どうも三國志のシーラカンスです   作:呉蘭も良い
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50話を達成してしまった。
本来ならとっくにルート確定して原作本編突入している予定だったのに。

作者の力量不足です。
大変申し訳ありません。


発進、守護鬼の護衛隊

一ヶ月間、俺の調練は熾烈を極めた、……らしい。

 

と言うのも、俺にとっては普通なのだが、彼等には中々ハードだったらしく、何度も泣きが入ったりしたのだ。

 

それでも脱落者は誰一人として現れなかった。

それは勿論、俺に人徳があるから、……な訳無く、俺が三食たっぷり食わしてやってるからだ。

 

それに、訓練で優秀だった者には酒を出してやってるから、皆必死に頑張る。

 

だから流石に職業軍人には劣るが、そこいらの警備兵よりかは練度が高くなってきた。

 

……そろそろ頃合いだろう。

 

「よし、これより三日後に初仕事をする。 俺達の護衛相手は漢中から来た複数の商人達だ。 故に送り先は漢中。 今回は陸路での移動だから、おおよそ片道十日くらいの護衛任務だと思ってくれ」

 

俺がそう宣言すると、皆ついに初仕事が来たかと緊張していた。

 

だがぶっちゃけ、そこまで難しくない仕事を選んだつもりだ。

漢中と襄陽を結ぶ陸路は、商業路として広く通りやすく作られている。

険しく見通しの悪い場所なら賊の心配は必要だが、この道は比較的安全と言えるだろう。

たまに警備部隊とかが通るらしいし。

 

……まぁそれでも完全に安全じゃないから、こんな風に護衛をお願いされる訳だけど。

 

「明日は完全休日とするので、身体を休めろ。 明後日は軽く身体を動かし準備を整える。 そして当日早朝に襄陽の門に集合。 それから仕事へと入る。 もし当日に遅れる様なヤツがいたら、俺直々に懲罰があると思え、……良いな?」

 

「「「はい! 元倹さん!」」」

 

「よし、じゃあ初仕事、成功させて給料で飲み食いするぞ!」

 

「「「おぉー!!!」」」

 

うん、良い士気だ。

 

まずはこの初仕事で護衛に慣れて貰って、数回簡単な仕事を受ける。

その間に、俺達が護衛業を始めた事を街中に派手に宣伝する。

この時、俺の“守護鬼”の異名が非常に役に立つ。

 

……なんたって、“守護鬼”が護衛業を始めるのだ、信用度が段違いだろう。

 

その為には俺の異名とその由来がもっと有名になる様に、密かに噂を流さないといけない訳だが、……もの凄く恥ずかしい。

 

……こんなん完全にステマやないですか。

 

……でも霊里が必要な事だから絶対にやるって言うし、……ってかもうやってるし。

最近、周りの視線がキツいんだよなぁ。

 

まぁそれは置いとくとして、その間に張曼成に襄陽の商人連中を紹介して、営業させたりして顔を覚えて貰う。

それから各街でも襄陽に行く商人に護衛が必要ではないかと営業する。

それらが張曼成一人で出来る様になったら、俺は手を引き彼等を独立させる。

……まぁたまには調練が必要だろうから、一月に一度は様子を見るつもりだ。

 

……よし、その為にも必ず初仕事を成功させるぜ。

 

 

_____

 

 

「おぉ守護鬼殿、此度は我等の護衛、よろしくお願いします」

 

「こちらこそ、よろしくお願いします。 こちらに居るのが、この護衛部隊の責任者である張曼成です」

 

「ちょ、張曼成です! 必ずや皆様を漢中まで無事にお届けするので、ど、どうぞご安心下さい!」

 

緊張し過ぎ。

気持ちは解るが、落ち着け。

 

「申し訳ありません。 初仕事で少し緊張しておるようです。 後できちんと言い含めておきますのでご勘弁下さい。 しかし、護衛の方は問題ありませんのでご安心を」

 

「いやいや、頼もしい限りです。 この様に気合いの入った護衛なら私共も安心と言うものです」

 

「そう言って頂ければ有り難い限りです。……では、そろそろ出発いたしましょう」

 

そう言って、俺達の初仕事は始まった。

 

……だが、早くも問題が出てきた。

 

「……曼成、ちょっと」

 

移動を始めて数刻、皆落ち着きが無く、やたら辺りをキョロキョロしている。

……それは張曼成も一緒だ。

 

「は、はい、何でしょう?」

 

「皆キョロキョロし過ぎ。……何だ? そんなにこの辺りの景色が珍しいのか?」

 

「い、いえ、その様な事は……」

 

「だったらピシッと行軍の様にしてくれ。 何時もなら出来てるだろ?……何も特別な事はしなくて良い。 何時もの訓練を思い出してやる様に、皆にも伝えてくれ」

 

「も、申し訳ありません。 直ぐに皆に伝えて来ます」

 

……俺の調練が甘かったのだろうか?

