THE・GREAT・BATLLE・ORIGIN 作:fire-Guren
前回のおさらい
突如天狗たちが居座る山に現れた異形『魔化魍』。それに呼応するかのように幻想入りした音撃戦士『響鬼』。彼の助力により魔化魍を討伐した文と椛。
彼と同じく幻想入りをした青年もまた別の場所で戦っていた。
紅魔館・咲夜、レミリア、パチェリー・レミリアの一室
「来たわね。咲夜、パチェ。」
「お呼びですか?お嬢様。」
「どうしたの?レミィ?」
紅魔館の当主であるレミリア・スカーレットに呼び出された二人。二人にレミリアは話し出す。
「ここ最近の幻想郷で起こっている事を二人はどう思っているか聞きたくて呼んだのだけれど良いかしら?」
「ここ最近で被害を出している『化け物』と『戦う外来人』についてですか?」
「あら、
三人はそれぞれ言葉を発する。
「見れないのよ・・・。」
「「っ!?」」
レミリアの一言に二人は驚く。『見れない』。その意味が何なのか、知る者にしか伝わらない表現。レミリアの見れないモノとは。
「そんな、お嬢様・・・。」
「今回の異変はそこまで複雑なのね。それだけでも充分な材料になると思うのだけれど・・・。まさか、『運命』が見えないとはね。」
そう、当主であるレミリアは『運命』を見る事が出来るのである。この幻想郷の言い方で表すならば、『運命』を操る程度の能力。そのチカラで以前にレミリアは異変が起きた際に関与したのだが・・・。
「私が言えるのは今回の元凶は凄まじく強大で厄介な存在である事・・・。スキマも手も足も出せずに倒されたみたいだわ。」
「そんな、あの方ですら太刀打ち出来ないなんて・・・。」
「・・・。それで、私たちに聞いてどうするつもりだったの?」
「スキマや私のチカラも及ばない相手にどう対処するか意見を聞きたかったの。」
そうレミリアが言った一言で二人は理解する。自分たちの主が既に戦わずに負けを認めている事に。自分では打つ手が無い事に・・・。
「「・・・・・。」」
二人は意見を出すことは出来なかった・・・。
「でも、諦めはしないわよ?貴女たちを守るのが私の務め・・・。なにもせず蹂躙される気は無いわ。」
レミリアはそう力強く二人に向けて言った。
「私はどこまでもお嬢様のお傍に。」
「私も書庫で何か文献が無いか探してみるわ。」
レミリアに応える二人。
部屋の窓やテーブルが振動し激しく動き出す。
「っ!?何事!!」
「お嬢様はパチェリー様とここでお待ちを!私が見てきます!」
「「咲夜!」」
部屋に二人を残し、咲夜は姿を消す。
紅魔館・正面門・美鈴
三人が部屋で話しをしている時・・・。
「・・・・・。」
門番は『起きていた』。何故なら目の前に・・・。
「イィーーーッ!!」
全身黒タイツの人間複数が門に向かって来たからである。美鈴の足元にはすでに倒された後があり、気泡がちらほら見られる。
「・・・。どれだけ湧くんですか!倒しても倒してもキリがない・・・。」
「イィーーーッ!」
戦闘員は無尽蔵に湧き、美鈴の体力を確実に削っていく・・・。
「ハァッ!ッティッ!!ヤァッ!!!」
だが、動きも技も衰えず確実に戦闘員を葬っていく。
「イィーーーッ。」
やがて、戦闘員の数が徐々に少なくっていく。
「良し!これなら!」
「この世界の人間は活きが良いな。」
「っ!?」
後ろからした声に反応した時には既に美鈴は強い衝撃と痛みを伴いながら宙を舞っていた。
「がはぁっ!!」
勢いを殺せぬまま地面に激突し悶える美鈴。
「ほう。あれで死なないか・・・。お前・・・。何者だ?少なくとも人間ではないだろ?」
