どこにでもあるようなガハマさんとヒッキーのお話   作:凍傷(ぜろくろ)

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孤独者のSAO②

 それからの日々は、ひどく充実していた。

 家に人を招いたからか、孤独者スキルにマイナス修正が入ったが、今さら問題になることもなく。

 むしろその分を鍛えられた武具を装備することで補い、由比ヶ浜も余ったLA装備でごっちゃり身を固めたり、レアドロップ鉱石などで作った工具を使えば、より一層の強化が可能になった。

 試し切りがしたいってんで俺が弱らせた敵と戦わせたりしてたらレベルもどんどん上がり、なんだかんだ……随分と楽しい日々を過ごした。

 由比ヶ浜ではあるけど、俺が好きな由比ヶ浜ではない。

 その関係は、いつか望んだ“友達”……いや。“親友”って立ち位置によく似ていた。むしろそのものなのだろう。

 いろいろなことを経験して二人して馬鹿みたいに笑って、悔しいからって鍛えていたらしい料理スキルで心底驚かされて、S級食材の料理で舌鼓を打ち、一緒のベッドで寝ようがそっち側の感情は浮いてこない。

 で、ふとした時に顔を見合わせて笑うのだ。

 お互い、一途すぎるよね、って。

 

「……ふぅ、一丁あがりっ」

 

 階層も99まで進んだ。

 相変わらずのぼっちであり、家から離れれば孤独者スキルも元通り。

 鋭くなり、固くなった武具で挑むボス戦は、由比ヶ浜との親友としての絆が強くなるほど“絶対に死ねない”が強くなり、カンスト状態の観察眼も警戒も全て全力発動。一切油断することなく、敵がポリゴン片になっても油断しない構えで攻略してきた。

 

「さて帰る……か?」

 

 そして。

 二桁ラストのボスを倒したことで入手したLAが、なんとも残酷なものだった。

 いや、俺にとってじゃなくて。

 

……。

 

 LAを手にしたまま家に戻ると、ゆっちが出迎えてくれた。

 ……いや、親友ってことで、ちょっと呼び方変えてみようってことになったんだよ。

 ゆいゆいは嫌がられるって解ってたから、ゆっちにした。一発OKだったよ。

 俺はハチくんだった。“ヒッキーでいいんじゃねぇの?”って言ったら、やっぱりそれはあたしの好きなヒッキーに言いたいから、だとさ。好きなのにヒッキーなのかよ。……いや、なんか解る気がするけどさ。

 

「ハチくんおかえり。えと……ボス、どうだった? 強かったから戻ってきた、とか……」

「おう、倒してきたぞ」

「そっか! じゃあ今日はお祝いだねっ!」

「お前いっつもじゃねぇか」

「いっつもボス倒してくるハチくんが悪いんじゃん!!」

 

 まあ、そうな。

 でもなぁ、これはなぁ……。茅場って馬鹿なの?

 今日手に入れたLA見たら、もうそんな言葉しか浮かばない。

 

 ◆孤独な勇者───こどくなゆうじゃ

 PTを組めない代わりにレベルやスキル熟練度の上限を二倍にする輝く紋章。

 “ゆうしゃ”ではなく“ゆうじゃ”。

 

 うん。とりあえず久しぶりにレベリングでもしようかと思います。

 99階層の敵、絶滅させちゃうつもりで。

 まずはアレな。親友が用意してくれる御馳走で、英気を養うとしよう。

 そんなわけで今日も楽しく燥いだ。

 いつの間にか大口開けて笑うことに躊躇もなくなった自分が、実に心地よかった。

 

……。

 

 で。

 

「………」

 

 4800レベルである。

 もう石投げるだけでコボルドロードが粉砕消滅するレベル。いやそれは前からか。

 だってさ、ほら。もう片手を思い切り振るうだけで衝撃波出せるよ。ギースだよこれ。れっぷーけーん。《ゴヒャウどっぱぁーーーん!!》『ゴギャアーーーッ!!』

 あ……。通りすがりのデッドリィウルフさんが、烈風拳でポリゴン片に……。

 

