【IS】 転生したので普通に働こうかと思う 作:伝説の類人猿
次回で教師編は最後です。
なお中編とか言ってるけど中身は別物の模様。読み飛ばしても全然問題ないですよ。
むしろ読み飛ばして、お願い。(切実)
追記 国家代表→国家代表候補生 勘違いさせてすみませんm(_ _)m
ここは体育館。大勢の生徒・・・と言っても一年生だけだが体育座りでこれから行われる講演の始まりを待っている。
みんなやる気がないのかあくびをしたり友達とぺちゃくちゃと話していて非常に騒がしい。それは男子生徒たちも同じのようで彼らもまた仲の良い友達とおしゃべりをしている。
「あぁ・・・糞が。あの糞教師話がなげぇんだよ」
「さっきからぶつぶつうるさいわね。もとはと言えばあんたが一夏と戦ったのが原因でしょうが」
「だってあいつうぜぇもん・・・」
はぁ、と深いため息を吐きながら鈴は隣の男をじっと見る。
彼の名前は晴男 ハレオ。筋金入りのヤンキーだ。
性格は乱暴でいつだって自分優先、周りなんて知ったことかとでも言うようにいつもふるまっている。
鈴とハレオの出会いは非常に衝撃的なものだった。
鈴とハレオが出会ったのは中学生のころ。しかもちょうど鈴の父と母の中が急速に悪くなっていった時だ。
父と母の喧嘩に嫌気がさし鈴が体一つで家出した・・・のはいいのだが何も持っていなかった鈴は何もすることもできずただただ道端で泣いていた。
そんな鈴に手を差し伸べてくれたのが彼だった。
名前も知らない赤の他人を家に入れてくれただけでなくご飯までふるまってくれたのが。
仏頂面で手にたくさんの絆創膏を貼った彼が出した肉じゃがは一夏の料理ほどうまくはなかった。
だがその時のご飯の味はいつまでも忘れないだろう。
決して美味くはなかったがそれ以上に彼の料理にはしばらく鈴が感じていなかった愛情がたくさん入っていた。
人のためを思って作る料理には自然と愛情が入る。
これは鈴の父から教えられたものだ。が、最近の鈴の家では以前のように手の込んだ料理は出ずに簡単なものかカップ麺ばかり出ていたのだ。
彼の料理を食べた後お礼を言って鈴は家に帰った。
一日足らずの短い家出だったが両親は心配していたらしく鈴が家に帰ると父は怒りながら、母は泣きながら鈴を出迎えてくれた。
それからしばらくのことである鈴の両親が離婚したのは。
しかしながら離婚する直前の両親はまるで仲が悪くなる以前の状態にでも戻ったかのように暮らしていた。
あの時はただ仲直りしたのだろうと思っていたのだが後から母が話してくれたところあの時の両親は鈴が家出をしたことによりこのままでは鈴に対して良くないと考えたらしい。
そこで二人は離婚を決めた。だがせめて鈴のためにも離婚するまでの間だけでも以前のような状態で暮らしていくことに決めたのだという。
そして鈴の両親の離婚により鈴は母と共に中国の母の実家に行くことになった。
鈴が中国に帰る日一夏たちは泣きながら鈴を見送ってくれた。
そのことがすごく鈴にとってはうれしかった。
今まではそんなことがなかったからだ。
だが、それ以上に鈴にとっては家出したときに世話になった彼に何一つとしてお返しが出来なかったことが悩みの種だった。
鈴にとって彼は意図してやったことではないだろうが両親を一時的ではあるが仲直りさせてまた以前のような暮らしをさせてくれた恩人なのだ。
(多分あの時彼が手を差し伸べてくれなかったら今の私はなかったわね・・・)
ひょっとしたら怪しい大人にでも拾われて水商売みたいなことでもやらされていたかもしれない。
それからである。世にも珍しいISの男性操縦者として彼がテレビで放送されたのは。
これで彼にまた会える!そう考えた鈴は気合と根性で見事国家代表候補生になってIS学園に中国代表として通うことになったのだ。
(もっともいくらお返しをしようとしてもあいつは一向にそれを受け取らないんだけどね)
IS学園に通うことになってからすぐに鈴はハレオの下に行ってあの時のお返しをしようとしたのだがハレオはそんなものいらんの一点張りで受け取ろうとしなかった。
そうなってくると鈴のほうも何が何でもお礼を受け取らないと引き下がれない。
もともと鈴は借りを作りたがらない性格なのだ。
(いったいあいつはいつになったら私のお礼を受け取ってくれるのかしらね)
だが鈴はハレオがお礼を受け取らない理由を知ることはないだろう。
きっと夢にも思っていないはずだ。
鈴がお礼として送ろうとしている酢豚を彼が嫌っていることを。
(今日こそはあいつに私の酢豚を食べさせるんだから!)
そんなこんなで今日も今日とて勘違いをしたまままた鈴はハレオに酢豚を食べさせようとするのである。
人間何かしら嫌いなものの一つや二つ・・・『バンッ!!』
いきなり大きな音がしたかと思うといきなり体育館が大きく揺れだした。
「キャーっ!!」
「地震よぉ!!」
「で・・・電気が!!」
突然の揺れに驚く生徒たちだが追い打ちをかけるがごとく体育館の照明が消える。
それによりさらに生徒たちはパニックになってしまった。
「ゆ、揺れが収まった・・・?」
「急いでここから逃げないと!!」
「あ、ちょっとあたしを押さないでよ!!」
「あんた邪魔よ!そこをどきなさい!!」
揺れが収まると生徒たちは体育館から出ようとして出口へと押しかけた。
が、出口は開かない。
それどころか一斉に出入り口に向かったせいで出入り口のあたりは大混雑となった。
と、突如として消えていた体育館の電気がつく。
そして、
『大きな自然災害や事故、事件が起こってもそれに直接の関係を持たない人は自分なら大丈夫、や、私には関係ないなどと言った感情ー心理学用語で正常性バイアスと言いますがそのような感情を持ってしまいがちです。そのため実際に事が起こると正常な判断が出来ず今みたいにパニックに陥ってしまうのです』
マイクを手に持ってそう言うのはIS学園特別臨時教師ー通称清掃員である。
『というわけで今回の特別授業では事件、事故、それに自然災害に会った時の正しい対処法について教えたいと思います』
よろしくお願いしますといった彼の姿を生徒たちはぽかんとした目で見つめ続けるのだった。
とっとと終わらせて雑学回を書きたいなぁ・・・。
ま、どのみち次回は雑学回なんですけどね。
なお晴男は純粋にただの力を求めるヤンキーです。敵はすべてやっつける、が彼のもっとうなので敵に情けを掛けようとする一夏が大っ嫌いなのです。ただただデストロイヤーなのです。ナスは嫌いなのです。
彼が鈴を助けたのはなんとなくで特に理由はないです。人を助けるのに理由はいらないのです。決して助けた理由が思いつかなかったとかそんなことではないのです。