どうも三國志のシーラカンスです   作:呉蘭も良い

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思ったより、始皇帝うんぬんの感想が沢山きて驚きました。
皆、政の事大好きだな。

よーし、明日中迄にまた投稿出来る様に頑張ります。


これからのこと

その後の討論会は中々熱くなった。

 

題目は無難な物を選んだつもりだ

『十万の敵が攻めて来た、こちらの兵力は六万、抗戦すべきか降伏するべきか(なお、将軍や軍師の能力、兵の力量は考慮しない物とする)』

 

この題目の肝は、攻められる立場の専守防衛だと言う事、つまり地形等はこちらに有利である事、それでもなお四万の兵力差が有る事。

 

まぁ簡単に言って赤壁前の状況を、擬似的に簡易に言葉にした状況だ。

 

この討論は中々盛り上がったが、最終的に勝ったのは抗戦派だった。

 

……なんたって諸葛亮が居たからな。

そりゃ勝つよ。

奴は史実でも呉に一人で行って、降伏派を捩じ伏せたからな。

 

そして今回も中々凄かった。

仮の有利の地形を取ってからの戦術論をペラペラ語りだして、確かにこれなら勝てるかもと皆に思わせたからな。

俺も思わず唸って、拍手をしてしまったし。

 

この時ばかりは組分けをミスったと思ったね。

諸葛亮は降伏派に入れとけば良かった。

 

……だが問題が次の題目で起こった。

 

と言うのも、俺は二つ目の題目を用意していなかった。

何故なら、最初の題目でもう少し時間がかかって、それだけで今日を終えるつもりだったからだ。

 

そこで困った俺は、つい適当に

『酢豚は旨いか不味いか』

と、言ってしまった。

 

……いや、本当すみません。

 

だが予想以上にこの討論には熱がこもってしまって、最初の題目よりも大いに盛り上がってしまった。

 

優秀な人材達と言っても、そこは皆お子ちゃまの幼女達。

理論うんぬんよりも感情的になってしまって、一人の幼女が『酢豚なんて、美味しくないよぅ!』と、涙目で言った時にこの討論会は終了した。

 

……暫くの間、彼女達の食卓に酢豚が出る事は無いだろう。

この罪悪感、どうしてくれようか。

 

……ちなみに個人的に言わせて貰えば、パイナップルが入ってなかったら食べれない事もない。

……まぁこの時代にパイナップルが入ってる酢豚とか無いけど。

 

 

_____

 

 

「本日はありがとうございました、元倹さん。……多少問題もありましたが、実に面白い授業でした」

 

授業、……だったのだろうか?

 

客室に戻ってきて、季常ちゃんは俺に感謝の言葉を述べてるが、感謝される様な、授業らしい授業等俺はしていない。

 

「うん、……まぁあれで良かったなら、良いんだけどね?」

 

俺最初以外は討論聞いていただけだし。

 

「斬新で皆の刺激になる良い授業だったかと……」

 

う、うーん。

詐欺紛いの授業で幼女を涙目にしただけの気もするけど、……いや、忘れよう。

 

「それにしても、さっきの討論会での孔明ちゃんは凄かったね? 最初に会った時の様にはわはわしてなくて驚いたよ。……彼女は凄い大物になるんだろうねぇ」

 

まぁ、大物になるのが確定しているのを知っている訳だが。

 

……でも個人的に、ロードでエルメロイな感じの二世を期待していた、とは言えないな。

まぁそれは無いと解っていたけども。

 

「はい。 朱里ちゃん、……孔明はあの様に落ち着いている時は凄い優秀なんです。 先生からも雛里ちゃ、……士元と並んで伏竜、鳳雛と称される程ですので」

 

慣れてないのか、ちょこちょこ真名が出てくるのは仕方ないか。

 

「けど、季常ちゃんだって凄い才能あるだろう?」

 

「いえ、私は特に……」

 

「そうか?……ふむ、伏竜、鳳雛、と来たら、差し詰君は霊亀の子供、……幼亀って所かな?……なんてね? まぁ、君もあの二人に劣らず良い才能があるよ」

 

なんたって、白眉だし。

亡くなった時は孔明が泣いて惜しんだ程の人物だから。

 

「そう、……でしょうか?」

 

「うん、……まぁ俺に保証されてもあんま大した意味無いけどね?」

 

「いえ、そんな事ありません。……ありがとうございます、自信が付きました」

 

そう言って季常ちゃんは柔らかく微笑んだ。

今まで全く笑わないクールな子だったけど、笑顔は可愛いもんだ。

 

 

_____

 

 

「げ、元倹しゃん!……さん。 お、お話を聞いてもよろしいでしょうか!」

 

「お、お願いしましゅ。……す」

 

季常ちゃんが客室から退室して、司馬徽を寛ぎながら待っていた俺の元に、諸葛亮と鳳統がやって来てそう言った。

 

「まぁ、……良いけど、とりあえず、落ち着いて?」

 

俺ははわあわしている二人を深呼吸させて、話を聞く事にした。

 

「……それで? 何の話が聞きたいの?」

 

「はい。……元倹さんは、この大陸の未来をどう思っているのか、聞いてみたく……」

 

話題重っ!

