どうも三國志のシーラカンスです   作:呉蘭も良い
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前もって、謝っておきます。
かなりやっつけ感で、纏めてしまいました。
大変申し訳ありません。




ぐだぐだの帰還

戦前、これより城を攻めると見せかける為に派手に銅鑼の音を鳴らす。

 

「「「……」」」

 

……鳴らしたのは良い。

 

「「「うぉぉぉぉぉお!!!」」」

 

……士気が高いのも、まぁ良い。

 

ただこの士気の高さ、俺達の軍の物では無い。

賊の馬鹿共が、俺達の銅鑼の音を出撃の合図か何かと勘違いしたのか、凄い咆哮を上げながら、城門を開けて飛び出して来たのだ。

 

「……桂花、……これも作戦の内かしら?」

 

「いえ……これは流石に……」

 

うん、想定外だよな。

これを想定出来たら化け物だよ。

 

「まぁ、手間が省けたと思いましょう」

 

「……そうね」

 

? もしかして挑発の言葉とか考えていたかな?

……あー、そういうの好きそうだなぁ、この人。

 

「っと、そろそろ一旦退きましょうか。……前面は俺が指揮するんで、華琳さんと文若さんは後退して下さい」

 

「予定通りね。 貴方の仕込みは何時発動するのかしら?」

 

……一応は直ぐに頭目の首を獲れ、とは言ったが、タイミングは本人次第だからな。

出来れば、隊がぶつかる前にやってくれたら良いけど……。

 

「恐らくですが、伏兵の前には殺ってくれると思うんですがねぇ」

 

「まぁ良いわ。……それでは私達は退く、貴方もゆっくり下がりなさい?」

 

了解。

 

俺達は作戦通り敵を釣り出し、予定のポイント付近まで来た。

 

 

_____

 

 

「お、おい秋蘭、華琳様の本隊が予定よりも早く後退していないか? 大丈夫なんだろうな?」

 

「あぁ、問題無い。……良く観てみろ姉者。 蒼夜がきちんと前面を統率している。 あれなら華琳様の下へは一兵たりとも届かんよ」

 

「おぉ、うむ! 流石だな!……それで秋蘭、そろそろ突撃しても良いか?」

 

「まだだ。 相手の殿が見えてからだ。……それに可能なら、敵の頭目が討たれた瞬間が望ましいな」

 

「うぅ~、まだですかぁ? 全部通り過ぎて行っちゃいますよぉ?」

 

「悪いがもう少しだ」

 

「殿が見えたぞ! もう良いだろ!」

 

「あぁもう良いぞ姉者、季衣。 突撃準備をしてくれ。 私の隊が矢を放ったら突撃だ」

 

「よし!」

 

「了解しましたぁ!」

 

 

 

_____

 

 

……さて、そろそろだな。

 

「護衛隊! 大盾用意!」

 

予定ポイントに近づいた俺は、陳留に来て百人になった護衛隊を率いて敵の突撃に備えた。

 

俺が直接面倒を見るこの護衛隊は、普通の部隊と違い、大盾を装備している。

……ちなみに俺個人の資産で装備させた。

 

この大盾装備の護衛隊は、防御特化……という訳では無い。

防御力は高いが、それがメインでは無く、敵の突撃を受け止める瞬間に、シールドバッシュして吹き飛ばし追撃する、カウンター型の部隊だったりする。

だから槍は持っていないけど、帯剣はしている。

 

育成目的はパラディンですが何か?

メイン盾って居ると嬉しいよね。

 

そして今回もそれを狙おうと、賊の突撃を受け止めようとした時に、待っていた声が、大きく聞こえた。

 

「賊将! 張曼成が討ち取った!」

 

来たか!

