「ハァ~」
ため息をつくと自分のオフィスのドアを閉め考えていた。
前世では確かに独身だった・・・だが現実は起きてみれば自分の隣にパジャマ姿で寝ている妻が居る。どう考えてもアレの差金としか思えなかった。確かに葵とは前世ではとても親しい、友達以上恋人未満の間柄だったのは覚えているがいくらなんでも・・・と考えているところへ
「失礼します。榎本三尉入ります。」
どうやら俺の部下らしい。
「で、要件はなんだ榎本三尉?」
尋ねると
「ハイ、この書類に確認の印鑑をお願いします。」
そう言われたので書類に目を通し印鑑を押す
「確認、ありがとうございました。」
榎本三尉は書類を見て印鑑が押されているかを確認し出て行った。この世界での自衛隊は妙に装備がいい・・普通科連隊にせよ特殊部隊にせよ。そして自分の肩書きも・・デスクに置かれているそれをまじまじと見る。
「特殊作戦群第一中隊、中隊長補佐兼第一小隊・小隊長」
と書かれている。自分は果たしてそれほど優秀なのか・・・・・?疑問は絶えない。休憩時に朝掛かってきた電話番号をリダイヤルすると・・・3コールぐらいでつながった。
「もしもし、聞こえる?」
「ええ、バッジりですよ」
やっぱり神様に繋がった・・・これほんとに携帯か?ww
「俺の肩書きと言い、朝の葵の事といい全部アンタの差金か?」
「ええ、最も葵さんに至っては前世のあなたの葬儀にわざわざ参列するためにすっ飛んできて、あなたの柩のにしがみついて大泣きしていたんですから、貴方に想いを伝える前に貴方は逝ってしまった・・やりきれない思いと、責任をこちらとしても感じていました。」
その事を聞くと、俺としても葵をないがしろには出来ないし心が痛かった。更に衝撃の事実を俺は知ることになった。
「ほんとは、貴方にこの事実は伏せようかとも思ったんですが・・ここまで話すとそうもいかないようですから話します。・・・・葵さんは貴方の部隊葬儀が終了した後、間もなくに交通事後で他界してるんです。事故で貴方が逝った後、貴方との思い出を自転車で巡っていたいた時に・・・」
「なっ!!・・・・・・・・・・・」
神様の一言に俺は凍りついてしまった。・・・葵が死んでる・・・・
「なぁ、つまり葵も・・・・・・」
「ハイ、ただし彼女は貴方の傍に居たいと言ったため貴方と同じ世界に転生させました。その際私が貴方の意識定着時間をいじりあなたよりも先に葵さんの意識を定着させ夫婦にしました。」
その話を聞く限り俺よりも先に葵の意識が先に定着し、少し後に俺の意識が定着したということ・・・らしい。
「つまり葵には前世の記憶があると言いたいのか?」
電話越しに神に言うと
「ええ、そうです。彼女はすべての記憶があります。前世での、そして貴方に対する想いもそのままに。でも彼女に一箇所だけ変えた所があるといえば、彼女が秀才な才女で貴方と同等のレベルの最精鋭自衛官になるために必要なスキルを彼女に与えたぐらいです。」
その話を聞いた俺としては彼女を大切にしないといけないと思い始めていた。前世でもよくよく思えば彼女は積極的にアプローチしてきていたのだから。
「分かった、教えてくれてありがとう。」
そう言い俺は携帯の電源を切る。その後昼食を幹部食堂でとり午後からは明日行う予定の演習に向け武器の確認に来ていた。
「{前世の特殊作戦群は基本がM4かHk416ハンドガンはUSPか9mm拳銃だったがなぁ}」
そう思いながら武器庫を見ている大多数の武器があった。午後からは武器陸曹の連中を手伝い弾薬の輸送を行い武器庫に弾薬を詰め込んだ。
一日が終わり車を止めている駐車場に行くと既に葵が待っていた。
「今日一日お疲れ様。」
葵からのねぎらいの言葉に
「ありがとう、葵」
なぜか素直にこの言葉が出た。その後自宅に帰ると
