どこにでもあるようなガハマさんとヒッキーのお話   作:凍傷(ぜろくろ)

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 *事情あってタイトルと前書きの変更。きちんと最新話です。

 今でも思う、この“?!”って配置的に合っているのだろうか。
 あ、タイトル元は“この家に勇者様もしくは救世主さまはいらっしゃいませんか?!”です。ラノベはタイトルが長い。
 四文字で終わるか異様に長いかが、いつからか定番になった気がしますよね。
 ということで何か一つ、内容がわかりやすくて四文字じゃない簡潔なタイトルとかを考えてみる。
 四文字っぽさだったら、ラノベとか関係なしに、らきすたとかけいおんとかばくおんとか適当に思い浮かんできます。正しくは“☆”とか“!”とかが入るから四文字じゃなかったりしますが。
 ばくおんってタイトルで表紙がめぐみんだったら、絶対に違う方の爆音を想像しますよね。タイトル詐欺じゃねーかとか……いや、間違ってませんけど。
 バイクに乗って走るわけでもなし、ただ爆裂魔法を放つお話。
 走るって意味で、そういえば迷い猫オーバーランっていうのがありました。
 ラン……ランか。よくOPで走るアニメは~とか言いますし、ここは四文字にランを足した素敵なタイトルを。

  アルデバラン

 なんかダメだと思った。
 しかし敢えて内容を考える。
 一応転移、召喚、転生系のタイトルからSS名を考えているので、ここはそういった方向で。
 アルデバランは牡牛座の一部のことなので、主人公はこう……

 ───ある日、召喚されたらミノタウロスだった!
 俺、奔谷央士(はしりやおうし)は極々普通の高校生……やったんやけど、ある日突然異世界に召喚されて、気づいたらミノタウロスだった! あ、やったんやけどは様式美なので気にしないでください。
 どうやら勇者召喚ってやつで召喚されたらしいんだけど、お姫様が召喚を失敗したらしい。
 なのにお姫様は引きつった顔で目に涙を溜めながら「お待ちしておりました勇者様」とか言って無理矢理勇者にしようとしてくるし、執事たちも無駄に空気を読んで勇者勇者言ってくるし。
 でも元の世界に戻るには生贄として魔王の肝臓を捧げないといけないらしく……え? 肝!? なんで臓物で、しかもピンポイントで肝臓なの!?
 てか俺なにを生贄に召喚されたの!? え? それは召喚してから払うつもりだった? なんでもいい? え、ちょ、なに脱ぎ始めてんのこの姫様! 泣きながらとかやめて!? 被害者なのに犯罪者見る目で執事が睨んでるから!
 わかったから! どうせそうしなきゃ帰れないならやってやるから!
 ……じゃ、お願い。立派な斧をくれ。ミノタウロスっていったら、やっぱり斧だろ。え? ない? ここは医療術の国!? なんでミノタウロス召喚してんだよアホか!!

  ……これは、ミノタウロスになった少年が、医療の国で唯一戦闘向きだった歩法を学び、駆けて走ってぶちかます物語。
  必殺技? 走ってタックルしかありませんが、何か?

 ……僕が読みたいわそんなSS。
 奔谷→はしりや→走り屋=僅かながらの“ラン”要素
 央士→おうし→牡牛=牛要素
 つまりアルデバラン。
 そしてすまない、わかりやすいタイトルとか言っておいて、アルデバランってタイトルで、表紙がミノタウロスが走ってる絵じゃ、どんな内容かまるでわからない。

 そんなおかしな内容を実際に書いてみたモノがこれである。
 https://novel.syosetu.org/130528/1.html
 俺ガイル等とはまるで関係ありません。


この家に女神様もしくはぼっち様はいらっしゃいませんか?!