いや別に兵士でもないし、最初はこんなもんだよな?

 

……結局その日、俺は何度も同じ注意をした。

 

 

_____

 

 

これから大丈夫だろうか、と俺は心配したものの、翌日、翌翌日、と日に日に彼等は慣れて来て、どんどん良くなっていった。

 

特に漢中に入る最終日なんかは結構堂々としていて、一端の兵士と然程変わらない程に成長をしていた。

これなら数百程度の賊に急襲されたとしても、対象を護衛し撃退出来るだろう。

 

うーむ、結局は何度も口で言ったり訓練を繰り返すよりも一度経験した方が成長率は良いなぁ。

 

……これなら予定通り、俺の付き添いは数回程度で後を任せられそうだな。

 

「無事到着した様で何よりです守護鬼殿。 護衛の件ありがとうございます」

 

「長旅お疲れ様です。 今回は我等の初の護衛と言う事で、色々とご迷惑や不安を与えたと思われますが、旅の最中に文句一つ言わずに居てくれて感謝いたします」

 

「いえいえ、守護鬼殿が居てくれるからこそ、我等も安心出来ると言う物です」

 

……認めたくないが、守護鬼効果すげぇな。

 

「そう言って頂けて幸いです。……では、料金の方ですが、今回は賊等が現れずに安全な旅でしたので、通常料金に、我等の初仕事と言う事で多少値引きさせて頂きます」

 

俺と霊里と姉さんで考えた料金規格は、距離、人数、そして突発的な事故を基準に設定された。

 

距離はいわゆるタクシーなんかと同じで、遠くになれば高い。

人数と言うのは護衛の人数の事。

最低五人から頼め、最多で全員。

こちらも多ければ高い。

 

そして突発的な事故と言うのが、所謂賊の出現等の護衛が働く状況の事だ。

これは予想が不可能なので、追加料金システム扱いだ。

 

つまり安い時、隣の郡に五人が護衛して何も起こらない場合。

およそ五人の一日の飯代くらいの料金しか発生しない。

 

けど高い場合、涼州とかに向かいに全員で護衛して賊が現れるとかの場合。

俺と姉さんの店の三ヶ月分の売り上げ以上の料金がかかる。

 

今回は割と普通な方。

漢中は特別に遠くはないし、護衛の人数は俺達が頼んで全員で来たし、賊も現れてない。

そこに値引きをしたら、大した金にはならん。

けどまぁ最初はこんなもんだ。

寧ろリピーターをこうして増やす訳だ。

 

そして俺は商人から頂いた護衛料を全部彼等の給料として全部渡した。

これらを繰り返し、彼等はこの仕事に慣れて自立していく。

……後は張曼成がこれらを綺麗に纏めて出来る様になるのを待つだけだ。

 

「よっしゃ! 今日は俺の奢りだ! 初仕事達成記念として、漢中の飯と酒を飲み食いするぞ!」

 

俺がそう宣言すると全員喜び俺を称賛する。

 

「流石元倹さん!」

 

「よっ、男前!」

 

そうだろう、そうだろう?

 

「何処までもついて行きます!」

 

「地獄だろうとついて行きます!」

 

ははは、止めろ。

 

「きゃー! 格好いい!」

 

「惚れる! 抱いて!」

 

……おい、誰だ今の?

 

そして俺達は大勢で店に入り、飯と酒を楽しむのだった。

……結局さっきのは誰だったのだうか。

これからは尻に気をつけよう。

 

 

_____

 

 

わいわいがやがやと俺達が飲み食いし楽しんでいる時に、一人の女の子が店に入って来た。

 

「……貴殿方が、守護鬼の率いる護衛隊ですか?」

 

……別に率いてないけど?

いつかは手を引くし。

 

「そうですが、貴女は?」

 

「失礼、私は王平(おうへい)、字を子均(しきん)と言う。 是非守護鬼殿と話をさせてくれないか?」

 

ん?

王平?

 

……街亭の王平か!?

そういや、漢中近辺の出身だっけ?

こりゃまた中々の人物じゃねぇか。

 

「俺がその守護鬼の廖 元倹ですが、何の用で?」

 

「貴殿がそうですか、……是非、私を雇って頂きたい」

 

……霊里かな?

全く、こんな所まで来たら駄目だろう?

 

……いかん、酔ってる。

急に王平が来て雇えとか聞こえた気がするから変な事考えてしまった。

 

「あー、悪い子均さん、少し酔っていて上手く聞き取れなかった。 もう一度言ってくれないか?」

 

「了解しました。 私を雇って頂きたい、と言いました」

 

……意味不。

何が起こった?

 

俺は酔いがどんどん覚めていった。

 




やっと出せたオリヒロ王平。
もはやヒロインは冥琳と雪蓮な気がしますが、どうなる事やら。
下手したら、変わる可能性がありますが、ご了承お願いします。







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