どこにでもあるFate/のオリ鯖参戦系の他愛ないお話 作:凍傷(ぜろくろ)
「《パパァアアア!》やあ僕博光。天秤だけ守りにきたよ。あとは知らねー!」
「帰ってください」
そんな挨拶。
この物語はFate/zeroやFate/stay nightにオリジナルサーヴァントが現れて、好き勝手に動き回って原作崩壊キャラ崩壊するお話です。
もうそういうのお腹いっぱいじゃよ……という方にはオススメしません。何故って本当にそういう物語なんですもの。
オリ鯖最強ものは食傷気味? 結構。それならもっとオススメ出来ませんよ。
目的があってほんと自由に書いてますので、「バッカお前ここ設定ちっげぇよバッカ!」という部分があっても、勉強はしましたが勉強不足だったということで笑って見捨ててくださいまし。
この物語には
■主人公最強
■原作崩壊
■キャラ崩壊
■キン肉マン大好き
■暴力シーン
■すぐに殴る
■キン肉マン二世も大好き
■家屋破壊
■内臓が大量にぶちまけられる
■心臓が貫かれる
■車に撥ねられる
■竜巻で人間がズタボロになる
■人が燃える
■生首が飛ぶ
■女性が吹き飛び窓ガラスをブチ破って地面に落下する
■首が折れた男性が首を引っ張られ、皮が伸びた状態で引きずられる
■少年少女の首を普通にゴキャアと捻る外道主人公
■少年が、笑顔で駆ける男女に潰される
■独自解釈
■捏造
以上の要素が含まれております。
うん、嘘は一切ありません。
以上でも「私は一向に構わんッッ!!」という方や、「良い、偶には雑種の戯言に付き合ってやるのも一興か」という方はどうぞ、ひょいと覗いてみてください。
オリ主の元がオリジナル小説の、脇役大好き元凡人野郎なので、キャラの在り方に期待なんか持っちゃあいけません。
どんな顔なのかは、表紙画像通りです。そいつです。
いえね、リアルで仕事時間が増えてから本当に余裕がありませんで……少し、いえかなり、自由になにかを書きたかったのです。
動機が鬱憤晴らしに近いSSでごめんなさいですが、気が向いたらどうぞ。
ではでは、モッチャリと始まります。
だらだらやってエターナるよりはスパァンと終わったほうがいいと思ったので、既に完結済みでございます。30万字ほどですので、のんびりお付き合いください。(懲りず、また30万字ピッタリで一話投稿しようとしたけど、加筆で不可能になりました)
PCブラウザも、なにも纏めて読み込むことないと思うの。1Pずつ読み込めばいいのにもう。それなら30万字そのままUP出来るのに。
連続投稿は検索妨害になるので、一日に精々二話くらいでいこうかと思います。
ささ、オリ鯖で最強で原作崩壊してキャラ崩壊。実は暗い過去を背負ってるとかまさしくでしょう。そんなあからさまなオリキャラもののFate/zero、Fate/stay night、あとおまけ、そんな物語、始まります。
様々なfateSSを読んで、キャラ設定まで書くのがオリ鯖もののテンプレと学びました。偏ってたら済まぬ……。
では開始。
ド外道さんよ、有れ
さて、今日は少々時間もあることだ。
今からとある男の話をしようか。
平凡な家庭に産まれ、平凡に生きる筈だった一人の男の話だ。
最初こそ平凡に生きたそいつだが、ある出来事に巻き込まれたらしくてな。
いや、異世界がどうとかそういうことはそれほどまでに関係していないのだがな。
直接ではないにしろ関係があるとするのなら、まあ多少は、と言っておこう。
ともかく、楽しいことがなにより好きな凡人は、周囲の勝手な都合で平穏からかけ離れた世界へと巻き込まれていったわけだ。
そこで生き足掻き、その過程で手に入れた能力も様々。
ただし武具が無ければただの凡人という、剣術などの熟練度は上げずに武具とレベルだけで強くなったという、古き良きゲームを愛するその馬鹿者は、長い時を生きた。
その数、57億年ほどという。阿呆だろう。
