昔々、サウザリアのトルニア王国にフィリップという美しい王子がおりました。
王子は、誰にでも優しく、聡明で国民は皆、彼を王にと望みました。
しかし、フィリップの継母にあたるお妃様は、自分の息子を王位につけようとしました。
お妃様は、魔女でもあったのです。
王子は、カエルの姿に変えられ、城を追われました。
そして、たどり着いたのが、ハーシェ家の別荘でした。
「ナディア様、ローズ様、お食事ができました」
「「はーい、今行きます!」」
二人の少女が屋敷に入っていくのが見えました。
カエルの王子は、ナディアに一目惚れをしました。
(何とかして、近づきたい…)
カエルの王子は、屋敷の前の噴水に身を寄せるようになりました。
ある日、ナディアが一人で噴水にやって来ます。
「ナディアさん、ナディアさん」
「まぁ、なぜ私の名前を?」
「そう呼ばれているのを聞いたからです。
私は、フィリップ。
トルニア王国の王子です」
「どうしてカエルの姿なの?」
「魔法で姿を変えられたのです。
元の姿に戻るには、自分が恋した女性とキスをしなければならないのです…。
国を追われてから、さ迷い続け、あなたに一目惚れしました。
お願いです…」
ナディアは、王子がかわいそうに思え、キスをしました。
すると、たちまち王子は人間の姿を取り戻しました。
ナディアは、フィリップを見て、すぐに好きになりました。
そのままナディアは、屋敷に案内します。
「ナディア様、その方は…?」
「この人は、フィリップ様。
トルニア王国の第一王子だそうよ。
……もっとも、王位を狙う者に国を追われたそうだけど」
月日は流れ、ナディアの休暇が終わり、ウェストリアに帰る日が来ました。
「おお、ナディア、ローズ!
美しくなったのう!」
「二人とも素敵な
ナディアの両親が二人を迎えに来ました。
この時、ナディアとフィリップは、ナディアの父親に結婚の許しを請いました。
「ならん!
私は決して許さぬ!
ナディア、お前にはフランツという
その身分も知れぬ男に心奪われるとはな!
次期女王となるお前がこんなことを仕出かすとは失望したよ!
ナディア、その男と別れろ、今すぐにだ!」
「嫌よ!
フランツなんて、大嫌い!
あんなひどい人…、
たとえ政略結婚でもごめんだわ!」
「………そうか。
…なら、絶縁だ。
お前の名は、我がハーシェ家の系図より永久に削除する。
どこへでも行け」
「あなた!」
「お父様!」
「もうお前の父親でない!
さっさと出てけ!
この汚らわしい者め!」
「……わかりました。
身支度を整えて、この屋敷を出ます……」
ナディアは、自室に戻った。
「ナディア、ごめん…」
「フィリップ…いいのよ。
でも、どこに…」
「僕の祖母の城に来ればいいよ…」
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「ご両親にお別れの挨拶はしなくていいのかい?」
夜、ナディアとフィリップは、屋敷を出た。
(さようなら…私の…)
感傷にひたっていた。
「ナディアお姉さま!」
「ローズ!
どうしたの?」
「お姉さま、これを持っていって」
ローズは、ペンダントを持っていた。
「これ…いいの?」
「ええ。
お姉さま…さようなら」
「ローズ、また逢えるといいわね…」
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城に着くと、すぐに結婚式を挙げました。
ナディアとフィリップの幸せは、永遠に続くと思われました。
ある日、ナディアは重い病気にかかります。
たった数日でナディアは、衰弱してしまいます。
「フィリップ…、こんな私でも愛してくれるの…?」
「もちろんだとも…」
「ねぇ、フィリップ…。
私を抱きしめて…」
「ああ…」
フィリップは、ナディアの体を抱きしめた。
「温かい…」
「ナディア…」
これが二人の交わした最後の言葉でした。
「ナディア?」
「……………」
「嘘だろ!?」
フィリップは、ナディアのなきがらを強く抱きしめました。
愛するナディアのために霊廟を作りました。
そして、その前で泣き続けました。
気がつくと、カエルの姿になっていました。
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フィリップにかけられた魔法は、
カエルと人間の姿を行ったり来たりして、永遠に生き続けなければならないものだったのです。
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同じ頃、ノーサリアからスノーが森に逃げ込みます。
スノーは、サラデナの森に住む小人の家に泊めてもらいます。
けれど、スノーの継母はサラデナの森にやってきて、彼女に毒リンゴを食べさせます。
スノーは死んだように動かなくなりました。
小人達は、スノーをガラスの棺に入れ、順々に守りました。
その様子を見ていたカエルの王子は、驚きます。
彼女は、王子の許嫁だったのです。
そして、二人は初めて会ったときから引かれあっていました。
王子は、小人に訳を話しました。
王子は、スノーにキスをするチャンスを得ました。
すると、どうでしょう、スノーは目を覚まし、フィリップは元の姿に戻ります。
二人は、結婚します。
二人の間には、息子が生まれます。
しかし、二人は別れます。
再び愛する人を失ったフィリップは、再びカエルの姿に戻ります。
そうしてフィリップは、カエルと人間の姿を繰り返し、永い時を過ごすことになったのです。