童話の闇~Dark Parables~   作:アリス・リリス

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―霧の王国の物語―

昔々、霧に包まれた谷の中に湖がありました。

 

その湖上には、豪華な宮殿が建っておりました。

 

その国王・オードン4世は、莫大な富を手に入れるためにあらゆることをしていたそうです。

そのため、“欲張り王”とあだ名されました。

 

ある日、王は、伝説の宝“狼のオーブ”の存在を知ります。

 

 

―“狼のオーブ”を見つけし者は、国王に献上せよ―

 

 

 

 

「今月は、三回もいたずらをしたな!

今日こそは、許さんぞ!」

 

 

霧の王国に住むいたずら好きの男の子は、地下室に閉じ込められます。

 

 

「チェッ…、今日は大人しくしよう…」

 

 

少年は、地下室で大人しくしていました。

 

 

ガタガタ………

 

 

上で物音がします。

 

 

(なんだろう……)

 

 

少年は、閂を開けて、上の階に顔を出しました。

 

扉の上には家具が置かれていました。

 

かろうじて見える部屋の様子。

 

 

兵士の足が右に見えます。

 

「“狼のオーブ”はどこだ!?

オーブを出すのだ!」

 

 

(あれは、オードン4世!

どうして僕の家に!?)

 

 

「逃げろ…助けを…」

 

父親は、床に倒れていたのです。

 

(お父さん!)

 

少年は、目の前に落ちていた鍵を持って、そっと地下室に降りました。

 

(欲張り王は、“狼のオーブ”を探してる………。

僕の家にあるのかな…?

 

あるなら、欲張り王の手に渡さないようにしなきゃ!)

 

 

少年は、“狼のオーブ”を探し始めます。

 

 

 

 

 

 

 

 

トクン…トクン…

 

ある箱の中で何かが光瞬いています。

 

少年は、ゆっくり箱を開けました。

 

中には丸い石板。

少年は、“狼のオーブ”だと直感でわかった。

 

(オーブを見つけた!

あとは、助けを求めないと!

確かここに隠し扉があるんだよね)

 

 

少年は、本棚をずらす。

 

すると、隠し扉が現れました。

 

少年は、鍵を使い、家から脱出。

 

 

 

 

 

(家の前も兵士に囲われてる!

どうしよう…。

とりあえず、助けを求めないと…)

 

 

少年は、急いで市場に向かいました。

 

しかし、市場の入口にも兵士が立っています。

 

 

 

(どうしよう…。

あっ、あそこに砲台がある。

お城に何かがあれば、いなくなるかも…)

 

 

少年は、砲台に登り、火を付けます。

 

 

 

 

ドーン!

 

 

 

砲丸は、宮殿めがけて飛んでいき、見事命中!

 

 

「はっ!

城から煙が上がっている!」

 

「城に戻らねば!」

 

 

少年は、影に隠れて、やり過ごしました。

 

 

「大変だ!大変だ!

“欲張り王”が僕のお父さんを………」

 

「嘘つき小僧め!

もう騙されないぞ!」

 

 

少年は、市場から追い出されてしまいました。

 

 

 

(………どうしよう………)

 

 

(……………!)

 

「えっ?」

 

 

少年の耳にかすかな声が聞こえた。

 

(……こちらに……おいで……)

 

 

 

少年は、声のする方に向かった。

 

 

「なんだか、暗くなってきたなぁ…」

 

 

 

そこは、魔女が住むというコテージ。

 

 

「僕を呼んだのは誰?」

「私よ」

 

近くの池から美しい女性が現れた。

 

 

彼女は、人魚だった。

 

 

 

「困っているのよね?

私を解放してくれるなら、助けてあげるわ」

 

「…ど…どうやって……?」

 

「そうね……、結界を解いてちょうだい」

 

 

人魚の指差した先を見ると、小さな岩が置かれていた。

 

何かが刻まれている。

 

 

「これをこうすればいいのかな………?」

 

少年が溝をなぞると、岩が光輝いた。

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとう、あなたにこれをあげるわ」

 

 

人魚は、オーブとポーションを渡した。

 

 

「“眠りのポーション”と“生命のポーション”よ。

使い方は、きっとわかるわ」

 

 

そう言うと、人魚の姿は消えていた。

 

 

(とりあえず、お父さんの所に戻ろう!)

 

少年は、急いで来た道を戻った。

 

王様の姿はない。

 

(はっ、見張りの兵が…。

どうしよう……。

わかった!)

 

 

“眠りのオーブ”を兵の足元に置いた。

 

 

 

Zzz…

 

 

兵は、眠ってしまった。

 

 

(今だ!)

 

 

少年は、“生命のポーション”を父親の口に含ませた。

 

 

 

「…おお、息子よ!

オーブは、無事か?」

 

 

少年がオーブを渡そうとしたとき

 

 

 

「よくも私の宝を!

オーブを渡せ!

これは、命令だ!」

 

 

欲張り王が怒鳴り散らした。

 

 

少年は、大人しく渡そうとした。

 

 

王様は、オーブに触れようとした。

 

 

 

「うっ……。

おのれ…、お前とオーブは結びついてしまっている………!

つまり、お前しかオーブの力を使えない。

 

 

私のために力を使ってくれるなら、お前と父親の命は救ってやろう。

 

 

 

近衛兵よ、この小さな客人を城に連れてけ!」

 

 

少年と父親は、兵士に誘導されつつ、城に向かった。

 

 

 

父親は、こっそりペットのグリフォンの枷を解いていた。

 

 

 

 

―霧の王国・王城―

 

 

 

「さあ、私のためにポータルを開くのだ!」

 

 

オードン4世は、大声で叫んだ。

 

 

 

玉座には、オーブがぴったりはまる窪みがついている。

 

 

 

(息子よ、今は言う通りにするのだ…)

 

少年は、オーブを窪みにはめた。

 

 

すると、ポータルが開かれた。

 

 

「はははっ!

宝は、すべて私のものだ!」

 

 

オードン4世は、ポータルの前に立った。

 

 

しかし…

 

 

グルルッ!

 

 

向こう側の世界から狼の群れが流れ込んだ。

 

 

ピュルルルル…!

 

 

父親が笛を吹くと、グリフォンが現れた。

 

 

「脱出するぞ!」

 

 

 

二人は、グリフォンにまたがった。

 

 

 

「なっなんだ…?

やめてくれー!」

 

 

オードン4世の断末魔が響き渡った。

 

 

 

「ほら、見るのだ。

これが欲張りな者のたどる末路だ」

 

 

霧の王国が湖の底に消えていくのが見えた。

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