始まりの物語~真実のいばら姫~
はるか昔のこと―
とある王国で王女が生まれた。
王は、祝いの祭りを開いた。
ただ一人の魔女―強い魔力を持つが、悪い魔女だ―を除いた、『アデレード』じゅうの魔女が招待された。
祭りの最中、あの悪い魔女が現れた。
ひどく怒っていた彼女は、生まれたばかりの王女に呪いをかけた。
「糸紡ぎの針に刺され、永遠に眠り続けるだろう!」
その後、美しく成長した王女は、城の塔の最上階にふと迷い込んだ。
そこには、糸紡ぎが置かれていた。
姫は、そっと触れてみた。
「痛っ…、フラフラするわ…」
糸紡ぎの針に指を刺して、そのまま倒れて、眠りについた。
眠りについたのは、姫だけではない。
王も王妃も兵士も料理人も…城じゅうの人も眠りについた。
茨が城を包み、何年も何十年も過ぎた。
「ここか…。噂に聞く城は」
隣の国の勇敢な王子が現れ、茨に覆われた城に入った。
「やーっ!」
行く手を阻む茨を剣で凪ぎ払いつつ、進んでいった。
「これが噂の…美しい…」
塔の最上階にたどり着き、眠っている姫に口づけをした。
姫の眠りを覚ますには、勇敢な王子の口づけをしなければ、ならなかったのだ。
茨は消え、城は長い眠りから覚める…はずだった。
「姫・・・?」
「・・・」
「姫ーっ!」
城の住人は目を覚ましたのに、姫だけは目を覚まさなかった。
「どうして…。姫、目を…目を…」
王子は去り、王と王妃は、悲しみに暮れながら、姫をとある部屋のベットに横たわらせ、毎日様子を見に行った。
「・・・っ・・・・っ・・・」
王も王妃も年を取ったが、姫はいつまでも美しいままだった。
「あの子の・・・幸せな姿を・・・」
「王!」
「・・・あなた・・・あの子はまだ・・・」
「王妃!」
王も王妃も死に、城に仕える者たちも次々姿を消した。
王国は併合され、とうとう城は無人となった。
姫だけを残して…。
良い魔女達は、姫を守るために魔法をかけた。
それは、城を茨で再び閉ざし、永遠の眠り(死)のような状態に姫をすることだった。
しばらくの間、姫を手に入れようとした男が城に侵入しようとした。
結局、見つけることはできず、男たちは茨に刺され、無残な死に方をしたという・・・。
永い時を経て、この姫の存在は伝説となり、真実の物語も忘れられた。
現在語られる物語は、こうだ。
『王子のキスによって、呪いは解け、幸せに暮らしました』
これが今日『眠れる森の美女』や『いばら姫』、『眠り姫』として語られる物語で『アデレード年代記』の記述だ。
今もどこか・・・城の奥深くに眠る王女が・・・いる。