 雪ノ下達との相談を終え、宿を出た。

 結局のところ全員手伝ってくれることにはなったんだが、問題点はやはりどう潜入するかだ。

 潜伏スキルを使えば、見つかった場合に言い訳が効かない。明らかに不法侵入だからだ。

 ならば変装を推したいところだが、というか由比ヶ浜もそれを推したんだが、やはり相手が一人一人の顔を知っていた場合、あっさり捕まってしまう。

 じゃあどうするか、で詰まったわけで。

 

「上手くいかないもんだな」

「そうだなー……こんな時、相手の方からこっちを迎えてくれる~とか馬鹿なことしてくれればいいのに」

「そりゃねぇだろ……悪政働いてる奴が今まで捕まらず、尻尾も掴ませずに領主やってんだぞ? 今さら自分で迎え入れるなんてこと、よっぽどの馬鹿でもない限りやらかさんでしょ」

「だよなぁ……はぁ」

 

 出る溜め息は尽きない。

 こんな時に頼りになったりならなかったりする、小町や戸塚、平塚先生は居ない。きちんと俺達で、解決しなくちゃならないんだ。

 そうだ、安心をくれる相手は居ない。

 行き詰った時に、“あいつの案だったから”なんて逃げ道も許されない。

 だからこそ、やり遂げるのはみんなで。取れる責任は各々で。

 ……いいじゃないの、自分で取れる責任で動けるなんて、ぼっちの独壇場だ。

 俺と佐藤は、最初こそ困った顔をして溜め息を吐いていたが、やがてフッと笑い合い、最後にニタリと笑ってみせた。

 

「んじゃ、見せてやろうか」

「おお、世間一般じゃあ日陰者だのなんだのと後ろ指差される……」

「ぼっちの───」

「引き篭もりの───」

「「自分のために使える時間を誰よりも許された、俺達の力ってのを」」

 

 案が無いなら作ればいい。理由がないなら無理矢理作る。

 出来ないことは投げ出す。代わりに、出来ることは意地でもこなす。

 日本の一般常識じゃあ案が出せない? だったらこっちの世界の常識を軸に、その軸を捻じ曲げてでも捻じり込んでやればいい。

 屁理屈だろうと言い訳だろうとなんでもこいだ。

 こちとら、悪魔でさえ契約に難儀する屁理屈種族の中でも、エリートに属する屁理屈王子どもだ。

 今に、あっさりと侵入、潜伏する方法を───

 

「おおっ、見つけましたぞ! ヒキガヤハチマン殿!」

「……んあ?」

「へ?」

 

 ───今日から本気出すモードで、珍しく猫背もシャッキリ伸ばしていた俺に、駆け寄ってくる一人の男性。

 なにやら慌てているらしく、ずっと探していたのか、その息は切れていた。……え? なに? もしかしてなにかやらかした? ……おい。おい佐藤。少しずつ逃げんな。さっきまでの意思的一体感とかどこ行ったの。

 こっそり逃げようとする佐藤にドン引きする中、その人物は息を整えると、よさげな身なりをシャキッと正し、真っ直ぐに俺の目を見て言った。

 

「実は、領主アルダープ殿と、私が仕えるダスティネス家のご令嬢との結婚式を取りまとめる者として、この街に二人しか居ないアークプリースト殿のお力を借りたく、貴方を探していたのです……!」

「「…………」」

 

 えー……。

 いやあの…………えー……?

 ああうん……はい。なんか潜入、出来ちゃいそうです。

 え? あっちの世界の常識? 知らんよ今さら。

 こっちの世界の常識の軸? 俺そんな話したっけ?

 いや、これ言っておくけど計算通りだからね? なんの問題もないから。

 いやー、アークプリーストでよかったわー。世の中なにがどう転ぶかとかわかんないわー。

 これもあれかね。佐藤の幸運度によるラッキーってやつなのかね。

 あ、ところで自分、そろそろ沈む夕日に向かって全力疾走していいですか?

 え? 顔が赤い? なに言ってんの、これはアレだよ、夕日の所為だよ言わせんな恥ずか……はっ……恥ずかしいぃいいいいーっ!!

