どこにでもあるようなガハマさんとヒッキーのお話   作:凍傷(ぜろくろ)

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お題/七夕だ、なんか書こう⇒書いたらラディカルさんからメッセが!⇒もし二人が本当に織姫彦星だったら、七夕がどうなるのか⇒実際に、書いてみた



七夕即興SSのそのレスポンス

◆前回の続き。

 

 もしもこんな彼ら(ガハマさんとヒッキー)が本当に彦星や織姫だったら。

 

1:聞くのも口にするのも躊躇われるくらい甘々な働き者夫婦のお話

 

2:マジで駆け落ちしてどっかでひっそり暮らしているらしい愛の逃避行の代名詞

 

3:大嫌いと言われたパパがショックで寝込んだ、父親の愛情を深く掘り下げた親と娘の想いのお話

 

4:目が腐った彦星がアレコアレ捻くれた理屈をこねて父親を説得する、働きたくないでござる症候群を持つ者どものバイブル

 

5:一時は離れ離れになったけど、仲間や友人と、そしてなにより自身らの成長のお陰で認められ、今はそのみんなと楽しげに暮らしている穏やかな世界のお話

 

 Q:どんな感じになるんでしょうね?

 

 A:書けばいいじゃない

 

 A-A:OhYes

 

 あ、地の文無しで、発言だけで進行していきます。

 たまぁに書きたくなりますよね、この書き方。

 なお内容は前回と同じくぬるま湯世界でお届けします。

 

 

   ×   ×   ×

 

 

◆1の場合:一年に一度くらい離れてゆっくり休みなさい! と親に怒られた日。いわゆる夫婦ではなく個人の休日扱いな日。

 

「七夕……ようやくこの日が来てくれたわね……」

「長かったですねー……もう今日まで何度、あんな糖度の高すぎる関係を見せ付けられたことか……」

「さ、というわけで由比ヶ浜さん、比企谷くん、申し訳ないのだけれど、今日は───」

「夫婦休日の日かー……じゃ、じゃあえとー……恋人ならいいってこと……だよね? ね、ねぇヒッキー、今日は……さ」

「お、おう……夫婦はお休みで、その……こ、恋人として……な」

「チクショォメェエエエッ!!」

「雪ノ下先輩落ち着いてください!!」

 

*補足/良い夫婦休日の日。あまりのラブラブっぷりに、見かねた親が働くのも甘い夫婦生活の禁止! 一端実家に戻ってきて休みなさいと言った伝説。

しかし夫婦らしさを休ませた織姫と彦星は恋人の頃の心を思い出す勢いでラヴラヴしだし、余計に甘くなったとか。

 あ、ゆきのんの総統閣下は台本通りという方向で。

 

   ×   ×   ×

 

◆2の場合:駆け落ちした二人の伝説。上手く逃げられたかによって、伝えられるお話も変わってくるのでしょう。

 

「たでーもー」

「あ、おかえりヒッキー。どうだった?」

「ああ、やっぱりここらじゃ俺達の話は出てないらしい。しばらくはここで生活できそうだ」

「そっかー、よかったー。あ、じゃあおめでとうパーティーしよっか」

「いや、そんなことをする余裕は───」

「えへー……いいからいいから、ほら、こっち座って?」

「お、おい……? ぉ……」

「…………えっとね、贅沢なこととか……お金のかかる食事もいいんだ。質素でもさ、近くてあったかいのがいい。あたしね? 半端な覚悟でヒッキーと家を出たわけじゃないよ? それまでのものを失くしてでも、“これがいい”って思えたから……そう思えたから、今ここに居るんだ」

「結衣……」

「いつかは見つかって、連れ戻されちゃうんだとしてもさ、そんなあたしたちがただ周りに“馬鹿なことをしていただけ”だなんて思われないでさ? いっつも笑顔だったって思われるようなこと、していこ? それが見得でしかなくたって、嘘だってさ……あたしはきっと、そんなんでよかったって思えるから」

「………見得でも嘘でもなんでもねーよ。俺だってこれでいい、これがいいって思えたからここに居るんだ。言いたいヤツには言わせとけ。それが覆るくらい、幸せにしてやるし幸せになるまである」

