童話の闇~Dark Parables~   作:アリス・リリス

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第一話~異変と二つの魂~

―童話探偵連合本部・異変チェックセンター―

 

「おい、ちょっとこれを見てくれ」

 

ウェストリア大陸担当のクラインが画面を指差して言った。

 

「どれどれ…」

 

イーストリア大陸担当のギズーが示された所を見た。

 

そこには、エルディンナの街並みと『シミュレーション(simulation)』と表示されていた。

右上の数字が7になるとエルディンナの街いっぱいに緑色が覆い、赤字で『DANGER(危険)!』と絶えず点滅した。

 

「エルディンナ郊外の城で原因不明の茨の異常成長が続いていて、このままではエルディンナの街が茨で閉ざされる!」

 

「まさか…その城は、『いばら姫』伝説で有名なディウス城!?」

 

サウザリア大陸担当のサヤンが声をかけた。

 

「どうやら、そうみたいだな…サヤン…」

 

ノーサリア大陸担当のイーファがボソリて言った。

 

「もしかしたら、伝説に関係があるのかもしれませんね」

「ユリア様、いらっしゃったのですか!」

 

連合を取りまとめる美女は、部下に命令した。

 

「エルディンナにすぐ派遣できる探偵をすぐに検索!」

 

数分後…

 

「エルディンナから北西に3kmの町・オーディットに住むリエルカという女探偵がすぐに派遣できます!」

 

名簿管理人・ロディが答えた。

 

「ミシェル、リエルカに連絡して、彼女の端末にデータ送信!」

 

「了解です!」

 

―オーディット―

 

リエルカは、自宅で趣味の音楽鑑賞していた。

 

♪ピロピロリン♪

 

机の上に置いてあった端末が鳴った。

 

「もしもし、リエルカです」

「こちら、本部のミシェル。ディウス城にて異変あり。行って、調査せよ。情報は、端末に送信済だ」

 

「今からディウス城へ向かいます!」

 

リエルカは、急いでディウスへ向かった。

 

ディウス城は、茨によって禍々しい姿になっていた。

 

―ディウス城・庭―

 

リエルカは、ゆっくりと足を進めた。

しばらくすると、池にたどり着いた。

 

「取っ手が壊れていて使えないわ…。代わりのものを探さなきゃ」

 

リエルカは、池の右に向かった。

 

すると、囁くような声が聞こえた。

 

 

(…助けて…お願い…)

 

「ぎゃーっ!ゆっ幽霊!?でっ出たー!」

 

リエルカは、叫んで逃げ出そうとした。

 

 

「待って、傷つけるつもりはないの。私の話を聞いて」

一人のドレスを着た美しい女性の姿があった。

 

「私は、ブライア・ローズ。探偵さん、どうか助けて」

 

 

「あなたのことをちゃんと教えてもらわなきゃ、助けられないわ…。あなたは、幽霊なの?」

 

リエルカは、ローズに恐る恐る近づいた。

 

「幽霊ではないわ。魂と言ったところね。私の本当の体は、呪いでこの城のどこかで今も眠り続けているの」

 

ローズの言うとおり、リエルカの手は、ローズの体を通り抜けた。

 

「伝説の姫…なの…?」

ローズは、うなずいて続けた。

 

「彼女は、邪悪な魔女だわ!魔女の魂は、私の眠る体を探しているわ。体を乗っ取り、世界を滅ぼすために…」

 

「どうして今まで何もなかったの…?」

 

「かつては、良い魔女達が体を守るために魔法をかけていたけれど、その力も弱まっているの。邪悪な魔女の魂が活発になっているのを感じるわ。あの魂が体を見つけるまで時間の問題よ…」

 

 

ローズの話を聞き、リエルカは決心した。

 

「ローズ、どうすれば助かるの?」

 

「私の体を目覚めさせて…。いやっ!あいつがやってくる…やめて…!」

 

ローズの姿がフッと消えた。

 

「待って!…消えてしまった…」

 

リエルカは、とりあえず前に進むことにした。

 

 

―王室墓地―

 

墓地には、王と王妃の像と墓があった。

 

「これが…ディウス城のハーシェ王室最後の王…」

 

墓碑に目をやると、

「変ね…。墓標がなくなっているわ」

 

急に誰かの視線を感じた。

 

「!」

 

そこには、赤い羽根の烏がとまっていた。

 

一言、烏が叫んだ。

「オーッホッホ!あたくしを止めることは出来なくてよ!」

 

そう言ったかと思うと、烏は飛び立っていた。

 

 

「あれが邪悪な魔女の魂なの…?急がなきゃ…」

 

リエルカは、墓地の先にある塔を目指した。

 

「ここに取っ手の代わりになりそうなものはないかしら…」

 

足元を見ると、取っ手が落ちていた。

 

「これで、あの扉の先に行ける!」

 

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