しかしまあ、57億生きたのだって、56億年後に弥勒菩薩が現れるらしいぜ!? という情報を信じて“会ってみよう”と単純に思ったからである。うむ、やはりアホだな。
しかしそれが世界の理に触れることであり、触れちゃいけないものだったらしく、そいつは元居た世界から弾かれたわけだ。
そうして降り立ったのが───
───……。
とある場所で問答を口にする場が設けられ、しばらく。
髑髏を思わせる仮面をつける無数の人型が数人を囲む景色の中、巨漢が腕を組み、風を巻き起こす。
周囲の者がそれを眺め、瞬きをした刹那、世界は変わった。
一面に広がる砂漠と、彼方にまで続く空、そして地平線。
見下ろせば砂しかなく、景色を遮るものさえ砂でしかなかった。
そんな中を歩む音が無数。
見れば人が集い、武器を手に、なにを恐れるでもなく真っ直ぐに敵であろう者を見据えた。
「王とはッ───! 誰よりも鮮烈に生き! 諸人を魅せる姿を指す言葉!!」
『然り! 然り! 然り! 然り! 然り!』
「すべての勇者の羨望を束ね、その道標として立つ者こそが王!! 故に───! 王とは孤高にあらずッ!! その偉志は! すべての臣民の志のっ───総算たるが故にィィィィ!!」
『然り! 然り! 然り! 然り! 然り!』
まるで地鳴りのように響く然りの雄叫び。
見る者は震え、聞く者は竦み、動じぬ者は口角を持ち上げた。
歴戦の勇者と語られた者はそのまま構え、敵……否、的でしかない者を見て、しかし油断なくそこに在る。
軍神がいた。
マハラジャがいた。
以後に歴代を連ねる王朝の開祖がいた。
そこに集う英雄の数だけ伝説があり、その誰もが掛け値なしの英霊だった。
「エキサイティン《どーーーん!》」
そして、その馬鹿も何故かそこに居た。
黒く短めの髪に茶色の目。典型的な日本人の外見で、着ているものはファンタジーゲームなどの村人が着ているような、どこにでもあるような村人の服だった。
両手に何も持たず、かといって武器らしきものを携帯しているわけでもない。
ただ特徴として、両腕に奇妙な紋様が存在していた。
「彼らとの絆こそ我が至宝! 我が王道!! イスカンダルたる余が誇る───」
「おいライダー! ライダー!」
「~~……なんだ坊主! 今ここで余を邪魔立てるのであればデコピンの一発二発では済まさんぞ!?」
「そうじゃなくて! ……なんか、おかしくないか!? ほらあそこ!」
「あん……!? ……お、おお?」
言われ、促されて見てみれば、たしかにヘタイロイの中でなにやら悶着があった。
しばし待つと、なにやら一人の男がパイク……槍兵の一人に軍勢から蹴り出され、ジュザァアと砂漠を滑った。顔面で。その際、「オァマァー!」とか妙な悲鳴をあげたが、気にしちゃならない。
「痛ぇ……! もういやだこんな人生なにをやってもだめだよ全部妹子の所為だ……!」
なんか泣きながら誰かの所為にしてた。
しかし立ち上がると、ぽかんとしている赤っぽい巨漢を前に軽く片手を持ち上げ、
「やあ《どーーーん!》」
挨拶をした。
「………」
「………」
「………」
「………」
全員が沈黙した。
しかし征服王はひとつ咳払いをすると、
「蹂躙せよォオオオーーーッ!!」
叫んだのでした。
これに気を取り直したヘタイロイは突撃を開始し、蹴り出されたそいつも何故かウォオオオと叫び、アサシンへと走り出したのだった。
……。
のちに。
外道の限りを尽くしてアサシンどもを始末して、固有結界の解除とともに消えると思っていたソイツは、何故かそのまま現実に残った。
「サーヴァント・クロリスト。召喚に応じ参上した。これより我が身、我が意思は当然僕自身のものであり、全力で楽しむことを誓おう。ここに、契約は完了した」
言っていることが滅茶苦茶だった。
思わずウェイバーはツッコミを入れ、しかし彼は笑った。
「まあまあいいじゃないの、楽しくいきましょう。えーとところでマスター? ここ何処? サーヴァントとして召喚された時に、一定の知識は植えこまれたんだけど、現状がいまいちわからんとです」