えっ?

わざわざそれを俺に聞くの?

 

って言うか、まだ子供なんだからそんな事気にすんなと言ってやりたい。

 

「た、大陸の未来ね?……う、うーん、そうだねぇ。 まぁ近い内に荒れる事もあり得るかな?」

 

多分そろそろ黄巾の乱近いだろうし。

 

「……やっぱり元倹さんもそう思いますか」

 

やっぱりって事は君達も予想していたのか?

おいおい、幼女のくせに未来に絶望を抱き過ぎじゃね?

 

「元倹さんはその時どうなさるのでしょうか?」

 

「……うーん、実際にその時を迎えてみないと解らないね」

 

「……何処かに仕官したりしないのですか?」

 

……まぁそれが一番濃い線だよなぁ。

 

「まぁそれも考えているよ? 個人的な友好なら呉郡の孫家に頼るのも良いし、陳留の曹 孟徳さんにも誘われているからね」

 

俺がそう言うと、二人は無言になって思案し始め、そして少し間を置いて、また質問を始めた。

 

「……あの、元倹さん自身が旗揚げ等はしないのですか?」

 

はぁ?

 

「いやいや、今の所そんな予定は全く無いよ?」

 

俺が旗頭とか何かの冗談だろ?

 

「そんな!? 元倹さんは大陸の未来を憂いて行動をしないのですか!?」

 

あ、熱くならないで?

 

「俺が行動をした所で、どれ程の力があるだろうか? それなら力ある主の元でその腕を振るうべきじゃないかな?」

 

華琳さんと雪蓮、どっちもあながち悪くないぞ?

 

……まぁ華琳さんの場合は死ぬ程忙しくなるだうし、雪蓮の場合は当主が仕事しないから腹立つけど。

 

「……元倹さんは、充分力ある方だと思うのですが……」

 

買いかぶりだ馬鹿野郎。

 

「……まぁ、そう言ってくれるのは有り難いんだけどね? 実際に本人達に会ってみたら解ると思うけど、本当に大陸に安寧をもたらすと思われる程の英雄は、引き込まれる様な不思議な魅力があるよ?」

 

そして、そんな物は俺には無い。

 

「……まぁとにかく、君達が大陸を憂うと言うのなら、色んな人達に会って見るのを勧めるよ」

 

……そしたら俺に旗揚げとかを勧めなくなるだろうよ。

そんな事しなくても、充分力ある英雄達が存在するもの。

 

「……その様なものでしょうか?」

 

「そうだね。 そこは自信を持って言えるよ。 俺に力が有ると言うのが勘違いだと解ると思うよ?」

 

俺がそう言うと、二人は納得いかない表情をして、頭を下げて退室していった。

 

……旗揚げか。

実は全く考えなかった訳ではない。

 

俺はこの暮らしを守る為に、襄陽を中心に義勇軍、もしくは自警団でも作って襄陽近辺だけでも自分で守ろうかと考えた事もあった。

 

黄巾の乱だけなら、それでも良かったかもしれない。

……けど、反董卓連合が組まれた後は本格的に戦乱の世が訪れる。

 

そして襄陽、いや荊州は大陸の中央として激しい戦地になる。

それを独自で守る事なんて出来るのか?

……出来る訳が無い。

 

仮に俺が荊州を乗っ取って、劉表から荊州牧の地位を奪った所で、北は魏、東は呉、下手したら西は蜀が出来る。

 

三国に囲まれて荊州に生きる道は無い。

仮に益州、蜀を奪うなら俺は劉備の変わりに三国志の英雄の一人として、戦い続けねばならない。

 

そして個人的な友好で呉と同盟を結ぶ?

 

……あほか。

なら最初から雪蓮に頭を下げて呉に士官するわ。

わざわざハードモードで三国志を生きるメリットが無い。

 

……でも前に華琳さんが言った様に、もう時間は少なくなって来ている。

 

……どうしたものか。

 




まぁ主人公独自ルートはこの様な理由で難しいですね。
期待された方も居ると思いますが、独自ルートはこの作品では書きません。

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