童話の闇~Dark Parables~   作:アリス・リリス

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第五話~脱出、そして捜索~

ラファエルに連れられ、ハインリヒは宮殿の内部に突入した。

 

「ここが中庭だ…。

ここからは、手分けして探そう」

 

「ああ…」

 

 

 

ラファエルは玉座の間に続く回廊へ

ハインリヒは大広間に向かう回廊へとそれぞれ分かれた。

 

 

「…趣味の悪い飾りつけだな…。

 

それに、当時貴重だった光水晶(クリスタル・ライト)が照明として、ふんだんに使われている…。

 

これでは、(たみ)から不評を買うな…」

 

 

自らも爵位を持つハインリヒは、宮殿の内装を見て、すぐにそう感じた。

 

それほどまでに豪華絢爛な内装なのだ。

 

 

 

 

 

 

大広間にもいくつかの人骨があった。

 

 

カーテンで隠れている何かを見つけた。

 

 

(……………!)

 

 

それは、女性の死体。

それもまだ死んでから時間がたっていない。

 

 

近寄ってみると、赤ずきん姉妹団の制服を着ている。

 

 

「…『テレサ』…。

彼女が赤ずきん姉妹団の長姉(リーダー)か!

 

 

ルースに伝えなければ…!」

 

 

 

 

「ハインリヒ!

姉妹団を見つけた!」

 

 

ラファエルがハインリヒに呼びかけた。

 

 

「この鍵を開けられるか?」

 

「試してみよう」

 

 

ハインリヒは、ネクタイピンを使い、ピッキングを試みた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………カチッ

 

 

「よしっ、開いた!」

 

ラファエルは、中にいた赤ずきん姉妹団に呼びかけた。

 

「急いで逃げるんだ!」

 

両側から黒髪が垂れる女性が立ち上がった。

 

 

「それはできないわ。

みんな拷問を受けて、弱りきっているの…。

 

それに、門を通れば、狼の気を引いてしまうわ。

 

 

宮殿のどこかにポータルがあるの。

狼の女王が奇襲の時に使ったものと同じものよ。

それを使えば、狼に気づかれずに脱出できるはずよ」

 

 

「わかった。

ところで、エルドラは…?」

 

「ここにはいないわ…。

もしかしたら、私たちが捕まる前に狼の女王によって拷問を受けていたのかもしれないわ」

 

「よし、ハインリヒ。

私は、エルドラを探してくる。

ポータルの捜索を頼む」

 

「わかった。

気をつけるんだぞ」

 

 

ラファエルは、再び宮殿の奥に向かった。

 

 

「ポータルがどの辺にあるか、わかるか?」

 

「誰か見た人はいない?」

 

 

すると、一人が手をあげた。

 

「立てるかい?」

「ええ、大丈夫よ。

私は、シエラ。

よろしく。

みんな、付いてきて!」

 

 

シエラは、ハインリヒを連れてロビーに向かった。

 

 

 

「ここよ」

 

 

そこには大きな鏡。

写し出されているのは、ルースと出会った場所。

 

「みんな、飛び込むのよ!」

 

 

次々と赤ずきん姉妹団が飛び込んでいく。

 

 

ハインリヒも続けて飛び込んだ。

 

 

「―――はっ!」

 

 

ポータルの出口にルースが立っていた。

 

 

「みんな……よかった!」

 

「ルース、独りにしてごめんなさい」

 

ルースと他の姉妹は、互いを抱きしめていた。

 

 

「………ところで、テレサは………?」

 

「………テレサはもう………」

 

ハインリヒがテレサについて口にしかけたとき

 

 

「………ポータルを閉じるなら、今だ!」

 

 

ラファエルの腕の中にぐったりとした姉妹団の一人がいた。

 

 

 

ハインリヒは、自らの魔力を使い、ポータルを閉じた。

 

 

 

「エルドラ!エルドラ!」

 

「………ん………」

 

 

エルドラと呼ばれる女性は、ゆっくりと目を開いた。

 

 

「…………狼の女王は、強大な魔力の持ち主よ……。

彼女は、ムーンストーンを使って、世界を闇で永遠に閉ざそうとしているわ。

 

 

…“月のエッセンス”を使えば、その野望を阻止できるの…。

 

この森のどこかに月の神殿があって、そこに保管されていると聞いているわ…」

 

 

「そうか…。

それがあれば、全てが解決するんだな?」

 

「ええ、そうです」

 

エルドラが頷く。

 

「よし、手分けして探そう!」

 

 

ハインリヒやラファエル、赤ずきん姉妹団は、森に散った。

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!入口だわ!」

 

団員の一人が声をあげた。

 

 

ハインリヒが草を掻き分けると、地下に続く階段があった。

 

 

 

「…入るぞ」

 

ラファエルが先頭に立ち、地下神殿へと向かった。

 

 

 

神殿の中には、月の女神の像が立っていた。

 

 

「エルドラ、どこに“月のエッセンス”があるのか…?」

 

ラファエルは、エルドラに尋ねる。

 

「…わからないわ…。

元々、この神殿は長姉(リーダー)だけが入ることを許された場所よ。

だから、“月のエッセンス”がどこに隠されているかわからないわ」

 

「ハインリヒ、どこか怪しい場所はないか?」

 

「直感だが…」

 

 

ハインリヒは、月の女神の像の台座に触れた。

 

すると、台座が光輝き、引き出しが現れた。

 

 

 

「“月のエッセンス”……!」

 

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