「………」

 

 見なかったことにしよう。

 レベルも熟練度もMAXだし、起こるイベントも全てこなした。

 ドーピングアイテムも全部使ったし、もはや思い残すことは───……

 

「…………」

 

 解ってる。クリアすれば、もう……親友には会えなくなるんだよな。

 一応、別れは済ませたが……。

 

「………」

 

 パネルを開いてメッセージを打ち込んで、ゆっちに送る。

 これまでの日々がどんだけ楽しかった。どんだけ救われたか。

 お前が戻る世界の俺を、こんな風に変えてくれることを祈っている。

 俺も、戻る世界のお前と、こんな風になれるよう、全力を出す。でも、なりたいのは恋人だから、親友以上を目指すけどな。絶対に幸せに出来るように頑張るから。

 

「………」

 

 少しして届いたメッセージに「おう」と返して、ボス部屋の扉を開いた。

 ……そうだな。お前はお前で居てくれ。いつも頑張っているお前だから、俺は───

 

「っとと、そうだった」

 

 “少しして、文化祭の準備が始まると思う。それで葉山の推薦ってカタチで相模が実行委員長をすることになるが、それは認めるな。相模は結局なにもせずに逃げ出して、俺が……あー、ぼかさないでハッキリ、お前に解り易く伝えるなら、俺が罪を被るみたいな感じで解消して終わる。相模は奉仕部に自分のサポートを願ってきて、自分はなにもやらない。それを受けた所為で雪ノ下は無理をして体を壊す。出来ることならお前が文化祭実行委員長になって、俺も雪ノ下も巻き込んで楽しんでくれ”

 

「……あとは」

 

 “修学旅行前に、戸部が海老名さんに告白するために葉山に相談して、その葉山が奉仕部を紹介して、それをサポートする、なんてことが起こる。いいか、絶対に受けるな。葉山と海老名さんは今のグループの在り方を気に入っていて、最初から戸部の告白が受け入れられることはない。俺の世界ではお前が雪ノ下にねだるカタチで始まって、あとで海老名さんが一人で相談に来て、俺にだけ解る言い回しで変わらないことを望んできた。結果、俺は戸部が海老名さんに告白する寸前に海老名さんに偽の告白をして、海老名さんに誰に告白されても受ける気はないと言わせて、場の解消をさせた。結果は……雪ノ下には俺のやり方は嫌いだって言われて、お前を泣かせちまった。だから、絶対に受けるな。もしくは、それまでにそっちの俺をオトしておいてくれ。……俺は、お前らなら解ってくれるって勝手に期待して、受け入れられなくて、勝手に期待した自分に失望する。あんな取り繕った奉仕部は二度とごめんだ。だから……頼む”

 

「……これでいい」

 

 さて、とパネルを閉じて、深呼吸をした。

 やり残しはない。

 振り返ることもない。

 思い入れは……あの家にはあるな。

 けど、ああいや。

 

「…………」

 

 “本当に楽しかった。俺なんかの親友になってくれてありがとう。心を許せる友人がお前で、本当によかった。俺が俺の世界の由比ヶ浜に惚れてなかったら、心底惚れてたわ”

 それは本当に思ったこと。

 相手が居るから揺らがない俺達は、相手が居なければ、きっと───と、そこまで思ったところで返信。

 “ん、あたしもだ。あ、そうだ! 全部終わったらメールでやりとりとかしようよ! これ、あたしのアドレス!”

 ……いや。それ知ってるし。送っても、俺の知る由比ヶ浜にしか届かんと思うぞ。

 

「…………ふっ……ふ、くっ……くふふははっ……あははははっ! あっははははは!!」

 

 もうこうして、ここで笑うこともない。

 ならばとここでの思い出を胸に、大きく笑い、笑顔のままで踏み出した。

 さあ、世界を救おう。

 孤独が故に最強な俺の、これが最後の冒険だ。

 

 

───……。

 

 

 ゴコォ……ン……!