「……ヒッキー……」

「…………コフッ」

「え、あ、わー! ちょ、先輩に結衣先輩! 雪ノ下先輩がブラックコーヒー噴出して倒れました!」

「ふえっ!? わー! ゆきのーん!!」

「……てか材木座、なんなのこのシナリオ。演じるにしても、もうちょいなんとかならねーの?」

「いや……普段からそれくらいしているであろう? ていうか我もいきなり知り合いの幼稚園で劇を手伝うことに、とか言われて駆り出されて、とっても困ってるのだが……」

「うそつけ。電話一本で“えっ……我の力が必要? す、すぐ向かうでありますっ!?”って素っ飛んできただろーが」

「“我の書いたシナリオでどうしても劇がやりたい”って脳内変換されたのだ……」

「お、おう、そか」

 

*補足:とうとう最後まで見つけることが出来なかった二人の伝説。

親のイメージでそこらが変わり、実は見つけていたけど、質素でも幸せそうにしていた二人を見て、親が折れた伝説と、結局は見つけられなかった伝説とで、地域とかで意見や伝承が分かれてそうなイメージ。

 

   ×   ×   ×

 

◆3の場合:パパが痛恨の一撃を受けて寝込んだ伝説。父親は本当は二人に立派に生きて欲しいだけだったが、なんか二人が愛の戦士になっちゃって、ラヴにしか目がいってない。

 

「というわけで、だ。由比ヶ浜、比企谷。これは君たちのために言っていることでだな……ていうかなんで私が父親役なんだ……! 結婚も出来ていないのに親で、しかも父方など……!」

「ふぁいとです平塚先生! この絆、深く応援しておりますぞー!」

「ん、ふぁいと、ふぁいとヨ、ミス・シズーカ」

「ぐっ……! ミセスって呼ばれてみたい……!」

「てか普段から……俺達が学生の頃から、男らしいあり方で人生相談とかしてきてたんですから今さらでしょ」

「比企谷、あとで軒端で揺らしてやるから裏に来い」

「人を笹の葉にしようとせんでください。つかどんなことになるの? え? 俺さらさら?」

「パパがさらさら……さらさら? ハッ!? 快感、シャンプー体験!?」

「……ひ、平塚先生……。さすがにパパ相手にそんな嬢なことなんて、この美鳩ですらドン引き……! の、のんじゃすてぃす……!」

「どこで覚えたんだねそんな知識! 今すぐ忘れなさい! 由比ヶ浜も! 涙目になって比企谷の前に立ち塞がらない! 両手広げて盾になりながら、涙目で首を横に振るうとかやめっ……やめてくれ本当に!」

「……愛情が、深く、掘り下げられているわね。さ、次へいきましょう」

「あのー……雪ノ下先輩? なんかヤケになってません?」

 

*補足:愛を求め戦った勇者の伝説。もとい、親の心子知らずな日。

織姫と彦星よりむしろ親を祝う日。

夫婦になった二人が、親に感謝する日。

 

   ×   ×   ×

 

◆4の場合:屁理屈こねて長い月日をかけて、相手の親を説得する比企谷ックデカルチャー。

 

「つまるところ、そういうことであるからして、俺と結衣が責められるのはお門違いってことが証明されるわけだ」

「だがそれはあくまで、君たちの視点での言葉でしかないだろう。なにも死ぬほど働けなんて言ってるわけじゃないんだ、受け取れる部分は受け取ってくれと言っている」

「いや、だから受け取ってるでしょ。そんなん無理だって」

「……俺は君が嫌いだ。君はいつだってそうやって、自分を───!」

「今回ばっかりは自己犠牲のつもりは一切ねぇよ」

「夫婦として責められる謂れではなく、君個人として、なんて意見、受け入れられるわけがないだろう! 大体俺は夫婦としての関係についてを言っているのであって、君個人に言っておくことなんて───!」

