どこにでもあるようなガハマさんとヒッキーのお話   作:凍傷(ぜろくろ)

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pixiv方面を整理中。
この話、こっちにUPしてたっけなぁと。
覚えていないのでとりあえずUP。
ちなみに凍傷はレッドブルよりもモンスターエナジーが好きです。

あ、このSS普通に何話目かにあったぞ!? と確認出来ましたら、是非是非ツッコんでやってください。
なおpixivアカウントが消滅いたしますので、移し忘れの小説は全部消えます。


長い時間をかけた想い【再】

 ついにお手製モンスターが完成した。

 これはただの焼き物菓子ではない。

 MonsterのMを名乗る、謎硬度、謎配色への道のりは険しかった。むしろ謎だった。どうすりゃクッキーがこうなるの。

 

 小麦粉投入時点でのレシピ放棄、斬新な酷さ、何百回もの雪ノ下による注意も華麗にスルーで繰り返し、

 ついに誰もが求めていない味わいが完成した。

 

 Yuigahama Original Carbonは、

 仕事に遊びに必要なエナジーをシナジーと間違えてふんだんにミックス。(ちなみにここでの“フンダン”は中国語で馬鹿である、とも読める。用例=馬鹿お前、なんでそれ混ぜちゃうのちょっと……!)

 

 要するに、ヤバイ…。

 

   ×   ×   ×

 

 ───ゾクゾク感、なんてものが存在するのだとしたら、きっとその存在そのものなんだろうなぁと思った。

 とある日、とある比企谷家のキッチンにて、それは誕生してしまった。

 いつもならば存在していた筈の雪ノ下がその場に居なかったのが、おそらくは最大の間違いだったと言えるだろう。

 え? 一緒に居るの? ……葉山と三浦ですがなにか?

 

「うわ、なにこれすっご。ちょ、結衣、あんたなんでクッキー作ろうとしてザッハトルテ完成させてんの」

「え、え? ざ、ざっは?」

 

 愛……覚えていますか?

 俺は覚えている。

 そもそもなんでこんなことになってしまったのかを思い返せば、嫌でも思い出せる。

 あれは……そう。

 俺と葉山がカラオケボックスで盛大に喧嘩し、由比ヶ浜が“恋愛の時空”で俺との出会いを振り返ってくれたあの日に遡る。

 俺はめでたく由比ヶ浜と付き合うこととなり、葉山は三浦と付き合うことになった。

 なったのだが……いやほら、あの……あれだよ。

 俺達、別方向から同じ悩みを抱えておりまして。

 ようするに女を喜ばせる会話もデートも知らないってなもんだから、いつかの日、葉山が俺に相談してきたのだ。

 

  デートっていうのはどうすればいいんだろうか

 

 知らねぇよ俺こそ知りたいよ俺が解るわけないじゃないですかー。

 なので俺の相談相手であり、妹なのに教授レベルの相談役、小町に相談だ、ということになったのだが。

 ……な~んで女子二人までついてきちゃったのかなぁ。

 

「いやっ……さっきも言ったが、俺はちゃんと比企谷に用があるって言ったんだぞ!? 重要な話だから、二人きりで話させてくれって! そうしたら───!」

 

 悪びれもなくついてきて、俺の部屋とかスルーしつつキッチンで菓子を作り始めてしまったと。

 味見よろしくね、と言われていた筈の小町が消えるわけだ。

 見てくださいこの見事なカーボン。ジョイフル本田の木炭にだって負けません。

 ……なに混ぜればここまで黒く、そして硬くなるのか。

 

「ひ、比企谷……ここは、男として食べるべきなのか? それとも───」

「………」

「比企谷……?」

 

 そわそわしていた葉山を押し退け、ザッハトルテの前に立つ。

 どうするか? んなもん、思い知らせてやるだけだ。

 

「結衣」

「え、う、うん、なに? ヒッキー」

「作ったなら味見。俺も食うから、食ってその味を知れ。知ったら次はもっと上手くなる」

「ほんと!? もっと美味しくなるの!?」

「“上手く”なるぞ」

「そっかー!」

「ああ、“上手く”なる」

 

 八幡嘘つかない。

 出来たばっかの恋人に嘘つくなんざ最低行為じゃねぇか。

 俺はほら、アレだよ? 今までが捻くれていた分、自分を好きになってくれた人には誠実でありたいとか思ってるのよ?

