして、……姉さん……。

いや、しかし、……でも。

つまり、……そう言う事なのか?

 

 

_____

 

 

俺は今、寝室で正座して精神統一をはかっている。

今日はそこに姉さんを呼び出した。

 

コンコン

……来たな。

 

「……入ってくれ。……姉さん、大事な話がある。」

 

今回はちょっとじゃ済まさないぞ?

 

「どしたの?」

 

うむ、単刀直入に行こう。

 

「……あんた、……奴に惚れたね?」

 

「ゴフッ!」

 

おぅおぅ、真っ赤になっちゃってまぁ。

 

「ちちち、違うよ!? 本当、違うから!? 別に華佗の事なんか好きじゃ無いよ!?」

 

ほぅほぅ。

 

「語るに落ちてるじゃねぇかよ。 誰も華佗の事なんて言ってねぇぞ?」

 

「いや、その、……あれだよ、今はウチに華佗が居るから。」

 

そう、今は、なんだ。

明日、遅くても明後日には華佗はウチを出て襄陽を去る。

 

その前に、なんとしてもこの俺が恋のキューピットとしてくっ付けねば!

 

この行き遅れにはなんとしても幸せになって貰わねばならんからな。

 

「いや、否定しなくて良いから。 見りゃわかるから。」

 

「ぐっ!……まぁ、その、……そうです。」

 

おぅおぅ、先日の病気が嘘のように血色の良い事で。

そう思ってたら、姉さんはどんどん表情を曇らせて来た。

何だ? 何か不味い事でもあるのか?

 

「……でも正直言って、無理だよね。」

 

「何? もしかして年齢の事気にしてんの? 大丈夫、大丈夫。 姉さんまだ綺麗だから、あんま気にすんなよ!」

 

「……蒼夜、怒るよ?」

 

何で!?

俺誉めたよね?

そんなおかしな事言った?

 

「まぁ、綺麗って言ってくれたから今回は許してあげる。」

 

「お、おぅ。 すまんね? けどじゃあ、何を気にしてんだよ?」

 

「いや、だから、……華佗はもうすぐ襄陽からいなくなっちゃうじゃん。……そしたらもう僕とは関係無いよ。」

 

はぁ?

 

「ちょっと言ってる事がよくわかんないですねぇ。」

 

え? 何? どゆこと?

 

「普通に華佗に付いてきゃ良いじゃん? 一緒に医療の旅に出なよ。」

 

「えぇ!? ちょっと蒼夜! 自分が何言ってるのかわかってるのかい!?」

 

勿論わかってますが?

 

「当たり前だろ。 行き遅れの姉さんの最後の機会だろ? これを逃がしちゃ駄目だ。」

 

それに華佗なら信用して姉さんを送り出せる。

 

「……蒼夜、僕怒るって言ったよね?」

 

え? え?

 

 

_____

 

 

……しこたま怒られた。

 

このくらいの女性に年齢の話や、行き遅れの話はいかんらしい。

……俺の前世の知識としては、まだ若い部類なんだけどなぁ。

まぁこの時代的にみたら、もう子持ちでもおかしくないレベルか。

でも少し気にし過ぎな気もするけど。

 

「……まぁとにかく、昔した約束を果たすと考えて、華佗を狙いに行って、俺が成人するまでに結婚してくれ。」

 

「……でもさぁ、……蒼夜はどうするの?」

 

「俺? ここで暮らすよ?」

 

独り暮らしのスキルもあるしな。

 

「……独りでかい?」

 

「? そうだけど?」

 

「……それは、ちょっと……。」

 

おい、まさか俺に気を使ってるのか?

 

「言っておくが、俺に気を使ってるなら止めろ。 これも昔に言っただろうが、邪魔になったら出て行くって。 今回の件は本気だぞ? 姉さんが華佗を諦めるとか抜かしたら、俺は出てくからな。」

 

「えぇ? 何でそうなるのさ?」

 

「あんたの足枷になるつもりは無いんだよ。」

 

華佗が好きなら華佗と行けよ。

俺は姉さんが生きて幸せならそれで良いんだから。

 

「いい加減、俺の事より自分の幸せを考えてくれ撈姉さん。」

 

「……別に僕は、君と居られたら充分幸せだよ。」

 