 

ここからは怒涛の展開だった。

 

賊の集団が曼成の声に反応して、ポカーンとした瞬間に、秋蘭さんが弓矢を放ち賊を更に混乱させる。

 

賊が混乱した瞬間に、間を置かずして春蘭さんの部隊が後ろから突っ込んで、賊を吹き飛ばして行く。

 

「よし! 俺達も大盾で押し込むぞ!」

 

そして俺達が盾を前面に出し、逃げ道を限定してやると、出口に殺到しようと更に混乱して阿鼻叫喚となる。

 

……そしてようやく逃げ出した出口の一つに、俺が待ち構える。

 

結局、半刻とかからず戦闘は終了し、賊は少数逃げ出したやからも居たが、ほぼ殲滅出来た。

 

……ただ心配な事はあった。

……賊の中心部にいたみたいだけど、張曼成無事かな?

 

 

_____

 

 

「報告致します。 夏候淵隊、敵と接触せず、被害ありません」

 

「夏候惇隊、軽傷者二百三十七名、重傷者二十六名、死者四名です!」

 

「護衛隊、軽傷者五十二名、他無しです」

 

俺達は戦闘が終わった後、それぞれの隊の被害報告を華琳さんに告げていた。

 

ちなみに張曼成は無事だった。

春蘭さんが突っ込むのを確認したら、直ぐにその場を離れ上手く隊に合流したらしい。

 

「素晴らしい戦果ね。 敵を尽く討ち滅ぼし、味方の被害は軽微、このまま戦闘が続行出来そうなくらいだわ」

 

出来過ぎなくらいだよ。

かの有名な武田信玄は、五分の勝利を良しとして、勝ち過ぎはいけない、って言ってたらしい。

 

……でもこれ完全勝利だよね?

 

出来れば慢心や気の緩みなんかは無い様にしたいけど……。

まぁこんな勝利をしてしまったら、無理かもしれんな。

 

かの有名な金ぴか王は、慢心せずして何が王か、と言ってたくらいだ。

華琳さんも覇王を名乗るなら多少の慢心は仕方無い。

その分部下が気を引き締めなきゃな。

 

「それで華琳さん、砦の方はどうします? 多分少人数の賊はまだ残っていますよ?」

 

「勿論落とすわ」

 

俺はその言葉を聞いて、張曼成と文若さんを呼び、城の見取り図を広げながら、張曼成の実際に見た情報と照らし合わせ、華琳さんと文若さんの三人で攻め方を考えた。

 

……そして二刻後、問題無く砦の方も陥落した。

 

 

_____

 

 

実際、終わってしまえば呆気ないもので、今回の賊討伐は、ほぼ二日でその行程の全てが終わってしまった。

後は陳留に帰るのみ。

 

とはいえ、流石に今から陳留にとんぼ帰りをする訳にもいかない俺達は、落とした城で今日は休み、明日陳留に帰る予定だ。

 

既に輸送隊も合流して、俺達は一段落した。

 

「皆の者、今日は実に見事な戦振りであった! 今宵は良く呑み、良く食べ、良く休むと良い!」

 

華琳さんのその言葉を境に、俺達は出されたご飯と少量の酒を飲み、今日の疲れを癒した。

 

無論俺達がこうして休んでいる間も、見張りの兵は仕事をしている。

そういう奴等は後日、通常よりも褒美が多かったりするから、問題無い。

 

だからこうして、俺は飯を楽しんでいる訳だが……。

 

「ふがっ、むぐっ、ほがっ」

 

……もの凄い勢いで、飯をかっこんでいる子が居る。

 

「? どうしたんですか? ご飯食べないんですか?」

 

「あ、うん。……食べるよ。……その、凄い食欲だね?」

 

そう、食欲の権化が俺の目の前に存在するのだ。

 

……ってかこれ春蘭さんより食ってる。

この身体の何処にそんなに入るんだよ。

 

「はいっ!……あっ! もしかしてこんなに食べたら駄目でしたか?」

 

「そんな事は無い。 好きなだけ食べると良いよ」

 

寧ろ何処まで食えるのか見てみたい。

 

「……えっと、でもこれ皆のご飯ですよね?……ぼくが沢山食べちゃって良いんですか?」

 

「当然だ。 季衣の力は一騎当千。 仮に百人分のご飯を食べても、誰にも文句は言わせないよ」

 

