目を開くと、墓所にいた。
「みんな…大丈夫かしら…」
転移する前に見た魔女の姿が目に浮かんできた。
「…セーラみたいに…なってないよね…」
すぐに頭を振って嫌なイメージを振り払い、魔女の言葉を思い出した。
欠けていた墓標を嵌め込むと、
ゴゴゴ…
地中から地下へ繋がる階段が現れた。
リエルカは、ゆっくりと階段を降りた。
地下には門があった。
門の脇にはランタンがあり、白薔薇と黒薔薇の模様が浮かんでいた。
リエルカが蜜を振りかけると、
ゴゴゴ…
奥へと通じる道が開かれた。
「この奥にローズが…」
一歩ずつ、足を踏み出した。
しばらく歩くと、小さな部屋にたどり着いた。
部屋の片隅には小さな機械が置かれていた。
そして、天蓋のあるベッドがあった。
レースが覆っていた。
リエルカは、レースを指で拭うと、そこには眠る美しい女性がいた。
「助けを求めていたあの霊と同じだわ…」
リエルカは、再びレースを閉ざした。
次に小さな機械に向かった。
「ローズポーション…。魔女に貰ったこの2つの薔薇を入れればいいのね」
リエルカは、薔薇を機械に入れた。
しばらくすると、機械が開き、ボトルが現れた。
「フフフ…ここまでご苦労様…。あとは、この私に全てを任せなさい…」
声がした方向を見た。
そこには、ホンファの姿があった。
「ホンファ、どうして…?」
「なんとか命を繋ぎ止めたのよ…。さあ、それを渡して…」
ホンファの目を見たリエルカの目が人形のような目になっていた。
操られるかのように一歩一歩ホンファに向かって歩いた。
「リエルカ…だめよ!それは、ロザンダよ!」
リエルカの耳には誰かの声が届いていた。
それでもリエルカは、止まらなかった。
「リエルカ、ダメ!」
フッと、リエルカの動きが止まった。
「どうしたの?さあ、早く」
ホンファがポーションに手を伸ばした。
リエルカは、ホンファの手を押さえた。
「…じゃない…」
「!?」
リエルカは、大きな声で再び言った。
「あなたは、ホンファじゃない!」
すると、ホンファの顔が歪んだ。
「知られてしまったか…」
ホンファの姿が溶けるように消え、ロザンダの姿が現れた。
「もう少しで、ローズの体が手に入るところだったのに…。どこまでも邪魔をするのね!」
ロザンダの顔がニヤリと笑った。
「でも、いい。お前の体を乗っ取り、ローズを目覚めさせる。そして、ローズの体を
ロザンダの手から黒魔法が放たれた。
(もう…ダメ…)
リエルカは、目をつむった。
「なぜだ!?なぜ、効かない!?」
苛立ったようなロザンダの声でリエルカの目は開いた。
リエルカの指が熱くなっているのに気づいた。
そこは、セーラが手当した場所。
(セーラの魔力が流れてくる。セーラの魔法が…使える!)
リエルカは、指を差し出した。
「ロザンダ!今こそ、お前が完全に死ぬときよ!」
「おのれ…」
リエルカの指から全てを浄化する光が
ロザンダの杖から全てを闇に染める魔法が
放たれた。
両者は、均衡していたが、次第にリエルカが押され始めた。
(そんな…。いえ、諦めない、諦めるわけにはいかない!)
強く念じたとき、光がロザンダを飲み込んだ。
「そんな…この小娘に…倒され…」
ロザンダの姿は消えた。
「終わったの?全て…」
リエルカには立つのも限界だった。
ふらふらしながら、ローズの体に近寄り、ローズポーションを口にふくませた。
ローズの顔が次第に赤みを帯び、
「ありがとうございました、リエルカさん。あのロザンダを倒し、私が目覚めたおかげで、もう二度と復活することはありません。セーラ」
「はい、ローズ様」
「セーラさん!大丈夫なの?」
「ええ、リエルカ。ありがとう、あなたのおかげよ」
「セーラ、リエルカさんを送ってあげなさい」
「わかりました、いらっしゃい、リエルカ」
「さようなら!」