【IS】 転生したので普通に働こうかと思う 作:伝説の類人猿
ちなみに話の中に出てくる轡木さん関連のお話はそのうちに投稿をいたします。
「---!」
テレビからは人気歌手の曲が流れている。
時は大晦日。ここは今年の春に同僚たちが作った秘密基地である。
ここって本当に何でもあるんだな。
アンテナのチューニングとか誰がやったんだろうな。
「いやぁ、冷えますね」
お隣いいですか?と言いながら轡木さんが俺の横に座る。
もちろんですとも。
「はぁ・・・今年ももう終わりですねぇ。・・・今年は色々ありましたねぇ」
はぁ、息をつきながら轡木さんは
「いやはやその節は本当に申し訳ない次第です・・・」
「ははは、別に怒っていませんよ。むしろこんなにわくわくした一年は初めてです」
そう言いながら轡木さんは楽しそうに笑う。
いやしかし本当にこの人には迷惑をかけてしまった・・・。
本当によくもまぁ色々な無茶に付き合ってくれたなぁ。
「ただし、来年はもう少し考えて行動してくださいね」
「善処します」
轡木さんに釘を刺されてしまった。
まぁ俺自身は心がけようと思うんだけど・・・。
他の人たちがなぁ・・・。
主に同僚とか織斑さんとか山田さんとか、うんこりゃ来年も迷惑を掛けちゃうな。間違いない。
「ははは、ま、私も覚悟はしていますから安心してください」
「お見通しですか・・・。まぁその、来年も苦労をお掛けします」
「ええ、もちろんです。どんと来いってやつですよ」
「ははは・・・」
そう轡木さんは言ってくれるのだが俺は苦笑いをするしかない。
そんな俺の様子を見たのか轡木さんが話を変えてきた。
「ところで異性との付き合いとかはどうなんですか?」
「!?!?」
いや他の話にしてももっと何か他の話があるでしょ!
なに、何でよりによってそんな話を振ってくるんですか轡木さん!!
「で、どうなんですか?山田さんですか?それとも織斑さんですか?いやまさか両方とか?いやぁ若いっていですねぇ」
にやにやしながら轡木さんがそう言ってくる。
待って待ってなんでその二人?なんで限定しちゃうのさ!?
ほ・・・他の人も・・・いないよ!デブの俺に女性の知り合いなんてほとんどいないよ!
いたとしても平均年齢が五十越えだよ!
「いや・・・その・・・こんな俺に付き合いなんてあるわけありませんよ」
「おやぁ、その割には山田さんとかとはよく一緒にいるじゃないですか。ほらほらどうなんです?今年は私にいっぱい迷惑かけたんですからこれぐらいは聞かせてもらわないと」
「いや、そう言われましても・・・」
「じゃぁ付き合うならどっちのほうなんですか?」
「えぇ!?」
何言ってんだこの人は。ひょっとしてもう酔っているのか?
そうだよなそうなんですよね!?
「まだ酔ってませんよ。一杯も飲んでいないですからね。で、どうなんですか?どっちと付き合いたいんですか?」
さあさあと轡木さんが迫ってくる。
いやいや、こんな俺が付き合えるわけないですし。
「だから仮定の話なんですよ。安心してください。この私あなたの答えは墓まで持っていきますよ。なぁにもうすぐのお話ですし」
で、でたー老人特有の笑えない冗談。
いやでもなぁ・・・。
「その本当に誰にも言いませんか?」
「ええ、もちろんですよ。さあさあ行って御覧なさい」
「あくまでも仮定の話ですからね?」
「ええ、もちろん分かっていますよ」
ううん・・・。しょうがない。ここは言うしかないか。
「そうですねぇ、付き合えるんなら・・・」
その瞬間ドアが開いて、
「入るぞ」
「こんばんわぁ~」
山田さんと織斑さんが入ってきた。
「!?・・・ぐへっ!」
いかん、びっくりしてむせてしまった。
てかなんでちょっと残念そうな顔をしているんですか轡木さん!
「ふぇぇ!?だ、大丈夫ですか!?」
心配そうに山田さんが駆け寄ってくる。
うん、大丈夫大丈夫。モーマンタイ。
「まったく、焦りすぎだ。ほら年越し蕎麦を持ってきたからみんなで食べるぞ」
そう言いながら織斑さんは手に持っていたビニール袋から蕎麦を取り出す。
「あ、そういやまだ年越し蕎麦を食べていなかったな・・・」
忙しくて忘れてた。
うん、やはりこれがなきゃ年は越せないよな。
「おお、これはまた何ともおいしそうなお蕎麦ですね」
轡木さんは蕎麦を見て嬉しそうに言う。
この人も蕎麦を食べてなかったのかな?
「えへへ、頑張って私たちで作ったんですよ!ちょっと失敗して麺の長さがばらばらになってしまったんですがね・・・」
「すみません、その麺を作ったのは私なんです・・・」
そう言いながら織斑さんは申し訳なさそうに轡木さんに謝る。
あれ、俺には?ねぇ俺には謝らないの?
「なぁに、構いませんよ。ですよね?」
「あ、はい。俺も別に気にしませんよ」
別に食べれるのなら特に気にしないのが俺の主義だ。
俺たちの言葉を聞いて「そうか・・・」と一言だけ織斑さんは反応するのだった。
それはいいんだけどさ、
「早く食べないと今年が終わっちゃいますよ?」
時が立つのは早いもので今年が終わるまであと十分だ。
時間がたつのは早いな。
俺の言った言葉に山田さんが慌てふためく。
「た、大変。さあさあ早く食べちゃいましょう!このままだと本当に年越し蕎麦になっちゃいます!」
「お、おう!?」
慌てる山田さんに急かされながら俺たちは蕎麦を啜るのだった。
急いで食べる麺の不揃いな蕎麦は普通の蕎麦よりもはるかにうまく感じたのだった。
時刻は間もなく深夜零時。今年が終わるまでもうすぐである。
なお蕎麦を食べ終わった後に轡木さんと織斑さんから年越し蕎麦は大晦日のうちに食べなくてもよいものだと聞かされて山田さんが「えぇ!?」と驚くのは別のお話である。
皆さんは年越し蕎麦は食べましたか?
今年はざる蕎麦を食べました。
それではまた来年に会いましょうね!!