サラザール・スリザリンの憂鬱   作:サラザール・スリザリン

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続いた!!

今回は、ハリーがホグワーツに到着してから組み分けを受けるまでの間です。
本文中でわかりにくいので念のため。




第3話

さて、あれから十年ほど経った。

私が何をしていたか気になるかもしれん。

だが、こういうのは考察の末に最後になって明かされるものではないのか。

少なくとも、私はそう考えているのだが。

とはいえ、実際に動いていたのは物の数ヶ月に過ぎない。

そのあとは、いつも通りの日常を過ごしているのだから、わざわざ語るものでもないだろう。

 

そんなことはどうでもいい。

十年以上の間を空けていたこの一人語りをわざわざしているということは、何か大きな事件があったということなのだ。

 

む、このくだりは前に聞いただって。

十年も間を空けていたのだ。

いかにこの私といえども、そんな細かいところまで覚えてはいない。

むしろ、前回の大筋を覚えていることを称賛してほしいぐらいだ。

 

ともかく、そんなことはどうでもいい。

今回の事件は何か想像できるだろうか。

今度ばかりは、いくら聡明な者でも予想できなかっただろう。

まあ、未来を知っているのであれば別かもしれないが。

 

では答えを言うとしよう。

あのトム・マールヴォロ・リドルが動き始めたのだ。

 

奴の失脚の後、私は奴をたびたび監視していた。

私に気付かれても困るからな。

最初、奴は動物に憑依したりして、何とか魂の霧散を防いでいた。

私は分霊箱を一つしか作っていないためこうしてかなり自由に行動できるが、奴はどうやら五つ以上作っていたようだ。

魂の分割など無意味に多くやる物ではない。

あれでは自らの力にも影響があるだろうし、今の状態では情報収集さえ困難だろう。

 

そんな状態でも一応奴は生き残っていた。

本当にゴキブリ並みの生命力だ。

呆れて物も言えなかった。

そこで、これでは何も出来はしないはずだと考えた私はここ5年間奴の監視をしていなかった。

だが、今にして思えば、それが私の油断だったのだろう。

 

奴は最近人に憑依してしまったのだ。

それも、己の意志の弱い、つまり操りやすい人間にである。

しかも、そいつはこの私とゴドリック達で作り上げたホグワーツの教授ときたものだ。

確か、クィリナス・クィレルといったか。

あんな輩が教授になれるとは、ホグワーツも落ちぶれたものだ。

その後、奴はこれ幸いとばかりにホグワーツに乗り込んでしまった。

 

いくら魔法界の例に漏れずに落ちぶれたとはいえ、私にとってホグワーツはゴドリック達の形見であり、スリザリンに至っては私が直接作った寮だ。

もっとも、トム・マールヴォロ・リドルによる影響は少なからずあるようだが。

 

さて、ここまで話せば疑問に思うことがあるだろう。

一つは、どうしてトム・マールヴォロ・リドルを監視していなかったのにクィリナス・クィレルの件を知っているのか。

もう一つは、どうしてホグワーツの創始者ともあろう私が最近のホグワーツの教授を知らなかったのか。

最後に、最近のホグワーツの教授も知らなかった私が、どうして今のスリザリンの内情などを知っているのか。

何、疑問に思わなかっただと。

そんなことは知らん。

 

二つ目の疑問から話そう。

これは、単純にホグワーツの結界が強いだけの話だ。

あの結界は私たちホグワーツ創設時代の優れた魔法使いが総出で張ったものなのである。

ことさら、ロウェナの張った結界は厄介だ。

何しろ、マグルの核兵器にも耐える防御結界、姿くらましと姿あらわし防止、ゴーストなどの魂を通さず、極め付けに空間を袋状に歪ませて、ホグワーツの周辺を外の世界とほとんど隔離して物理的な干渉をほとんど無効化し、その袋口をわずか数メートル四方のトンネルにして入り口を作るのだ。しかも、そのうちのほとんどは自由に動き、ホグワーツに来る生徒や教授、魔法大臣などの登録された魔法使いや、私たち創始者四人の許可を得た魔法使いを通すのだから驚きである。

もっとも、今は結界も弱まり、入り口も魔力を持っていれば何でも通すようになってしまったが。

ちなみに固定された入り口は今、キングズ・クロス駅の柱のうちの一本だけである。

 

「光は空間に沿って進むから固定された入り口から中に取り込めるのよ」とは彼女の言葉だが、もはや私には理解できない世界であった。

今でこそマグルの研究も進み、私にも少しは理解できるようになったのだが、彼女はそれを千年前に理解して、さらにそれを魔法に応用していたのだから、彼女がどれほど規格外かがわかるだろう。

 

さすがに、いくらこの私でも今の状態では弱まったとはいえ未だに硬いそんなホグワーツの守りはなかなか破れるものではないし、強引に破って私の存在が知られても困る。

 

一つ目と三つ目の疑問の答えだが、何、それは簡単なことだ。

単純に考えればすぐに思いつくだろう。

 

そう、今私がホグワーツにいるというだけだ。

 

む、ホグワーツの守りは硬いのではなかったのかだと。

そんなのは正規の手段で入れば済むことだ。

 

別に私はこの十年ちょっとの間ずっとトム・マールヴォロ・リドルを監視していたわけではない。

五年前にやめたといったし、そもそも"たびたび"と言ったはずだ。

かと言って、ずっとぼんやりしているだけだったわけでもない。

そんなことは、十年と言わず一週間でも、食事も運動も訓練も遊びもせずにぼんやりできてから言って欲しい。

 

私はこの十年間、ハリー・ポッターを観察していたのだ。

そう、トム・マールヴォロ・リドルを追い込んだ赤ん坊である。

理由は単純、暇つぶしである。

今回はハリー・ポッターのフクロウに憑依して入口を抜けた。

今は既に憑依していないが。

 

あのゴドリックと同じ臭いがするというのは、かなり珍しいのだ。

グリフィンドールに入るのは想像にたやすい。

ただゴドリックと似た見た目、性格の人は珍しくない。

才能に関しては、未だにゴドリック以上の魔法使いは知らないが、それもまた関係ない。

 

その臭いを放つための条件はただ一つ。

 

 

その者の英雄としての才覚である。

 

容姿端麗で傾国、傾星、傾界の美男美女。

一騎当千、当万、当億の強さを持つ。

IQ150、200、1000並みに賢い。

まるで正義の味方かなにかのように性格がいい。

慕う人は億単位なほどに人望が厚い。

歴史に残る大革命を起こした。

不老不死になり短所のない方法を見つけた。

 

いや、違う。

断じてそんなものではない。

私にもよく分からない。

ただ、言うなればまるで物語の主人公。

まるで世界はその者を中心に回っているような、そんな臭いである。

 

 

ともかく、暇つぶしのためにハリー・ポッターを観察しにホグワーツに来たら、トム・マールヴォロ・リドル取り付くクィリナス・クィレルがいたのだ。

世の中は案外狭いものだと切に感じた。

そもそも、創始者である私はともかく、奴に対してこんなにあっさりと侵入を許してどうするんだ。

一応史上最悪の魔法使いという扱いをするなら、いくら死んだとされていても分霊箱の可能性ぐらい想定しておくべきなのだ。

あるいは、ついにホグワーツも結界の補強もできないほどに落ちぶれたのか。

 

 

本当に嘆かわしいばかりである。

 




続くかも?
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