どうも三國志のシーラカンスです   作:呉蘭も良い
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感想にてお帰りと暖かい言葉を下さった皆様、ありがとうございます
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最低月1、最高毎日
とりあえず週1ペースを目標とします。



ごっつぁんゴールはチームプレーの結果だからセーフ

 

「どっ、せぇぇぇい!!!」

 

「どぉりゃぁぁぁあ!!!」

 

と、季衣が掛け声ならぬ怒声、あるいは脅声を上げながら鉄球を振り回す度に黄巾をつけた賊共が数十人単位でお空に舞い上がる。

 

全力で暴れろ。

 

俺がそう伝えた結果なのだが、味方である俺すらも命の危機を感じずにはいられない程の恐ろしい暴れっぷりを披露してくれた。

 

「ここからっ、出て行けぇぇぇえ!!!」

 

ユニコーンガンダムかな?

賊共の返り血のせいで所々赤く染まっていてNTD システムが発動してるみたいなんですけど?

ちゃんと制御して緑色に光ろうぜ?

 

戦場のど真ん中とは言え、俺が多少遠い目になるのも仕方ないだろう。

……この娘、まだ子供なんだぜ?

 

いやまぁ、この光景は想像していたというか、期待していたというか、まぁ予想以上な訳だ。

昨日からバッチリ睡眠させて、好きなだけご飯を食べさせて、季衣の体力をギリギリまで温存させた結果が許褚無双の開演だった。

 

許褚、お主こそ真の三国無双よ。

1000人撃破!……は、多分してないかな。知らんけど。

 

無論、俺や地理や凪だって働いてない訳じゃない。

俺や地理が槍を振るえば五、六人がふっ飛ぶし、凪が世にも珍しい気弾を放てば着弾点が轟音を発てて爆発四散する。

カッコイイから俺にも教えて欲しい。

 

俺達だって通常以上には働いている。

通常の給料プラス特別ボーナスが支給されてもおかしくない働きはしてるのだ。

華琳さん、僕の来月の給料はいくらですかね?

 

しかしまぁそれでもなお……

 

「そぉりゃぁぁぁあ!!!賊将出てこーい!!!許 仲康がぶっ飛ばしてやるぅぅぅう!!!」

 

季衣の働きが鬼気迫るというか、危機迫るというか……。

獅子奮迅の働きとはこの事なんだろう。

 

対一のタイマンなら俺や地理の方が季衣よりも戦闘力は高いのだが、個人殲滅力となればうちの陣営では春蘭さん並に季衣は強い。

末おそろ──ケホンケホン!末頼もしいな!

 

季衣のおかげで俺の提案したこの力押しは、想定以上に敵を恐怖に陥れる事が出来た。

寧ろ張曼成をサクラとして使う必要すらなかったかもしれん。

 

けどあいつ中々良い演技してたんだよなぁ。

 

突撃して賊が混乱し始めた頃に機を見て、俺があいつに襲いかかるふりをして、あいつの近くにいた賊を殺しまくったら、あいつすげぇビビったふりして猛ダッシュして逃げたからな。

 

『うぉらぁ!全員纏めて死ねぇぇぇえ!!!』

 

『えっ!?ち、ちちちょっ!?待って、待って下さい!私です!張ま───』

 

『逃げんなぁ!首置いてけぇぇぇえ!!!』

 

『いぃやぁぁぁあ!!!死ぬ!?死ぬぅぅぅう!!!』

 

……あいつ泣いてた気がするけど、気のせいかな?

演技力すげぇなぁ。今度演劇でもさせてみようかな?

 

と、俺が少し気が緩んでるいた時に、地理の声が全軍に響いた。

 

「賊将発見!総員賊将目掛けて突撃せよ!」

 

その声を聞いて、俺も季衣も凪も、突撃してた部隊全員が地理の方を向いて、既に逃げ始めてる賊将目掛けて突進した。

 

「逃·げ·る·なぁぁぁあ!!!」

 

「ひぃぃぃい!!!」

 

季衣が賊将目掛けて鉄球を投げるが惜しくも側近をぶっ飛ばすだけで本人には当たらなかった。

 

「はぁぁぁあ!!!」

 

「止めろぉぉぉお!!!そこを通すなぁぁぁあ!!!」

 

地理が部隊を率いて突撃するも、肉盾が邪魔で後一歩届かない。

 

「喰らえぇぇぇえ!!!」

 

「うわぁぁぁあ!!!」

 

凪が気弾を放つも、爆発の余波でダメージは入るが、致命傷にはならない。

 

ここまで追い詰めれば最早何もする必要は無いのだが、一応俺も何かしたい。

心はとっくに折れてるだろうけど、止めとして最後の脅しをしときたいが、如何せん突撃しようにも届かないだろうし、俺には遠距離攻撃の方法はない。

弓は下手じゃないけど、持って来てないしなぁ。

秋蘭さん連れて来れば良かった。

 

まぁ居ないものは仕方ない。

俺は足元に落ちてた槍を拾って、脅し代わりに投げる事にした。

 

「その首っ、置いてけぇぇぇえ!!!」

 

力いっぱい、気持ちいっぱい、全力を込めたジャイロボールならぬジャイロ槍。

 

おっ、俺のコントロールも捨てたもんじゃない。

これなら甲子園も目指せるぜ。甲子園ないけど。

結構近くに───

 

「あっ」

 

「ごふっ!」

 

