湖のほとりには、霧の王国へと向かう橋がかかっていた。
(ここを渡れば、霧の王国…か)
ハインリヒは、ゆっくりと霧の王国に向かって歩き始めた。
数分で霧の王国の広場にたどり着いた。
(この国の掲示板だ…。
日付は、約500年前のもの…。
何があったんだ…?)
宮殿の入口に目をやった。
かろうじて何かが見える。
(赤ずきん姉妹団の姿だ!)
姉妹団を乗せた荷車を追っていった。
荷車が宮殿に入ると、城門は固く閉ざされた。
(はっ!誰かの視線!)
見上げると、塔の上に立つ女性がこちらを見ている。
女性は、薄笑いすると、たちまち黒い霧に包まれ消えてしまった。
(あれが“狼の女王”か?
だが、宮殿に入らねば…)
ハインリヒは、城下町に向かった。
城下町の広場には、住民だろうか、いくつもの人骨があった。
ハインリヒは、まず酒場に入った。
もちろん、中には人骨が。
テーブルには、メモが置かれていた。
《黒い霧が街を襲ってくる。
人々は、次々と倒れていく…。
私も死を覚悟している…》
(霧の王国の最期か…。
いったい何があったのだろう?)
カウンターを見ると、何かが書かれている紙切れが置かれている。
(この古代文字には、見覚えがある…。
ファリアン語だ…。
何か鍵になるかもしれない)
ハインリヒは、その紙切れをしまった。
外に出てると、酒場の上の部屋から灯りが漏れているのが見えた。
(誰かいるのか…?)
部屋に入ると、男が短剣を持って、襲いかかってきた。
ハインリヒは、とっさにローブを見せた。
「待て!
赤ずきん姉妹団のローブを持っているが、姉妹団の者じゃないな」
「私は、ハインリヒ・フォン・ディアナ。
童話探偵連合より派遣された探偵だ!
そなたの名は?」
「私は、ラファエル、ファリアン族の狩人だ。
かつてファリアン族は、この王国の支配者を守護してきたのだが、王国が滅びたとき、私の祖先のほとんどが運命を共にしてしまった。
私は、その生き残りの一人だ」
「ラファエル、なぜここに?」
「私の幼なじみのエルドラを探しているんだ。
彼女は、若くして“赤ずきん姉妹団”に入団して、戦士となる訓練を受けていた。
しかし、入団してから彼女の姿を見た者はほとんどいない…。
狼の女王に囚われていると聞き、ここまで来たのだ」
「ならば、目的は一緒だな…。
私の任務は、狼の女王の確保と赤ずきん姉妹団の救出なんだ。
協力してくれないか?」
「もちろんだ」
「先ほど、赤ずきん姉妹団が宮殿に運ばれていくのをみたのだが…。
突入できそうもなくて…」
「よし、付いてこい。
ファリアン族だけが知る入口があるんだ」