どこにでもあるようなガハマさんとヒッキーのお話   作:凍傷(ぜろくろ)

214 / 214
最終話 彼ら彼女らの【Re:未来】

 愛してる、なんて先に言ってしまうと、続く言葉が浮かばない。

 どこぞのビスケットなオリバさんも言っていたが、愛以上に表現できる好意は何故存在しないのか。

 愛がカンストじゃあ、それ以上なにを届けていいかわからん。

 そうなるともう落ちていくだけなんじゃね? やだもう辛い。

 大体だな、花のJK捕まえて愛してるとか……俺もう20過ぎだよ? そりゃまだギリで大学生だけどさ。

 

「なぁ、由比ヶ浜」

「…………」

「……、ゆ……結衣?」

「うん、なに? ヒッキー」

 

 犬スペースで犬を堪能している結衣・オヴ・ガハマさんは、柴犬を撫で撫でして───そのたびにべしりべしりと手を叩き落されていた。

 あー、居るわー、頭撫でるとその手を叩き落す犬、居るわー。

 そんなことをぼーっと思いつつ、なんかヤケに朝から無駄にテンション高かったこいつを思うのだが……はて。

 

「お前さ、よかったのか? いや、こんな未来に連れて来た俺が言うのもなんだけど、そりゃ、ほれ、高校時代にお前からのいろいろなもの、見ないフリとかしてた俺だけどさ」

「それってヒッキーでよかったのかってこと? んー……逆に訊くけどさ、ヒッキー。ヒッキーはどうして自分じゃダメって思うの?」

「そりゃ、だって。結局俺、罪悪感でしかお前の事探してなかった。口ではなんとでも言えるだろうけど、結局はそういうことだろ?」

 

 後味が悪いからだとか、悲しむヤツが居るだとか、理由だけならいくらでもつけられるんだ。

 俺はそこにある結衣の気持ちを……ようするに高校時代に俺のことが好きだったであろう結衣の気持ちを利用して、受け入れてもらったにすぎないんじゃないかと。

 そういうこと考えちまうと、ほら、だめだろ。俺でよかったのか、が……こんな俺じゃ無理だろに変わるわけだ。

 

「……ね、ヒッキー。あたしね? きっかけって、なんでもいいんだって……今ならそう思うんだよ」

「今なら……ってのは?」

「あたしだって罪悪感でヒッキーのこと見てた。そりゃさ、最初は小町ちゃんに菓子折り渡して、よろしく言っておいてくださいーって感じで別れてさ? でもやっぱり本人に謝らなきゃってどうしても思うし、でもそんな何度も行ったら鬱陶しいって思われるかもでしょ?」

「まあ、そうな」

 

 俺なら絶対にそう思ってたわ。むしろ出会ったその日に“あー、はい、でぃょ、ども、です。受け取ったんでそのー……もう来なくていっすよ”みたいな感じで。

 や、事故ってばっかだったらそこまで腐ってないだろうけど。

 じゃあまた来てくれるかもってわくわくして待つか? いや、ないだろ。どうせ勘違いするな勘違いするなって思い込んで、言わんくていいこと言って相手のこと傷つけて、小町に怒られるのがパターンだ。

 はっずいわぁああ……!! 中二病もだけど、高二病はっずいわぁああ……!!

 なにあの自分が背負えばなんでも解決、ヘイト俺に集めりゃ周りは勝手にハッピーエンド思考……!

 

「それでもさ、勇気出して会いに行ってさ、顔も見たくないって言われて追い出されるかも、なんて怖がりながらでも、会ってきちんと話すことくらい出来たはずなんだ」

「……そのための一歩が、あのクッキーだったってだけだろ。受け取ったし、恨んでもねーよ。まあ、不味かったけど」

「……うん。あたしにはそれが、ヒッキーのことをちゃんと知ろうとしたきっかけだったんだと思う。遠くから見てたんじゃわかんないことも、先に謝ってたら会うこともなかったかもしれない人のことも、全部あれがきっかけだったと思うから。ううん、思いたいんだ、あたしが」

「そんなもんか?」

「うん、そんなもん。最初は平塚先生に相談して、奉仕部を紹介されてさ? 生徒に生徒の悩み相談とかおかしな話だなーとか思ってもさ、あたしはあそこで出会えたから。周りに合わせてばっかだったあたしが、自分から“こうしたい!”って行動して出会えたものだから、大事にしたいだけなのかもだけど」

「なるほど、それなら“そんなもん”なのかもしれないな」

「そうだよ。きっかけがなんでもいいなら、決めるのはあたしなんだ。ヒッキーはどう? 罪悪感だけじゃ、踏み出せなさそう?」

「………」

 

 踏み出したかって言えば、とっくに踏み出せてはいるんだろう。

 ただ自分に自信がないのは相変わらずで、自分が持っていたもので何かを為す、なんてことが出来た日々なんて、もう置き去りにしてきてしまった。

 孤独を強さにしていた自分はいつの間にかそれを手放し、だからこそこいつの痕跡や雪ノ下が無くした記憶を求めたんだろうから。

 強さを手放したなら弱くなったのか? と訊かれれば、迷わず頷けるほどには、大事なものが増えてしまった。

 

「ね、ヒッキー。“きっかけの一歩”なんてさ、時間を飛び越えることなんかよりよっぽど簡単なんだと思うよ? 消えない罪悪感だって、人を見るためのきっかけだったんだもん。ヒッキーがタイムマシンまで作って助けてくれたみたいに、想ってくれる理由がそこにあるならさ、全部そこからだったんじゃないかな」