「葵、今日は俺が料理するから待ってて」
独身時代に叩き込まれた、料理を作り葵の待つダイニングに持っていく。
「うわ~、美味しそう。優希これどこで習ったの?」
と聞かれ此処で俺は言った。
「前世で上官から叩き込まれていたんだ」
そう言うと
「ツッ」
葵が反応を見せ
「優希は知ってるんだね、私の正体・・・・」
葵は肩を落とすが
「謝るのは俺のほうだ、あの時葵の気持ちに気付いてやれずに・・・」
俺から謝る。すると葵は写真立てを持ってくる。そこには結婚式の時の写真が載っていた、制服姿の俺と横に葵が腕を組みんだ写真が・・・
「今からでも、頑張って本物の夫婦になろ?こんな形になったちゃったけど・・私貴方の事が好きよ」
葵は俺に抱きついてくる・・それに対し俺も葵を抱きしめ返す。そして
「俺なりに葵を大事にしてくよ・・」
葵に言い彼女も深く頷いたのだった。それから俺達は前世の話で盛り上がりながら夕食をとった。すると
「そういえばさぁ、私が転生する時この鍵が必要になるときが来るって言ってたけど中身はなに?」
葵に言われ
「あれ?聞いてなかったのか?俺の時は既に中身は知ってるって聞いたが・・そうだな確認しとくか」
そう言い
俺も鍵を取り出し地下室に向かった。地下室に行くと大きな倉庫みたいなのが二つあった。俺が左葵が右と鍵を刺し回すと中身は
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
二人して固まり
「ねぇ、優希この武器ってさぁ普通保有禁止だよね・・・」
葵が武器を見ながら言い
「ああ、そうだな基本武器は日本では散弾銃や狙撃用ライフルまでで尚且つ装弾数はチャンバーに一発入った状態にしても二発計3発までしか入らないんだ。それに
5.56mm弾の使用する武器は原則保有禁止つまり俺達は立派な法律違反を犯している事に成る。」
それもそのはずである。なんでM4に89式を始めとしショットガンに至ってはM37ライアットやM1100、M870狙撃用にSR25、M1A1、M24SWS、M40、PSG-1などここにある殆どのものが違法であった。・・・
「全く、まいったわね。あの神様には」
葵が笑いながら言い
「全くだ、これ見つかったら一発で俺も葵も免職&ムショ送りだな」
と言うが葵は
「優希とだったらどこでも一緒に行くよ!」
と笑顔で言ってくれた。そして同じ要領で右のロッカーを開けると弾薬が満載状態であった。
「これなら戦争ができるぞ・・・・・」
「本当にこれ何に使うんだろうね?」
葵も言い首をかしげていた。とその中にダンボールがあり葵が開けると
「これMREよ・・・」
「どれどれ。」
俺もいくつかの箱を開けるとMREが入っていた。それと一緒に手紙も
「拝啓、秋山御夫妻へ
私のミスによ貴方の命をうばってしまった事をここに謝罪しここにこの大量の物資を送ります。遠くないその時、この武器、この弾薬、食料が必要になる時が来ます。ですのでどうか大切にしその困難を切り抜けてください。そしてお二人のお幸せをお祈り致します。」
そう書かれていた。
「粋な真似してくれるな、あの神様」
「ええ、私は自分の不注意で死んじゃったけど転生してこうして貴方の隣にいられるこれでもう満足、幸せだよ」
葵は言い
「とりあえずこの武器に関しては封印だね、そのときが来るまでは・・」
「ああ、そうだな」
そう言い俺も葵も武器、弾薬、食料を中に戻し再度鍵をかけた。そして地下室からダイニングに戻り、夕食をとり、お風呂を済ませると朝と同じように寝室に行くするともう葵が寝る支度を整えていた。
「あ、湯加減どうだった?」
「ぜんぜん、ちょうどいい感じになっていたよ。」
そう答えると俺も布団に入る。
「おやすみ・・・」
葵の声を聞きながら俺は眠りに落ちていくのだった・・・