 やだもう! もう……もうっ……もうやーだー! ほんっとこの世界って! この世界ってやつは!! これだからっ……あぁああああ!!

 

「佐藤! めぐみん連れて外行くぞ! 今めっちゃくちゃ爆裂魔法が見たい!」

「あぁ同感だ! 魔力なら任せとけ! そこら中から無理矢理にでも掻き集めてやる! むしろアロエ連れていこう! ていうか由比ヶ浜さんも連れていこうぜ! その方がめぐみんも張り切るし!」

「この空気で今すぐあそこに戻れとか勘弁してください」

「……ごめん」

 

 案を出し合って決まらなくて、外に出て格好つけてたら決まりましたとか俺に説明しろと? 雪ノ下がまた腹筋鍛えることになるわ。

 大体どうやって外に連れ出せっての。恥ずかしい思いをしたから憂さ晴らしに付き合えとか? あぁもうなんかどうでもいい、とにかくなにかを爆発させたい。

 だから走る。宿に向かって。佐藤は漢の顔でサムズアップして見送ってくれた。

 執事っぽい人は戸惑っていたが、そこは佐藤が口八丁で宥めつつ。

 

「由比ヶ浜ぁっ!」

「うひゃあっ!? え、え……なに?」

 

 ドタバタ音で身構えていたらしい雪ノ下とゆんゆん。その中の由比ヶ浜は、俺らしからぬ声で名前を呼ばれて、大層驚いていた。

 だが知らん。羞恥の前では人は等しく平等であると思う。ただしドMは除く。

 

「一緒に来てくれ! お前が必要なんだ!」

「ひぅ」

 

 面倒な言い回しはしない。急ぎの用事で必要なことは“簡潔さと伝えようとする意志”だ。わかりやすい言葉、というのが抜けている気がするが、わかるよな? わかるでしょ。むしろ相手が俺ってだけで妙な方向で誤解するヤツなんて居るはずもない。

 なので桜色に頬を染めた由比ヶ浜が、ふわっと笑みを浮かべ、とたたっと立ち上がる動作のままに駆け寄ってきてくれたことに感謝。

 差し伸べていた手に手が重ねられると、俺はそれを握って駆けだした。

 停止していた雪ノ下とゆんゆんが肩を弾かせ何かを言おうとしたが、その頃には扉を閉ざし、駆けだしていた。

 すまん、この羞恥の宴に余計な人は居ちゃならんのだ……!

 そうして、宿の前で待っていた佐藤と合流するや、「えっ」と戸惑う由比ヶ浜をそのまま連れて、駆けてゆく。

 あの、夕日に向かって───!

 

「「青春のぉっ……バァッカヤロォオオオオオォォォォッ!!」」

「ヒキガヤ殿!? 手伝いの件はっ……ヒキガヤ殿!? ヒキガヤ殿ー!!」

 

 俺達は走った。

 走って走って、この顔の赤さを、ただの走り疲れの所為にしたかった。

 大急ぎで佐藤の屋敷へ行って、俺と由比ヶ浜は玄関で待ち、佐藤が戸惑うめぐみんとアロエを連れ出して……それからまた走る。

 待っている間に由比ヶ浜にいろいろ訊ねられたが、今はなにも言わないでくれって言ったら、やさしい笑顔で「しょうがないなぁ」って言われた。

 なにこいつやさしい。久しぶりに、人の優しさが普通に胸に染みた。

 疑ることもなく、怪しむこともなく、そのやさしさが胸に来た。

 しかし、だからといって羞恥が納まってくれるわけでもなく。

 俺達はいつもの爆裂スポットに辿り着くや、盛大に花火をした。

 ……爆裂魔法? ああ、撃ったよ。フォルスファイアでモンスター掻き集めて、アロエから魔力を吸い取って、めぐみんに移してどっかーん。

 最高だったね。俺も佐藤も恥ずかしさをかなぐり捨てるように、

 