「じゃあ一生二人で暮らすのか? 俺と結婚するとか言うのかよ?……例えば、俺が成人して誰かと結婚したらどうするんだ? 一緒に暮らすのか?……俺を心配してくれるのは嬉しいが、俺を理由に自分の幸せを探さないのは止めてくれ。」

 

俺が貰う将来とか嫌だぞ。

 

「……君を理由に、か。……うん、そうだね、そうかもしれない。 僕は今まで結婚しない事を、君を理由にしてきたんだろうね。」

 

お見合い話とか昔からあったのに全部拒否してきたからな。

 

「……確認するけど、君は僕が華佗と旅に出ても、それで良いんだね?」

 

「あぁ、俺の姉さんに対する要望は一つ、生きて、幸せである事。……それが叶ってるなら例えどんなに遠くに居ようとも俺はそれで良い。」

 

「そっか、うん。……例え離れても家族って事なんだろうね。 うん、僕もそうだ。 例え離れても君が幸せならそれで良い。」

 

決まりだな。

……姉さんは、華佗と行く。

後は華佗本人に確認するだけだ。

 

 

_____

 

 

「華佗さん、ちょっと良いですか?」

 

「どうした?」

 

「華佗さんは明日には襄陽を去るのですよね?」

 

「あぁ、撈の治療も終わった事だし、俺はまた大陸の旅に出ようと思う。」

 

「……姉さんをその旅に連れて行って下さい。」

 

恩人に申し訳無いがここからはごり押しさせて貰うぞ。

 

「な、何!? 何故だ!?」

 

「後で本人から説明がありますが、どうやら今回の一件で自分の様に病気で苦しむ人達を助けたいと思ってる様です。」

 

勿論これは嘘では無い。

だが、一番の理由でも無い。

 

「それは素晴らしい心掛けだが、……何も俺の旅に付いてくる必要は無いのではないか? 言っては何だが、俺の旅は中々過酷だぞ?」

 

ふむ、それは吊り橋効果も期待出来るな。

 

「それでも、貴方と一緒に行きたいのですよ。 それに私も貴方になら安心して姉さんの事を頼めます。……お願い、出来ませんか?」

 

「しかしだな……。」

 

「姉さんは体力は人並みですが、その知識量は並ではありません。 無論、医療系統の知識もあります。 何かと役に立つと思われますが。」

 

「……はぁ、わかった。 一度彼女と話し合いをしてみる。 それから決めさせて貰おう。」

 

よしきた。

後は姉さん次第だ。

 

「何卒、よろしくお願い致します。」

 

 

_____

 

 

-翌日-

 

結局、華佗はそのまま姉さんに押し切られてしまい、断る事をしなかった。

 

「……蒼夜、僕がいないからって、適当に生活しちゃ駄目だよ? ちゃんとご飯食べなよ? 夜も遅くなっちゃ駄目。 周りの大人は尊重しなよ?……それから、……」

 

「わかった、わかった。 心配しなくてもちゃんとするから。……姉さんこそ、約束を守れる様に努力しろよ。」

 

おめーは母親かよ。

……まぁ、似たようなもんか。

 

でもそんな事より、この人の結婚の方が遥かに重要だ。

 

「……頑張ります。 あ、それと君が成人する頃には必ず一度襄陽には帰ってくるよ。」

 

「ほぅ? その時には良い報告を期待しよう。」

 

その頃になって、結局駄目でしたとかは洒落にならんぞ?

 

「さて、別れもそこそこに、そろそろ出発しようか、撈。」

 

「うん。 これからよろしくね、華佗。」

 

「あぁ! こちらこそよろしく頼む!」

 

うむ、中々良い雰囲気だ。

もし姉さんを悲しませたりしたら、死なない程度にぶっ殺してやる。

 

……何気に俺って重度のシスコンだなぁ。

まぁそれも良いかな。

 

「……姉さん、六年間ありがとう。 本当に世話になった。……達者で。」

 

「うん。……離れても君を愛してるからね。……それだけは忘れないで。」

 

その言葉を皮切りに姉さんと華佗は旅立った。

 

……はぁ、寂しくなるなぁ。

 




と言う事で、姉さんは華佗について行きます。
最初から想定されてた事でした。
出番は減りますが、これからも一応少しは出ます。

これにて十一歳の本編は終了です。
次回は閑話として、時期ネタを挟み、それから十二歳を開始します。







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