「ナディア、呪いを解く杖は…?」
「この宮殿のどこかにあると聞いてるわ…」
そう言うと、ナディアの姿が消えた。
「ナディア!?」
サヤンが呼びかけてもナディアは現れなかった。
「ナディア…。
…杖を探そう。
彼女の願いだわ…」
そう言うと、ナディアの石像が置かれた入口を抜けた。
部屋の中は、不思議な蒼い光で満たされていた。
部屋の中央には、ガラスの棺が置かれており、その中にはナディアの霊と同じ姿の女性が安置されていた。
『愛するナディア
ここに眠る
どんなに時が経ようとも
この棺の中にいるかぎり
お前の体が朽ちることはない』
そう刻まれていた。
「王子は、あなたのことを本当に愛していたのね…」
サヤンは、永遠の眠りにつくナディアの身体をそっと見つめた。
「……さて、この広い地下宮殿を探さなきゃ……」
サヤンは、まずナディアの霊廟を探した。
物を隠せそうな所を見てみたけれど、見つからない。
「ここじゃないのかしら…?」
次にスノーという女性の石像が置かれた入口を通った。
そこには………何もなかった。
「どうしてこの部屋には何も置かれていないのかしら…」
次は、リリアの石像が置かれた入口を通った。
中には小さなガラス瓶がひとつ置かれていた。
『リリア、なんて気の毒なのだろう
人魚の掟を破って
泡に消えてしまったのだから
私はこの瓶につめよう
お前の見えない心を』
刻まれていた文字を読むと、どこからか人魚の霊が現れた。
「私を呼び覚ましてくれてありがとう…。
私は、ずっとこの場所に縛られていたの…。
フィリップは、私たちの魂を永遠に捕らえようと、魔法の杖で縛ったのよ…」
「そんなの初めて聞いたわ!」
「そうでしょうね…。
あなたはなぜここに…?」
「ナディアに頼まれて、フィリップの呪いを解くために魔法の杖を探してるの…」
「私は、行方を知ってるわ…」
「えっ………!
………それは、どこにあるの!?」
「フフフ…、教えてあげるわ……」
人魚姫は、薄く笑った。
「隠されてるんじゃないのよ。
フィリップが隠し持ってるの」
「フィリップは、今どこに……」
「……そう簡単には会えないわよ」
「…ど…どうすれば…」
人魚姫は、さらに笑った。
「そうね…、…王子が最も愛する人が危機に瀕したとき、彼が現れるわ…。
それだけよ…」
そう言うと、人魚姫の姿は不意に消えた。
(彼女が言うのは、ナディアの棺を壊せということ…。
でも、…ナディアの身体は外気にさらされるとすぐに滅びてしまう…。
どうすれば…)