借りモノの英雄譚   作:とらまる@

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4︰槍兵

 

 聖杯戦争にサーヴァントとして召喚されて3日が過ぎ、現在の状態にも漸く慣れてきていた。

 

 流石に2日連続で学校を休む訳にはいかないと、朝から凛は出かけていった。優等生というのも大変なものだ。

 この世界に来る前までは俺も大学生として一応勉学に励んではいた。今となって考えても無駄な事だが、もう1年で卒業だったという事を考えると少し勿体なくも思う。

 

 そのまま昼まで遠坂邸でだらけていたが、やる事もないので外に出かけることにした。凛にバレたら単独行動スキルのせいにしておこう。

 

「んん~!いい天気だっ!」

 

 適当に歩いていると商店街に辿り着いた。商店街の入口には「マウント深山」と書かれた看板が付いており、通りは昼過ぎながらにそこそこの人通りを見せていた。

 確か「Fate/hollow ataraxia」でライダーが骨董品屋で、ランサーが花屋でバイトをしていたな。あの2人ともいずれ戦う時が来るのだろうか...いや、本来の聖杯戦争の流れならば今日がランサーとの初対面の日になる筈だ。

 原作通りなら、もう既に凛が学園に張られている結界を見つけている頃だろう。夜に学園の屋上でそれを破壊しようとした時に出てくる。ランサーのサーヴァント、クーフーリンが。

 

 そしてそれが俺の初の戦闘になる訳だが。果たして上手くいくもんかねぇ..。昼に1度試しに使ってみた時は何とか成功したが、こればかりは運任せの要素が強いからなー。

 これはぶっつけ本番しかないな、うん。コロッケ食べよ。

 

「おっちゃーん、コロッケちょうだい!ソースたっぷりねー」

 

 こうして俺は夕刻までの間、深山町商店街を存分に満喫したのであった。

 

 

 ◇◆◇◆ ◇◆◇◆ 

 

「ほんっと信じられない!あれほど勝手に出歩くなって言ったのに!」

 

 結論から言おう。商店街で食べ歩きをして満喫していたところ運悪く帰宅途中の凛と出くわし、そのまま引きずられながら家へと帰ったのだった。

 ちなみに単独行動スキルの事を言うと火に油を注いだようで余計怒られた。

 

 そして現在、当初の予想していた通り学園に設置された結界の基点を破壊して回っているところだ。

 

「もう何度も謝ってるだろー。いい加減機嫌直してくれよ、凛」

 

「うっさい!とりあえずこの屋上の基点で最後みたいね。もうさっさと壊して帰るわよ、ムツキ」

 

 今でも鮮明に覚えている。何度も画面越しに見た。遠坂凛が屋上で結界を破壊しようとするその時に来る、その声を。その姿を。

 

「なんだよ、消しちまうのかよ。勿体ねぇ」

 

 声をする方を振り向く。青い装束に身を固め真紅の魔槍を持つ戦士。幾度となくその生き方に憧れ、幾度となくその戦いを見てきた。サーヴァント、ランサー。

 

「半信半疑だったけど、ホントに来たのね...オーケームツキ、手筈通り行くわよ!」

 

 本物の英霊を前に一瞬我を忘れていたが、マスター()の声に身体が動く。

 

 結界を消しに学園へ向かう前、俺は凛に1つ嘘をついていた。夕刻までの単独行動、これは他の英霊の動きを探る目的もあったのだと。そしてその結果、ランサーの動きが掴め今日明日にでも接触してくる可能性があると。

 今日来るのならば、人のいない夜の学校などうってつけ。更に校内よりは動きやすいグラウンド、もしくは屋上の可能性が高い、と。

 多少こじつけがましい所もあったが、結果オーライというやつだ。

 

 あとは屋上の場合、それ以上に動きの取りやすいグラウンドへと降り様子見、もしくは迎撃という手筈である。

 

Es ist gros,(軽量) Es ist klein(重圧)…!!vox Gott(戒律引用) Es Atlas(重葬は地に還る)――!」

 

 重力軽減の魔術を使用し屋上のフェンスから勢い良く飛び降りる凛。原作ならばこの後アーチャーが地に着く前に凛を恰好良く受け止めるのだが、生憎この身を無事に着地させる事でいっぱいなこの俺にそんな事を出来る余裕はなく、彼女は自ら着地前に別の魔術で難なく無事に地に降りたのだった。

 

「ムツキ、無事?!」

 

「なんとか!ランサーが追ってきてる!宝具を使うぞ、凛!」

 

 俺はズボンのポケットから1枚のカードを取り出す。それは縦に長い長方形の『白紙』のカードだった。

 

 その直後、屋上から一直線に降りてくる朱槍の槍兵の姿が見えた。その軌道は迷う事なくマスターである凛へと向かっていった。

 

「遅せぇ!己が主さえ護れなかった無能なサーヴァントを恨みなっ!!」

 

 それは到底間に合うモノではなかった。宝具ではないにしろ、アイルランドの光の御子 大英雄クーフーリンの放つ槍が、最近までただの一般人であった自分に止められるものか。

 

ーーだから借り入れた。その一撃を止められるだけの能力(ちから)を。この場を切り抜けるだけの経験(ちから)を。

 

 660秒と限られた時間の中で可能とする奇跡。その間なれば、我は神槍。无二打(にのうちいらず)

 朱槍を掴むは我が魔拳也。

 

「てめぇ、何者だ..?」

 

 『白紙』のカードは無く、そこに在るのは『槍兵』が描かれたカード。

 

 

「神槍、李書文。御相手致す」

 

 

 

  ◇◆◇◆ ◇◆◇◆ 

 

サーヴァントステータス

 

【マスター】遠坂 凛

 

【真名】佐久間 武月

 

【性別】男性

 

【身長・体重】175cm・67kg

 

【属性】中立・善

 

【ステータス】筋力E→B 耐久E→C 敏捷D→A 魔力E→E 幸運B→E 

 

【クラス別スキル】対魔力︰E→D 単独行動︰B

 

【固有スキル】■■■■︰? ■■■■︰C ■■の■■︰B ■■■■︰A 中国武術(六合大槍)︰A+++ 圏境︰B 絶招︰B

 

 





ムツキの固有スキル、宝具名、能力等は次話である程度明かされる予定です。

クーフーリンは男性サーヴァントの中でも1、2を争うレベルで大好きなサーヴァントです。アニキかっこいいぜ、アニキ!

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