「……それは」

「ヒッキーは……その、えと。あたしとゆきのんを助けてくれた時、どう想ってくれたのかな。部活仲間を助けられてよかったのか、それとも───」

「知り合いだとか、部活仲間だとか……そんなんじゃなかったよ。お前らを助けられてよかった。それだけだった」

「………………ひゃう」

 

 正直な気持ちをぶつけてみれば、由比ヶ浜は声をなくしたあと、かああっと赤くなって、俯いた。

 

「でも、じゃあ、どうして? って……訊いていい? ヒッキーはどうして……ゆきのんじゃなくて、あたしを選んだの?」

「………」

「え? あ、ちょ、ヒッキ《でごしっ》はたっ!?」

「選んだだのなんだの、そういう言い方やめろ。何様だよ俺は」

「~……?」

 

 好きになったから好きになって、好きだから告白した、じゃだめなのかよ。

 なんだっていっつもいっつも、周りってのはそうやって人の気持ちを二の次に、あっちはどーだこっちはどうするだのって言い出すんだか。

 

「確かにな。罪悪感を覚えたのは、なにもお前にだけじゃなかったよ。さっきだってお前に“俺でよかったのか”なんて訊いちまったし、あの日、お前ら二人をすぐに帰すんじゃなかったって後悔だって、何度したかわからない。人の気持ちから目を逸らしたままでいる罪悪感や、いつか守ってと言われたのに守れなかった罪悪感。後悔なんて腐るほどだ」

「う、うん……でも、じゃあ……どうして?」

「雪ノ下には罪悪感があった。お前には、お前から向けられてた気持ちがあった。……その差なんじゃねぇの? 選ぶだとかそういうのじゃねぇんだよ。選択肢なんてものは、過去へ飛んで絶対にお前を見つけるって決めた時点で、決まってたんだろうから」

「でも、でもさ、それって結局選んだって意味じゃ」

「選んだんじゃねぇよ、決めたんだ。そうしたいって自分で決めて、自分の人生捧げるつもりで。他の道なんて思い浮かばなかったんだ、それは選んだとかじゃねぇし、その……ほら、あれだ。だから……」

「…………“だから”……?」

「~……お前に告白したのも。そういうことってこったろ」

「…………」

 

 ……言った途端、ふぇ、なんて可愛く小さな声が漏れて、件のJKがとてとてと近寄ってきて、きゅむと腕に抱きついてきた。

 俯いている所為で表情は見えないが、赤かった。耳とかアレな、真っ赤っか。

 なのに、どこか違和感を感じた。

 

「あ、あの……あの、ね? ヒッキー。ちゃんと受け取ったから、撤回とかなしなんだけどさ。その……あ、あたしってさ? ほら、ヒッキーがいうところの……ばか、なんだよね? だからさ、その、えと……さっきの言葉の意味、ちゃんと伝わるように言ってほしいな……」

「───」

 

 勉強好きな人は、難題に向かうと心が躍るんだとか聞いたことがある。

 俺はといえば、時間跳躍やらなにやらを調べる時、もっと楽ならいいのにとどれだけ思ったかわからない。

 さあ、そんな次元考察を唱えるよりも難しいお題を、この恋人さんたら要求してきなすった。

 お前そういうこと言う? 言っちゃうのん?

 いや、たしかにああいうところをぼかすのは、大変よろしくないことだってのは“これで解決! 恋人マニュアル!”を読んで知っていたつもりではあったんだが。

 

「……お前のために人生捧げさせろ。いっぱい幸せになれ。俺がしてやるから」

「…………!!」

 

 結衣が思わず顔をバッと上げるほどの驚き、そして感激がそこにあった。

 対して、俺の中ではやかましいほどのファンファーレ。

 何故って、今この状況での緊張の中で、よくぞ噛まずに言えましたパレードの真っ最中だからである。ほんと締まらないね、俺達……。

 そんな俺へと、顔は喜んでるくせに、なにかをぐっと飲むような感じで呼吸を整える結衣。

 やがて腕をするりと離すと、……笑った。どこか無理をした顔で。

 

「そ、そっかそっか! ヒッキー、あたしのこと幸せにしてくれるんだー!」

「……? 結衣?」

「でっ……でも、さっ! あた、あたしはもういっぱい、いっぱいいっぱい助けてもらっちゃったし、さ。これ以上は……あたしは……」

「おい、なに言って───」

「あたし、今の言葉で十分だからさ……! もう、いくらだって元気でいられるからさっ! ちゃんと、みんなが望むみたいな“あたしらしいあたし”で居るからっ、だから───!」

「………」

「やっぱりさ、ダメだよ……。今まで居なかったくせに、おんなじ時間を過ごしてもいないくせに、急に出て来て、幸せだけは貰う、とかさ……! あ、あたし、そんなの、~……あたし……!」

 

 違和感の理由はこれか。朝から無駄にテンションが高かったのも、距離が合ったのも、距離が詰まれば必要以上にくっついたのも、全部。

 なら、こっちも言いたいこと言わせてもらおう。

 

「……おー、そかそか。んじゃ、あれだ。別れよう」

「……!!」

 

 言った途端、一瞬にして表情が絶望へと変わり、しかしすぐに表情を戻すと、笑おうとして……、……成功した。笑ってみせた。

 

