プロローグ 世界が変わる少し前
ドサリ、段ボールをすべて開き終えて改めて部屋を見わたす。父親は俺が生まれる前に亡くなったと聞き、去年の末に交通事故で母親が亡くなった。住んでいた家は母親が亡くなった時に引き払われ、通ってきた学校も退学を余儀なくされた。引き払われる前日に父の友人を名乗る人物が現れた、鮮やかな赤い髪の青年で、俺の住む場所と転入先の学校……即ち私立駒王学園の転入手続きまで済ませて。
あまり信じたくはないが、この人に頼らない限り俺は野たれ死ぬのを待つだけになる。月に一度生活費が振り込まれると言われ、案内された一人で住むにはやたら広いそうな一軒家見た瞬目が点になったものだ。
「ふぅ……ようやく終わりか、しかし転入先の学園でうまくいくだろうか……と心配したところで何も始まらん」
ラックに飾ってある邪神ライダー・グレートに登場する、邪神ライダー・キングのフィギュアを眺めて、同じ変身ポーズをとる。変身ポーズといっても、かなり奇怪であり。このポーズをファンの間では邪神立ちと呼ばれ、親しまれて? いるらしい。不安は薄れ穏やかな睡魔に意識をゆだねた。
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落ち着け落ち着くんだ、素す……じゃない波も……でもない深呼吸をして落ち着くんだ。転入一日目、ここでボッチになるかどうかは、このファーストインプレッションととっつきやすさで決まる!
ボサボサの白髪をなで、出来るだけ笑顔で、を心がけ教師から呼ばれるのを待つ。
「今日は転入生を紹介するぞ」
教師の声が聞こえたが、次の瞬間生徒たちの歓喜の声が聞こえ軽くビビる。心の中で落ち着けと、呟きながら教室の扉に手をかけ開く。
「お、
自分としては二コリと笑ったはずだが、しかし俺は自分の目つきがかなり悪いということを範疇に入れていなかった。クラスの生徒の反応を見るに、女子はヒッと悲鳴をもらし、男子は男かとため息を吐いていた。そして頭が真っ白になった俺は何を考えたのかあの奇怪なポーズ……邪神立ちをしていた。そう、つまり完全に失敗したのである……。
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昼休み、ボッチが確定した俺にとって、一人で食事を食うという、ある種の地獄を経験していた。思いもよらなかった、一人で誰とも喋らずに、食事をとるなんてのがこんなにつらかったなんて。だが仕方のないことだ、現状に諦めを付け弁当を開けるすると。
「よっす、一緒に飯くわね?」
と声を掛けてきた茶髪の元気そうな少年、確か名前は兵藤一誠といったか? その両隣りには、坊主で野球でもやっていそうな少年松田とメガネの少年元浜がいた。
「あ……あぁ構わないよ」
と返事をすると三人ともサンキュと一言答え、周りの机を俺の机にくっつけて弁当を広げる。
「なぁ、あれ自己紹介でやったやつ。あれって邪神ライダーのポーズじゃなかったか?」
俺はピクリと反応するが、前の高校の時点でちゃんと学習している。いきなり熱弁し始めると高確率で引かれる、だからこそ、しごく冷静に、そしてゆっくりと口を開いた。
「あぁそうだよ、私は邪神ライダーが好きでねあの時は、つい頭が真っ白になってしまってなハハハ……」
「わかるぜその気持ちテンパると何していいかわかんなくなるよな」
「そうそうとくに――――――」
母さん、父さんボッチになったかと思いましたが大丈夫です、俺にもともだちが出来ました!!
こんばんは、邪神立ちの細かい? 描写は後々出ます。