どうも三國志のシーラカンスです   作:呉蘭も良い

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前回の話を10日に予約投稿しようとしたのに、その場で即日投稿してしまったのは、なぁぜなぁぜ?
それでストックが減ってアワアワしてます。タスケテ ボスケテ

でも約束通り10日投稿してやったぞこらぁ!
次こそちゃんと一週間後にします!(キレ気味)




顔良の憂鬱

宮中の一室にて何進大将軍と麗羽様が如何にして宦官を排除するかの密談…ではなく雑談…とも言えない…きっと高尚過ぎて私如きでは理解出来ないのだろう何かをなされていた時の事。

 

伝令から霊帝崩御の報告を受けた私達は、急ぎ何進大将軍と麗羽様に率いられて後宮の前までやって来た。

 

しかしここまで来て急に何進大将軍が自ら一人で行くと言い出した。

だがそれは今の政治情勢では酷く危ない行為なので、麗羽様がそれを諫めようとするが、何進大将軍は聞き入れてはくれない。

 

普段は人の話を人一倍聞いてくれるお方なのだけど、たまにこういった頑固な時は絶対に譲らないタチなのよね。

 

「…何進大将軍、本当にお一人で後宮の中へと入るおつもりですの? (わたくし)達も付き添った方がよろしいのでは………」

 

「ふふふ…心配性だの麗羽。 だが心配は不要ぞ。 宦官共とて霊帝が崩御されて大変なこの時に、要らぬちょっかいなぞせぬであろうよ。 奴らにとて霊帝の喪に付すくらいの忠はあろう。…それに後宮に武装した集団で押し入るのは、ちと問題視されかねん」

 

「ですが_____」

 

「何、儂を誰だと思うておる! 天下の大将軍ぞ! 何かあろうと何とでもしてみせるわ! わっはっは!」

 

「………御身、くれぐれもお気をつけて」

 

最終的には麗羽様が折れて、何進大将軍は一人で武装もせずに後宮へと入って行った。

………まぁ何進大将軍に武力なんてないから、いくら武装しようが有っても無くても何も変わらないけど。

 

「………やはり心配ですわね」

 

麗羽様だけではなく、ここに居る私達全員が何進大将軍の事を心配している。

 

だって何進大将軍は弱いから。

武力はからっきしだし、知力も機転が利く程良くはない。

性格だって気は良いが、徳人と呼ばれる様な人格者でも、敵を作らない様な善人って訳でもない。

 

というか実際に宦官を敵に回しているからこそ、この瞬間も心配な訳だし。

 

何進大将軍は…本当に…何処にでもいる様な、普通のお方。

妹が皇后になってしまったから、大将軍になってしまっただけの、普通のお方。

 

武装している姿なんかよりも、包丁片手に肉を捌いてそれを焼いて部下を慰労している姿の方がよっぽど堂に入っているお方だ。

 

この荒れた時代においてまるで血の匂いを感じさせない…戦場における上司としては酷く頼りない…だからこそ皆が大好きな大将軍なのだ。

 

麗羽様なんてその筆頭だろう。

 

名門袁家の跡取りとして高度な教育を受けさせられ、名門袁家の重圧を誰よりも重く感じ、家内政治とも言える様な誰それの力関係を考え整える為に、誰が信頼出来て誰が信用出来ないのかを常に模索しなければいけない環境で生きている麗羽様は………実は普段のあのお気楽な態度からは考えられない程に内心は常に気を張っている。

 

けど何進大将軍の隣にいる時だけは違う。

 

何故なら、やっぱり何進大将軍はとても弱いから。

 

麗羽様を直接害する様な武力が無く、麗羽様を利用してどうこうする様な知力もなく、麗羽様に対しても遠慮せずにその内心を土足のまま踏込む様な性格の何進大将軍は、麗羽様にとっての一番近しい立場の誰よりも親しい人になったのだ。

 

………それは誰よりも慕うのは当然だよね。

 

そして、そんな力も知も徳もない何進大将軍は人付き合いがとても良い。

 

庶民気質の_____と言うか実際に庶民出身の何進大将軍は個々人との付き合いをとても大事にされる。

 

人と出会う度に、その一人一人との立場の差なんて自分にはまるで関係無いと言わんばかりに自由に対応されるし、仮に末端とも言える一兵卒の立場の人だろうが何らかの悩みを相談されでもしたら確実に親身になって相談にのられる様なお方なのだ。

 

………何と言うか…人が良いと言うか…こう………近所のお節介焼きなオバサン…が多分一番正しい表現じゃないかな?

それか子供頃のガキ大将とか?

 

………とにかくとても親しみ深いお方で…何と言うか…とにかく接していると日常性を強く感じるお方なのだ。

宦官との宮内政治というドロドロしていてイライラが強く募る非日常な事が多い職場で、何進大将軍と接している時だけは…不思議と実家の様な安心感があるのだ。

 

麗羽様とも波長が合う…非常に楽天家なお方だが、私達は皆そんな何進大将軍が大好きだ。

 

………そしてそんな何進大将軍が、一向に後宮から戻られない。

一刻半(3時間)も過ぎて、そろそろ二刻(4時間)に到達しようかというのにまだ戻らない。

 

一刻(2時間)を過ぎたあたりからイライラして落ち着きがなくなって来ている麗羽様を私と文ちゃんで何とか宥めていたが、いい加減私達も何進大将軍の身に何かあったのではと心配してしまい、麗羽様と一緒になってソワソワしてしまう。

 

そんな折、十常侍の一人に数えられる蹇碩(けんせき)が供を引き連れながら現れ非常に冷めた態度、冷めた声で私達に対してここから去る様に告げる。

 

「貴様等いつまでそこに居るつもりだ? 畏れ多くも帝の住まいたる後宮の前にて、貴様等が如き野蛮な武官が武装までして何を考えている事やら………疾く去るがよい」

 

どこまでも上から目線で気持ちが悪い。

カチンと来てぶん殴りたくなるのをぐっと堪え…更に自身の武器で斬り掛かりそうな文ちゃんと激しく罵倒し始めそうな麗羽様を何とか抑える。

 

良いぞ私、頑張れ私、偉いぞ私!