「「ウゥッヒャァッホォォーイィイ!!」」

 

 とか普段じゃ叫ばないような声を上げて喜んだね。

 めぐみんも由比ヶ浜も、俺達がそこまでノリノリで喜ぶもんだから、大変嬉しかったようで。

 

「……なんかヤなことでもあったのかな」

「ふふ……ゆいゆい、男が恥も外聞も捨てて叫ぶ時は、何も言わずに支えてやるのが良い女の務めというものらしいですよ。まあ言ったのが金に目が眩んで、娘をしきりに男と同じ部屋で寝かせようとした我が母なので、信じていいものかは悩みますが」

「あ、あはは……うん。でも……そだね。じゃああたしもっ───『エクスプロージョン』!! ……あふぅ」

「おお……上達してきましたね、ゆいゆい。私もうかうかしていられません。ただやはり知性に難ありなところが、爆裂具合に残念さを彩っていますね」

「あぅう……いつまで経っても慣れないなー……このきょ、きょー……きょだつ、かん? あ、えと……やー、それはそのー……うん。ヒッキーと勉強してるから、これから……かな。えへへ……」

「そうですか」

「ん、そだ」

「……ゆいゆいは、嬉しそうに人のことを語るのですね」

「……そっかな、自分じゃわかんないや。でもさ、めぐみんだって……佐藤くんのこと話す時はさ、悪口ばっかのくせに楽しそうだよ?」

「うきゅっ!? ……ば、ばかな。わわわ我ともあろう者がそんな、痴態をさらすようなことなど……! 大体、それを言うのならゆいゆいこそどうなのですっ! ハチマンに気があるかと思いきや、ゆきのんや、その、ゆんゆんにまで抱き着いたりすりすりしたり……! ハッ!? ままままままさか紅魔の里に伝わる古書にあったとされる、伝説の両刀使いというやつだとでも……!?」

「よくわかんないけど絶対違うよ!?」

 

 爆裂の余韻を一心に感じ終え、倒れつつ騒いでいたっぽい二人の傍に、いつもニコニコあなたの隣に歩み寄る多肉植物、アロエさん。

 きちんと断ってから、佐藤も由比ヶ浜もドレインタッチを開始。

 普通に動けるくらいにまで回復すると、音を聞いて集まってきたモンスターの軍から早速逃走を開始した。

 走るのはだるいって言う二人を、それぞれ俺と佐藤が負ぶり、アロエは……普通に走ってた。速ぇ! すげぇ速ぇえ!

 

  あぁうん、で、だ。大体予想はついてるだろうが。

 

 この後バニルを問い詰めたら、「実に美味なる悪感情であった」と感謝された。

 存分に青春するがよいって、つまりはそういうことだったらしい。ちなみに青春せずに一人で解決しようとして、宿に寄らなかったならあの執事さんには会えなかったそうな。

 見通してたんなら言ってよもう……! 八幡、そういうのが一番困る……!

 

 

 

     9

 

 それは、よく晴れたとある日のことだった。

 

「うっでっをー、組~んだ~、ひっしょっちっのー、さ~ん~ぽで~♪」

 

 ダスティネス家から司祭風の衣装を贈呈され、それを着ている俺と、いつもの青が基準の服の上から立派な礼服を装着している女神アクアとで、式場にやってきていた。

 実際、今日という日が来るまでいろいろめんどかったぞ?

