前回の続きです
私は偶然昔の写真を見つける・・・
『ジェッソファミリー』という科学組織にいたころの写真・・・
もう30年以上も前のことだったかな・・・・
「白蘭・・・・」
写真の中心にいる男の名前をボソッと言う・・・
彼は30年前の私の上司であり、ああなりたいと思った憧れの存在でもあった・・・
けど、突然私の前から消えた・・・
何故か・・・?
30年経った今でも分からない・・・・
疑問を抱きながら30年前を思い出す
☆☆☆
・・・30年前・・・・
「白蘭、白蘭! 起きてください!」
白蘭「んー・・・ああ、カヲルちゃん・・頼んどいた資料終わらせてくれた?」
「アナタが寝てる間に終わりましたっ!」
白蘭「おー・・流石カヲルちゃん・・仕事は『ジェッソファミリー』の中で一番早いね
・・・次期、ここのトップはカヲルちゃんかな・・・」
「そうですね・・・アナタみたいなチャランポランな人が組織のトップなんて納得
出来ませんしね・・・」
白蘭「相変わらず、気が強いな~・・」
・・・ホントにチャランポランだった・・
研究所に着いて、まず一番最初にやることはマシュマロのやけ食い・・
で、部下たちに仕事のほとんどを押し付けて映画鑑賞
で、そのあとは ほとんど寝ている・・・
チャランポランもいいところだ・・・
こんな上司がいたら、会社は普通は破滅する・・・
なのに、破滅するどころか、その当時研究していた『召喚システム』の開発は物凄い勢いで
進んでいった・・・
さらには、チャランポランなくせして、白蘭は部下から篤い信頼があった・・・
正直、腹立つところもあったが、そんな彼に私は憧れていたのだろう・・・
「まったく、少しは仕事手伝ってください!」
白蘭「そういうけど・・・大体君たちで何とかなってるじゃない・・・
君が中心に引っ張ってけば、大体上手く行くよ・・」
簡単に言ってくれる・・・
確かに私はメンバーを中心的に引っ張って行動している・・・
だが、この男には一度「仕事の厳しさ」というものを教えたいものだ・・・
やはり、信頼があるとは言え、正直腹立つ
「白蘭・・『試験召喚システム』は私の目から見てほぼ完成の領域に近いとみています・・
・・・・・・・前から気になっていたのですが・・・・
アナタはこのシステムを使ってどうするつもりですか・・・?・・・」
白蘭「・・・・まだだ・・・・・」
「・・・・・ハ・・・?・・・」
白蘭はボソッとつぶやく・・・
なんて言ったのだろう・・・・?
白蘭「・・・完成の領域・・・・? まだまだ不完全だよ・・・・」
「・・・・何故です・・・・ちゃんと『召喚フィールド』が完成すれば、
『召喚システム』というのは発動するのでは・・・?」
白蘭「いいや、無理だ・・・」
「・・・どういうことです・・・?」
白蘭「じゃあ、聞こう・・・君はこのシステムで『何』を召喚するつもりだ・・・?」
「それは・・・・」
そんなの答えられるはずがない・・・
今までアナタの指示どおりに『召喚フィールド』を作れと言われたのだから・・・
『何』・・・など分かるわけがない・・・
白蘭「ほらね・・・『何』を・・・召喚する対象のモノがなきゃ、このシステムは不完全
なんだよ・・・」
「では・・・どうしろと・・・?・・・」
白蘭「君がその対象となるものを施設でも作って見つけてくれ・・・・」
「私が・・・ですか・・・?」
白蘭「そうだ・・・」
「何故ですか・・・・?」
疑問を抱く・・・チャランポランとは言え、このシステムのもともとの考案者は彼のハズだ
なら、このシステムを完成させるべき人物も彼のハズだ・・・
・・・・・・・何故・・・・・?