そう言って美鈴を吹き飛ばした敵はゆっくりと近づく。
「かはっ・・・。貴様こそ何者だ・・・。その姿は一体・・・。」
美鈴は吐血しながらも相手の正体を探ろうとする。今、自分の目の前にいる人と昆虫が混ざった姿をしている異形そのものなのだから。
「知ってどうする?お前は今ここで死ぬんだ。・・・まぁ、ある意味『生きてる』とも言えなくも無いが・・・。」
「なん・・だと?」
異形の言葉を理解できない美鈴。
「すぐにこいつらと一緒にしてやる。」
異形は右腕を上げ、合図を出す。すると、地中から沢山の緑色の蛹の様な異形が現れたのだ。
「っ!そんな・・・。新手なんて・・・。」
美鈴に一気に疲れが出始める。それは重く圧し掛かり、動くことを許さなかった。
「オイ!勝手な事をするな!その女は我々ショッカーの実験体候補だ!我々が貰い受ける!」
その声に異形と美鈴は反応し顔を向けるとそこにはサソリの特徴を持った別の異形が立っていた。
「なんだ?お前。こいつは今から擬態の素体になってもらう。お前たちに渡す気は無い。他を当たれ。」
「貴様。歯向かうつもりか?それは、ショッカーだけでなく我が主、闇の叡智様を敵に回すのと同じ・・・。貴様、正気か?」
サソリの異形は蛹を従えた異形に警告を言う。
「ふん!貴様もその闇の叡智とか言う奴も知らん。殺せ。お前ら。」
言葉を受けた異形は聞き流し、蛹の異形をサソリの異形にけしかけた。
「よほど死にたいらしいな。行け!!戦闘員!!!」
「「イィーーーッ!!」」
サソリの異形も応戦し戦闘員をけしかける。
「・・・。(どういう事か両方仲間同士では無いみたいだけど、どっちが残っても最悪なのは変わりないしどうすれば・・・。)」
美鈴はこの状況で取り残されているが楽観できないでいた。どちらが残っても今の自分の状態では太刀打ち出来ない上に敵の情報が全く無く的確な手が無い。それよりも屈辱的なのは『放置』されているこの状況である。言うなれば今の自分は敵からすれば逃がしたくはない獲物・・・。それを今、双方は文字道理見てもいないのだ。戦う者として美鈴はその点で動けずにいた。
「死ねぇっ!!」
「消えろっ!!」
二つの異形が互いの技をぶつけ合い、凄まじい衝撃が響き渡り、異形たちを土煙が包み込む。
「・・・。(なんて威力・・・。だけど、これで両方深手を負ってれば・・・。)」
美鈴は微かな希望を抱く。だが・・・。
「チィッ!!」
「オノレェッ!!」
煙から現れた異形たちは互いに腕を押さえ、『直していた』。
「・うっ・・嘘・・・。」
思わず本音が漏れてしまう。あれだけの衝撃でその程度の傷で終わり、あまつさえ直しながら睨み合っているのだから。そこに・・・。
「美鈴!」
「咲夜さん!」
先ほどの衝撃で紅魔館のメイド長の十六夜 咲夜が駆けつける。
「貴女がそこまで追いつめられるなんて、ずっと寝てるからよ?」
「いや、流石に起きましたよ!?」
「・・・・・。寝てたのね。」
「うっ!はい・・・。」
若干ではあるがいつものやり取りが行われる。
「ほう。また、新しいのが出て来たな・・・。」
「我々が頂く!」
咲夜が出て来た事を確認した異形たち。すると、サソリの異形が我先にと咲夜に向かって走り出す。
「・・・。」
が、サソリの異形が咲夜に向かっていたのに対して咲夜はサソリの異形の『後ろ』におり、溜息をついていた。
「美鈴、本当にこんな相手にやられたの?これじゃ相手に・・・。」
咲夜が敵に対しての評価を述べようとした時・・・。
