どうも三國志のシーラカンスです   作:呉蘭も良い

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連続投稿です。

さて恋姫の神の舌が爆発するぜ!


お前は食戟でもやってろ

所変わって、自宅。

 

曹操達が来てから大分時間が経ち、夜の帳が落ちて来たので、俺は彼女達を自宅へと招待した。

 

いくら俺が曹操を警戒しているとは言え、孟徳新書なんて素晴らしい物を一早く読ませて貰った礼はきちんとしようと思ったからだ。

 

大した持て成しは出来ないが、先日孫家を訪れた時に祭さんから貰った、高価な白酎が結構残っているので、それを振る舞う事にした。

 

「取り合えず、先にこれで飲んでおいて下さい。 俺はつまみを作ってくるんで。」

 

俺はそう言って、三人に酒と一応のつまみとして、残っていたジャーキーもどきを出した。

 

……本当はベーコンとかにしたかったんだけどなぁ。

 

「へぇ、……中々良いお酒を持っているじゃない。」

 

曹操に認められるって事は相当良い酒なんだなぁ、ありがとう祭さん。

 

「これは、……燻製肉?」

 

「あっ、はい。 羅馬から伝わって来た文献を参考にして作ったんで、普通のよりは、美味しいと思いますよ?」

 

……そういや、史実じゃ曹操は相当の美食家だったな。

……不味いなぁ、温州みかんなんてこの家には無いぞ?

 

「ほぅ? 羅馬の作り方か。」

 

「ふんっ! 所詮燻製肉だろ、旨いものか!」

 

「春蘭、持て成しをされておきながら、その様な事を言っては駄目よ?……それに、批判するなら食べてからよ。」

 

「うぅ、すみません、華琳様。」

 

いや、謝るなら俺に謝れ。

って言うか批判するんすか?

 

……招待したの失敗だったかなぁ?

 

「では、先ずは食べて見ましょう。」

 

やだなぁ、つまみを出して緊張するなんて初めての経験だぞ?

 

まぁでも、雪蓮と祭さんには大絶賛されたから、ちょっとは自信あるけどね。

 

何でも酒のつまみには最高だとか。

 

ちなみに冥琳には、旨いとは言われたけど、これを糧食にするには、塩やら香辛料やらが大量に必要となるから、経費的に不可能だって言われた。

 

……それを聞いて絶賛していた二人は大ブーイングしてたけど。

 

特に祭さんなんか、兵士にとっての飯の旨さは士気にかかわるから、例え金がかかってもやるべきだ、って熱弁してたくらいだし。

 

……ありゃ完全に酔っ払いの悪絡みですわ。

 

最終的に冥琳が、仮にやるとしても完全に管理して、絶対にちょろまかす事は出来ない様にする、って言ったら、文句は言わなくなったけど。

 

……どんだけ食いたかったのかって話だよ。

冥琳に作り方の本は渡したんだから、自分で作りゃ良いのに、……特に祭さんなんて、料理上手いのに。

 

……っと、思考がずれた。

さて、この方々の舌に合いますかね?

 

「! これは中々旨いな!」

 

「あぁ、酒に最適だ、これは悪くない。」

 

おっ、夏候惇と妙才さんにはウケた様だな。

……問題は、残りのお方だが……、

 

「……。」

 

……無言っすか、せめて何か言って欲しい。

 

「えっと、……お口に合いませんでしたか?」

 

俺の台詞に、夏候惇と妙才さんも、緊張して曹操を見ている。

 

「……燻製肉にしては、悪くないわ。」

 

……燻製肉しては、っすか。

いや、及第点を貰えただけましだと思おう。

 

「これは塩と香辛料で味付けしてから燻したのね? 確かにこれなら今までの物と比べ、幾分かましと言えるけど、少々味付けする塩の量が多いわ。 香辛料の量も、もう少し減らしても良いでしょう。 これでは肉本来の旨味が消えるわ、そこはもう少し調整なさい。」

 

……おっふ。

これ及第点も貰えてなかったっぽいなぁ。

 

「失礼しました。 精進致します。」

 

「ふふっ、そう畏まらないで? それに、おそらく香草の煙で肉を燻したのでしょうけど、そこは素直に評価出来るわよ?」

 

本当はスモークチップを使いたかったんだけど、無かったからね。

 

何で塩とか胡椒とか、果ては味噌や醤油が普通に有るのに、スモークチップはねぇんだよ。

いやまぁ、普段は滅多に使わないから良いんだけどさ。

 

「ありがとうございます。……一応今からつまみを作って来ますが、……あまり期待しないで下さいね?」

 

……もうこの人に料理出したくないんですけど。

 