 だから嘘はつかない。とんちは使う。OK?

 なので使うとんちと言えば、“ほら、僕らまだ友達ですし!”……あれ? これただの状況的真相じゃね?

 ええはい、まだ恋人じゃない僕らです。友達から始めようって言ったもの、そりゃそうだ。

 けれども雪ノ下にメールを飛ばしておきながら、レシピメールを受け取ってなおそれを無視し、Monsterを作り出したこいつはほんとどうしたもんか。

 

「君……結構ひどいことするな」

「俺がひどいんじゃねぇよ。結衣が純粋すぎるだけだ」

「……君の頭の中が案外愉快なことに、俺は結構驚きと安心みたいなのを得てるよ」

 

 言いつつ、結衣と一緒にザッハトルテ(カーボン)を手に、パキャアと齧る。

 ザクッ、どころかこの、氷が弾けるような炸裂音はどうか。

 瞬時に顔を真っ赤にして俺の手を掴み、涙目で「吐き出して! ヒッキー吐き出して!」と言ってくる恋人さんは、まるで某駄女神様のような語彙力だった。

 ほぅら上手くなる。次はもっとマシになる。

 そのためなら一緒の味見くらいなんのその。

 男とはな、葉山。体を張って恋人の成長を促していくものだと、俺は悟ったのだよ。

 だってほら、ヒーローとはいつだって命懸けで、常にピンチをぶち壊していくものだってオールマイトも言ってたし、だったら俺のことをヒーローとか言っちゃった結衣の期待に応えるためにも、俺は命懸けでピンチをぶち壊していかなきゃならんのだ。

 え? この場合のピンチ? 主に炭食物を食べることによる癌リスクの回避のための、結衣の料理の腕の向上じゃないでしょうか。

 ならば良い受難を。

 PlusUltra(更に向こうへ)!!

 

「すごいな……相手のために身を犠牲になんて」

「ちげーよ、犠牲じゃねぇ。先行投資だ。一緒に成長してまちがいは修正する。俺がまちがっても結衣がまちがっても、止めてくれる相手が居るならこれほどありがたいことなんてねーだろ」

「……君、それでその先、自分がフラれて、その成長を他人のために使われる恐怖とか、ないのか?」

 

 ドゴッ! ゴシャア!!

 

「ひ、比企谷!?」

「ちょ、ヒキオ!?」

 

 膝から崩れ落ちた。

 痛恨である。

 綺麗なorzを描いた俺は、溢れる涙を止めることすら出来ず、素直に泣いた。

 

「ぐすっ……お前……ひっく……やめろよ……! 今は、結衣が……っ……カーボン片付けに、行ってるからっ、……って、お前……!」

「あ、ああその、すまない。まさかそんなにまでダメージ受けるとは……」

「つーか、隼人もちょっと結衣のこと舐めすぎ。あんな恋に真っ直ぐなのに、ヒキオのこと振るとかあるわけねっしょ」

「そうなのか?」

「見てりゃわかるし。あーいうの、好きになったら自分の全部をそこに置くタイプだから。問題なのは相手の方。ヒキオ、あんた、求められること全部叶える勢いでぶつかってやんな。てーかそんくらい軽く出来るくらいデカい男んなれし。釣り合いがどーとかじゃなくて、あんたも男ならそんくらい努力しろ。あいつばっかに頑張らせるな」

「……!」

 

 お、おかん……!