 重苦しい音を立てて、相も変わらず無駄にデカい扉が開かれると、そこには───目が眩みそうなほど眩しい蒼。

 風が吹き、鳥が舞い、草花が揺れる、まるで大庭園のような景色があった。

 そして、その広い景色の先に……大きな玉座と、一人の男性。

 

「よく来たね」

「……お前が」

「そう。私が茅場明彦。このアインクラッドの最後のボスだ」

 

 赤と白を基準とした十字の盾を持った男性が、ガチャリと鎧を揺らして立ち上がる。

 

「お前の顔、見たことあるぞ……? プレイヤーとして紛れ込んでたってやつか? 趣味が悪いな」

「それは許してほしい。他人のRPGほど見てて退屈なものはないだろう?」

「一人でしかやったことねぇから知らねぇよ。ぼっちなめんな」

「そ、そうか……。さて、…………? きみ、ひとりか?」

「ああ。最初から最後まで一人だな」

「……。信じられん。まさかとは思ったが、このアインクラッドを一人で攻略してきたとでも……」

「いや、御託とかいいから。んで? お前倒せば解放されんの?」

「ああ、約束しよう」

「ほーん……? あ、そうだ。なんらかの方法で、このー……なに? メッセージ機能を残す方法とか、ない?」

「? そんなものは連絡を取り合えば……というか、きみ。勝てるつもりかね?」

「いや、冥途の土産ってやつ? で、どーなん?」

「可能だ。SAOを媒介にHNでやりとりをすることも出来るだろう」

「お前が負けたあとは? 機械だって壊されるだろ」

「いいや。すでに種は芽吹き始めている。……知っているだろうが、電脳空間にはまだまだ未知が隠されている。私はそこに人の可能性が浮かぶことを望んでいる。その種が花開かせた時、世界はより多くの感情と可能性で賑わうことだろう」

「……よく解らん」

「それは、君自身が勝利した先で見届けるといい。……勝てれば、の話だが」

 

 剣と盾を構える姿に油断も隙もない。

 既に戦いは始まっているのだ。

 始まっているのなら。

 

「疾ッ!」

 

 地面を蹴り弾いて一気に疾駆。

 反応が遅れた茅場が持つ盾に向けて、LAシールドブレイカーを振り下ろす。

 轟音を立てて砕け散る茅場の盾と、シールドブレイカー、───!? うそだろ!? これの耐久力、いったいいくつあると───!

 

「っ! この盾を砕くとは……!」

 

 驚愕しつつも既に取り出していた武器を、スイッチさせるように装備。

 取り出す動作をそのまま攻撃に移行して、振り切ると、再び轟音が高鳴り、次は茅場の鎧と俺の武器───アーマーキラーが砕け散った。

 

「馬鹿な! これは───はっ!?《ガシャアンッ!!》ぐわぁっ!? ……!!」

 

 鎧を砕けば次は武器。

 武器破壊の大剣を振るい、衝突させることで砕く。同時に、振るったブレイクブレイドも耐久がゼロになり、ポリゴン片に。

 ラスボスだからって豪華に数値を変更させすぎじゃあねぇですかね、製作者さん。

 これ、普通のプレイヤーが普通に戦って勝てるのかよ。

 と、驚いている内に茅場は予備の武器と盾を装備するが、防具は無いのか騎士団の制服のようなもののままだ。

 

「驚かせてくれるな……壊されないだけの耐久度は用意した筈なのだが」

「こっちはそれが驚きだよ。高く設定しすぎだっての。クソゲー呼ばわりされて喜ぶ性質なのか、あんた」

「ものを制作する、というのは、人に文句を言われるものだ。その文句の先にある良さを知ろうともしない者に、そこにあるバランスも良さも理解はしてもらえんさ」

 

 剣を振るう。が、まるで剣に吸い付くかのように盾がこちらへ向き、それを弾く。

 おい、まさかこれ、ゲームにアシストしてもらって無理矢理防いでるとかじゃ───……あーそう、そういうことしちゃうの。

 だったらこっちも最高速度だ。精々腕でも引きちぎれやがれチート野郎。

 あ、俺の台詞じゃなかったか、テヘッ☆ でも俺のはゲームの設定だから文句は聞かねぇよ。文句なら茅場とかいう人に言ったら? あ、本人か。

 

