どうも三國志のシーラカンスです   作:呉蘭も良い
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うーん、山なし落ちなしの久々な日常モードな感じの話です。


閑話 兄貴と姉貴

-蒼夜 十四歳-

 

さてそろそろ建業に行こうか、と考えた時に冥琳から一通の手紙が届いた。

 

『お前に返す金銭の準備が整った。 暫くしたら、久方振りにこちらから襄陽に雪蓮と出向こう。 周 公瑾』

 

あー、そういやそんな約束してたっけ?

別に返さなくても良かったのに、律儀なやっちゃな。

 

「おーい、霊里」

 

「何でしょう、兄さん?」

 

俺が霊里を呼ぶと、霊里はトコトコとやって来た。

 

「暫くしたら、俺の大切な友人が訪れるから、歓迎の準備を手伝ってくれる?」

 

「友人……ですか?」

 

「ん、友人。 または悪友とも言う」

 

雪蓮に限っては、だけど。

 

「はぁ、解りました。 それで、何をしたらよろしいのでしょうか?」

 

「そうだな、まずは……家の掃除からだな」

 

最近大掃除とかしてなかったし。

 

こうして俺と霊里は雪蓮達が到着するまで、色々と準備をする事にした。

 

 

_____

 

 

「おいっす~♪」

 

「おいっす~……じゃねぇよ。 来るの早すぎるんだけど?」

 

手紙が届いてから翌日、雪蓮と冥琳は即座に襄陽に現れた。

 

これ絶対手紙を出したと同時に出発してるよね?

次の日に到着するのは暫くって言わねぇよ。

 

「ふむ、何時もは私達が色々とお前に驚かされているからな、たまには私達がお前を驚かせてみようと言う試みだ」

 

……お前の発案かよ。

そんなドッキリいらねぇんだよ。

 

「……まぁ良い、とりあえず中に入れ」

 

「あっ、だったらこの荷物どうしよっか?」

 

雪蓮がそう言うので、俺は彼女達の後ろにある大量の金銭を見た。

 

「別に持って帰って良いぞ? って言うかどうやって持って来たんだよこれ」

 

まさか雪蓮が頑張って運んで来たのか?

……それはそれで笑えるな。

 

「いや、お前に返金する為に持って来たんだから、持って帰る訳無いだろう。……それは建業から襄陽に移動する商人に持ってこさせたものだ」

 

あぁ、成る程。

そんなやり方もあるのか。

 

「んじゃまぁ、庭にでも置いておいてくれ、後で適当に確認するよ」

 

「適当ではなく、ちゃんと確認してくれ。 言っておくが、後で返済を終えた書類も書いて貰うからな? これは孫家の信用にも関わる問題だ。 借りた金はきちんと返すと言うのを示さないと、孫家の信用が落ちる」

 

「めんどくせぇなぁ。 貸したんじゃなくて、お前達に渡した事にすりゃ良いだけなのに」

 

「……はぁ。 もしお前が孫家の一員ならそれも良かったのだろうが、あくまで個人的な友好でそうする訳にもいかん」

 

「そんなもんか?……まぁ良い、解ったよ、後できちんと確認する」

 

あーあ、金が増えすぎても困るんだけどなぁ。

 

 

_____

 

 

「ようこそ、いらっしゃいました。 伯符様、公瑾様、どうぞごゆるりとおくつろぎ下さい」

 

「「「……」」」

 

俺達が家の中に入り、広間へと足を運んだら、霊里が正座して三つ指ついて雪蓮と冥琳を出迎えた。

 

……違うんだ霊里、歓迎ってのはそう言う事じゃない。

 

「……蒼夜、これは……」

 

「待て、まずは話を聞け」

 

「いやぁ~、これは弁明の余地は無いでしょ」

 

あるよ! きっとある!

 

「いや、話を聞けって! この子は季常つって、俺の店の店員さん!」

 

「はい。 そして兄さんの妹です」

 

そうだけど、タイミング!

言うタイミング考えて!

 

「使用人ならまだしも、……妹って。 言い訳はあるかしら元倹さん?」

 

元倹さん!?

 

「おい、待て雪蓮。……おいっ、あからさまに距離を取るんじゃねぇ!」

 

「そうか、良かったな蒼夜」

 

め、冥琳!

まさかまたの超理解でこの状況を理解してくれたのか!?

 

「ここが建業なら詰め所に招待している所だ。……一応弁明は聞いてやろう。 最後の言葉くらい、友として聞いてやる」

 

冥琳さん!?

 

……この後めちゃくちゃ説明した。

 

 

_____

 

 

「ふ~ん、蒼夜に仕官ねぇ」

 

「あぁ、俺は別に官位とか無いのにな」

 

公的にはただの庶民、廖 元倹です、どうぞよろしく。

 

「たが、人を見る目は間違っていないだろう。 確か水鏡女学院の出身なのだろう?」

 

「はい。 二年間、水鏡先生の元で学ばせて頂きました」

 

「水鏡女学院の出身ならどこへだって仕官出来るでしょうに」

 

「そうだな。 実際、孫家に来ても間違いなく雇うだろう。 しかも馬家の白眉と言ったら中々有名だ」

 

あ、やっぱこの世界でも有名なんだ?

