【IS】 転生したので普通に働こうかと思う   作:伝説の類人猿

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えっ、何でこんなに評価がついているの!?(驚愕)
コメントありがとうございます。すべて読んでいます。
今回の話は実在する人物とは一切関係がないのを断っておきます。


番外 彼こそがヒーロー(読み飛ばして結構です)

春というのは出会いと別れの季節だと昔から言われている。

どうやらそれは現代においても変わりないらしい。

今年、世間はとんでもないものと出会うのだった。

 

「男性のIS操縦者発見される!」

 

テレビや新聞、ありとあらゆるところでそのことは話題になった。

まぁ、予想はしていたので俺は驚かないが。

 

「しかも五人!!」

 

訂正、驚いた。

 

*****

 

「え~っと。どこだったかなぁ」

 

いま俺が来ているのは近所のGEOだった。

もっとも俺がGEOに来るのは割と珍しい。いやね、なかなか清掃員って休みが取れないのよ・・・。

この間だって家に帰ったのは・・・まぁいいか。

そんな細かいことを気にしていたら頭皮とか髪の毛とかによくない。

これでも俺は健康には気を付けているつもりだ。

もっとも自分の腹回りを見ると悲しくなってしまうが。

あ、そうそう特典のおかげで生のトマトを食べられるようになりました。それだけ。

 

ともかく今回貴重な休みを使ってまでGEOに来たのには訳がある。

今年の初めに発見されたISの男性操縦者たちだ。

別に見つかるのは構わないんだよ。うん。

でもね世間はちょっと騒ぎすぎだと思うの。

 

特番とかね。もうねテレビはね全部がね操縦者たちの特番をしているんだよ。

そう、全部。この意味わかる?

 

「普通の番組がね・・・無いの・・・」

 

ならネットに逃げればいいだろうって思うでしょ。

ネットもねそのこと一色なのよ・・・。

しかも操縦者たちがイケメン揃い。

あほかっていうぐらいイケメン揃いなんだわ。

 

そのせいでネットはまさしくクリスマス。

女子たちはキャーキャー言って男たちは呪詛を呟く阿鼻叫喚の地獄絵図。

これが修羅か。

 

まぁ、そのせいで俺は暇なんだわ。

漫画とかも家にあるのは全部読んじゃったし。

というわけでDVDでも借りようかと思ったわけ。

 

「なに借りようかなぁ」

 

アニメか洋画か邦画・・・はないな。却下。ダウト。

邦画なんて無かったんだ(錯乱)

そんなこんなで店内をぶらぶらしているといつの間にか特撮のコーナーに来ていた。

 

「うわっ、懐かしいなぁこれ。こっちにもあったのか」

 

その中でも俺は一つの作品に目が入った。

 

「ウルトラマンか・・・」

 

この作品には思い出がある。

 

*****

 

あれは俺が転生する前のことだった。

ちょうど七歳くらいかな。その頃俺は特撮にはまっていたんだわ。

悪い怪人や怪獣をやっつけるヒーロー。

その姿が当時の俺にはものすごくかっこよく見えたんだ。

 

で、俺はそれを真似したんだよ。

要はごっこ遊びだな。

でもそういうのってヒーローだけだと成り立たないだろ。

ヒーローには必ず悪役が必要だったんだ。

そしてその役だったのがヒロちゃんっていう子だったんだ。

 

ヒロちゃんはその年の子供にしては小さい体つきのやつだったんだ。

だからよく虐められた。

その度にヒロちゃんは泣いた。

ヒロちゃんの家と隣同士だった俺は自然と仲良くなっていったんだ。

で、一緒に遊ぶようになったんだ。

 

一緒に遊んでいたある日俺は前々から考えていたウルトラマンごっこをやろうって言ったんだ。

ヒロちゃんはちょっと考えてから「うん」ってちっちゃな声で答えたんだわ。

そこで問題になるのはどっちが怪獣になるのかだった。

ウルトラマンごっこの時ヒロちゃんはいつも怪獣役をかってでた。

そしてバカな俺はその時のヒロちゃんの顔も見ずにただただウルトラマンになれると喜んでいた。

 

その時のヒロちゃんの顔はすこし悲しそうだった。

 

そんなこんなである日俺はヒロちゃん以外のやつとウルトラマンごっこをする時があったんだ

その時俺は初めて怪獣の役をやった。

・・・酷かったよ。ウルトラマン役のやつらはみんなで一斉に怪獣の俺をたたき始めたんだ。

こっちが何度「やめて」って言ってもやめなかったんだ。

その日俺は初めて怪獣の気持ちを知ったんだ。

みんなに殴られながら俺は心の中でヒロちゃんに謝っていた。

 