「そぉっ……りゃああああああっ!!!」

 

 ゲームアシストガード。

 言ってしまえば製作者のみに許されたーとかそんなものではなく、ほら、例えばこの盾を持っていれば、どんな攻撃も一度だけ防ぐーって設定が盾についてりゃ、無理矢理にでも盾がその攻撃を防ぐ、とか。

 じゃあその盾の反応速度を超越してやったら、腕とかどーすんですかねって話。

 大剣を仕舞って片手剣を装備すると、それはもう遠慮無用に速度重視の攻撃を繰り出した。

 当然一撃では止めず、豪雨が如く、効果音で言うならこう……ねぇ?

 盾が剣を弾く音が、ジョガァアガガガガガガとか、これなんの音? って訊ねたくなるくらいの速度で、一方からではなく様々な方向から。

 分身烈風剣とか出来そうな速度で、茅場の周囲を旋回しつつ。

 しかもこちら、ディレイ無しだから隙もなしに攻撃を続けられるし、剣で切ったあとに蹴りとか拳を混ぜるとかもやりたい放題。

 みるみる内に茅場の顔に焦りが浮かび、逃げたくても逃げられない旋回乱舞の出来上がり。

 そうこうしている内に盾の耐久が尽きたのかゴシャアと壊れ、あとは惨殺劇場。

 茅場のHPは一気に減り、しかしそれがレッド前でビタァと止まる。

 

「……お前、それはないんじゃない?」

「っ……はぁ……! っ……はぁ、はぁ……! ……ああ……すまない……、こちらも死ぬわけにはいかないからと、プレイヤーとして立っていた頃はレッドにはならないよう、設定していた……。それを解除していなかったようだ……」

「で、それ解除して……まだやんの?」

 

 油断なく、逃がすつもりもなく剣を突き付けながら言うと、茅場は剣を落として両手を軽く上げ、降参のポーズで目を伏せて笑った。

 

「いや。私の負けだ。一人で攻略されては、しかも製作者側の不正までもが暴かれてしまっては、私も立つ瀬がない。喜んで君を称賛しよう。……おめでとう、アハトくん」

 

 アハト。勝手に設定されてる俺の名前だ。

 その言葉が鼓膜に届いた時、大きなシステムボイスがこの世界に響いた。

 ソードアートオンラインはクリアされました、と。

 

「……これで終わりか」

 

 べつに感慨深くもないが……あの生活が終わるのだけは、少し、いやかなり………………いや。

 

「………」

 

 ゆっちのアドレスをもう一度見て、くすりと笑った。

 さて、こっちはこっちで別の大冒険をしないとだ。

 このゲームの影響で目の腐りが治る~とかそんなクリア報酬ねぇかなぁ。

 そんなことを思いながら、やがて白く染まってゆく世界を目に焼き付け、この世界の終わりを見届けた。

 

   ×   ×   ×

 

 そして、現実のいつか。

 どうやらきちんと元の世界に戻れたらしい俺は、いくつかの事実を知る。

 待ち合わせ場所に向けて走っている途中にいきなりアインクラッドに飛ばされたわけではなく、暴走車から由比ヶ浜を庇って撥ねられたらしい。

 で、俺は病院で長らく目を覚まさなかったそうだ。

 目を覚ました時、傍には由比ヶ浜が居て、抱き着いてきたり謝ってきたりで大変だった。

 いや、そんなことは些細なことか。めっちゃ嬉しかったけど。

 退院して、ああいや退院するよりも前に気づいたことがあって、それが今一番の困り事で……。

 

「はーぁ……リハビリ、ほんと地獄だったわ……」

「仕方ないよ……ヒッキー、脳のリミッターとかいうのが外れちゃってるそうだし」

 