私はどうにか自己奮起して冷静に対応した。

 

「何進大将軍が戻りましたら直ぐに去りますので、今はご容赦下さい」

 

そう言ったら蹇碩はフンと鼻で笑う。

私はその態度にまたカチーンと来る。

 

…私はもう止めないわよ。

私は麗羽様を抑えていた後ろ手をスッと下した。

 

「何進は戻らぬゆえs「何進大将軍は何故戻られないのです? きちんと理由を説明なさい!」

 

恐らくはまた『去れ』と冷たく突き放す様に続けようとしたのだろう蹇碩の言葉を遮る様に、麗羽様が食い気味にまくしたてた。

 

素晴らしいです麗羽様!

もっとやっちゃって下さい!

自身の言葉を遮られた蹇碩は顔を顰めていて、不愉快そうで実にいい気味だ。

 

「…ちっ………そんな事はどうでm「どうでも良くなどありませんわ! 私は理由を説明なさいと言っているのです!」

 

「ならば説明してやるわ! ()()を持ってこさせろ!」

 

麗羽様の大柄な態度に遂に業を煮やした蹇碩が部下に何かを命じる。

恐らくは蹇碩の言うアレが何進大将軍の戻らない理由に繋がるのだろう。

 

流石は麗羽様だ。

大柄な態度で相手をイラつかせる才能は大陸一だろう。

今も盛大に蹇碩を煽ってイラつかせているし、これなら最初から麗羽様を抑えなくても良かったかもしれない。

 

最初こそ無用な争いは避けようと思っていたが、今回はどう考えても相手の方が悪いので仕方ないよね。

 

そうこうしているうちに、後宮の門が開き蹇碩の部下が何…かを……持っ………て_____

 

「かっ!?!?!?!?!?」

 

ち、違う違う違う違う違う!そんな訳ない!

 

何で!? だって! 何進大将軍がっ!?

 

後宮で何が!?

やっぱり一人で行かせるべきじゃなかったんだ!

無理にでもついて行ってれば!

 

息が引きつる、頭が回らない。

ああああああああ何進大将軍!?

どうしてこんな事に!?

 

「フハハハハッ! 無様だな袁紹!」

 

はっ!? 麗羽様!?

私は動揺している場合じゃない!

麗羽様をお支えしなくちゃ!

 

「先程までの威勢はどうした!? ハハハ! 恐怖で声も出ないか!? 貴様も何進の様に殺してやろうか? 死にたくなければ尻尾を巻いて逃げ去るのだな!」

 

こ、こいつっ!!!

殺してや_____

 

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」

 

れ…麗羽…様?

 

………殺す殺す殺す殺す殺す………殺すっ! 全員今直ぐ宦官共を殺しなさい!!!!!」

 

麗羽様はそう叫ぶと腰の剣をスラリと抜き放ち、麗羽様の狂気に気圧されて誰も動けない中、恐怖と混乱で立ちすくんでいる蹇碩へと鬼の形相で一切のためらいも無く近寄り、振り上げた剣をその無防備な頭へと思いっきり………振り下ろす。

 

誰もが混乱で未だに静止している最中…だがそれでも麗羽様は気が済まないのか、先の一撃で既に息絶えた蹇碩へと更にもう一撃を加えようとした所を、ようやく慌てて動き出せた私と文ちゃんとで麗羽様を取り押さえた。

 

「落ち着け姫! こいつはもう死んでる!」

 

文ちゃんが何とか宥めようとしているけど、未だに狂気に取り憑かれている麗羽様は酷く荒い息使いのまま再度私達に命令を叫ぶ。

 

「総員、宦官共を根絶やしにせよ!」

 

もう麗羽様は止まらない、止められない。

 

「………アタイが兵を引き連れて行ってくる。 斗詩は麗羽様を頼む」

 

「う、うん…文ちゃんも_____」

 

頑張ってと言おうとして、何かが違う事に気付いた。

そして私が何と声を掛ければ良いのかを言い淀んでいる間に文ちゃんは兵を引き連れて、後宮の中へと入って行った。

 

「………あの…麗羽様………私達は皇太子と何太后を保護しに向かいましょう」

 

「………そう…ですわね」

 

未だに狂気はあれど少しずつ落ち着き始めた麗羽様は、自身の初の殺人に僅かに戸惑いを感じ始めている様子だ。

 

………無理もない。

麗羽様も何進大将軍同様、血の匂いからは遠いお方()()()から。

 

そして私達も凄惨な悲鳴が響く後宮の中へと入って行く。

………今の私にはこの後宮の門が、先の見えない暗闇へと続く地獄の入り口に見えてくる。

 

どうして、こうなったんだろう………。

 





とある作品の影響で優秀な迷族が大好きな私。
この作品の麗羽も、原作のキャラ崩壊を起こさない程度にほどほどに優秀な迷族にしたい。(ただし闇堕ち)

_御神輿に乗せなきゃ(謎の義務感)_





_____





次話投稿予定日は、一週間後です。

次話はこの話の続きを賈詡目線で続きます。
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