どうも三國志のシーラカンスです   作:呉蘭も良い

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前話での地面に字を書く事や、油を使う事に対しての説明不足がコメントで色々ありますので、ちょっとだけ補足

地面の文字に関しては、書いた場所が盆地だったって事で、ちょっとした山や簡単に登れる丘に上がれば直ぐ確認出来ると脳内変換よろしくお願いします
油に関しては、恋姫世界は料理が発展している世界ですので、油はかなり普及していてあまり値が張らないと言い訳させて下さい
料理油と戦場で使う油は別物だろってツッコミはなしで

そして今回の話ですが、簡単な日記形式で話を進めますが、全員字で登場するので少しわかりにくいかもしれません。



閑話 護衛隊古参員の報告書

○月△日

 

文謙様、文則様、曼成様がここ陳留に来て警備部隊の長として孟徳様に召された。

我等護衛隊員は元倹様と子均様が行う調練以外の通常時は、警備部隊同様に街中の警戒任務を共にする事があるので、これからも良い連携が取れる様にと、お三方から挨拶をして頂いた。

ただ、文謙様は子均様と同じく真面目そうな方なので良いが、文則様と曼成様は比較的に緩そうなお人柄なので、……不敬ではあるのだが、些か不安がある。

元倹様は、『仕事をサボる奴は当主だろうが蹴り飛ばす。』と豪語なさる方なので、お二方が蹴り飛ばされないか心配だ。

 

追伸、見目麗しいお三方とは、基本的には張曼成隊長が交流をなさるので、ムカつく。

 

 

○月×日

 

予想通りと言うか、想定以上と言うか。

初日の警邏で早速お三方全員がやらかしてくれた。

文則様は警邏中だと言うのに阿蘇阿蘇と言う女性向け雑誌に夢中になるし、曼成様は露天で販売していた『からくり夏候惇将軍』なるものを値切るのに必死だったし、文謙様は真面目が行き過ぎた結果、盗人を捕縛する為に気弾を放って民家を大破させてしまった。

張曼成隊長が憂鬱顔でその事を元倹様に報告しに行ったので、責任者として元倹様が現場に到着し、市民に向けて頭を下げて謝罪し、事なきを得た。

仕事の失敗には非常に寛容だが、怠慢に関しては物凄く厳しい元倹様は、文謙様に対しては苦笑いで軽く忠告しただけで済んだが、文則様と曼成様には鬼の形相で蹴りを喰らわせ、正座させた後に底冷えする声で説教をした。

……お二方が涙目になってた事は、その場に居合わせた皆の心の内にしまってある。

 

追伸、張曼成隊長、前回はムカつくとか思って申し訳ない。我等はお三方と上手く交流出来る自信がないので、是非これからもよろしくお願いします。

 

 

○月□日

 

今日は護衛隊の面子のみで警邏を行ったのだが、特に問題は起こらず市民達と軽く会話をしながら街を見回り、散歩でもするかのような穏やかな日を過ごした。

だが我等の心はそうもいかない。

張曼成隊長は町人から、……特に年若い女性から人気があるらしく、様々な場所で女性から声をかけられていた。

隊長は真面目で、物腰穏やかで、人望もあり、能力も高く、爽やかな整った顔立ちをしていて、独身でまだ若い。

特に高い地位にいる訳でもないので物怖じする必要もないし、よく警邏にも出ていて誰でも接し易い。

そう言うモテる要素が集まった人柄であるのは理解してるのだが、……何故あの人だけがモテるのだ、納得いかん。

 

追伸、やっぱりムカつくので文謙様の気弾にでも直撃して爆発して欲しい。

 

 

○月☆日

 

今日は護衛隊の調練の日で、朝から重装備に大盾を持って陣形を保ちながらひたすら走らされた。

元倹様は守護鬼などと呼ばれているが、古参の我等からしたらただの鬼以外の何者でもない。

新参の者達はあの方に憧れて護衛隊に入隊した者が多いらしいが、調練を繰り返す度に心が折れてる。

そんな我等の癒しは子均様だ。

調練の度に常に先頭に立って、私に続けと言わんばかり勇ましく走る姿は我等の心を震い立たせる。

何よりあの常に凛々しい姿の子均様が、汗を流しながら我等にあの形の良い尻を見せつけて来たら、別の所が起ちそうになるのは男として仕方がないと思う。

 

追伸、子均様は我等の女神だ。彼女の為なら我等は死地へも向かえる自信がある。

 

