綺麗な夜空の下、桜色と金色の閃光が何回も当たり、弾けている。
「やあっ!!」
「くっ!・・はあぁっ!!」
見上げる僕の目には、スピードを生かした戦術で接近戦が苦手であるなのはを
追い込むフェイトさんが見えた。
しかし、なのはもただ押されるだけじゃなく、不利と分かった途端に距離をとった。
「ディバインシューター!!」
牽制に魔力弾を撃つなのは。
フェイトさんは軽く避けるが、追尾機能を持つ弾になのはとの距離を詰められないでいた。
「くっ・・・・・このぉっ!!」
避けても埒が明かないと思ったフェイトさんは、追いかけてくる弾を切り裂いた。
その隙に、なのははデバイスをフェイトさんに向け
「ディバインバスター!」
以前、未完成だった技を放った。
以前と違う点は、戦闘継続時間を延ばすため威力を落とし、短い時間で撃てるようにしたところ。
たった数日でここまで進歩できる能力を持つ人を見たのは、久しぶりだし稀だ。
しかし、フェイトさんはその攻撃を読んでいたらしく、さっきよりも速い高速移動魔法を
使って回避し、反撃してきた
「フォトンランサー・・・・ファイア!!」
いくつもの金色の魔力弾がなのはに向かって飛来した
「く・・・・・・・・」
とっさにプロテクションで防ぐが、その隙にフェイトさんが再び接近してきた
「やあああああっ!!」
何とか、フェイトさんの一撃を防いだなのは。
そのまま、再び一進一退の攻防が続いたが、突然、フェイトさんが距離をとった
「はぁっ・・・はぁっ・・流石だねフェイトちゃん・・・」
「なのはこそ・・・あの一撃を防ぐなんて・・・・」
どうやら、フェイトさんの予想以上になのはが耐えるので、体力がなくなってきたらしい。
そんな9歳の女の子がする戦いとは思えないものを見守っていると、
「へぇ~・・・すごいなあの二人。ここまで出来るなんて」
軽い調子の声が聞こえ、声がしたほうに目を向けると
「Ωッ・・・・・・」
Ωが楽しそうに空中であぐらを掻いて座っていた。
「やっほ~。こんばんわ、オリジナル」
「Ω・・・・手出しする気か?手を出すって言うなら、この場で殺す」
Ωを睨みつけながら銃口を向けると、オーバーにのけぞった
「ストップストップ!そんなことしないって。こーんな楽しいゲームをしているんだ、
水差すなんて勿体無い。僕はここで観戦するだけだよ。
それに・・・・今ここで僕と戦ったら、あの二人もこの世界も無事じゃすまないよ?」
「ちっ・・・・・・・・・・」
Ωに尤もなことを言われ、僕は大人しく引き下がった
Ωはどこからか取り出したポップコーンを食べながら、二人の戦いを見ていた。
視線を戻すと、どうやら決着が付きそうだった
二人は、離れた位置に留まり魔力をチャージしていた
「ディバインバスター!!」
「サンダースマッシャー!!」
お互いに大技を放ち、撃ち合いの状態になった
「うぅっ・・・・・・・・・・」
「えーーーーーーーい!!」
しかし、威力ではなのはの方が上らしく、徐々にフェイトさんが押されてはじめた
その時、
「今!!」
「え?」
フェイトさんは砲撃を止め、高速移動魔法を使いなのはの真上に移動した
突然のことになのはは対応できず、棒立ちの状態になっていた
そして
「・・・・・負・・・・・け?」
「・・・・・・・・私の勝ち・・・みたいだね」
なのはの首にフェイトさんのデバイスの刃が当てられ、勝負が付いた。
レイジングハートからジュエルシードが出てきて、フェイトさんのデバイスに吸い込まれた。
「んん~・・・はぁ~~、楽しかった」
Ωは大きく伸びをして、その場から立ち去ろうとしていた
「珍しいな・・・何もせずに行くなんて」
「ん~~?別に~。久々に楽しいものを見せてもらったからさ。でも、いつか二人とも
ズタズタに引き裂きたいなぁ~・・」
「クソが!!」
銃口を向けて発射しようとした時、Ωは空間転移で転移寸前だった
「実は、もう仕込みは終わっているんだよね~。後は、時間が経てば勝手に始めてくれる」
「フェイトさんたちに何をした・・・・!」
「ヒヒッ!!さぁ~ねぇ?自分で考えれば?それじゃ、ばいば~い!」
そう言い残して、Ωは転移した。
「(手遅れか・・・)」
僕の中に、絶望が広がった
でも、
「(諦めてたまるか・・・・。なのはだって、フェイトさんの強さを見ても諦めなかったんだ
ずっと長い時間を生きてきた僕が真っ先に諦めてどうする?必ず、Ωを止める・・・・)」
なのはたちの戦いや意思を見てきて、まだ希望が消えたわけではなかった。