そうですよね、ガ○アさん。

強い奴はその分飯を食って良いんだ。

 

「! ありがとうございます、蒼夜様!」

 

そう言って季衣は、またがむしゃらに飯を食い始めた。

 

ちなみに真名の交換はもう済ませた。

この戦闘が終わった後に、華琳さんが、文若さんと季衣に真名で呼ぶ事を許したのを切っ掛けに、俺も真名を許して、お互いに真名で呼ぶ様になったのだ。

 

……文若さんは別として。

 

それに季衣は、戦闘前には既に春蘭さん達と真名の交換を済ませてあったらしく、俺もスムーズに交換出来た。

 

……ただ様付けは止めてくんないかな?

 

 

_____

 

 

翌日、陳留へと帰る道中、華琳さんが文若さんを呼び出し、今回の糧食の件の話を始めた。

 

「……桂花、後数刻で陳留に着くだろうし、賊討伐も完璧に出来たのだから、あまりこういう事は言いたく無いのだけど、……私、凄くお腹が空いたわ」

 

「も、申し訳ありません。……その、あまりに予想外な事がありまして……」

 

……おいおい、それを軍師が言っちゃ駄目でしょ。

 

「兵が予想以上に多く残ったのもありますし、……何より……」

 

「へ?」

 

そこで文若さんは季衣を見た。

……うん、まぁ気持ちは解る。

季衣はマジで十人分以上飯を食ったからな。

 

「言い訳は結構。 予想出来ない事を言い訳にするのは、自身が軍師として無能であるというのを言っているのと何も変わらないわ」

 

「も、申し訳ありません」

 

辛辣だねぇ。

本当は処罰なんてするつもり無いだろうに。

 

「まぁまぁ、華琳さん。 今回は俺が突発的に仕込みをした事もありますし、季衣に好きなだけ食べる様に言ったのも俺です。……今回はこの乾燥肉と乾燥桃で勘弁して下さい」

 

俺はそう言って、懐からジャーキーと新作のドライフルーツを出した。

 

「……色々言いたい事があるのは置いといて、……何故そんな物があるのかしら?」

 

「今回、糧食が半分になる事が解る前から実は持って来てたんですよ。 これなら一人分の食料が懐に入れられるので」

 

実は密かに一人で楽しむ為に持って来たのが、役に立つとは思わなかった。

 

「……準備が良いのね」

 

「これなら、もし部隊から離れる事があったとしても、食料の問題は無くなると思いまして」

 

勿論言い訳だ。

もし見つかった時用に、最初から考えていた。

 

「ぐぬぬ!」

 

……何故悔しそうな顔を?

擁護している筈なんだが?

 

「あっ!……美味しそう」

 

季衣が、俺の手の中にあるジャーキーとドライフルーツを見つけ、そう呟いた。

 

「一つ食べてみるか?」

 

「良いの!? うんっ!」

 

そこで俺は、季衣にそれぞれ一切れずつ渡し、味の感想を聞いてみた。

 

「どうだ?」

 

「これすっごく美味しいよ! 蒼夜様、これ何処に売ってるんですか?」

 

「残念ながら売り物じゃ無いな。 俺が作ってるんだ」

 

うむ、実に美味しそうに食べる。

これなら作ったかいがあるってもんだ。

……言っちゃ悪いが、華琳さんはそんな風に食べないからな。

 

「じゃあ、もし良かったら、また作って下さい!」

 

「良いよ。 城に行ったらまだ沢山あるから、帰ったら渡すな?」

 

「やったー!」

 

と、ここで俺は華琳さん達をおいてけぼりにしてるのに気づき、話を戻した。

 

「すいません、華琳さん。 季衣に少し渡しましたが、一応はこれ渡しておきますね?」

 

「……まぁ、有り難く貰っておくわ。……一応、桂花の罰が無くなる訳ではないけれど」

 

もう流せば良いのに。

 

……後日、華琳さんから文若さんに罰があったらしい。

……ただ、何故か幸せそうだった。

 




少しだけ、時間を空けてからまた更新します。







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