「で、きっかけは自分で決めていいんだったな。今ので罪悪感以外にもいろいろ湧いたわ。絶対にお前を俺の隣で幸せにする。笑わせまくる。泣くなら幸せの涙───って、こういうフレーズってもう安っぽく聞こえるから困るな」

「ひ、……ひっきぃ……?」

「いきなりプロポーズはなかったな。恋人から始めさせてくれ。てか始める。異論は聞かない」

「え、え? あ、の……ヒッキー? 怒ってる……?」

「怒らないと思ってたんならお前、人のこと甘く見すぎだ。あのな、そりゃお前が自分で望んで自分でここに飛んできたってんなら、急に現れてなんのつもりだって文句のひとつも出るだろ。けどなんだ? お前は原因不明の事故で消えたってだけで、この時代にだって俺が連れて来ただけだろが。なに、お前この時代じゃ幸せになっちゃだめなの?」

「そっ……そんなことないっ! あたしだって……」

「で。俺は、その幸せを俺がお前にあげられたらって思ってるんだが?」

「~……やめ、やめてよ……そんなこと言われたら、あたし……せっかく、いろいろ飲み込んで、行ってくれたら笑顔で見送ろう、って……。だってさ、普通……できないよ? あたしの記憶なんて消えてるのに、ゆきのんからしてみたらおかしなことを言い出して、周りからも変人呼ばわりされちゃってるヒッキーのこと、支えるなんてこと……そ、それってさ、つまりさ、それだけ───」

「だから譲るってか。…………」

 

 深呼吸をひとつ。

 そして、何を言われるのかと震えながら、怯えるように俺を見る結衣に向けて、

 

「……人の気持ち、もっと考えろよ」

 

 かつて自分が言われたことを伝えて、その頭頂にげんこつを落とした。

 ごすんっ、と。相当痛そうな音が鳴った。

 

「!? !?」

 

 もう混乱と涙の乱舞である。

 両手で頭を押さえながら、目は涙で濡れまくり、けれど頭の中は混乱でいっぱい。

 

「ガキが一丁前に悲劇のヒロイン気取りなんてしてんじゃねぇ馬鹿野郎。そんなのはな、青春じゃなくてただの後悔にしかならねぇ独りよがりだ。友達だから? 親友だから? 大事な人だから好きな人だろうと譲る? ふざけんなよお前、お前そんなことしたくて高校通ってたのか? それがお前の青春ってか。違うだろうが」

「ひっ、ひぅう……! でも、でも……!」

「考えることはそりゃあいっぱいあったんだろうさ。それこそ、自分の所為で俺の青春をタイムマシンのことで縛っちゃったとか、そんなところだろ。けどな、自分の所為でだの自分が居なければだの、自惚れんな馬鹿。俺は俺が決めて、俺がそうしたいからこうしてここに立ってんだ。目の前にお前が居るのだってその結果だし、告白したのだって考えが纏って、お前を幸せにしたいって思ったからだ。きっかけがどうのの考察はあんがとさん。でもな、お前が。よりにもよってお前が、人の気持ちを無視すんな」

「だって…………ゆきのんはずっとヒッキーと一緒に居て……。それなのに、急にこの時代に来たあたしが……」

「……。その結論とか雪ノ下の気持ちとかはまあとりあえず横に置いてだ。お前それで、親友に“ゆきのんは親友だから、ほんとは泣くほどヤだけどヒッキーあげるね”とか言われて、あいつが喜ぶとでも思ってんのか?」

「~……最初は、ヤかもしれないけど……」

「いつかは受け入れられるってか。あー……そうだなー、そうかもなー。ところで俺、そういうことを言う青春女子高生とかに一言言ってやりたかったんだけどな」

「あ、ぅ……な、なに……?」

「あ、どうもー、結衣に紹介されてあなたのもとへ来た元結衣の恋人のHですー。あなたが結衣の親友さんですかー、どうもー。……俺結衣が好きなんでお呼びじゃねぇからとっとと帰れ」

「───!? ───!?」

 

 おどけた調子で言葉を並べ、最後にきっぱり。

 あれほんっとわかんないんだよなー……いやさ、女同士キャッキャウフフで譲る譲らない言ってるのはいいよ? うんいい。

 でもさ、あれほんと、男の気持ちとかちぃいいいいっとも考えてないよね。

 女同士で譲り合ってユウジョウ! いいと思います。で、男はキミらのなに。女の皆様ってそういう時、○○くんはあなたたちの所有物じゃない! とか言ってくれたことあったっけ。

 モノ扱いするなー、とか言ってみてほしいわ。

 

「さて、結衣?」

「ひゃ、ひゃいぃ……!」

「お兄さんなー、こういう場面で選ぶだの譲るだのって、青春じゃないってきっぱり言いたい派なんだ。青春で人をモノ扱いとか冗談じゃねぇし、“俺こっちのが可愛いからこっち好きなるわー”とか、それこそふざけんなだろ。お前なに? それでも選ばれたい? 好きな相手にジロジロ見られて、“よしっ”とか手ぇ叩くのと一緒に言われて、“俺こいつに決めたわ”とか言われたい? ふ・ざ・け・ん・な・よ?」

「~……ひっきぃ……でも」

「青春恋愛大いに結構。けどな、んなもんは好きなやつと好きなやつがくっつきゃいいだけの話だ。いきなり大好きな相手に親友紹介されて、そいつを好きになれ? 恋人になれだ? 誰かのために人生捧げる相手にそれをやろうとする覚悟、しっかり持った上でやろうってんなら、抜かれるのが度肝だけで済むと思うなよ……!」