「あら、目の前に料理を出されて期待しない訳が無いでしょう? それに、私は不味いとは言ってないわよ?」

 

……それでも心に来るもんがあるんだよ。

 

「ははっ、……頑張らせて頂きます。」

 

「ええっ、期待しているわ。」

 

だから止めろって。

 

 

_____

 

 

「どぞ、薬膳風八宝菜っす。 二日酔い防止になります。」

 

これは味より効能重視。

流石に文句は言わないだろ。

 

「それは有り難いな。……姉者、良く食べておけ。」

 

「んみゅー?」

 

……もう既に酔ってんのかよ。

 

「薬膳の味が強すぎるわ。 様々な野菜が入っているのだから、香りには気を着けなさい。」

 

えぇー?

それでも駄目だしすんの?

効能重視なんですけど?

 

くそぅ、次だ、次。

 

「肉汁と食感が楽しめる小籠包です。 独自のタレをつけてどうぞ。」

 

「お、おいひぃ! もっとょこれぇよ出せ! にゃん個でも食べらゃれるじょ!」

 

……何を言ってるのか解んねぇ。

 

「おぉ、確かにこれは皮の食感が良いなぁ。……それにこのタレも爽やかで良い。」

 

でしょ?

めっちゃ生地を捏ねくり回したよ。

こだわってぽん酢もどきも作ったからね?

その皮に肉汁の旨味が染み込んでいるし、噛んだらこう、じわっ、っと肉汁が出てくるし、俺は好きなんだけど……。

 

「確かに皮は良いわね。 このタレも悪くないわ。……だけど中身の肉餡の味が弱いわ。 この味付けの場合、タレに負けてしまうわよ?」

 

ぐぬぬっ……。

味に厳しい奴め。

……こうなりゃ奥の手だ。

 

「孫家の宿将、黄 公覆直伝、青椒肉絲です。」

 

これが駄目ならもうお手上げだぞ。

 

「! 旨い、……味付け自体は濃ゆいと思うのに、何故か酒と良く合う。」

 

よし、妙才さんは文句なくクリア。

 

「はぐっ、むぐっ、ほぐっ!」

 

夏候惇も一心不乱に食っているな、まぁここも当然クリア。

 

……今度こそ頼むぜ……祭さん、俺に力を貸してくれっ!

一緒に曹操(ラスボス)をやっつけよう!

ここが食の赤壁だ!

 

「……。」

 

……くっ、またしても無言か。

 

「……いかがでしょうか?」

 

「……ふむ、……そうね、……言おうと思えば、いくらでも注文はつけられるわ……。」

 

くっ、祭さんの力を以てしても、辿り着けないと言うのか。

俺の苦肉の策は、ここで尽きると言うのか……。

 

「……でも、何故かしら、……有無を言わせない美味しさを感じるわ。」

 

 

「ふっ、お見事よ。」

 

や、やったぁー!

祭さん、やったよ俺!

 

曹操には、黄蓋。

そう言う事なんだね?

 

「……ふぅ、……一品だけとは言え、満足された様で良かったっす。」

 

持て成したかいがあるぜ。

 

「えぇ、久々に満足行く物を食べられたわ。 この持て成しに感謝するわ元倹。」

 

「ふっ、良かったな元倹殿。 華琳様が満足するのは珍しい事だぞ?」

 

あ、やっぱそうなんだ?

良かったぁ~。

 

今度祭さんに何かお礼の品持って行こ。

 

「ほんじゃ俺も、そろそろ参加させて貰いますね?……元譲さんは、もう寝てるみたいですけど。」

 

「……Zzz 。」

 

さっきまで食ってなかったっけこの人?

 

「あぁ、姉者の事は放っておいてくれ。 いつもの事だ。」

 

……いつもなんだ、大変だなぁ。

 

「では、改めて乾杯でもしましょうか?」

 

「あっ、はい。……いや、何に乾杯するんです?」

 

普通に返事してしまったけど、乾杯する理由は無いぞ?

 

「ふっ、そうね、……今日と言う日に、で良いでしょう。」

 

いやいや、その理論で言うなら毎日乾杯なんですが?

……まぁ何でも良いか。

 

「それでは、今日を祝って……。」

 

「えぇ。」

 

「あぁ。」

 

俺が酒杯を上げそう言ったら、曹操も妙才さんも二人して上げてくれた。

 

……何か俺が仕切っちゃったけど、……まぁ家主だし良いよね?

 

「「「乾杯。」」」

 

俺達三人は、そう言って酒杯の酒を飲み干した。

 




この人だけ世界観がソ○マだよね?
多分美味しい物食べたら、服が……ゴクリ。

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