ゲームとかなら、そこいらの村人が着ているような平凡な服に身を纏った少年はそう言う。
王の問答をと設けた場所に、そいつは相応しくなどない筈なのだが───王の中の王、英雄王ギルガメッシュは眉も動かさず、無表情でいる。
「んむぅ……その前にその、なんだ。貴様はなぜ、我がヘタイロイにまぎれておったのだ?」
「押忍。さっきのってサーヴァントの連続召喚だよね? 絆と景観を共有、媒体にしての。たぶんね、それが触媒だったのよ。僕も似たような宝具持ってるから、絆を媒体に使われちゃあ召喚もされるというもの」
「ほほう! それではなにかっ! 貴様はイレギュラーとして召喚されておきながら、きっちり戦えるというのか!」
「戦えるけど……えーと、ちょっといい? 先に自分の願いを言っておくね? ……我が名は中井出博光! 此度の聖杯戦争においては記録者……クロリストのクラスを得て現界した! まあイレギュラーだね。そィでさ、我が願いは───現界した英雄と一緒に様々を楽しむことである! せっかくこうして出会えたというのに、戦うばかりではつまらんではないか! なのでこの博光! うぬらとは聖杯を奪い合うこともなく、欲しけりゃくれてやる心づもりで挑ませてもらう! 故に! ……あなた方の願いってなに?」
ハッキリキッパリ、自分は聖杯なんぞどうでもいいと言ってのけた。
これには全員が口を開けて固まった。
「するってぇとその、なんだ? クロリストよ」
「あ、マスター、博光って呼んで? 中井出でもOKよ?」
「うむ。ではヒロミツと。貴様には聖杯に願う願望なぞなく、ただ我らと出会い、語らい、比類するだけで十分だと……そう言うのか?」
「押忍。それだけよ! それだけが満足感よ! そしてマスター、うぬの願いは?」
「うむ、もはや隠す意味もなかろうて! 既に口にした願いに今さら照れも無い! 余の願い、それは! この世界に今再び、受肉することにある!」
「なんと!? ほほう、それでよいのであれば……あ、マスターのマスター、ちょっと手ぇ見せて? ふんふんこれが令呪と……えーと……コピー、創造…………おし」
ウェイバーの令呪を見て、能力を発動。
それを分析、コピーして創造して、自身の左腕をそれで満たしてゆく。
「うえぇっ!? なにやってんだよお前! それっ…………ぜ、全部令呪、なのか……!?」
「押忍。というわけで。全令呪を以て命ずる! 我がマスターよ! 受肉せよ!《ボゴォン!!》ギャアーーーーーッ!!」
滅茶苦茶である。
滅茶苦茶であるが、構造の全てを分析して創造した令呪は確かに本物であり、パスや保有する奇跡の元さえもが本物。
三画どころではない数の令呪全てを以て命令をすると、彼の腕は吹き飛び、しかし征服王は確かに受肉した。
「ちょっ……ちょちょちょちょっと待てぇえええ!! なにをやってやがりますかお前ぇええっ!! こんなんありなのか!? あっていいのかよぉっ!!」
ウェイバーはそれはもう取り乱した。
騎士王も困惑するばかり。
英雄王は興味なさそうにフンと鼻を鳴らした。
「おおっほ!? おお! 久しく感じるこの実体感! 血沸き肉躍る体動! どうやったのかはよくわからんが、見事なもんだのう! ……フン!《ビシィッ!》フンンッ!!《ムキキィッ!!》……ぬはははは!! 実体になったからこそ、この胸の世界全図も輝くというもの! うぅむ、実に小気味良い!!」
一方で腕が令呪とともに吹き飛んだ馬鹿は、「ずあっ!」とか言って腕を再生していた。まるでナメック星人である。
「あなた……本当に人間なの……?」
そして、なんか白い人妻に人間性を疑われていた。
「しっ……失礼な! 僕人間だよ!? ちょっと普通と違うだけだもん!」