「でも……! だって……! ヒッキーにはわかんないよ! こうしてこの時代で生きていこうって決めて、頑張ろうって思っても、あたしにはなにもないんだ! 家に帰っても、おんなじなのはあたしの部屋だけだった! 掃除はされてるけど、何年もそのままでおかれたあたしの部屋があるだけで、ママもパパもやせ細っちゃってて! 街歩いたって変わっちゃったものばっかりで、あたしだけがそのままで……!」

「………」

「あたっ……あたしだって、みんなと一緒に……ゆきのんとヒッキーと一緒に、三人で卒業したかったよ! 会う機会が無くなっていっても頑張って時間作って、あの頃あんなことがあったねーって、なんでもないことで笑いたかった! あたしにはそんな思い出もないの! 急にここに来て、あたしが知らない時間ばっかりがあるだけだ! あたしだってやだよぅ! あたしだって幸せになりたい! でもなんもないんだよ!? 一緒に居ても迷惑になるってわかってる! 何度考えても生きることだけで足引っ張ったりするってわかってて、それでも一緒に居てなんて……言えるわけないじゃん!!」

「結衣……」

 

 涙をぼろぼろと流しながら、結衣は叫んだ。

 きっとこの時代に来てからたくさん悩んだであろうことを、今まで口にしなかったことを。

 

「元のあの頃に戻ったって、一緒に卒業出来ない……! 会うことだって出来ないし、手紙でさえ出せない……! 違うよ……あたし、こんな時間を歩きたくて頑張ったんじゃない……! あ、あたしっ……あたしはっ……!」

「───だったら」

 

 泣き顔を隠すこともせずに、俺を真っ直ぐ見て気持ちを吐露する結衣に、俺も本気で向かい合う。

 だったら、と口にし、しゃくりあげている彼女の目を真っ直ぐに見返して。

 

「だったら、ダメだとかあたしなんかじゃとか思う前に、我が儘になってみろ。全部、ぶつけてみろよ。お前の人生だ、言ったでしょーが、遠慮すんなって」

「~……でも……」

「ほんとに友情だとかを謳いたいならな、まずは全力でぶつかってけよ。お前ばっかが遠慮して一歩下がる関係のどこが親友なんだよ、友情なんだよ」

「だって……ゆきのん、絶対にわがままとか言わないから……だから」

「そのやり方は間違いだ、ばかもん」

「《ゴスゥ!》んきゅう!?」

 

 潤んだ瞳の恋人の額に、熱いキスではなく熱い頭突きを進呈。

 結衣さん、口を開けたまま涙流してガタガタ状態。

 いや、な、ほんとね、こいつはもっと我が儘になっていいと思う。

 もちろん自分の気持ちに対してであり、我が儘ってのはこいつが、自分のために俺に雪ノ下を好きになれとかそういう方向のものではなく。

 そんな結衣の頭にぽすんと手を置いて、拍子に肩をすくめ、目をぎゅうっと閉じ、口も閉じたこいつに、迷うことなくキスをする。

 途端に目を見開いて離れようとす───あれ、離れない。あ、ああまあいいや、離れようとする結衣を抱き寄せるつもりだったんだけど、離れないからそのまま抱き締めた。

 溜め息ひとつ、結衣の顔を自分の胸に埋めるように抱いて、その頭をぽんぽんとやさしく撫でてやる。

 

「“綺麗なもの”を理由に、自分の願望を諦めるのはやめろ。そういうのは他人から見れば綺麗であっても、本人にしてみりゃいい迷惑だ」

「ぐすっ……う、うん……」

「自分じゃなく誰々との方が相応しいからとか、んーなこと考えるのもやめろ。てかマジでそれを好きな相手にされる人の気持ち考えろ。俺も今、あの修学旅行のこと思い出して、まさに痛恨なり状態だから」

「うん……」

「改めて俺の恋人になってください」

「うん……───ふえっ!?」

 

 はい確認とりました。

 言質も十分です。

 やだもう愛してる。

 そうして、もはや離さぬとばかりにぎうーと抱き締めてやると、もぞり、もぞもぞと躊躇するように動いていた結衣がやがて……こちらに負けないようにするみたいに、ぎうーと抱き締めてきた。

 それを感じられたらね、もう……安心が心を支配して、安堵の溜め息とかめっちゃ出た。

 出た……途端、周囲からはパチパチと拍手が……え? なに? え? 拍手? なんでいきなり拍手?

 

「幸せにしたれよー!」

「やっべ俺ってば犬見に来たのにドラマ見ちゃったっつぅかぁ! これマジやばくねー!?」

「こんなのほんとにあるんだー! わー、すっごいの見ちゃったー!」

「ほっほ……ワシも若い頃はのぅ……」

「うーわー……ていうかなにやってんですかこんなところで青春らぶらぶ劇場とかありえないです常識ないですごめんなさい」

「くぅうう……! わ、私だって相手さえ居れば……相手さえ居ればー! ~……結婚したい……!」

 

 え、やだなにこれ! 気づけばいろんな人に囲まれてる!

 しかもその誰もが拍手したり感想述べてきたりと……! いや求めてないから! そんなの求めてないからやめて!? 思い返すと恥ずかしいことしか言ってないから!