「咲夜さん!!私をやったのはそっちでは無くもう一体の!・・・。」
「女。面白い事をするな。」
「っ!?」
もう一体の異形が咲夜の後ろについていた。
「遅い!!」
異形の凶刃が咲夜を襲う・・・。
事も無く、咲夜は息を荒げ、肩で呼吸をしながら異形を見る。
「・・・・・。少なくともそこの女と同じく動けなくする予定だったんだが・・・。まさかお前、『加速』したのか?」
「ハァ・・ハァ・・・。『加速』?何を言ってるのかしら・・・?」
異形の質問に咲夜は自分の能力の事を言ってる訳ではない為に、そう答える。
「成程、それはお前のチカラか。だが・・・。」
異形は喋りながら消える。
「っ!?」
「お前が反応出来なければ『見えない』だろ?」
「くっ!!」
「遅い。」
異形が『立ったまま』一言つぶやく。と・・・。
「かはっ!?」
途端に大量の血を吹き出し、その場に倒れる咲夜。
「咲夜さん!!」
「ちっ、お前よりも強くしたが、やり過ぎたか。」
咲夜の状態を見て、悪態をつく異形。
「きっ、貴様ぁっ!!!」
目の前で倒れた咲夜、それを見ながら悪態をつく異形。美鈴の理性を切るには充分以上だった。
「おいおい・・・。」
しかし・・・。
「何回も言わせるな。」
美鈴の怒りの籠った一撃は空を切り・・・。
「寝てろ。」
異形は美鈴に当て身をする。
「黙れ!!」
異形の当て身に合わせて返しを繰り出す美鈴。拳は異形の顔面を捉える。
「・・・・・。」
拳が入ったまま黙る異形。
「フゥーッ!フゥーッ!」
いわゆる、プッツンした美鈴は息を荒げながら異形を睨む。しばらくして・・。
「チッ・・・。」
ゴリッ!!
不快な音が響く・・・。
「めっ、美鈴!!」
咲夜が美鈴の名前を叫ぶ。その先には返しで突き出した右腕が有り得ない方向に動いた後、だらりと垂れ・・・。
「あっ、アァァァァーーーーっ!!!!」
出してる人物が美鈴と思わない程の声にならない叫びを上げて、美鈴はその場に座り込み右肩を押さえ、悶絶する。
「手間をかけさせるな。人間。」
そう言って、美鈴の後頭部を掴み、持ち上げようとする。
「くっ!」
阻止する為にナイフを投げようとする咲夜。
『シュン!!』
その横を物凄い速度で何かが通過する。
「・・・・・。」
咲夜が見たのは、美鈴を掴んでいた腕が瞬きをした後、吹き飛んでいたのだ。異形の後ろには自分の腕と『真紅』の槍が地面に大きな亀裂を作り突き刺さっていた。
「あれは・・・。」
咲夜が後ろに顔を向けると。
とてつもない魔力や妖力と言ったチカラを最大まで解放したレミリアが館の入り口に立ち、敵に向かって殺意をむき出しにして睨んでいた。
「お嬢様。」
「咲夜。美鈴を。」
「はっ、はい。」
レミリアの指示で咲夜は美鈴を連れて、レミリアの元へと動く。
「パチェ、二人を。」
「えぇ。こあ。準備を。」
「はい!パチェリー様。」
「おっ、お嬢様・・・。申し訳・・・ありま・・せん。」
途切れ途切れに美鈴は己の役目を果たせなかった事を詫びる。
「ううん。貴女はよくやったわ。だから、もう無理をしてはダメ。後は休んでゆっくり治して。分かった?美鈴。」
「勿体無いお言葉です・・・。お嬢様・・・。」
そう言って、気を失う美鈴。パチェリーは美鈴を連れて館の奥へと下がる。
「貴女も休んでなさい。咲夜。美鈴も貴女も死んではいけないのだから。いい?」
「はい・・・。お嬢様。」
咲夜は意識はあるものの、レミリアの言葉に従い休むが下がらずにその場に留まる。
「「イィーーーッ!!」」
「「シャァーッ!!」」
戦闘員と蛹の異形がレミリアに向かってやってくる。