ようやくごっこ遊びが終わりウルトラマン役のやつらは帰って行った。

残された俺は体中ボロボロだったけどヒロちゃんの家を目指した。

謝りたかったんだ。「今までごめん」って。

そしてどうしてもヒロちゃんにウルトラマンの役をさせたかったんだ。

そうしなきゃ俺の気が済まなかった。

 

ヒロちゃんはいた。その日もいつものように家に居たんだ。

ヒロちゃんはボロボロの俺を見てびっくりしていたよ。「なにがあったの!?」って聞いてきた。

でも俺はそれを無視してヒロちゃんを強引に外に連れ出した。目的地はいつもごっこ遊びをしていた広場だ。

 

「ヒロちゃん・・・今までごめん」

 

俺はヒロちゃんに広場で謝った。今日怪獣の役をしたことや初めてそのつらさを分かったことなんか。

最後は泣きじゃくりながら言葉にならない言葉で謝った。

でも、

 

「ありがとう」

 

ヒロちゃんはどうしようもないくらいバカな俺を許したのだった。

結局ヒロちゃんは最後までウルトラマンの役をやらなかった。

 

最初に行ったように春というのは出会いと別れの季節である。

全国のちびっこどもを熱中させたウルトラマンも例外ではない。

運命の日。一九六七年四月九日、ついに無敵のウルトラマンがある怪獣に倒されるのだった。

その怪獣の名はゼットン。宇宙恐竜ゼットンだったのだ。

そしてそのウルトラマンの後を追うようにヒロちゃんも引っ越していくのだった。

 

これはヒロちゃんが引っ越す前に教えてくれたことなのだが、ヒロちゃんのお父さんはスーツアクターだったらしい。それも怪獣役の。

ヒロちゃんは怪獣の中身が自分のお父さんであることを知っていたのだった。

 

「僕ねお父さんに憧れているんだ」

 

曰く、スーツアクターの仕事はとても危険なことなのだけれども子供たちの笑顔を見れるのならとヒロちゃんのお父さんは積極的にそういう仕事を引き受けていったらしい。

 

「僕ね一度お父さんの仕事を見に行ったんだ。すごかったよ」

 

何度やっても撮り直し。おまけにスーツは熱いうえに臭くて体力も使う。

火薬や爆竹なんかもたくさん使ってとても危なくきつい仕事なのだが、

 

「僕のお父さんは誰よりも輝いていた!」

 

つらいはずなのに、きついはずなのに、自分の姿がテレビに映ることなんて全くないのに、ヒロちゃんのお父さんはスタジオの誰よりも笑顔で一生懸命だったという。

だから、

 

「そんなお父さんがやっている怪獣を憎めるわけないんだよ」

 

そう言ったヒロちゃんの顔は眩しいぐらい輝いていた。

それを見て俺は痛感した。ヒロちゃんこそ真の正義のヒーローだったのだ。

 

*****

 

「きっとあのとき悲しそうな顔をしたのは友達の俺も怪獣よりウルトラマンのほうを選んだからだろうな」

 

今ならヒロちゃんの気持ちが想像できる。

きっとあの時ヒロちゃんはどこか心の奥で俺が怪獣を選んでくれるんじゃないかと期待したのではないだろうか。

 

「・・・悪かったなヒロ。やっぱお前はヒーローだわ」

 

何を持ってヒーローと言うのかは分からない。

でも、間違いなくヒロちゃんはヒーローだったと思う。

だって

 

「ヒロは俺に大事なことを教えてくれたから」

 

”人を見かけで判断するな”すごく簡単なことだけど難しいこと。

それの大切さをヒロちゃんは教えてくれたのだから。

 

「帰るか・・・」

 

ヒロちゃんが最後にやった怪獣はゼットンだった。

そう、最後の最後にヒロちゃんはウルトラマンに勝ったのだった。

ヒロちゃんとの出会いから数十年、果たして俺は真のヒーローになれたのだろうか。

ヒロちゃんのような人物に近ずけたのだろうか。

 

まだ寒さが幾分か残る春。俺はそんなことを思いながらフルハウスのDVDを片手に家に帰るのだった。

 




フ ル ハ ウ ス
フルハウスでお話を書いてみました。
今回の話は主人公の過去の話でした。
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