 ───! あ、小町たすけて! なんか今とんでもないことに───AhHAHAHAa、ヘイシスター、そこでサムズアップは違うんじゃないか? いや助けてってちょっと! 雪ノ下も! 見てたんなら───あ、ぁ、あー……うん、まあ……そうな。

 親友だと思ってる相手の告白劇場とか、こっぱずかしくて見てらんないよね!

 いやぁ~ごめんごめん………………マジでごめん……。

 もし自分がやられたらとか思ったら、笑えないわ……。

 ほら、たとえばちょっと用事があって職員室とか行ってみたら、なんか凛々しい男のお方と平塚先生が……とか。あ、だめ、見てらんない。

 ゆっ……結衣? 結衣ー……!? 

 とにかく移動だ。こんなところに居たら、ずぅっとネタにされそうだ。

 ていうか知ってる声が聞こえた気がしたんだが……大丈夫だよな? 大丈夫か、俺もう知り合いとかほぼ居ないし。

 で、移動しようとしてるのに、ぎうーと抱きついたままぐすぐすと泣いちゃっている恋人さん。

 まあ! 結衣ったらいけない人! あのごめんなさい!? 怒ったり叱ったりして悪かったからとりあえず歩きません!?

 いやほら、こうまでしっかり抱き締められてると歩けないっつーか、なんか無意味にSUMOUになりそうな気がするしさ。

 

「~……とにかく。やりたいこと話したいこと知りたいこと、なんでもまず言ってみろって。俺が全部叶えてやるから。出来ないことはそりゃああるけど、努力する気概くらいはいい加減、身についてるから」

 

 人ごみを掻き分けるように歩き、頬を掻きつつ言ってみる。

 と、早速なにかあるのか、結衣は俺を見上げてきて───

 

「……18歳で結婚したい」

「おうわか───」

 

 そう、仰った。

 あとは“った”で約束される俺達の未来は、果たしてこれからどうなるのやら。

 いやあのー……ちょっと急ぎすぎじゃね? ほらさ、もうちょい恋人気分とか味わいつつ、お金溜める方向から、なんというかそのー……。

 

「……? ヒッキー、お金のアテはあるから大丈夫だって、小町ちゃんからメールきたよ……?」

「………」

 

 笑顔で小町にメールを送っておいた。

 オレサマ、オマエ、ブッ血KILL。

 すぐさま謝罪メールが来たけどほんといい加減にしなさいよ小町ちゃん。

 お兄ちゃんそんなお節介、本気でありがた迷惑だからね?

 

「それにさ……もう……えへへ、ヒッキー以外とか考えらんないや。だから、毎日が幸せじゃなくてもいいんだ。大笑いできなくてもいい。たださ、一緒の時間作って、小さなことで笑ってたいな。あたし、結構嫉妬深いよ? ゆきのんが誰か別のコと話してるのもヤなくらいだから、きっと旦那さんとかすっごく大事に思う。だからさ、ヒッキー」

「……、おう」

「……あたしの時間。もらってあげてください」

 

 そう言って、涙の残る顔で笑ってみせた。

 俺はそれに対して───

 

「いけっ! そこだにーちゃん! ぶっちゅぶっちゅ!」

「お前そこまで来てヘタレんなよ! 諦めんなよ……諦めんなお前!!」

「あんれー!? ヒキタニくんもわんにゃんショー来てたっぽい系ー!? いんやー久しぶりじゃねー! っつかうわっ、あれっ? っべー! 告白劇場の現場ってやつ!? こぉりゃ応援するっきゃねぇでしょー!」

「……とりあえずアレですね。知り合いに片っ端からLIME送っときましょうか、画像付きで」

「私だって……私だって出会いがあれば……!」

 

 ───対して……って、言わせなさいよちょっと!

 なんなのお前ら人の一成一代の勇気の見せどころに!

 ああいや、違う、な。違う。誰が居るからとかじゃない。

 俺が相手の気持ちを受け止めて、どう答えるかだ。

 それでいい。それでいいなら───

 

「おう。んじゃあ、お前には俺の時間の全部をやる。面倒くさい男だけど、よかったらよろしく頼む」

「ん、ほんとだね。めんどくさいとこばっかだ、あたしも、ヒッキーも」

「……だな」

「うん」

 

 だから、と。

 俺達はその面倒くさい性分を互いに支え合って、時に足を引っ張り合い、それでも支え合おう。

 同じ時間に生きているからこそ出来ることを、呆れるくらいに楽しみながら。

 

「じゃあ、まずはなにからだ?」

「ゆきのんに、せんせんふこくしてくる!」

「おう。……え? お、おう?」

「で、ゆきのんのこともすっごく好きだって言ってくる!」

「………」

 

 結婚前から女性に浮気しそうで怖いです。

 まあさすがに冗談だが、なんて思っていた俺のスマホにメール。

 見てみれば材木座で、内容は……俺と結衣とのやりとりが動画でアップロードされている、とのことで。

 

「…………」

 

 タイムマシン使おうかしら、なんて、早速これからの未来が怖くなった。

 ま、まあ使わないけどね。八幡強い子、挫けません。

 と、本当に走っていってしまった結衣を慌てて追いかける俺は、いろいろと問題も出てくるだろうことを想像してみているというのに、顔は勝手に緩んでいた。

 楽しかったんだと思う。困難や面倒ごとにぶつかる度に、いつかの高校生活を……奉仕部での活動を思い出したから。

 

「なんだ。結局俺だって───」

 

