長々と書いててストーリーにまとまりが無くなってしまったのです。
新たに配信される1.5章ではまた装いの違うサーヴァントが出るようですね!
今回のサーヴァントは、シャーロック・ホームズがメインなら出るんだろうなぁ、と思い急ぎ書き進めています。
模倣証明
ロンドンの石畳を歩く音しか聞こえない。
仕方ない事だ。未だにこの街の機能は完全に復活してないのだから。
自分たちにとって、かなり前に終わった出来事でも、この時代に生きる人にとってはまだ爪痕が残ってる。
そして今現在、足音を立てて居る人間は3人。
自分の他に大盾と甲冑を装備した少女と、象牙のステッキを持つ壮年期を過ぎた紳士。
紳士を先頭に続くように着いていくが、マシュも自分も未だに行き先を知らされていないので、忙しなく辺りを見回してしまう。
「この先だ」
見た目相応の穏やかな紳士の声。
聞き慣れているが、何故か違和感を感じる。
それはスキルの所為だ。
今の所スキルの効力を弱めているため、声に違和感を感じるだけ。スキルを100%解放したら、紳士服の上に白衣を纏ったこのサーヴァントはもうカルデアの研究員と見分けがつかなくなる。
このスキルに抵抗するためには論理に立てられた推理力が必要であるので、魔術礼装『魔術協会制服』の『
そんなこちらの考えもつゆ知らず、紳士は無言で前を
それだけでも異様なのだ。
普段の芝居がかった口調が無い事が自分たちを不安にさせるのだ。
「あの、そろそろ何処へ行くか教えてください」
ついにマシュがアサシンにそう尋ねた。
カツン、と脚が止まり、それに合わせて全体の進行が止まった。
「ここだ」
淡々と。感情が見えない。
何が彼を追い立てているのかわからない。
彼が示した場所はロンドン随一のメインストリート。一見人通りのない街並みに何があるのか意図が読めなかったが、隣に居たマシュが答えを出した。
「ベイカー・ストリートですね? 世界最古の地下鉄のロンドン地下鉄のベイカー・ストリート駅があり、蝋人形彫刻家マリー・タッソーが創立したマダム・タッソー館が1884年まであった場所です。そして何よりも――」
――推理小説シャーロック・ホームズシリーズの舞台。 ←
――探偵小説のはじまりの街。
そう答えるとマシュは嬉しそうに頷いた。
「ここはミスター・ホームズを始め、多くの探偵小説の部隊にもなった場所です。小説の中でシャーロック・ホームズの下宿先のベイカー街221番地Bと言われていますが、1888年にはまだ221という番地は存在しません。後年になって二つの街が合併し、アッパー・ベイカー街41番地がベイカー街221番地になりました。
ワトソン氏が手記を発行する上で位置を偽装するためにそう記したという説もあって、全世界のファンが観光して221番地の特定にいそしんでると、ドクターが言ってました」
世界が魅了された小説は彼女のハートも射止めているらしい。舞台となっている場所の、それも彼らが活躍した年代を目の当たりにしているのだから、興奮しないわけがない。
『いいなぁ~。僕もベイカー街に来た事があったけど、その時代より100年後だったし』
そういえばロマンもファンだったと言っていた気がする。まあどうでも良い事だ。
あともう一つ、カルデアでベイカー街と
それが彼だ。
「さて。観光案内は終わりかね? ベイカー街の情報が無いのであれば私が教授してもよいがね」
「す、すいません『モリアーティ』教授。つい話が止まらなくなってしまって」
「構わないさ。好きでもない
彼――ジェームズ・モリアーティはくつくつと笑う。
「何処へ行くのか、という質問の答えは見ての通り。ではこれから何をするか、という命題だが、先ほどと変わらない。君たちを221のBへ連れていく」
「え?」
『え、何?もう一回言って』
ロマンが聞き返すも、モリアーティは調子を変えず、
「ベイカー街221番地のB。彼の下宿先。顧問探偵事務所がある住所。そこが我々の目的地さ」
淡々と告げられた内容に言葉が見つからなかったが、異議を唱えたのはマシュだった。
「ここが特異点だとしても221番地は存在しません。ジキルさんやヴィクター・フランケンシュタイン氏のようにモデルとなった実在の人物が居たからこそ、この特異点に現れた場所もありますが、結局は実在する座標がその地名に成り代わっただけです。――なにより」
『前回第4特異点で探索した時、エリアサーチで探しても見つからなかったんだよね。魔霧の所為でもあったけど、目視で確認してもやっぱり1から88までしかなかった』
