解き放たれた悪霊
(………)
「わたしはどこに…連れていかれるんだ……?あ…ああ」
(……)
「さぁ……?でも……『安心』なんてない所よ……少なくとも……」
(…)
無数の手が私を千切る。
千切っては捨て、千切ってはこねくり回していく。
光と闇が交互に映る。
目が捨てられ、指が捨てられ
足が捨てられ、心臓が捨てられる。
腹に腕を混ぜられ、舌を混ぜられ、
踵が混ぜられ、脳が混ぜられる。
私の
一つの私は三つ四つ、五つと分けられ、
そしてまた違う
それから私は私と私に分かれ、もう一つの私は光の中に棄てられて、私は闇の中に棄てられた。
私とは何だろう。
私の名は何だ?
私の
私は私を私としたが、私とは何だったのだろう?
私は私を私と認識していただろうか?
私は誰かの供ではなかったか?
私には誰かが供にいたのではないか?
それとも私は独りだったのだろうか
わからない
わからない
わからない
私に残った膨大な
このまま誰にも知られること無く私は消えていくだろう。
それを厭う気持ちは私にはなく。
それを厭う気持ちが私にはあった。
わからない
わからない
わからない
矛盾を内包したこの私とはなんだろう?
このまま静かに消えてしまいたいと思う私
消えたくないと焦り、抗おうと思う私
私が私の理解を越えて、私が私の手綱から離れていく。
いや、そもそも私が私の手綱を握っていたことなどあったのだろうか
私は私のすべてを誰かに委ねていたような気がする。
しかし、私は何者かのすべてを握っていた様な気もする。
どちらが正しいのだろう?
どちらも正しくないのかもしれない
私が私について考えること自体無意味なことなのだろうか?
矛盾を抱えたこの私は
今にも消えてしまいそうなこの私は
誰からも忘れられるだろうこの私は
このまま消えるのが正しいのだろうか
わからない
抗おうとする私と受け入れようとする私
どちらが正しいのか、どうするべきか
私らしい行動とは何なのだろうか
それすらわからず、しかしてわからないまま闇の中を漂う私は、いつしか無数の目に見守られながら、光の中に墜ちていっているのに気がつくことなく自身の思考に埋没し、そのまま意識を失った。
これが私の終わりなのだとぼんやりと思いながら……