 あいつらともっと、青春がしたかったのだ。

 最初から罪悪感だけじゃなかった。

 そんな事実に純粋に笑いながら、駆け出した。

 

 

   ×   ×   ×

 

 

 わんにゃんショーに行った日から、しばらく経ったある日。

 いい加減、タイムトラベラーYUIの話も世間から薄れてきた頃のことだ。

 結局俺達は元のサヤ……と言っていいのか、恋人同士で同棲中、な関係に戻り、けれども前よりも近い位置で笑い合っている。

 仕事は……ほれ、前に言った通り、タイムマシンのことを発表して、過去に飛んでは事件などの解決に協力、なんて仕事をしている。

 もちろん匿名性は絶対に守ってもらい、俺が俺だとバレる危険や、結衣に危険が及ぶことがないように、というのを前提条件として。

 稼ぎは……正直ヤバイくらいもらってる。大丈夫かこれ。

 そんな心配を抱きながらの、日常の1コマにて───

 

「あ、ほんとだ、ニュースでやってる」

「んー? 結衣の噂のことかー?」

「ううん? じゃなくて。ほら、前に八幡が言ってたさ? 少子化対策の法律の改正の話」

「ああ、あれか」

 

 あれから大分マシになってきた、恋人の手料理を食べ終え、片付けくらいはさせてくれと俺が食器を片付ける中、テレビを見ていた結衣が興味深そうな声調で言う。

 え? なに? もしかして俺とは別に男が欲しいとか? やだやめて? 俺そいつのことキルしちゃいそう。

 

「ねぇ八幡」

「おー」

「この法律が通ったらさ」

「おー」

「ゆきのんとかいろはちゃん、ここに来るかな」

「……んあ? え……待て、なんでだ? マジでなんで?」

「んー……なんとなく、かな。女の勘」

「おーそかそか。んじゃあ男の勘な。ないわ」

「そっかな」

「来たところでなにをするっつーのよ。多妻でもいい、なんてやつならまず、葉山のところあたりにでもいくんじゃねぇの?」

「うーん……ないかなぁ。ほら、隼人くんとか確かに女子に人気あったけどさ? じゃあ、八幡から見て隼人くんてさ、一人一人を大事にしてくれそう?」

「………………ないな」

「うん。だよね」

 

 もしそうなら、高校時代にあんなことになってないわ。一人じゃなくみんなを、それも自分の居心地のいい場所のために、みんなを守るのではなく利用した、とも取れる行動だった。

 それを考えればなるほど、女の勘すげぇ。

 

「じゃあ尚の事、ここに来るヤツなんて居ないだろ」

 

 既に炬燵になった、元透明テーブルに足を突っ込み、その温さにはふぅと息を吐く。

 

「んー……ねぇ“ヒッキー”……? 自分にとって、ほんとに傍に居たいなって思う人って、しばらく近くに居るとね? 結構わかっちゃうもんなんだよー……?」

 

 薄く笑って、炬燵の上に寝かせた両腕に頬をうずめるようにして、結衣が俺を見る。

 俺はといえば、そんな相手に頬杖をついたまま軽く笑い、俺に限ってはないわと返す。

 

「じゃあ、ほんとに来たら?」

「おう、男の甲斐性ってものを見せたりましょう」

「わ、すごい自信……! あ、でもさ、それならその甲斐性の方向、あたしが決めていい?」

「? 方向ってのはよくわからんけど、まあ、こればっかりは自信があるからな」

「うん。じゃあ頑張ろうね、八幡」

「いや、頑張る必要ないでしょ。俺はこうのんびりまったり、お前とだな」

「えへー……♪ 前に言ったよね? あたし、ゆきのんに宣戦布告してくるって。八幡は結局そのあと訊いてこなかったけど、どうなったと思う?」

「……どうもこうも。って、おい、冗談だろ? ……まあ、冗談か。じゃなけりゃ、今までで雪ノ下が一度も顔を出さないとかおかしいだろうし」

「あたしね、独占欲は強いほうだと思うんだ。嫉妬だってするし、大事な人のことを一番知ってるのは自分がいいなって、そう思ってたりもするよ?」

「お、おう。そりゃどうもだが……え? それと雪ノ下と、どう繋がるんだ?」

「八幡、言ったよね。人の気持ち考えろって。だからね、あたしは宣戦布告しただけなんだ。あたしね、ヒッキーのことも好きだけど、ゆきのんのことも好き。……あっ、ヘンな意味じゃなくてね!? す、好きっていうのは、キキキキスしても平気なのはヒッキ……八幡だけだから!」

「~……」

 

 わかったから何度も言うのやめて……! お兄さん恥ずかしい……!

 

「……で。宣戦布告された雪ノ下は、どう返したんだ? 俺への皮肉たっぷりに、そんなことは有り得ないとか言ったんじゃないか?」

「んーん? あたしの次くらいには、比企谷くんのことが好きかもしれないわねって」

「───」

 

 びしりと固まった。

 はっは、はっ……は───笑えない! 笑ってくれ俺の表情筋! ここ笑わないとシャレにできない!