「・・・。邪魔よ。」
レミリアが手を前に出すと、それに反応するように真紅の槍がレミリアの手の元へと収まると同時に槍を振り抜き、黒と緑が宙を舞い消滅する。
「次は、言わなくても分かってるわよね?」
殺気を放ち、神槍『グングニル』を構えながらレミリアは言う。
「まぁ、出来るならな。」
またしても、異形は姿を消す。
が・・・。
「『ソレ』に二人はやられたのね。」
レミリアは涼しい顔で異形との間合いを調整しながら異形の前に立ち、言う。
「『見えるのか』。」
「えぇ、『見えるわよ』?あと他にも色々とね・・・。」
レミリアの言葉と様子に質問をする異形。
「じゃあ、当然『ソレ』も躱せるよな?」
「・・・!?」
異形が言った瞬間・・・。
「カァ~~ッ!!」
レミリアを紫の煙が包み込む。
「っ!!」
「もう遅いわっ!!」
紫煙からすぐに抜けるレミリア。だが、程なくして床に手をつき、息を切らし始めるレミリア。
「ハァ、ハァ、ハァ・・・。一体あの煙は・・・。」
「俺の体内で精製した神経毒だ。元はライダーを捕まえる為にと思っていたがここで先に役に立つとはな。」
時間が経つにつれて体の自由が利かなくなってくる。体は重くなり、視界も悪くなりついには歪み出す。
「これぐらいでいいだろう。」
異形の声すらも無駄に反響し頭で響きだす状態にまでなってしまう。」
「お嬢様!!」
咲夜が必死で呼びかけるも反応は弱く、様子は悪化する一方。手を出そうにも異形のせいで身動きが取れない。
「さて、まずはこいつから・・・。」
異形がレミリアに手を出そうとした瞬間だった・・・。そこにどこから来たのか『赤い光沢のカブトムシ』が異形をレミリアから遠ざけていたのだ。
「・・・・・・。」
すると、館の奥から足音が響きだすと同時に若い男の声が聞こえてくる。
「全く・・・。困ったものだ・・・。」
その声は徐々に大きく・・・。そして、姿を見せていく・・・。
「まさか、もう一度『ワーム』を見るとはな・・・。」
悠々と歩き、目の前の異形を知っている様な口ぶりの青年が現れた。
「貴様っ!!何故ここに来ているのだ!!何故!!!」
「オイ、あの若造がどうしたんだ?」
さっきまで余裕だった異形がここに来て動転し、叫び出した事にサソリの異形はそう質問する。
「何故・・・?愚問だな。」
ゆっくりと答える青年は『人差し指を立て』、その右腕を天へと上げながら言い出す。
「俺は、『天の道を往き、総てを司る男』。俺が望みさえすれば、運命は絶えず俺に味方する。だから、俺は今ここにいる。」
「なぁにぃ~!!」
青年の言葉に苛立ちを隠せないサソリ。青年に駆け寄ろうとするがカブトムシがそれを阻止する。
「グゥ・・・。」
「俺が存在する限り、お前らの好きにはさせない。」
言葉と同時に左手で腹部の前にかかる服をよける・・・。その動作に反応するようにカブトムシが高速で青年の周りを旋回しながら徐々に速度を落とし、手に収まると。
「変身・・・。」
青年はベルトにカブトムシを装着する・・・。
「ヘンシン!!」
復唱する電子音。同時に展開する光の粒子が青年を包み込み現れたのは銀色の甲冑を纏った戦士。
「こっ、こいつまさか!?」
「・・・・・。カブト。」
甲冑の戦士の名前を低く、そして重く言い出す異形。
「・・・・・。」
「殺れ。」
蛹の異形が戦士に向かって行くが・・・。
「フッ・・・。」
戦士は先ほど変わらず、悠々と敵を捌きながら倒していく。
「お前たちも行け!!」
「「イィーーーッ!!」」
このままではとサソリも戦闘員に指示を出す。