「ヒッキー! 怒るよ!?」

「うおっ!? え、えー……? いや結衣? これ劇の───」

「……劇なんだから、目、腐らせるまで考えちゃだめ。ほら、こっち」

「え、えゃおいみんなの前dふぐっ!? ん、んむっ、ちょまっ……ゆむっ……結衣っ……!」

「……最近、ブラックコーヒーの淹れ方を覚えようという意欲があとからあとから湧いてくるの。ふふっ……とてもよ?」

「いえあの雪ノ下先輩? そんな儚げだけど少し励まされちゃう、みたいな眼差しでいわれても……」

「最近、親のキスにも動揺しなくなってきた絆です」

「ん。あれはキスというよりは、パパの腐眼対策。ワクチンの投与なのだと思えば、こうして間近で見ても……へ、へいき、へっちゃら……!」

「きーちゃーん? みーちゃーん? 顔真っ赤だよー?」

 

*補足:喋ってる途中で、彼にもう死んだ魚の目はさせないと誓っていた結衣さん、激怒。

 つまりは状況に乗りすぎて、ヒッキーの目がいつかのようになってしまったために

 

   ×   ×   ×

 

◆5の場合:───

 

「大体なんなんですかこのシナリオはー! この中から最良を選んでくれとか、無茶もいいところですよ! 園児が糖尿病になりますよ!」

「ゴラムラゴラムゥ! 言ってくれるではないかナチュラルミネラルウォーター!! 此度の出来事に関して、我は文句を言われる筋合いなど皆無である! そもそも我は変則的な七夕シナリオをと言われただけであり、締め切りやばいのに必要とされちゃったから調子に乗って書いちゃった♪ とかそのようなことは《ペケラペケラペケラー♪》しひぃいっ!? ととと戸塚氏!?」

「スマホ鳴ってるぞ。出てやらんの? 戸塚だろ?」

「…………いえあの。実は我、締め切りやばいのにほんとろくに書けてなくて」

「今書いてるの、立花の幻影だったっけか」

「うむ! 自分で言うのもなんだがかなり人気が出ていて、この前など熱烈なファンレターが真っ黒なケーキとともに届けられたのだ! こ、これっ……プロポーズとちゃうん!? 期待していいのとちゃうん!?」

「落ち着け。どうせあれだろ、オチが実は相手はケーキ作りが好きな男の子とかで」

「いや、女子高生らしいのだ。どこまで自己アピールしたいのかは知らんが写真まで同封で、ケーキを持ちながらスタイリッシュなポーズで映っていた胡桃沢=サタニキア=マクドウェルという名の───」

「おいやめろ」

「ていうか、先輩? かわいい後輩がナチュラルミネラルウォーター扱いされたんですよ? もっと言うこととかないんですか?」

「それならまず戸部にでも言おうな。あといろはす呼びを許してたお前も悪い」

「だからあれは戸部先輩が勝手に呼んでたんですってばー!」

「……苦労してるな、比企谷」

「いやその、なんだ。お前も急に呼び出されて迷惑だっただろ。なんか、すまん」

「君が俺に謝るなんてな。……いや、この言い方も意地が悪いか」

「あの八幡!? 我ほんとヤバくて! 是非ともネタとかあったら提供してもらえたら───」

「まあ、そだな。締め切りヤバいのに喜んでこの企画に参加したのはお前の意志だが、シナリオを書いてくれたのはいろいろ参考になった。おーい、ちょっといいかー? これから材木座が提供する小説を読むファンのために、いろいろと案を出していこうと思うんだが」