 

「あのね、八幡。ゆきのんもさ、あたしのこと忘れた時、そこに居ない誰かと、合わない辻褄とかを頑張ってくっつけようとしてたと思うんだ。ママがお見舞いに来れば苦しかっただろうし、八幡があたしのことを話せば、思い出せないことに苦しんでたかもしれない。……あたしたちってさ、罪悪感ばっかだね。そんなんでしか、相手を知ろうと思うきっかけが作れないんだ」

「結衣……」

「だからね? 八幡の中で結論がどうしても変わらないならそれでもいいし、変わるならそれでもいい。最初からきっかけに蓋して拒絶しないで、ゆっくりとでも知っていってみようよ」

「お前ね。綺麗なことで誤魔化そうとするのやめろって言ったでしょーが。それ結局俺に二股しろって言ってるんじゃねぇか」

「法律で許されちゃってるんだから、間違ったことじゃないでしょ?」

「んーなもん本当にやったら離婚者だらけの独身だらけになるわ」

「そうなの?」

「当たり前だ。理由はいろいろあるだろうけど、まず上手くいきっこねぇよ。そもそもそんなんやったら───」

 

 喋り途中に、チャイムが鳴った。

 ぺんぽーん、という音がやけに響いた気がする。

 ……ハテ、この背を伝う冷や汗は何事なるや?

 

「………」

 

 結衣も目をぱちくりさせてる。

 いや。いやいやまっさかぁ!

 やがてそんな感じで笑い合い、二人一緒に玄関まで行くと───そこに立ってらっしゃるのはキャリーバッグを手にする雪ノ下。

 

「………」

「…………いや……どしたのお前。いつもだったら勝手に入ってくるのに」

「お世話になる一歩目で、ずかずかと部屋に入れるほど図太くはないわよ」

「そんなもんか……? ってちょっと待て。世話になる? え? 誰が? 何処で?」

「私が、ここで、よ。少々ね、上に圧力をかけて改正を早めてもらってきたの。姉さんに借りを作ってしまったけれど……ふふっ、女としての勝負だと言われてしまっては、負けてあげるわけにはいかないもの」

 

 いやいやいやいやいやおかしい理屈おかしい!

 え? なにその隣の家に挨拶しに行きました、みたいに軽い改正要請!

 え!? 今日までちっとも来なかったのって、それをしに行ってたから!?

 ちょっ……総理ィィィィ!! 総理を呼べェェェェ!!

 ……あ、総理が落とされたから改正通ったのか。

 え? じゃあ……

 

「え……お前俺のこと好きなの?」

「さあ。知らないわ。ただ、他の男性を見るよりは、安心していられるとだけは言わせてもらうわね」

「おいちょっとー? 結衣ー? 結衣さーん? 俺、なに言ってるんだこの男はって顔で見られちゃったんですけどー?」

「えへへー、大丈夫だよ八幡。これがきっかけで、これからがあたしたちの一歩なんだから。ね、ゆきのん、八幡、あたしの知らないいろんな日のこと、出来事とかいっぱい教えて? あたしね、そういう日が来たらやりたかったこととか、いっぱいあるんだ。ゆきのんと八幡としたかったこと、いっぱいいっぱいあるんだよ。だからさ───」

「………」

 

 まあ、雪ノ下がこんな調子なら、これからのことなんて……いや。

 

「………」

 

 まあ、だよな。どんな理由にせよ、こうしてまた集まれたなら。

 タイムマシンにかまけて、輝かせる暇もなかったいつかの青春を……今さらだろうとなんだろうと、輝かせてみるのもいいのかもしれない。

 

 

 

 

  ねぇねぇゆきのん、八幡、まずなにしよっか! あ、ゆきのん歓迎会とか!

 

   あら。ではそうね、まずは比企谷くん。

 

 へ? お、おう、なんだ?

 

   明日の見えない女性に、俺が居る、なんて言い切った責任を取って頂戴。

 

 ぶっは!? げっほごほっ……! おっ……ぉおおお前さらっとなに言い出してんの!? い、いいぃいいいやあれはほら、あの時のお前はほうっておけなかったっていうか……!

 

  あ、じゃ、じゃあ八幡! 人のこと未来に攫った責任も取って!

 

 いや、それはちゃんと取るつもりだが。

 

  ひゃう……!!

 

   さて、これから積もる話もあるだろうから、お茶を淹れるわね。……さ、由比ヶ浜さん、まずはどうぞ。

 

  あ、う、うぅうううん……!! あ、ありがと、ゆきのん……。

 

   比企谷くん、飲みなさい。

 

 ……お前ほんといい性格してるな

 

   ふふふふふっ……ええ、好き好んで、自分から捻くれた男性との先を見てみているのよ。悪くないと思える関係と、手放したくないと思える関係を築くことが出来るのなら、それだけでも自分の世界は変わるのだろうから。こうして相手の家まで押しかけて、なにもせずに見ているだけではただのストーカ-でしょう? それともそんな関係の方が好みかしら。 

 

 ………。

 

  八幡?

 

   比企谷くん? …………あなたまさか

 

  はっ……ヒ、ヒッキー!?