ズドン!と賊将の身体を槍が貫通して、運良く仕留めてしまった。

 

……やっべ。

 

「……テ、テキショー、リョウゲンケンガウチトッター」

 

「「「うぉぉぉおおお!!!」」」

 

……いや、うん。悪い事じゃないんだよ。

賊の指揮官を殺らなくても良いだけであって、殺っても問題ない筈だ。うん。

 

こうして、俺の漁夫の利討伐というか、ごっつぁんゴールならぬごっつぁん討伐で、作戦は終了した。

 

いや、ほんと頑張ってくれた皆すまぬ。

 

 

 

 

 

─────

 

 

 

 

 

戦闘が無事終了し邑へと帰還した俺は、昨日全く眠っておらず、疲れている事を言い訳にして、ごっつぁん討伐の気まずさから逃げるように、事後処理を姉さんと秋蘭さんに任せて、すぐに眠った。

 

実際疲れてたのは嘘じゃないので、泥のように寝て起きた時には既に華琳さんが本隊と共に邑へと到着していた。

どうやら俺はまる一日寝てたらしい。

 

「おざます。」

 

「おはよう。大分長く眠ったみたいね?疲れは取れたかしら?」

 

どうだろう?

気が付いたら今日になってたから何とも言えん。

でもまぁ───

 

「久しぶりに沢山寝た気がします。」

 

戦場の方が睡眠時間が長いというブラック過ぎる職場をどうにかして欲しいっす。

 

「それにしても、今回はかなり無理をしでかしたみたいね?お陰様で急いで来たというのに敵が何処にもいないわ。」

 

……やっべ、上手く行き過ぎてしまったか。

 

華琳さんが微笑みながら嫌味じみたものを言い始めてしまった。

このままほっとけば俺を弄り始めて面倒になる。

なんか言い訳、言い訳しないと。

 

「無理が通ればそれは反転してそこに理が生まれ有利になります。今回は多少やり過ぎたきらいはありますが、部隊の消耗も大分抑えられたし、悪くない戦果じゃないですかね?」

 

だから俺を責めるのはよそうぜ?

 

「ふふっ、そうね。お陰様ですぐにでもまた部隊が動かせそうだわ。」

 

えっ、何でまた動かすの?

 

「先程の何処にも敵が居ないと言うのはちょっとした嘘よ。張曼成から報告が来たわ。近くに黄巾党の根城があり、ここを襲った部隊の本隊が潜んでる砦があるそうよ。貴方が追い払った賊もそこに逃げ戻って集結してるそうよ。」

 

流石、張曼成!あいつ本当に良い仕事するわ。

俺の事もこうやってフォローしてくれるとか、今度あいつにボーナス出して、酒でも奢ってやろう。

 

「成る程、飯食ったらすぐに出撃準備をします。それでは。」

 

あー、怒られなくて良かった。

さっさと飯食いに行こう。

 

 

 

 

 

─────

 

 

 

 

 

「桂花、聞いたかしら?」

 

「はい。」

 

蒼夜が去って誰も居なくなった後に、建物の裏でこそこそしてた桂花が目に入ったので、声をかけた。

 

「『無理が通ればそれは反転してそこに理が生まれ有利になる。』……至言ね。」

 

「っ!……認めたく、ありません。軍師としては。」

 

苦虫を噛んだような顔をして桂花がそう言うけど、この娘の気持ちも理解は出来る。

 

「戦術というのは、本来無理をしない為のものです!それを、あんな……。」

 

「そうね。秋蘭が言うには、本人も策でも何でもないただの力押しと言ったそうよ。」

 

概要だけ聞けば本当にただの力押しにしか聞こえないだろう。

やってる事は春蘭と同じなのだから。

けど内容が違う。違い過ぎる。

ただの突撃ではない。これは趣向を凝らせた突撃だ。

 

「蒼夜がやったのは、正面突擊という奇襲よ。」

 

武と知を備えた者にしか出来ない正面からの奇襲。

 

「寡兵で突撃するのは元来下策。それをするのは余程の馬鹿か自身の武に自信がある者だけ。それは誰でも、それこそ庶民ですらわかってる。」

 

だから普通ならそんな事しないと誰もが思う。

それは無理だと誰もが思っている。

 

「だから敢えてその無理を通した。無理が通り易い様に普段ならしないであろう編成や仕込みまでして。……そうしたらどう?無理を通した結果、寡兵の突撃は無いと踏んでいた敵には最高の奇襲となって、正しく反転して理に叶っている。そして部隊の損傷は微々たるものとなり、本隊は戦闘をしてないので消耗はなく、私達は賊に対して有利になってる。」

 

至言だ。

蒼夜は本当に面白い事を私に教えてくれる。

 

「でも!……軍師の、戦術家の考え方じゃありません!私は間違ってもそんな献策は出来ません!」

 

「そうね。無理を通すのだから、その危険は大き過ぎる。私もそんな策を使いたいとは思わないわ。だから貴女は今まで通り、王道を示し続けなさい。」

 

桂花の言う通り、君主たる私は簡単には命の危機を迎える事は出来ない。

 

「けどね桂花、覚えておきなさい。いずれ私達は無理を通さなければならない時が来る。」

 

例えば、麗羽と決着を着けなければ行けない時とかに……。

 





「……本当に死ぬかと思った。私、元倹様に何か恨みでもかったのだろうか。」

黄巾党の中で独り、潜入任務中に泣きそうになってる張曼成でした。







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