「・・・・。」
だが、戦闘員の加勢を物ともせずに捌いていく。
「凄い・・・。だけどアイツには『アレ』が・・・。一体どうするのだろう・・。」
咲夜は甲冑戦士となった青年を危惧していた・・・。片方の異形は何らかの方法で消えるのだ・・・。『加速』や自分の『時間停止』と言った時間に関与する能力であるのは確かだと・・・。と、ある程度の予測を立てている中で敵がある行動に出る。
「動くな!」
戦士は方向を変えて、動きを止める。
「そうだ・・・。このガキの命が惜しければなぁ~。」
サソリは遠くからでも分かる程狂った笑みを見せる。腕には回復し切れていないレミリアが抱えられていた。
「・・・・・。」
「オラ!!武器も捨てろ!!」
戦士は無言のまま手に持っているクナイガンと言う遠近で使用できる常装備を床へと捨てると同時に・・・。
「フン!!」
戦士を衝撃が襲う。
「良い様だな。カブト。」
カブトを足蹴に満悦の異形。
「三島・・・。いや、グリラスワーム・・・。お前は一つ・・・。いや、二つ忘れている。」
「あぁ!?なんだって!?」
グリラスワームはカブトの言葉を聞き流し、足蹴を続ける。
「一つは、絆で繋がった『
「あぁ!?なに!?」
グリラスワームがカブトの声に反応した直後だった。
「天道ぅーーーーッ!!!」
声と同時に別の青年がサソリを吹き飛ばし、レミリアを救出し、カブトの方には『青い光沢を持ったクワガタムシ』がグリラスワームを攻撃し援護していた。
「お姉ちゃん!大丈夫!?」
別の青年の後ろからレミリアに似た『金髪の宝石の羽』を持った少女が現れた。
「いっ、妹様!何故ここに?危険です!!避難を!!」
咲夜が驚きつつも避難を促す。
「でも、新お兄ちゃんが護ってくれるし、総司お兄ちゃんもいるし・・・。それにフランもお姉ちゃんの事心配だったから・・・。」
フランと言うレミリアの妹はどうしても姉の安否を確かめたくここに来たという。
「悪いのは俺だ。だから、この娘を責めないでくれ!」
フランの隣にいる青年は彼女を庇い、咲夜に謝る。
「いや、ここで謝られても・・・。」
対応に困る咲夜。そこでカブトが・・・。
「結局連れて来たのか・・・。加賀美。」
もう一人の青年の名前を呼ぶ。
「分かってる。でも、見過ごせなくて。」
「相変わらずだな。来るぞ、加賀美。」
「あぁ!!この娘とその家族に手出しはさせない!!」
カブトの言葉を始まりに、もう一人の青年『加賀美』は勢いよく手を空へとかざすとカブトと同じく、クワガタムシは加賀美の手へと収まる。
「変身!!!」
カブトとは対照的に荒々しくベルトに装着する。
「ヘンシン!!」
電子音が響き、粒子が集まりカブトと同様の戦士へとなる。
「オノレェ・・・。」
「貴様らぁ・・・。」
異形は態勢を整えて戦士の前へと立つ。
「行くぞ。加賀美。」
「あぁ、天道。」
二人は同じ動作をしだす。すると、二人の体を光が走り、身を守る鎧は持ち上がり不安定になる。
「鎧を外したら危険よ!よしなさい!」
「死ぬのを早めるだけです!」
レミリアと咲夜は自殺行為にも見える挙動を止めに入る。が
「大丈夫だよ?お姉ちゃん、咲夜。あれはね、『変わる』為に必要なの。」
「「えっ!?」」
二人は驚く。それもそのはず。何故、フランが知っているのか?何故、その現象を見ているのか・・・。不思議でしかた無かった。
だが、その疑問を彼女がすぐに解決してくれた。
「彼らが私たちの前で少し前に見せたからよ。」
「パチェ。」
「パチェリー様。」
「おかげで美鈴の応急処置に集中できたしね。」