 

○月●日

 

夜間の警邏をしてる最中に、孟徳様より休暇を頂いていた元倹様と張曼成隊長が居酒屋から出て来る所をたまたま発見した。

盗み聞きをするつもりはまるでなかったのだが、お二人の会話が少しだけ聞こえてしまった。

……詳しい内容は伏せるが、簡潔に言うと仕事が大変と愚痴りあっていて、聞いてるだけで涙が出そうな程の労働環境だった。

……元倹様、我等は一生貴方に着いて行きます。

 

追伸、この日を境に元倹様のようになりたいと言う新参者はいなくなりました。

 

 

○月▼日

 

警備部隊長のお三方は、元倹様に叱られた後は真面目職務をこなすようになり、今では上手く組織が機能しているのだが、今日はあのお三方でもどうしようもない事件が起きた。

街中で元譲様が馬車に轢かれたとの報告が入った。

急いで駆け付けたら、そこでは妙才様が元譲様を抱き締めてわんわんと泣いていた。

……しかし、元譲様は全くの無傷で、寧ろ轢いた筈の馬車の方が破損している状況だった。

曹操陣営の筆頭将軍と次席将軍が何をしてるんだと問い質したい所だが、我等のような下っぱではどうすることも出来ない。

上司であるお三方や張曼成隊長ですら困惑していたので、後は元倹様へと丸投げする事にした。

 

追伸、現場に到着した元倹様は、額を押さえて頭が痛いと小さく呟いておられた。もしかしたら伝染病が流行っているのかもしれない。私も頭が痛いので今日は早退する事にしました。

 

 

○月○日

 

既に空が暗くなり始めた仕事終わりの警邏の帰り道で、食事処から威方様と季常様が出て来られた。

治安は悪くないとは言え、このお二方に万が一があったら曹操陣営の大損失になると思い、屋敷への帰り道の護送をさせて欲しいと申し出た。

威方様は我等に対して優しく微笑み感謝の言葉を述べて頂き、季常様は我等の様な立場の者に対して敬意と謝意を示して頂いた。

守りたい、この笑顔。このお二方には是非とも幸せになって頂きたい。

……それにしても、まるで天使の様な義姉妹のお二方が居ると言うのに何故我等の上司はあぁも鬼なのだろうか。

 

追伸、これからは何かある度に我等にお二方の護送、護衛をさせて頂きたいと思います。

 

 

○月◇日

 

本日は元譲様が調練をなさる親衛隊の代わりに、領外の視察をなされる孟徳様と仲康様の護衛の任務を受けた。

仲康様も居るのだが、一応完全装備で孟徳様をお迎えすると、今から戦場にでも行くつもりか?と問われた。

張曼成隊長が五千人の賊が襲って来ても守りきってみせます。と返答すると孟徳様は呆れた様に笑って、よろしくと我等を信頼して頂いた。

無論、五千人の賊なんてそうそう現れないのは重々承知しているが、大変光栄な事で、死んでもお守りしようと決意したのだが、視察先にて仲康様が岩山を鉄球の一振りで粉々にしたのを見て心が折れそうになりました。

 

追伸、視察中に元倹様より配給された燻製肉と乾燥果実を仲康様に献上したので、再配給をお願いします。

 

 

○月★日

 

夜間警邏が終了して、城に戻ると廊下で元倹様と子均様が二人で歩きながら会話をしているのをお見かけする。

お二人は未だに仕事中らしく、脇に幾つかの竹管と書類を携えていた。

お忙しく夜間にまで仕事をなさるお二人には頭が上がらない。

……しかしながら、元倹様が仕事中だと言うのにあんなにも穏やかな表情をなさるのを我等は初めて見た。

……そして子均様も。

普段は鉄面皮と言っても過言ではない子均様が、穏やかに微笑みながら会話なさるとは……。

あんな表情、我等の前では一度もなされた事がないと言うのに。

我等の女神は鬼の前では$#,%!@]?=#!:<?^$'+,`\

 

 

 

 

()は死んだ。

 

追伸、今なら黄巾の者等の気持ちも理解出来る。

 

 

 

 

 

─────

 

 

 

 

 

「……いや、これを俺に報告してどうしろってんだ!?」

 

俺は報告書を叩き割った。

 




「……まぁ地理のホットパンツ姿は中々ぐっと来るものがあるから、あいつらの気持ちもわからんでもない。」

別に二人は付き合ってません。

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