 クルセイダーさんが屋敷に来なくなったってんで、佐藤が迎えに行ったり……あ、迎えにってのは、家に忍び込んでまでしてのことだったそうだ。その際、ベッドに押し倒してしまい、クルセイダーさんに一緒に大人になってしまうかとまで言われたらしい。マッ! クルセイダーさんたら大胆! ……まあ佐藤のやつがヘタレて大人の階段は昇らなかったそうだが。

 なので「ヘタレめ」と言ってみたら、顔を真っ赤にして涙目で、「うるせぇよ! おぉお俺だってなぁあ!」と叫ばれた。

 なんにせよ説得は不発に終わり、クルセイダーさんは来なかった。なので結局俺達でぶち壊してやりましょうってことになったわけで。

 まあなー……操られてる……ってのも違うんだが、意思をぼかされてるんじゃあ、祝福なんてしてやれねぇわな。

 

「? ねぇねぇハチマン? なんで急に歌い出してるの? 馬鹿なの?」

「おいちょっと? いきなり馬鹿扱いしないでくれる? いろいろ気を紛らわしてないとやってられねぇってだけだから」

「ふぅん……? ねぇ、それよりもこの後この式ぶち壊すんでしょ? もう今からぶち壊して、ゼル帝のところに戻ってもいいかしら。きっとそろそろ産まれると思うの。ほら、目を開けた先に母親が居ないなんて、不安でしょ?」

「女神が祝福する相手をほったらかして、おうち帰るとかマジやめろ」

 

 司祭らしい手筈手順その他諸々は既に聞いて、練習もした。

 今さら間違えることもないからそれは大丈夫なんだが、困った。この女神様、ほんと頭に駄が付くわ。ぼっちで目が死んだ俺が太鼓判押せるほど、いろいろヤバイ。

 アクセルの街じゃ、めぐみんが頭のおかしいアークウィザードとか呼ばれているが、頭のおかしいアークプリーストといえば絶対にこいつで、頭のおかしいクルセイダーはダクネス一択だろう。

 ……あれ? 佐藤のパーティ、頭のおかしいヤツしか居ない。

 これは相当、あいつの苦労が………………いや、あいつも大概だったわ。

 あ、ゼル帝ってのはアレな。アクアが大事にしている鶏卵の中身の名前。命名アクアだ。

 正式名称:キングスフォード・ゼルトマン。あだ名をゼル帝。すげぇ名前だ。

 

 ちなみにキングスフォードってのは人物名でもあり、自動車会社フォード・モーターの……“自動車の育ての親”と云われているヘンリー・フォードの義理の兄弟の名である。ヘンリー・フォードの工場で出た木材廃棄物から木炭を作ってみせたのが、そこらへんで検索してみりゃBBQ木炭などがヒットすることに繋がる。

 たとえばグーグル先生でキングスフォードで検索すると、結果の上位にキングスフォード印のバーベキュー用炭が上がったりするのだ。なに? そのひよこ、鶏に育て上げてBBQで食うの? キングスフォードさんの名前も、E.G.キングスフォードって、なんかEGGっぽい名前だし。

 

 さらにちなみに、ゼルトマンはドイツで有名な食器会社を創業した人の名前な。

 ……おい、マジで食う気じゃないよな?

 この世界の住人、どうなってんのもう。

 めぐみんの話じゃ、悪魔にもすげぇ名前のヤツが居たらしいし。

 なんなの悪魔の名前がアーネスとホーストって。繋げて読んだらK-1王者じゃねぇか。

 

「……はぁ」

 

 この世界について調べると、ほんと転生者がいろいろやらかしてんだなぁってのがよ~くわかる。

 わかるから、詳しくは調べない。だって罪悪感すごいんだもの。特に佐藤が教えてくれた機動要塞デストロイヤーの制作責任者。

 そりゃな、俺もその場に居たら“なめんな”って叫んでたわ。

 

「ねぇハチマン。私、もうただ立ってるの疲れたんですけど。椅子も無いから座れないし、退屈で疲れたんですけど」

「それを俺に言ってどうしてほしいの……」

「敬謙なるアクシズ教徒よ……聞きなさい。今すぐ───」

「仏教だっつってんでしょうが。そうじゃなくても入信する気もねぇよ」

「なんでよー!! そんな死んだ目をしてるんだから、アンデッドみたいに私に救いを求めるべきでしょー!?」

 