「なら、美鈴は。」
「無事とは言えないけど、すぐに命に危険が及ぶ事は無いわ。でも、すぐにでも永遠亭に行かないといけないわね。右腕の事も・・・。」
その言葉にレミリアと咲夜は俯く。
「要するにこいつ等をすぐに倒して、その『エイエンテイ』?って所にさっきの美鈴ちゃんを運べば良いんだろ?」
青い戦士の加賀美が言うと・・・。
「やれやれ・・・。だが、間違ってはいないな。」
銀の戦士の天道が肯定する。
「やれるもんならやってみろ!!」
サソリが逆上し二人に向かう。
「・・・・・。」
グリラスワームは黙って見ていた。
二人の戦士は姿を変える・・・。
それは蛹から成虫へと『羽化』する様に・・・。
ベルトから発する回転音が一定の高さまで達した時、戦士は己の殻を放つ。
「「キャスト オフ!!」」
同時にそれぞれの角を展開させる。
「「cast off」」
電子音と共に身を守る鎧は吹き飛び、現れたのは・・・。
「change! Beetle!」
「change! Stag Beetle!」
赤と青の光沢を持つベルトと同じ特徴を持った仮面の戦士がいた。その衝撃でサソリはグリラスワームよりも後ろへと吹き飛ばされる。
「へぇ~。」
「戦う外来人・・・。」
「赤いカブトムシが『仮面ライダー カブト』で青いクワガタが『仮面ライダー ガタック』だそうよ。」
「それが彼らの名前なの?パチェ。」
「少なくともそうらしいわね。本人たちは名前で言ってるけど。」
実際に目の前で噂の『仮面の戦士』を見た紅魔館のメンバーは興奮に近い感情を抱いていた。
「お前らに俺が倒せるとでも?」
「一刻を争うんだ、何が何でも倒す!!」
「改めて覚えておくと良い。お前は俺の前でやってはいけない事を一つ、そしてこの世で最も罪深い事をした・・・。」
「ほぅ。ちなみにその二つはなんなんだ?カブト。」
「女の子を泣かせ、宝物である子供を傷つけた事だ!!」
「ハッ!!ほざけ!カブトォ!!」
両者が一気に距離を詰めて激突する。
「フッ!ハッ!!セイッ!!!」
「オラ!オラッ!!オラァッ!!!」
「無駄だ!無駄だっ!!!」
大きい火花を体から出しながら吹き飛ぶカブトとガタック。
「グッ・・・。」
「ガハッ!!」
「今の俺は甦りあの時よりも強くなった!!もうお前らに勝ち目はないんだよ!!」
「クッ・・。」
「クソっ!!」
ガタックが猛攻を仕掛けるが逆に反撃されてしまう。
「オイオイ。そんなもんか?ガタック。それにカブトォ。」
グリラスワームは余裕の口調で喋り出す。
「俺に集中してて良いのか?」
「っ!サソリ野郎は!?」
素直に探すガタック。
「バカがッ!!」
金属の摩擦音と火花を出してガタックは後方に飛び、勢いを殺せずに数メートル転がる。
「グァハァッ!!グゥッ!!!」
立とうとするも、体にチカラが入らずに倒れ込む。
「加賀美!!」
「他人よりも自分の心配をしたらどうだ?」
「っ!?」
「死ねぇ!!」
「喰らえっ!!」
打ち鳴らした様な大きい金属音と彼女たちが目を庇う程の衝撃のダメージを負ったカブトはその場に倒れる。
「・・・・・。」
「新お兄ちゃん!」
「・・・・・。」
「総司お兄ちゃん!」
「・・・・・。」
「お願い!目を開けてよ!!まだ、フランは何にも遊んで無いし、食べてもいない!このままお別れは嫌だよ!!お兄ちゃん!!」
「諦めろ・・・。さぁ、カブト!今度こそ、私の勝ちだぁーーーっ!!」
二人に止めが刺されようとした時・・・。
「やめてぇーーーーー!!」
~~~♪、~♪、~~~~~♪、~~♪