 知らず、心の内側から温かいなにかが湧き出した。

 結衣に、俺の何処に惹かれるものがあったのかを訊いた時、ヒーロー像を語られ、困惑したが……それは無理に目指すものじゃあなかったのかもしれない。

 ヒーローとは心だ。

 口にして満足するものではなく、その心が指す場所───“志”こそがヒーローを象る。

 ならば───

 

「今はまだ、友達として出来る限りを楽しまないとな……。ところで葉山、友達ってなにするもんなん?」

「えっ………………いや…………」

「え? ……いやお前、グループ作っといて、まさか知らないとかないよな?」

「作ったっていうか、いつの間にかあったっていうか……」

「………」

「………」

 

 俺と葉山で、妙な覚悟が決まった。

 俺達はきっと本当の意味で友達すら知らなかった。

 ならばこれから知るしかない。

 ではどうやって知るか? そんなもん、目の前に丁度いい同志がいらっしゃるじゃあないですか。

 

「運命共同体ってやつか……」

「お前ととかゾッとするけど、これも結衣の幸せのためだ」

「俺だって、優美子の幸せのためだ」

「おう」

「ああ」

 

 とりあえず、二人してうへぇって顔をしつつ、ごつんと拳を合わせた。

 さあ、友を知ろう。

 酸いも甘いも辛しも苦しも味わい、いざ、関係の頂へ───!!

 

……。

 

 その日々は───熱かった。

 

「葉山っ! 細かい遊びからやってくぞ!」

「今か!? あ、あぁいや望むところだ! 悪い戸部、用事が出来た!」

「え? あ、あぁうん……ガンバっしょ? 隼人くん……?」

 

 俺と葉山はとにかく友というものを学ぶため、一緒にする行動を増やし、気安い関係を目指した。

 

「じゃんけんぽん! あっち向いてホイ!」

「じゃんけんぽん! あっち向いてホイ!」

 

 細かい遊びからじっくり系の遊びまで、とりあえずは楽しむ努力をする方向から。

 葉山が知る遊びという常識をぶち壊し、アニメやゲームを教え、俺の常識は葉山が壊し、なんかよく解らん遊びを教わり。

 

「フェンシングって遊びじゃねぇだろおい!! 真面目にやってる人に謝れ!」

「遊びでやってる人も居るんだよ! 嘘じゃない!」

「マジでか!?」

 

 遠慮をしないよう努め、務め、勤め、勉め、やがて遠慮する意味がない状態まで来ると、俺達はなにをするにも笑えるようになってきた。

 

「はいはいはいはいはいはいはいはい!!」

「はいはいはいはいはいはいはいはい!!」

 

 時に卓球、時にテニス、打ち合いまくり叩き合いまくり、子供がやる相撲から大人がやる柔道、合気などを学び、あれ? これなんか違くね? とか思っても遠慮とかないからやがて気にしなくなり───

 

「とんだところで───」

「護身、開眼───!!」

 

 俺と隼人は、好きな相手を守れるくらいのモノノフと化していた。

 ……いや化していたじゃねぇよなにやってんのちょっと。

 

「なぁ隼人……俺らさ、遊びを通じて友というものを学ぼうとしてたんじゃなかったか?」

「いや……もうこれが友達ってものでいいんじゃないか? ほら、遠慮とかとっくになくなっただろ。名前呼びになったし、八幡も噛んだりとかしなくなったし」

「逆に結衣とか三浦が遠ざかった気がするんだが」

「……女子って何故か、男の夢とか浪漫を聞くと白けるっぽいからな……」

「まあ、気持ちは解るんだけどな。で、肝心のオトメゴコロとか全然わからんのだが。この男同士のユウジョウを武器に、結衣とか三浦と仲良く出来ると思うか?」

「………」

「………」

「無理……だよな」

「ですよねー……」

 

 とある日々。俺達は二人してアホだった。

 あ、でもナンパ野郎とか単体で撃退できるようにはなったわ。

 たとえばチャラい男とかが近寄ってきたりでもすれば───っていってもここ教室だし、そんな人物が───あ、居た。

 

「おっ、海老名さんとか今から帰る系? これからちょっちオケとか寄っていっちゃわない? ってかそのー……チャンスとかくれると俺ってばめちゃ喜んじゃう系の現状っつーかぁ……」

「ぬう!!《ギラッ!!》」

「ヒィッ!? ちょぉ、隼人くんてばなんで睨むん!? 俺べつに優美子に色目とか使ってるわけじゃないっつーかぁ!」

 