 ほっときなさい。こんな現象に巻き込まれず、あのままアロエとまったり生活送ってりゃ、俺だって直ってきてた目をまた腐らせることもなかったんだよ。

 大体なんなのお前。初対面の時なんか、随分と余裕な表情で迎えてくれたってのに。

 

 

 

 

-_-/ささやかな回想

 

 それは、クルセイダーさんがヒュドラ討伐を提案し、俺達奉仕部パーティーと佐藤のパーティーとが軽く顔合わせをした時にまで遡るわけだが。

 まずあいつな、俺の目を見てクワッと目を見開いたのよ。なんでか右手にゴファーと炎みたいな光を纏わせて。で、ズカズカ近づいてきたんだが、一定以上近づくと、それもフシュウと消えた。

 で、取り繕うみたいにキョロキョロしたり誤魔化したりし始めたわけで。

 

「随分と大人しいもんだな。比企谷と会ったら、問答無用で浄化魔法とかぶっ放すと思ってたのに」

「ふふん、ねぇカズマ? あなた私を誰だと思ってるの? 女神よ? 女神なのよ私。目がどれだけ腐ってようが、アンデッド臭がしないならそんなことするわけないじゃない」

「そういうもんか」

「そうそう、そういうもんなのよ」

 

 つまり近づくまで人かアンデッドか判断つかなかったから、とりあえず殴ろうと寄ってきたと。やだ怖いこの人。

 

「ところでそこの目が腐ってるあなた? 今ならその目を浄化してあげられるけど、高級シュワシュワ一本でどうかしら。この美しき女神アクア様の浄化が、今ならシュワシュワ一本で───」

「おい佐藤。この失礼で無礼で馬鹿っぽい青いの何? もしかしてドラえもん?」

「宴会芸の神様だ」

「ちぃいっがうわよクソニート! 女神だって言ってんでしょーがぁっ!」

「あー……あれな。“美しい魔闘家鈴木”的な美的センス持ちの。んじゃアレか、呼ぶ時は美しいとかつけて呼ばなきゃだめなのか」

「いいじゃない! あなた気に入ったわ! そのマトーカスズキってのはよくわからないけど! ねぇねぇカズマ! この人パーティーに入れてみたらどうかしら! ねぇ、あなたもいいわよね!?」

「勘弁してくれ美しいたかり女神アクア様」

「誰がたかり女神よ誰が! 違うんですけど! “美しい”つければなんでもいいわけじゃないんですけどー!?」

「……羽衣が美しいアクア様?」

「美しいの羽衣だけになってるじゃない! ね、ねぇわかるでしょ? 美しいのは私。ね? ほら、私は誰?」

「宴会芸の神様」

「わああああー!!」

「うおぉっ!? ちょばっ、やめろアクア! なんだってお前もダクネスも、すぐに人の首締めてくるんだよ!」

 

 と、まあ、全員が合流するまではそんなことがあったわけで。

 

 

 

 

-_-/現在

 

 と。今ではそんな女神様と、肩を並べて司祭様の真似事だ。

 あー……世の中ってわからーん……。

 

「それよりほれ、そろそろアルなんとかが来る頃だろ。どうにかして血を手に入れなきゃならんのだから、あんまだらけたところ見せないでくれよ。追い出されたらそもそも計画どころじゃねぇから」

「ふふん、まあ任せておきなさいな。なにせ女神よ? 私、女神なんだから。この世界に、私以上に祝福を与えるに相応しい存在なんて居るわけないわ。つまり追い出すなんてありえないの。わかった? わかったら椅子を持ってきて。どこからでもいいから、女神に相応しい椅子を早く持ってきて!」

「………」

 

 ……何日も何日も。これの我が儘と付き合ってきたわけか、佐藤は。

 なるほど、あの態度も頷ける。

 そこまで深く知り合ったわけでもない俺に対してもこの態度。

 二度目も言おう。なるほど、あの態度も頷ける。さすがに気の毒になってきた頃、出入り口方面から聞こえるドヤドヤとした声や音。アルなんとかが来たっぽいな。

 