「そうだぞぅ? そこな婦人よ。そう細かいことを気にするものではない。時にヒロミツよ。貴様の能力だが……主になった影響か、ステータスとやらがしっかり見えるようになっておる。……デタラメだなぁ、なんだこのステータスは」
「そりゃあね、鎌倉幕府なレベルに到達した博光ですもの、常識だけでは語れません」
11922960レベル。
ある冒険の世界、ヒロラインの限界とされるレベルに独りだけ到達したその馬鹿は、そうであるからこそ魔王と呼ばれたりバケモノ扱いされたりしていた。
強いくせにプロレス技を好むところも、どういう感性を持っていればそうなるのか。まあ、結局は強いだけではつまらない、というところに落着するわけだが。
「しかしそうであるというのに、貴様の現界の維持にちぃとも魔力を使わんのだが……」
「その世界に現れれば、その時点で受肉してるのがこの博光です。魔力なんて必要ないし、その気になればいくらでもかき集められますよ?」
「お前何者だよ!」
「博光ですよ失礼な!」
「だって、そんな英雄聞いたこともないぞ!? おいライダー! 聖杯からの情報で、こいつの伝承とかって聞いてないのか!?」
「はぁん……? ああ、それがなぁ、こやつが語ったこと以外の情報などなにもないのだ。ただ、その生涯を裏切られるまで裏切らずに生きた、という部分にこの征服王イスカンダル、実に心擽られた! 愚直なまでに相手を信じる生き方! その意気や良し!」
「押忍、よろしゅうマスター。あ、ところでキミらここで何話してたの? もしかして聖杯にかける願い事? 僕にもおせーて?」
「───」
中井出が訊くと、セイバーは口を噤んだ。
同時に、ライダーはううむと唸り、英雄王を見る。
英雄王はやはり鼻を鳴らすだけだ。
「え? なに? 人に誇れない願いなの? はたまた言うほど立派なものじゃない? もしくは願うだけ馬鹿馬鹿しいとか?」
「そんなことはない!」
「《ビビクゥッ!》ヒィ!? ちょっ……い、いきなり叫ぶことないじゃないか! びっくりさせないでよもう!」
「え? あ、ああ……すまない」
力はあるくせにどこまでいっても心は凡人である。
それはともかく、セイバーはもう一度語った。
英雄王には笑われ、征服王にはそれは違うと言われた願いを。
それを聞いた中井出は、「それなら」とセイバーの手を取り、次いでライダーの手を取ってにっこりと笑った。
「じゃあ、やり直してみよう!」
『へ?』
次の瞬間には時空転移。
セイバー……アルトリアの良く知る時代へと時を遡り、選定の剣の前へと降り立った。
───……。
キィンッ───!
「たでーもー」
転移した時間そのものに戻ってきて、セイバーとライダーは大きく溜め息を吐いた。
「どうだった? セイバーさん。これにて時間旅行は終わりだけど」
「セ、セイバー? どうかしたの?」
白い人、アイリスフィールはセイバーの肩に手を置きそう訊くが、セイバーは───
「いえ、アイリスフィール。どうかした、というよりは、理解できたところです。言葉だけでなく、この目できちんと見届けることが出来た。ブリテンは、結局滅びました。どのような王政をしても、私以外が王になっても、なにをどう切り捨て、なにをどう受け入れても」
「セイバー……?」
「うむ。余も己の知識と経験だけで語りすぎてしまったのう……アレはセイバー、貴様でなければ引っ張ってはいけん国だ。そして、どうあれ必ず滅びる。余がどれだけ疾走しようが、アレらは余とともには駆けられん」
「当然だ、ライダー。私もそれを自覚し、受け取れることが出来た。何度も繰り返し、何度も悩み、時にギネヴィアとサー・ランスロットを最初から引き合わせ祝福し、時にモードレッドを認めてもなお……国は滅んだのだ。異民族を受け入れようと、拒もうと。剣を抜かねば滅び、剣を抜いても滅んだ。過程はどうあれ滅ぶのであれば、私は……せめて、円卓の騎士たちが、望んで私とともにあってくれたことを知れただけでも……、……っ……私は……!」
「ライダー? いったいなにがあったんだよ」