 隼人が、海老名さんにアプローチをかけた戸部を、まるで世紀末覇者拳王のように眉間に皺を寄せて、睨んで見せた。

 するとどうでしょう、戸部が思わずヒィとか言ってしまう迫力が、ここに完成……! いやだから完成じゃねぇよどんな完成だよこれ明らかに失敗だろやりすぎちゃいましたごめんなさい。

 あといろいろ見せたアニメとかの影響か、睨む時にも“ぬう”とか言っちゃってるし。

 あのー……はい、正直すまんかった。

 

「というわけで」

 

 教室の一角にて、カーストとか関係なしに目立ってしまう俺達なわけだが。

 というわけで、と声をあげた海老名さんに、視線を向けた。

 

「なんか熱い展開だったから傍観してたんだけど、二人ともなにかあったの? 二人が仲良しであればあるほど、なんかこう期待が高まるっていうか、仲が悪い方が燃えるシチュでもあるにはあるんだけど、普段犬猿な二人がベッドでは……とかそういう展開の方が───」

「自分への干渉は拒絶しといて他人には首突っ込むとかやめてくれませんかね……」

「うはっ、直球だ。ま、そうだよね、ヒキタニくんはそういう人だ。べつにきっちりとした真相とか求めてないよ。ただ、どうしてユイと優美子じゃなく、隼人くんとユウジョウしてるのかなーって」

「相談出来る相手が居なかったからだよ……」

「やめてくれ……なんでそんな解りきったこと訊くんだ……」

「えぅっ……う、うん、なんかその…………ごめん」

 

 海老名さんが珍しくも相談を受ける側な顔で質問をしてきた。

 それに、俺と隼人は当然を返した。

 ……ちょっと考えれば海老名さんなら解ったことだろうに。

 なんとも珍しい……というよりは、ぐ腐腐が優先されて頭が回転してなかったんだろう。

 

「どうしたもんかな」

「姫菜、優美子たちからなにか聞いたりしてるか? 相談とか」

「んー……それは私が言っていいことじゃないかなぁ。きちんと二人が考えて答えを出さないと」

 

 ……うわぁ。

 

「…………でたよ。ちょっと出ましたよ隼人さん」

「ああ……出たな、八幡。真剣に悩んでる相手に対してこの言葉……なるほど、確かにこれは、された方はとんでもなく嫌な気分になるな」

「んじゃ海老名さん、それを言ったからには俺達に落胆することの一切は禁止ってことで」

「だな、うん。俺達に理解を任せるんだったら、どんな結果でも文句は聞かない。君はそれを選んだ。……すごいな、そうやってすぐに選べるんだから」

「え、え? あの、ヒキタニくん? 隼人くん?」

「じゃあ……俺達、行くから」

「邪魔したな、姫菜。大丈夫、全てがブチ壊れても……ふふっ、いや、なんでもない。それじゃあ」

「いやっ、あのあのっ、隼人く───」

「なるほど」

「いやなるほどじゃなくて」

「すごいな」

「いやー……ちょっと聞いてほしいなーって……」

「悪いのは君じゃない」

「嫌な予感しかしないから聞いて!?」

 

 そうして俺達は歩き出した。

 育み経験してきたユウジョウを、いざ、友達にぶつけんために───!!

 

……。

 

 こ~~~ん…………

 

  で、この有様である。

 

「あの…………なんで俺達、正座させられてるんでしょうか……」

「男の友情を女に向けた結果に決まってんしょ。てかあんたら馬鹿か。フツー女との友情調べるために、女ほったらかして男同士で遊び呆ける?」

「……友達たくさんの優美子に、ハッと気づけば友達なんか居なかった俺達の気持ちなんて解るもんか……!!」

「よく言った隼人!」

「そ、そうだ優美子! 俺は」

「黙れ」

「「きゃいん」」

 

 結論。男は弱かった。

 呼び出した二人と待ち合わせた近場の公園にて、その中心付近にある石の床に、ゴリリと正座させられてる俺と隼人は、早くも負け犬ムードだった。

 

「どーいう速さでヒキオに毒されてんの隼人……! あーしが好きな隼人はもっと───」

「好きを引き合いに理想を押し付けるなぁっ! おっ……俺だって……! 俺だって実は友達居ませんでしたなんて気づきたくなかったんだぁあっ!! 一緒のグループなのに戸部も大和も大岡もなんか一線引いてる気がするし! 他の男子からはなんか距離取られてるし! そんな俺に声をかけてくれた戸塚にどれだけ心を救われたことかっ……! 解るもんかっ! 解るもんかぁあっ!! うわぁああああああっ!!」

「ちょっ、隼人!? 隼人ー!?」

 

 やべぇ泣ける……!