「っと、来たみたいだぞ。あー、残念だったなー、今取りに行こうとしてたのになー」

「女神の祝福が得られる場で結婚式を開けるだけでもありがたいんだから、ちょっとくらい待たせてればいいのよ。だから椅子! 持ってきて! 早く椅子! 持ってきて!」

「………」

 

 男女平等云々以前に大切な疑問を、口にせずに思おう。

 ……こいつ、ほんとに女神なの? 魔女だって言われた方がまだ頷けるんだけど。

 

「……はぁ」

 

 アクア(もう呼び捨てでいいだろ)の我が儘はさておき、むしろ捨て置き、式の準備は滞りなく進んでいった。

 途中、肥えた中年男性が「ララティーナァア!!」とか叫んで新婦の準備室に特攻しようとしていたが、ダスティネス家の執事っぽい人に止められ、鼻息荒く捨て台詞を吐きながら戻っていった。

 あれがアルなんとかか。想像以上に暑苦しく見苦しいデヴだった。

 太くて鬱陶しい存在は材木座で慣れていたつもりだったが、あれは別の意味で鬱陶しいっていうか……醜い。

 俺の未来がアルダープか。佐藤が言ってた言葉の意味がわかりそうなものだ。

 

「しかし血……血か。どう流させたものかね」

「? 殴ればいいんじゃないの? 私は嫌だけど」

「俺だって嫌だわ」

 

 理由。触りたくないでござる。

 つか、女神が思いつく採血方法第一位が殴打ってどうなの? なんでこの女神、こんなに暴力的なのよ佐藤くん。

 

「ハチマンはどうなのよ。なにか案とかないの?」

「あー……そだな」

 

 じゃあアレな。おぉっと手が滑ったー、とか言って、ここにある小さなエリス像で鼻っ柱を殴りつけるとか。

 ……と、言ってみたら、

 

「……素晴らしい案だわ」

 

 女神がきゃらんきゃらんと輝く瞳でノってきた。

 

「それよハチマン! やるわよ全力で! なんて素晴らしい案なのかしら! 特に“エリスの像で殴る”っていうのが素晴らしいわ!」

「おいやめろ。お前それ絶対に、状況的に不利になったら“ハチマンがやれって言いました”とか言うつもりだろ」

「女神の名にかけてそんなことしないわよ! それにようは血が取れればいいんだから、鼻血でもなんでも流させればこんなところに用はないわ! つまり殴って、騒ごうとしたら気絶させて、血を採って逃げればいいのよ!」

「逃げること前提で作戦立てんな、やめろ、マジやめろ。ってか女神が人間相手に逃げるとかまずいだろ体裁的に。あと頭の中が完全に犯罪者予備軍だからね女神様。なんでそんな危険なことポンポン思いつくの。怖いよマジで。……マジ怖い」

「安心するのです敬虔なる我が愛しい信徒……やったのはエリスです。全てはこんなところで小さな像になっているエリスが悪いんです」

「……俺、仮にこの世界で入信するとしても、絶対にエリス教に入信するわ」

「なんでよぉおおー!!」

 

 このお家騒動の一連の付き合いでわかったこと。

 ……この女神、ほんとやべぇ。




男塾で……ラーマ・ヨガ、というものがあります。
所変わって、とあるラーメン屋にはラー油・マヨという味のから揚げがあります。
注文して確認する際、「ラーメンがおひとつ、ラーマヨがおひとつ」と言うのですが、その度にラーマ・ヨガを思い出してしまい、一人クスクスしてる自分。
焚っ! とか言ったら気が晴れるだろうか。


  よし無理だ。


花騎士で☆5のおっぱいもといカウスリップさん目当てでガチャ33連。見事に爆死。
同じ☆5のコマクサさん、☆6のパンツ……もとい、ミスミさんなら来たんですけどね……。
33連中22連が銀鉢どまりとか勘弁してください……!!
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