白蘭「そうだなあ・・・・僕はね・・・・昔から面白いモノを見つけるのは得意なんだよ
・・・・
でも、見つけても、そこに具体性がないんだ・・・・
この『召喚システム』に関してもそうだ・・・システムを考案しても、そこに具体性
がない・・・・
そこで、気づいたんだ・・・・
いままでシステムに具体性の欠片もなかったこのシステムに希望の欠片を作ってくれた
のは君だ・・・・・
だから君にしか出来ないんだ・・・・
頼めるかい・・・?」
普段の不真面目な目ではない・・・・真剣な目だ・・・・
その目に惹かれたのか、私は
「・・・ハイ・・・・」
と返事をした・・・・・
きっと、心のどこかで彼に必要とされることが嬉しかったのだろう・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして、翌日・・・・
私は普段より早く研究所に向かう・・・
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォッ
研究所が燃えていた・・・
「・・・・なんで・・・・・」
何故・・・燃えている・・・?
その火事に近所にいた人々が集まる・・・
人1「おいおい、火事じゃねえか・・・・」
人2「暢気に言ってる場合か! 人がまだ残ってる可能性もあんだろうがっ!」
・・・・そうだ・・・・
白蘭も昨日は研究所に残ると言っていた・・・・!
・・・・彼は・・・・・
私は燃えている研究所へ向かう
人3「おい、アンタ・・ッ 危ないぞっ!」
そんなことどうでもいい・・・
彼と約束したんだ!
『召喚システム』を完成させると・・・!
でも、そう思えたのは彼のおかげだ・・・彼がいなくなったら、・・・私は・・・・
死ぬ覚悟で研究所の中をまわる・・・
「白蘭、白蘭っ!」
必死に叫ぶが聞こえるのは炎の音だけ・・・・
そして・・・
ガララララララララララララ
建物が崩れ始める・・・・
そこで私は意識を失う・・・・
☆☆☆
目覚めたときは病院のベッドの上だった・・・・
・・・コンコン
ノックの音だ・・・・・
「はい」・・・と、返事をすると・・
警察官「我々はこういうものですが・・・」
・・・・警察だった・・・
警察官「アナタはあの日、事件現場で倒れていましたが、その場で何かしていましたか?」
「いいえ、私が研究所に駆け付けたときには、研究所は燃えていて・・・
私は・・・まだメンバーがいるんじゃないかと思って・・・
火に包まれた研究所に飛び込み・・・そこで、気を失って・・・」
警察官「火事になった原因も知らないということですか?」
「・・・ハイ・・・」
警察官「・・・そうですか・・・失礼しました・・・・
実はアナタも含めて何人かの研究員は命拾いをしたのですが・・・
命を落とした方もいます・・・例えば・・この方・・・
ご存じですよね・・・?」
一枚の写真を渡される・・・・
・・・・・・・この人は・・・・・・・・・
手が震えた・・・・・・
「・・・・びゃ・・・白蘭・・・・・・」
何故・・・彼が・・・
『これは、君にしか出来ないことだ・・・・』
ふと、彼の言葉が記憶に浮かび上がる・・・
「うあああああああああああああああああああああっ!」
私は声を上げて泣いた・・・・
彼がいなきゃ・・・私は・・・・・
暗く、深い闇の中に落ちた気がした・・・・
・・・そして、職を失った私は2、3年間引きこもりが続いた・・・
心の支えである彼が死に、何もやる気が起きない・・・
このまま・・・私は、人生を終えるのだろうか・・・・?
ガタッ
何か落ちた・・・・
「・・・これは・・・・」
教師免許証だった・・・
そういえば、教師試験を受けたな・・・
教師・・・?
私はふと何か大事なものに気が付いた気がした・・・・
教師になって、学校を創れば・・・そこで、もしかしたら、『召喚フィールド』を実現出来る
かもしれない・・・・
白蘭との約束を守れるかもしれない・・・・
そのときのとっさの思いつきが『試験召喚システム』完成の鍵だった・・・
何年かして、それは実現され、今の『文月学園』に至る
☆☆☆
キリト「へえ・・・そういうことか・・・・」
白蘭「そういうことだよ・・・これで満足かい?」
キリト「だが、何でアンタは死んだことになってんだ・・・?」
白蘭「イヤ、死んだよ・・」
キリト「・・・どういうことだ・・・?」
白蘭「それは先のお楽しみだよ・・・」
キリト「・・・チッ・・・・・」
キリトは舌打ちする・・・・
白蘭についてるとは言えこの男は素性を隠すところがある・・・
そこが気に食わない・・・
しかし、彼がこれから『世界』をどう導くかには興味があった