とあるssのプロローグ
『……あれれ?何で俺意識あんの?why?』
全身を純白の羽へと分解され、世界の犠牲となって死んだ筈なのに……俺は生きていた。
辺りを見渡しても白、白、白。真っ白だ。本当に白以外なにもない。
白い画用紙の中心に書かれた点のように、俺は立っている。
状況が理解できない。
でも何故か、“懐かしい気”がした。
そう、確かこの感覚を、俺は知っている。俺がトシキ・スプリングフィールドとして転生する前。
つまり、
『まさか……また転生するとか?』
「その通りじゃよ。相変わらずアホな面しとるのう~」
突然、声が聞こえた。それも頭上からだ。
上を見上げると案の定、神さ――ゲフンゲフン――いや、駄神がそこにプカプカ浮いていた。
「何故言い直した!?」
『うるせーよ駄神。さっさと俺の前に降りて来い』
「超酷いっ!!まったく、ワシに向かってそんな口を叩くのはお前さんだけじゃわい」
ブツブツ文句を言いながら駄神は俺の前へ下りる。前と同じで白いローブを着て神秘的な恰好をしているが、右手で持っている酒瓶が全てを台無しにしていた。
俺はやや疲れたように、
『俺をまた転生させるとか言ってたけど、そんなに一人を何回も転生させてもいいのかよ。なんか問題とか起きねーの?』
「大丈夫じゃ。ワシの権力を持ってすればどんな問題ももみ消せるから」
『今もみ消せるって言ったよこの駄神!?』
「あーもーうるさい。ワシは今二日酔いで頭が痛いんじゃ。叫ぶのはよせ」
『そう言いながら酒ガブガブ飲んでんじゃねえよ!!』
「目の前の馬鹿が何か言ってるけどワシは全部スルーします。それで次の世界なんじゃが」
『待てーい!まず何で俺が三回目の人生をヤれる事になったか説明しろ』
「あァ?そんな事もわかんねーの?お前さんがたった10年で死んじまったせいでワシの暇つぶしにならなくなったせいに決まっとるじゃろ」
『俺の人生を暇つぶしとか言ってんじゃねえよ!何回も死にかけたんだぞ!』
「ああ、賞金首になって逃げ回ってた時の話ね。あれは笑えたぞい」
死ねよ。
俺の人生をゲーム感覚で鑑賞してんじゃねえ。あーもうなんか、声に出すのもダルくなってきた。
「別に声出さなくていいぞい。ワシ読心術使えるし。それじゃあ適当に転生について説明すんぞー」
さてさて、次はどんな世界なのやら。……もうバトルはごめんだ。平凡な人生を送りたい。
「あー、まず最初に今のお前さんは強すぎるから色々と弱体化させて貰う」
『ちょっと待てーい!それだけは本当に待って!えっ、何?テメェは俺が死ぬ気で修行して手に入れた力を奪い取るつもりですか!?』
「そうじゃけど?」
『そうじゃけど、じゃねーよ!それだけは断固拒否する!』
「まず魔力量を減らすぞい」
『人の話を聞けぇぇええええええ!!――はぁ。わかったよわかりましたねわかりましたよ!好きにしろこのやろー!』
もう自暴自棄になった俺。駄神はそれらを全て無視して言う。
「お前さんの魔力量10分の一ね」
『10分の一ぃぃいいいいいい!?それは無いよ、絶対に無いよ!』
そんなの極大呪文一発撃てるかどうかじゃん!それだけは嫌だぁぁぁああああ!!
「まぁ落ち着けお前さんや。弱体化と言っても魔力量が激減するだけで体術・魔法技能はそのままじゃから大丈夫じゃよ」
『その魔法技能が奪われかけてるんですけど!?』
「ハイハイ、もう説明メンドイからパスね。そんじゃ、行ってらっしゃーい」
『え?床に穴が――うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』
…………………………………。
「なーに、心配するな。ちゃんと『鍵』も付けとるわい」
駄神は穴に向けて、小さく呟くのだった。