突如、楽器で奏でられた音色が響く・・・。
「ガッ!!ガァァーッ!!!」
「頭があぁ!!頭が割れるぅ~!!」
グリラスワームとサソリ怪人が音色を聴いた途端に『同時』に苦しみだす。
「うっ・・・。この、音色は・・・。」
「痛みが・・・。痛みが和らいでいく・・・。」
逆にカブトとガタックは音色を聴き、意識を取り戻す。
「お兄ちゃん達が!!」
「この音色・・・。恐らく『ハーモニカ』かしら・・・。」
「お嬢様、間違いはないと思います。それに、私たちの怪我の痛みも・・・。」
「えぇ・・・。私もよ・・。この音色は一体。」
音色の正体を考えている時に、レミリアだけに声が届く・・・。
『急に声をかけてすまない・・・。』
「キャアッ!」
レミリアは驚き、悲鳴を上げる。誰だって驚くだろう・・・。なんせ
『驚かせてしまったな・・・。悪い事をした・・・。』
この声は、レミリア自身が『反響』している様な状態なのだから。いわゆる、テレパシーを受けている状態である。
『だが、時間がない。手短に説明するからよく聞いてくれ。』
「だったら、『自己紹介が』あってもよいと思うのだけれど。間違ってあれば訂正してくださる?」
レミリアは声の主に遠回しに、警戒している言い方をする。
『頼む・・・。二人は俺の大切な『
「・・・・・。成程、『仲間』ね・・・。大体言いたい事は理解したわ。任せて。」
『ありがとう。彼らを頼む。』
「えぇ、改めて今度伺うわ。でも、今は!!」
見えぬ声との対話を終えたレミリアは己のチカラを使用する。
「お姉ちゃん?」
「お嬢様?」
「レミィ?」
呼び方はバラバラだが考えている事は恐らく同じだろう。
何故、今自分の『能力』を使っているのかと・・・。
「『ソウジ!』『アラタ!』起きなさい!!」
レミリアの声にゆっくりと、そして確実に二人は立ち上がる。
「二人ともよく聞いて!」
その言葉に顔を合わせ、頷く二人。
「今から貴方達が『失ったチカラ』、『求めたチカラ』を私のチカラでカバーするから全力で求めなさい!!」
「「っ!!」」
レミリアの言葉に驚く二人だが・・・。
「失ったチカラ・・・。」
「求めたチカラ・・・。」
二人は揃えて呼び叫ぶ・・・。
『時を超える』チカラを・・・。
「「ハイパーゼクター!!」」
「くっ!ハァーっ!!」
次第に大気が震え、空間に歪みを作る。歪みは極めて小さかったが別に問題は無い。何故なら、二人の求めたチカラはベルトのシンボルより一回り大きいぐらいのサイズなのだから。
それを左手で掴み、左の脇腰にある接続部分にセットし起動する。
「「ハイパー キャスト オフ!!」」
言いながら、セットしたハイパーゼクターの角を一回外側に駆動させる。
「「HYPER CAST OFF」」
最初よりも強い光が二人を包み込み、二人は・・・。
「CHANGE HYPER BEETLE!」
「CHANGE HYPER STAG BEETLE!」
力強く、より特化した姿へと変わる。
「ふう~。上手くいったみたいね。」
「お嬢様、まさか・・・。」
「チカラを使ったのは・・・。」
「えぇ、『あの子たち』を過去や未来で『存在』させ、それが『彼ら』の『所有物』であると言う事にしたのよ。あくまでもこんなに『直接』は初めてだから不安ではあったけどね・・・。」
その場に疲れて座り込むレミリア。
「お兄ちゃん!がんばれ!!」
強化体へと変わり、復活した二人を見てフランは涙目ながらも応援した。
「「・・・・・・。」」
それに応える様に静かに頷く二人。
「こけおどしを!!」