「それ別に“我のため”で区切ってもよくない!? なんであくまで我ファンのためって言い切るの!?」

「いーから。ほれ。読者からの生の案とか、参考にするチャンスだろ」

「立花の幻影! もっちろん読んでおりますとも! 主人公の立花と、その影が織り成す中二ファンタジー! あ、結構うちのクラスの男子からも人気高いですよ?」

「Sì。最近、腕に包帯を巻く者、巻ききれずにミサンガに逃げる人、いろいろと増えてる」

「は、はぽっ……! フムフハハハハハ! そうであろうそうであろうなぁ! なにせ我の渾身の───」

「読んでいないわ」

「読んでません」

「その……りっか? の……すまない、聞くのも初めてだ」

「一応かつての学生の出したものとして買ってはいるが、全て理解出来る内容かと言われたらな……」

「げぶおぁはぁああああっ!?」

「おい……大丈夫か材木座。今のは横で聞いてた俺でさえ、胸が痛くなるくらいの直球だったが……」

「い、いや……いいのだ。少しでも理解してくれている者が居るのなら、その者のために書くことこそ誉よ……! あ、ち、ちなみに八幡? 八幡は───」

「あのな、言い回しがいちいちくどいから、いい加減もうちょい読みやすい書き方に変えろ。あの説明の仕方じゃ、読んでる途中で説明前の出来事忘れるわ」

「八幡……っ!! なんのかんの言いつつ読んでくれるとは、やはり貴様は我が相棒!」

「あーへいへい、いいからほれ、案出し合うんだろ」

「うむ! では───さあいざ参られぃ! 貴様らの口から放たれる呪詛……その全てを受け止め、糧としてくれる!(アドバイスくれたら全て書き留めて小説のネタにします)」

「そうね。ではいちいち前振りが長いわ」

「ぐぶぉぁはああぁああああっ!?」

「おい……だから雪ノ下の真似して言うのとかやめて差し上げろ。さっき雪ノ下、読んでないって言ってただろが……。作者は対して読んでもいないのに酷評言われるのが一番理不尽で辛いんだよ……」

「とりあえず一番最初がひどかったらあとは楽かと、という善意でありますパパ!」

「善意で人は胸を押さえて絶叫しねーよ……もっとやさしい善意でやってくれ」

「ではパパ」

「はい美鳩」

「是非美鳩もママのように、誰にもツッコまれずに抱き締められてなでなでされたい」

「……お前ね、ほんと誰もツッコまなかったのになんで言うかね」

「5の場合のシナリオが、そういったものだから仕方が無いでしょう。この場合、私たちがここに居るというだけで、それは果たされているのだから」

「シナリオ5になった途端、先輩が腕を広げて結衣先輩が飛び込んで、それからずーっとこれですからねー」

「ではパパ、今の気持ちをどーぞっ!」

「あ? あ、あー……俺か? あー……えぇっと、だな。これからもいろいろ迷惑かけると思うが、力、貸してくれると助かる。今までも、これからも、その……あれだ。……あ、あり……ありがとう。マジで感謝してる」

「? あのー……先輩? それ、なんでわたしたちのこと見て言うんですか? 結衣先輩宛てですよね? それ」

「いやなんでそーなんの……ちゃんとお前らに向けて言ったろーが」

「……驚いたわ。あなた、きちんと礼が言えたのね……」

「お前の中で俺ってどんだけ失礼な人間なの? 言うよ、言うに決まってんでしょちょっと」

「ふ……ふっふ、ふふふ……っ……そうかそうか感謝かっ! 君が感謝かっ! はははははっ! ああっ、受け取ろう! ……成長したな、比企谷」

「ちょ、いっつ! 平塚先生っ、背中っ! その背中叩きとかっすよ! そういうところがいちいち男っぽいっつーか……!」

「歯を食い縛れ比企谷。君は今私を敵に回した」

「すごい理不尽っすね」

「じゃ、まあこんな感じでいつも通りって感じでどうでしょう、ザイモクザン先生」

「ネタらしいネタとか提供されていないのであるが!?」

「No、この場合のネタというのはいつも通りがもっとも大事。つまりこの5の場合の締めくくりは───」

 

*補足:今日もぬるま湯は平和です。




 はい、そんなこんなな即興SSでした。
 なんだか気づけばお気に入り900まで到達したようで……ありがとうございます。
 とか書いている内に、お気に入り解除されてて900以下になっていたりしてねっ! あははははあるある! な気分でソワソワしながら書いてます。
 大丈夫、一時でもそんな数に人が、少しだけでも興味を持ってくれた……それこそが勝利なんだ……それでいいジョルノ……それで。
 閲覧、ありがとうございましたー!

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