 困ったことに、俺の腕力とかその他もろもろが、通常の人間に出せる範疇を超えていた。

 厳密に言えば、リミッターが外れるどころではなく、SAOのステータスをそのまま持ってきてしまった、といえばいいのか。

 出そうと思えばコマンドパネルまで出せるんだ、呆れるしかない。

 ただ……まあ。お陰で解ったことがいくつか。

 

「《ピピンッ》おっ」

 

 耳に届く電子音。どうやら俺にしか聞こえないらしいそれは、俺にしか見えないパネルから聞こえていた。

 いじってみれば、メッセージに新着一つ。……親友からだった。

 

「…………そか。……ははっ、そっか」

「? ヒッキー? どしたの? 急に笑ったりして」

「いや。親友がな、入院している最中に好きな相手をオトしたらしくて。その喜びをメールで届けてくれた」

「そうなんだ!? へー! ……って、ヒッキー今スマホ持ってないじゃん」

「ま、そうな。あー……ところで由比ヶ浜」

「ん? なに?」

「こうしてその、退院出来たことだし、な? あー、ええっとその《ピピンッ》……おう。言われるまでもねぇっての」

「ヒッキー?」

「……あ、ああ、ごほんっ! ……ずっとずっと好きでした! 俺と付き合ってください!」

「───、……ぁ…………っ……ひ、ぃぅっ《ぐすっ》」

「ホワァアアワワワ!? いやちょ、なんで泣く!? もしかして───」

 

 嫌だったのか、という言葉を飲み込む。

 親友の“そっちもがんばれ”って言葉と、あの世界で聞いたすべてを信じるなら、その言葉はこいつを傷つける。

 だから、つまり───これは。

 

「……嫌じゃなかったら、デートのやり直し……させてほしい。ずっと大切にするから。もう、逃げたり誤魔化したりなんて、絶対にしないから」

「ひっきぃ……!」

 

 命を懸けた日々を続けてきた。

 その中でさっさと帰るために頑張った理由なんて、そのほぼがこいつだったんだ。

 大切に出来ないわけがない。

 それこそ、命懸けで幸せにしたいって思う。

 度胸だけはついたんだ、死ぬ気で守っていこう。

 大変ありがたいことに、暴漢に襲われようが熊に襲われようが、今の自分なら余裕で勝てるし。

 ステータスカンストの影響か、物覚えも異常なほどいいしな。

 

「いいの……? あ、あたしで……いいの……?」

「いや、つか、お前以外無理だろ……いや、無理とかそれ以前に俺がそうじゃなきゃ困るっつか嫌だ。むしろお前が俺でいいのかって話だが」

「あ、あたしだって……! あたしだって……! …………ひっきぃじゃなきゃ、やだよぅ……!」

 

 きゅっと手を握られ、想いを真っ直ぐに伝えられた。

 ……ああ、十分だ。あとは、俺がどれだけ経験したアレらを武器に踏み込んでいけるか、だな。

 簡単だろ? 命懸けの戦い、孤独な戦いに比べりゃよ。

 だから───そだな。

 

(……俺も、上手くいったよ。恋人になれたからって安心すんなよ? “前”の俺は単独行動が大好きだったからな、効率とか言い出したら、恋人居るのに嘘告白とかするかもだ)

 

 メッセージを飛ばし、とりあえず……そうだな。

 SAOで散々訊いた、由比ヶ浜が憧れてること、してほしいことをとことんやってみますか。

 まずは告白されたあとはどうしてほしいか、だが。

 ……確か、ヒッキーから告白されたらたぶん泣いちゃうだろうから、やさしく抱き締めてほしい、だったな。

 ……お、おう。やるよ? 俺、やるよ? やりたいのに……なんで怖いかな、こんなに……!

 まじかよ、俺、死闘よりも恋愛に恐怖してる……!?

 ……っと、あとは名前を呼んで欲しい、だったな。

 俺に名前呼ばれて嬉しいのかね、とは思ったけど……そだな。もうこうなりゃ親友の言葉通り、喜ばせまくってやる。

 だから、そっちもがんばれよ。


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