「はい。私もジキルさんやアンデルセンさんから話を聞いたのですが、二人とも探偵が居たという話を聞いたことがないそうで、やっぱり221は無いと言う結論に至りました」
「――が、第6特異点で覆された。そうではないかね?」
そう。
第6特異点、聖都と砂漠の都市が入り交じったあの時代で、本人と出会ったのだ。
名探偵シャーロック・ホームズに。
『……そう言われてもボク的にはまだ半信半疑なんだけどね。
「シャラップドクター。ミスター・ホームズは居たのです。ドクターは実際に見てないから信じられないだけなのです――」
と言ってから、マシュは何かに気づいたように息を止めた。
「……まさか221番地とは異界なんですか?」
マシュが出した結論に自分もロマンも呆気を取られた。
まさかとは思う。が、彼女の考えを反論する材料が無い。
思えばシャーロック・ホームズは予想ではキャスタークラスだ。彼の小説を熱心に読んでいるわけではないが、何かしらの逸話を持っているなら固有結界みたいな空間を作る能力を持っているのかもしれない。
「ファンの方が見つけられなかったのは魔術師の工房のように隠されていたから……だとすると番地番号は、ミスターホームズを必要とする依頼者だけが知ることが出来るワトソン博士の手記に隠した暗号でしょうか?」
「良い質問だ。キリエライト君」
ピシッ、と授業で良い回答をした生徒を褒めるようにマシュを指さした。
……なんというか二人とも楽しそうだ。マシュは街に隠された事務所を見つける探偵気分だし、モリアーティもモリアーティでなんかノリノリ。ていうかモリアーティは犯罪者でしょーに。
『……教授って意外と世話焼き……じゃないか。混沌・悪属性や純粋無垢なサーヴァントにちょっかいかけてカルデア内にモリアーティ陣営を造ろうとしてるみたいだし。ここで貸しを作って、後で何かと便利使いにしようとしてるんじゃない? でもうらやましいな~。だってファンだったら犯罪皇に魂を売ってでも知りたがる情報だよ! マシュ探偵団にボクも加わりたかった!』
まぁそこら辺は諦めてほしいな。ロマンが管制室を離れたらカルデアのほとんどが機能しなくなるから。
蚊帳の外のロマンとそう話し込んでいる内にも、マシュとモリアーティの談義は進む。
「実際には221などというアドレスは地図上に無い……我々が向かうのは東側の15番地だ」
「15……この数字には何か意味があるのですか?」
「如何にも。詳しくは現地に着いたら話すとしよう。――まずは、仇なす物に銃弾を与えよう」
スッ、と左手を拳銃の形にして路地の向こうを指す。
直後、カシュッという音と共に彼の手に小型の黒い拳銃が納められる。
破裂する乾いた銃声。
その後に来るのは強烈な光だった。
照明弾だ。
真っ暗だった路地は赤い光に照らされ、そこに潜むものを暴き立てる。
『敵性反応! ごめん、話に夢中になって気が付かなかった! 気を付けて、君たちの真上の壁に張り付いてる!』
ロマンにそう言われてすぐに仰ぐ。
モリアーティの照明で照らされ、本来白い表皮を赤く染めたホムンクルスは、乾いたナメクジのように身体と一体に成っていたレンガからブチブツブツブチィッ! と剥離して、重力に従い自分たちに落ちてきた!
「先輩!」
とっさにマシュが盾を掲げる。あの関取のような巨体を活かしたボディプレスでも、防御に特化したマシュなら防げるはず。
が、ホムンクルスは襲い掛かってこれなかった。
ホムンクルスは二つの銃声によって撃ち落され、盾にぶつかる事無く地面に叩きつけられてその機能を停止させたからだ。
一つはモリアーティによる空砲。もう一つは空砲に呼応して何処かから放たれたライフル射撃によるものだ。
マシュの盾に隠れるように後退してきたモリアーティがふぅ、と息を吐く。
「どうも」
「目視では20体ほどか。私の部下に任せても4分もかかるまいが?」
「いえ、私も戦います。私は先輩のサーヴァントですから」
「計算通りの答えだよ」
それ以上の言葉は無かった。
照明弾が光を失ったと同時に彼女たちは敵に向かって行った。
星5アサシン欲しいけどジャンヌは持ってるしなぁ……今年は引かないどこうかなぁ……。
あ、今回の話のテーマは『謎解き』です。
あまり推理小説は読まないしシャーロックシリーズはモリアーティに関する話をちょっと目を通しただけですが、シャーロック・ホームズの謎などを独自解釈して自分なりにミステリー感を出してるつもりです。未熟な推理表現ですが、マシュや藤丸になった気持ちで謎を解いてみていただければ幸いです。