「ん・・・」
ゆっくりと目を開けた
「ここは・・・」
そこは何もない場所で、何処でもない世界だった・・・
僕はゆっくり体を起こし、立ち上がった・・・
何でここにいるんだろう?
一瞬悩まされたが、すぐに納得できた
「僕は死んだのか・・・」
そう、僕 吉井明久はトラックに轢かれそうになった木下優子を助けようとして
代わりに自分が轢かれたのである
周りが真っ暗で何も見えない中で僕は深く溜め息をつく
思っていた程、死には恐怖がなかった
このままここで終わるのだろうか・・・?
死に恐怖はない・・・と思ったものの、未練はあった
そういえば、高校では姫路さんに告白しようって決めてたな
まだ告白できてないな・・・
告白しても振られるだけかもしれないけど・・・
あと、秀吉が本当に男なのかどうか確かめるために
ムッツリー二と秀吉の更衣姿を覗く約束もしてたな
せめて男か女かは区別できるようにしたかったな・・・
雄二とも何回か喧嘩したなあ・・・
今 思うと下らないいことで喧嘩してた気がする・・・
もう、雄二のあのアッパーを喰らうことはないだろう・・・
今までの記憶が一気によみがえった気がした
今思えば、あの時思った幸せ、不幸だと思ったことは全部大切なきがした
そう
・・・大切・・・
そう思った瞬間・・・・
「っ!!?」
急に胸が苦しくなった
死に対して恐怖などなかった
でも、自分の今までを、過去を大切と思った瞬間、
「生きたい」という感情が生まれた
その感情が表に出そうだった
さらに、望んでもいない涙まで出てきた
「アレ?おかしいな・・・」
おかしい
死に恐怖はない・・・ハズだった
ただ、少し未練があるだけだった
それを「大切」と思っただけで、どうして こんなにも生きたいと思わされる!?
どうして・・・
生きたいという感情から生まれた涙が 溢れるように頬を伝った
「生きたい・・・」
そう、ボソッといったその時・・・
「…君…」
何処からか、声が聞こえた
同時に真っ暗な世界で何千もの白い羽が散った
そこから現れたのは白髪で白い翼を持った男だった・・・
「…吉井明久君だね…」
「!!?」
どういうことだ!?
この男は知るはずもない僕の名前を知っていた
「君、生きたいかい?」
いきなり現れる上、生きたいか?だって?
確かに生きたい・・・
でも、それは永遠に叶うことのない「夢」に過ぎない
でも、やはり
「生きたい・・・」
と本音を言った
「なら、生かそう・・・君は大事な観察処分者だからね・・・」
意味が分からない
何故、この男は僕の二つ名まで知ってるんだろう?
「観察処分者」・・・
バカのみに与えられるバカの代名詞だ
「心の中で1、2、3…3つ数えればいい…そうすれば元の世界に戻れる」
信じられないセリフと共に去ろうとする白髪の男を僕は引き留めた
「ま・・・待って!
君、名前は・・・?」
彼はにっこりと笑い
「白蘭(びゃくらん)と名乗っておこう」
そのセリフと共に彼の姿は消えた
そして僕は彼の言う通り、三つ数えた
そして、気が付けば、そこは病院のベットの上だった
驚くことに、怪我の跡は一つもない
「白蘭・・・」
彼は何者だったんだ・・・
生きてることに嬉しさを感じると共に謎も残った
次回は
木下優子を視点としたストーリーになります