 

「もったいないお言葉ですが、私は兄さんに尽くそうと思っております」

 

……嬉しいぞ、霊里。

嬉しいんだけど、雪蓮と冥琳の視線が痛い。

 

「……ほんとに幼女趣味じゃないのよね?」

 

「違う! 俺は清楚なお姉さんな感じの人が好きなの!」

 

「……威方殿のようにか?」

 

ち、違うわい!

確かに初恋ちっくなのは姉さんだったけど、今では家族だと思ってますぅ!

 

「姉さんは家族だっつうの。 俺は真剣に華佗と上手く行くのを願ってるからね」

 

「え~? じゃあ冥琳は? 中々清楚なお姉さんでしょ?」

 

「はんっ、そんながっつり胸元から臍まで空いてる服を着る様な痴女は清楚って言いませんー」

 

清楚を辞書で調べて来い。

 

「ほぅ? 私の服に文句をつけるか。……これは孫家に喧嘩を売ってると見なしても良いか?」

 

……あぁ、そういや孫家はそんな服来ている人ばっかだったな。

 

「逆に聞くが、昔から思ってたけどその服は恥ずかしくないのか?」

 

「ないな」

 

ないのか。

 

「ま、まぁお前が良いんだったら良いんじゃねぇの?」

 

何時の時代も女のファッションはきっと男には理解出来ないのかもしれないな。

 

「……羨ましいです」

 

れ、霊里!?

君はあんな痴女になったらいけないよ!?

 

「私は生まれつき日の光に弱いので、いつも服を着こんでいるのです。 特に暑い日は危険です。 暴力的な日差しに、例え影にいても暑いので服を着こんでいる私にはツラいのです」

 

あ、あぁ、そういう。

 

「私も一度で良いので、公瑾様の様な格好や水着なんかを来てみたいです」

 

う、うーん。

水着はともかく、冥琳の服はどうだろう?

 

「ふむ、生まれつき日の光に弱いのか。 ならば呉郡辺りはキツいだろうな」

 

「そうね~、あそこら辺は日差しがキツいからねぇ」

 

まぁ、君達の肌を見れば解るよ。

綺麗に焼けてるからね。

 

「まぁ、霊里のその雪の様な真っ白な肌も綺麗で良いと思うよ?」

 

「……はい。 ありがとうございます兄さん」

 

俺が霊里をフォローすると、霊里は頬を少し赤く染めて微笑んだ。

 

……おい、良い感じに纏めようとしてんのに、コソコソしてんじゃねぇよ、雪蓮、冥琳!

やましい事は無いって何度も言ってんだろ!

 

 

_____

 

 

「それにしても、蒼夜も妹持ちかぁ~。……上の気持ちも少しは解った? 特に下が優秀だと色々とあるわよねぇ」

 

「ほんと、それな。 格好つけるのも楽じゃねぇよ。 霊里なんて俺が教える事何にも無い程優秀だし、才能に関しては俺以上にあるだろうしな」

 

俺と雪蓮の二人は、霊里と冥琳が将棋を始めて集中してるのを少し離れて見、酒を嗜みながら妹談義を始めた。

 

「蓮華もそうなのよねぇ。 どうも私や母様の影ばかり追いかけてるけど、実際の器なら蓮華の方が大きく優秀だと思うのよねぇ」

 

「……確かにな。 お前の器が小さい訳じゃねぇけど、蓮華様は成長すりゃあ良い君主に成るだろうよ。……が、未だ時代がそれを許さねぇな。 最近、あちこちで賊の噂を聞くし、中央の腐敗が地方にまで聞こえて来る。……とても蓮華様の成長を待つ余裕はねぇ。 お前が自らの覇で纏めあげるしか道はねぇよ」

 

……これは言わないでおくが、治世なら確かに蓮華様……孫権の方が良い君主だが、乱世なら目の前の馬鹿野郎の方が向いているだろう。

 

「おっ、蓮華の事ベタ褒めねぇ。 蒼夜だったら蓮華を託しても良いわよ?」

 

「茶化すな」

 

「……解っているわよ。 これは母様のやり残し。 代わりに私が蓮華が成長するまで守ってあげるわ」

 

「ふっ、格好いいぞ、お姉ちゃん」

 

いつもこうなら本当、格好いいのに。

 

「ふふん、蒼夜だって格好いいわよ、お兄ちゃん?」

 

と、雪蓮が霊里達の方を指差しながらそう言うので、なんだろうかと見てみたら、霊里が冥琳に将棋で負けて俺の方へとやって来た。

 

「兄さん、敵を討って下さい」

 

こ、これの事か。

流石に冥琳に将棋で勝てねぇよ。

 

「ま、麻雀じゃ駄目?」

 

……その後冥琳に将棋でボコボコにされ、仕返しに麻雀で御無礼を見舞ってやった。

 




次回から成人期です。

前もって宣言しておきます。
原作スタートは十七歳からです。







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