どこかで聞いたような…」
シグルズの報告書を読んだユリアは、資料室に向かった。
それは、すぐに見つかった。
『黄金の子供の物語』と書かれた本を手に取り、ゆっくりと開いた。
舞台は、サウザリア大陸に広がる
黄金の子供の物語
昔々、
ある日、妻は双子を産みます。
男の子と女の子です。
夫婦は、男の子は『ヘンデル』、女の子は『グレーテル』と名づけました。
4人は、仲睦まじく暮らしていました。
しかし、ある日、木こりの妻は病気で死んでしまいます。
数年後、木こりは隣町の美女・ココと結婚します。
けれども、木こりは、先妻を忘れられず、ヘンデルとグレーテルを溺愛しました。
それを妬んだ継母は、2人を鬼が棲むという
「お兄ちゃん、どうしよう…。
家に帰れないよ…」
「この森には鬼が棲んでいるって聞いたよ。
僕たち、食べられるのかな…?」
「そんなのいやだ!
ねえ、日が暮れる前に森を出ましょうよ」
「そうだね、急ごう!」
2人は、薄暗い森を歩き始めました。
「わっ!」
ヘンデルは、石につまずいてころんでしまいます。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「イタタ…。
……どうしよう。
トゲが刺さっちゃった……」
「誰か来てくれるはずないわよね……」
と、辺りが白い霧に包まれた。
「周りが全然見えないよ…」
しばらくすると、霧が晴れてきた。
しかし、現れたのは薄暗い森ではなく、明るい平原だった。
遠くに見える家から誰かが出てくる。
「お前たちは、どうしたんじゃい?」
「トゲが刺さって…」
「そうかそうか。
わしの家に来なさい。
トゲを抜いてやろう」
2人は、おばあさんの家に入りました。
すると、不思議な香りが立ち込めていました。
「「なんだかくらくらする……」」
2人は、ばったりと倒れました。
…………………………
「………ん………」
ヘンデルは、気がつくと牢屋の中に閉じ込められていました。
「グレーテル!
どこにいるんだい!?」
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同じ頃、グレーテルは、目を覚ましました。
「ヘンデル…?」
「起きたかい?」
声をかけてきたのは、おばあさんでした。
「おばあさん、ヘンデルはどこにいるの!?」
「おばあさんと呼ぶんじゃない!」
穏やかな様子からは、想像もできないくらい、おばあさんは、声を荒げました。
「わしは、この森を統べるココ様じゃ!
お前たちは、わしの森を荒らしおった!
本来なら、お前ももう一人も食ってやるところじゃが、お前を召使いとして生かしてやることにしたのじゃ。
もう一人に会いたければ、地下牢へ行け。
しかし、わしの持つこの鍵がなければ、連れ出すことは出来ぬからな」
ココの言葉を聞いたグレーテルは、急いでヘンデルの元に向かった。
「お兄ちゃん!」
「グレーテル!」
「お兄ちゃん、大変!
あのおばあさん、ヘンデルを食べようとしてるわ!」
「グレーテル、君だけでも逃げるんだ!」
「嫌、お兄ちゃんも一緒よ!」
「ダメだ!」
「私、召使いとして生かされてるの…。
どうにかして、一緒に逃げる方法を見つけるから…」
「わかった。
無理するんじゃないよ…」
こうして、ココの家での生活が始まりました。
…………………………
「グレーテルや、そろそろヘンデルを食らおうと思うのじゃ。
大釜でお湯を沸かしておくれ」
ある日、ココは、グレーテルに言いました。
(お兄ちゃんが食べられちゃう…!
よし…!)
グレーテルは、大釜に水を満たし、火をつけました。
(これが失敗したら…)
30分後、ココは、ヘンデルを連れて戻ってきた。
「グレーテルや、お湯はどうかね?」
「沸いたと思いますが、確かめてみてください」
「そうじゃな、よく煮込みたいからのう」
そう言うと、ココは、釜を覗きこみました。
「えいっ!」
その時、グレーテルは、ココを押したのです。
「アッ!
熱い!
グレーテル、助けておくれ!
グレーテル!」
2人は、ココの最期を見ていました。
ココが息絶えたとき、辺りが歪みました。
「「なっ、何!?」」
視界が白く染まったかと思うと、森の中。
「戻ってきたの…?」
どこからか美しい翅を持つ女性が現れました。
「どうか恐れないで。
私は、この
ヘンデル、グレーテル。
あのココを滅ぼしてくれてありがとう。
あの魔女は、この森に害をなす者だったのです。
あなた方に贈り物をあげましょう」
そう言うと、セレナの手から光の粉がまかれた。
「これであなた方は、邪悪な魔法から守る力を宿しました。
これからも、シルバー・ムーンが起こる時に選ばれし子供にこの力を与えましょう」
セレナは、立ち去ろうとした。
「待って。
私たち、お家に帰りたいの…」
セレナは、微笑んだ。
「そう。
では、魔法で家まで送りましょう。
目をつむって。
私が指をならしたら、目を開けるのよ」
セレナは、指をならした。
「ヘンデル!グレーテル!
無事だったか!」
「「お父さん!」」
継母は、2人を森に遺したあと、姿を消したという。
「これからは、3人で暮らそう」
こうして、3人は仲良く暮らしました。
ユリアは、別の本を見つけた。
『
その本には、ヘンデルとグレーテルの物語から150年後、
イーストリア大陸西部の街・ミランダを邪悪な魔法使いが襲ったとき、
「また…
ユリアは、本を戻した。