「俺の・・・。俺の勝ちだぁーーーっ!!」
苛立ちと苦しみをぶつける様に二体はやってくる。
「天道・・・。」
「あぁ・・・。」
二手に分かれて迎撃する二人。
「喰らえ!!」
サソリ怪人はガタックに向けて紫煙を吐き出す。
「ウガァーーーーッ!!」
理性を失くした様に暴れるグリラスワーム。
「ハァッ!!フンッ!!」
確実に一撃一撃を当てていたが・・・。
「・・・・・・。」
突如、消えだす。
二人の状況に・・・。
「「「危ない!!」」」
レミリア『以外』が声を荒げる。
「大丈夫よ。今の二人は絶対に負けやしないわ。」
それをなだめる様に言うレミリア。
「「・・・・・。」」
カブトとガタックは言葉を発しながら、ハイパーゼクターを駆動させる。
「「ハイパークロックアップ!!」」
可動するボタンを叩くと
「「HYPER CLOCK UP」」
その電子音が聞こえた時には二人も消える。
目の前では『一人』になったサソリ怪人の周囲を三色の『壁』が包み身動きが取れないでいた。
「良し!」
先にガタックが動き出す。
「・・・。」
それに合わせる様にカブトも動く。
『その世界』ではサソリ怪人は完全に『静止』した状態で、ダメージを受けて瀕死に近いグリラスワームがいた。
一人だけこの世界を覗ける者が一人。
時を止めれる能力を持つ、咲夜だ。
だが、そんな能力を持つ彼女でさえ、許されたのは『覗き見る』事だけ・・・。
時を止めたはずなのに・・・。その事が頭を一杯にする。
そこから出される答えは・・・。
時を越えて人が及ばない次元にいるのだと言う事。ここまでの思考が『一秒』の中で行われていると言う事。
そして、視界を遠くに合わせると・・・。
「「MAXIMUM RIDER POWER」」
「ONE」
「TWO」
「THREE」
操作を進めている二人。そして・・・。
「「ハイパーキック!」」
二人は高く、空へと跳躍し、打ち出す渾身の一撃・・・。技の名を・・・。
「「RIDER KICK!!」」
二体の敵は声を出す間もなく爆散する。
彼女たちは驚く。いきなり目の前で二人が現れたと思いきや出現と同時に大爆発が起こるのだから。そして、その反動と戦いが終わったことで緊張の糸が切れる面々。
変身を解く二人。
「なぁ、天道・・・。」
「なんだ加賀美。」
「お前、女の子の運び方分かるか?」
「・・・・・・・。はぁ~。」
改めて見ると年端のいかない少女が戦闘で『破けた服』のまま寝ているのだ。
敵に強いライダーたちは彼女たちになにも出来ず途方に暮れていた。
「(お前のおかげで助かった。ありがとう・・・。)」
天道は空を見ながらそう心で言っていた。
その光景を見ている二つの影・・・。
一つは影に潜み天道たちの前に倒された敵の『残骸』を見ていた。
もう一つは、彼らを見守り安堵する温かい目。
影の男が不敵な笑みを浮かべる・・・。
「まさか、お前がこの世界に来るとはな。期待してるぜ?」
「(『ガイ』。)」
「『オーブ』・・・。ヒャアァヒャッヒャッ!!」
幻想郷にすでに新たな魔の手がかかっていた。
東方仮面録 第四話 天の道を往き、総てを司る男。 完
幻想郷全体で敵の侵攻が開始される・・・。
各所で奮戦する仮面ライダーだが徐々に追い詰められる。
苦戦を強いられた中、敵の様子が豹変し始める。
異変にいち早く気付く霊夢。それに同行する妹紅。
元凶との戦闘で深手を負う二人。
人々が絶望し、戦士が挫折し、闇に飲まれそうな時・・・。
風と光、出でる。
次回 東方仮面録 第五話
風と光の超人
お楽しみに