 

 おいやめ───やめろっ、ただちっと、もしそうなら怖いかも、とか考えただけだからっ。

 

 

 

 

       了





◆あとがき

 えー、最後までお読みいただけたなら想像はつくかもですが、今回の個人的お題は“こもれびさんワールド”です。
 ある日突然、こもれびさんがSSをドーンとメッセにお書きあそばれたんですけど、内容が時間跳躍ものとくるでしょう?
 僕にとって時間跳躍とかそういう題材のものって結構馴染み深く、随分前に書いていたオリジナルの方ではそれこそ嫌になるほど書いていたもので、固定された意識とかがあったわけで、そのくせもうBTFなんて覚えてませんよこもれびさん! と心が叫びたがったりしていましたが。

 そんな僕でも覚えている映画といえばタイムマシンです。
 なにそれ、とググってみると、結構見つかるタイムマシンのお話ですが、原作を辿れば写真が白黒になるほど前のお話になります。
 といっても僕がお話したいものは2002年の映画であったりしますが。

 さてタイムマシン。
 独特の世界観があって、好みが結構分かれるのだそうですが、僕は好きなこの作品。
 当時の僕はスタートレックを知らず、作中に出てくる人口AI案内人のボックスがする挨拶、「長寿と繁栄を!」をこの作品のオリジナルだとか本気で思っていたものです。
 いや一番に話すのがそれってどうよとツッコみもありましょうが、そういう細かいところでも無駄に好きな作品ということで。
 時間が関わる作品には人それぞれの価値観といいますか、こだわりが出てきますよね。
 僕は……ほら、過去にたとえば誰かを助けたら、元の時間ではその人が生きている~という流れは書かない方です。
 なにかを為せば新しい時間軸が作り出されるだけで、自分の時間に戻れば変わらぬ世界が待っている、そんな世界ですね。
 なにかに影響されて、というものではなくて、むしろ影響されるのだとすればおそらく初めての時間跳躍作品、テイルズオブファンタジアに大いに影響されている気がするので。(あれは過去が未来に繋がるお話)

 はい、そんなわけで時間跳躍には無駄にこだわりみたいなものを持っているのですが、書きすぎると鬱陶しいですね、はい。
 ただ細かいところでの影響はそれぞれいろいろと受けているでしょうし、タイムマシンの影響だってもちろんです。
 過去になにをしたところで、既に何かをした、という事実が未来に存在してしまっている以上、それがなされた理由が作られなければいけない、という理由だけで平気で人が死ぬ世界。
 エマという主人公の恋人が、僕と僕の兄の夢(笑)を叶えてくれた作品でもあるので、妙にお気に入りです。

 ところで読んでくだすった皆様は、瀕死の人の生命力についてどう思いますか?
 様々な作品の中で、瀕死の人は大変長く語ってくださります。
 お前それ回復すれば余裕で復活できるだろってくらい喋ります。
 「む、無駄だ……もう間に合わん……!」とかそんな言葉を馬鹿正直に聞いてる暇があったらいいからテーピングだ!
 だってほら、フリーザ様のデスビームで心臓貫かれたナメック星編のベジータだって、仙豆があったら絶対生きてたと思いません? デンデか界王神がいれば余裕です。

 さて、そんな瀕死の人の伝説ですが、抱きかかえた時はまだ生きていたのに、特になにも言い残すことなく死んだお方が実は居たりします。
 そう、なにを隠そうそれがこのエマというタイムマシンのヒロイン。
 そして、瀕死の人がなにも言い残さずに死ぬ、というのが僕と兄が待ち望んでいた,人の生命力というものだったわけで。
 いやあとがきでなに語ってんでしょうね。

 で、ですね。そんな時間跳躍話をなんでか八結の集いなんて名前なのにウマ娘の話で盛り上がったりしている場所で、様々なやりとりがありまして、誕生日SSを先に見せてくれるなんて、なんという粋ッ……!!
 と妙に感謝したくなったため、急遽書いたのがこのSS。
 ちなみに最初の文字数は一万八千あたりでした。
 ええはい、ちなみにこの最終話だけで現在一万六千いってます。なにやってんでしょうねほんと。

 加筆しすぎじゃーと言えばそれまでですが、いえ、編集していて思ったんですよ。
 ただただくっついてラヴラヴしてたんじゃ、いつもの凍傷SSです。
 そりゃあ初期の頃は困難のあとにラヴラヴ、を目指していたつもりではありましたが、そんな困難ばっかの青春って辛いじゃないですか! といつしか困難の部分を軽くしてしまった自分ではございましたが。
 ギャルゲーを思い浮かべてください。いやよくもまあそんな男女が好き合った途端に重苦しい困難が待ち受けていること待ち受けていること……!
 ある日の僕は、そんな男女の困難に打ちひしがれておりまして、たまには……たまには困難もなく祝福されたっていいじゃない……! と思っていたところに水越さん家の眞子さんが登場いたした過去がありまして。
 あれ? 困難……あれ!? と驚いているうちにEDを迎えて、なんだか拍手を届けたい気分になったとです。

 だめだまた脱線した!
 で、コンセプトというか方向性というかともかくこもれびさんの世界を描くなら、ただの八結ではいけませんということになりまして。
 急遽書き足してみればほぼが新規ですよもう(笑)しかも遅れるし……orz
 そんなわけで、基本八結ではありますが、最後にはもはやこもれびさん伝統の八結雪……? な感じです。

 さてさて無駄に長くなってしまって申し訳ないです。
 こんなんだから纏めるのが苦手だとすぐに悟られるんですよまったく。
 ではでは今なら砂の上に車を止めて語り明かしたあの夏な25時なので、ギリギリセーフという感覚で投稿。
 ぬるいコーラしかなくても楽しければ僕は幸せです。
 ではでは、少しでも楽しんでいただけましたら。
 楽しめなかったら心の底からごめんなさい、覗いてみてくれてありがとうございました!

 来年があるなら今度こそは遅れないように……!

 えーとなにか〆にいい挨拶は……あ。
 長寿と繁栄を!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。