 だよな、そうだよな……!

 こういうボス属性のやつらはみんなこうして、人の心を抉ってくるんだ……!

 なにもこんな場所で言わせることないじゃねぇの……! せめて二人きりで詰問開始してりゃ泣くほど傷つけることなんて……!

 

「あ、あの、ヒッキー? 葉山くん泣いちゃったけど……」

「ユ、ユイサン、お手柔らかにお願いシマス……」

「えやっ!? やややべつに責めたりとかしないよ!? ただちょっと羨ましいなー、とか、あたしのことも構ってほしいなって……そう、思っただけで……。た、たぶんね? それって優美子もなんだ。だから嫌ってるとかじゃなくて、構ってくれなかった分、拗ねてるっていうか…………えと」

「ちょ、結衣っ!? なんで言うし!」

「三浦…………ツンデレが現実で有効だなんて思うなよ。俺達ぼっちはツンの時点で致死量のダメージをいつでも負うことになるんだ。その後のデレで回復できるなんて甘えは通用しねーよ……」

「はぁ!? なにそれわけわかんねーし!」

「あの、あとその、大声で“はぁ!?”とかやめてくだひゃい……! ぼぼぼぼっちには刺激が強いってゆーか……!」

「優美子! ヒッキーのことはあたしに任せるって約束だったじゃん!」

「えぇ!? これそーゆーんに入ってるん!?」

 

 男同士の友情は育めた。

 嫌いだ、とか言い合ったくせに、ほんと理解が深まったよ。

 方向性は違ったかもだが、俺と隼人は似た者同士だったんだ。

 でもそんな友情も、女相手にゃ通用しなかった。そりゃそうだ。

 結局はOワイルド氏の言葉に頷くしか、俺達には残されていなかったのかもしれない。

 男女間の友情は有り得ないか……寂しいものだ。

 

「というわけで結衣」

「え? う、うん。なに? ヒッキー」

「す───」

「す?」

 

 なんかもう告白して恋人になってください、とか言ってしまおうか、なんて考えが浮かんだ。

 けどなんか違う。

 一人が正座した状態で告白とか、きっとオトメゴコロってやつをちっとも理解していない行動だろう。

 なのでここでの最適解は───

 

「すまん、“す”は間違いだ。えっと、その、だな。……デッ……デデデデート、しよう」

「えっ…………でも……いいの? えと、友達からって……」

「それもすまん。頑張ってみたけど、やっぱ男女間の友情って難しいってのがわかった。でも、だからっていきなり告白ってのも違うって思うから、だな。その」

「デート……?」

「お、おう。あ、もちろん嫌だったら───」

「う、ううんっ、いいっ、したいっ! したいよ、デート……」

「ぇぉっ……そ、そか……じゃあ……」

「うん……えへへ……うん。…………えへー……♪」

 

 あ。なんかいい雰囲気。

 一方正座したままだけど、結衣が目の前にしゃがんで、同じように座って……。

 なんか求められてる気がして、手を持ち上げたらきゅっと握られて。

 そんでそのー……なんつーか。

 二人してむずむずテレテレしながら、手をにぎにぎさわさわし合った。

 ……なんでしょうね、この謎行為。

 謎なのにものすげぇ幸せで、顔がニヤケて戻らない。

 そんな俺達の横では、隼人が三浦に「ん」と促されて、同じくデートの約束をさせられていた。

 ……こういう関係になった途端、女って強いですね。

 目でそう問いかけたら、隼人がそうですねって目で返してきた。

 

((ところで、デートプランってどうやって立てればいいんだろう……))

 

 この後、女子二人と別れたあと、俺と隼人がデートに関する雑誌を買いに本屋まで走ったのは言うまでもない。

 相談する相手? 居たらとっくに友情の件で相談していますが?

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