「あー……んん、その、なぁ。ちと過去のブリテンへ飛んで、選定からのやり直しとやらを見届けてきたのだがなぁ」
「へっ? ……やり直し……はぁっ!?」
「ありゃあ無理だ。誰がどう足掻こうが、国、というよりは島の問題だ。大地というものは生きているものでな。神秘というものが時とともに薄れてゆくもので、その時代の只中にこそかのブリテンがあったというのでは、現在に神秘のほぼがないことを考えるに、滅びるのは必然であったのだ」
「その通りだ。ただ、神秘がそうであっても、国は残せたのではと思わずにはいられなかった。神秘というものにブリテンの人々やピクト人、竜や幻獣などが数えられているのであっても、薄れた神秘の先でも残せたものはあったのではと。だから……ヒロミツ、私は……」
なにがあったのか、セイバーは目に涙を浮かべ、拳を握り締めていた。
そして騎士の礼を取ると、ウェイバーに「時間旅行って! お前それもう魔術っていうか魔法……っ!?」とか問い詰められている中井出に感謝を。
「いーのいーの、せっかくこうして集ったんだからさ、もやもやなんて無くして、全力で楽しもう。というわけで、やり直そう」
『は?』
「聖杯戦争、最初から。ほら、聞けばなんでも、えーと……ランサー? のマスターがジャイアンばりのイジメっ子で? ランサーの願いとか存在とかを否定してるくせに道具としてしか見てないっぽいらしいじゃない? そんなのはよろしくない。なのでちょっと、時間……巻き戻してみない?」
「…………最初から……」
「聖杯戦争を……とな?」
「そ。あ、もちろん記憶はそのまま。ここに居る僕らだけがだけど。どう?」
どう? と言われても。一同、まるで示し合わせたようにうぅむと唸る。
そしてもちろんウェイバーくん驚愕。さっきも言ったが、時間移動なんてそんなことが本当に出来るのかとか、しかもこの人数をとか、めちゃくちゃである。
そんな中、蒼と銀を主体にした装備をしゃらんと鳴らしながら頷くセイバーは、静かに言う。
「……私は賛成です」
「セイバー!?」
「アイリスフィール、私はもっと、切嗣と話すべきだった。嫌われようと、どうしようと」
「うぅむ、セイバーにやり直しについてを説いておいて、今さら、というのもあるが……出来るのであれば経験してみたいというのが余の考えでもある。何事も経験してみなければなぁ。ちなみにそのー……なんだ? ヒロミツよ。それはなにかしらに影響が出たりとかはするか? マスターが変わったりとか」
「しませんよ? 僕らの記憶だけが残って、召喚時まで戻るってだけ。まあ、僕はちとランサーのマスター権をかっぱらおうとはしてるけど」
「相解った!! ならば余も賛同しよう!」
「おいおいおいおいおいぃいっ! いいのかよライダー! 罠かもしれ《ごべしぃっ!》あへぁふんっ!?」
「だぁっとれい坊主! 敵の狙いがわかっておるのであれば、キャスターとて早々に対処することも出来よるだろうが! そして余は! 経験したからこそ、一度見た惨劇を救ってみたいと思うようになったのだ! やり直すのであれば救う! 知っていて見捨てるなぞ出来るものか! ま、当然やり方としては……征服するのではあるがな? ぬははははは!!」
「だ、だから……! 罠……!」
「あぁ、その心配ならいらん。ヒロミツとは既に酒を交わした。同胞となったからには冗談以外での嘘など論外であり、こやつは裏切られるまで裏切らん」
ウェイバーは頭を抱え、嘆息しまくった。
英雄王は出来るものならばやってみろとでも言う様相で、結局はその場に居る全員が納得し、時は、戻った。
……。
で。
「レンタベイビー!!」
「《ドゴッシャ!!》ぶべぇっしぇ!?」
ダンターク流奥義ぶちかましが炸裂し、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは壁画になった。
ソフィアリ嬢は既にぐったりと地面に倒れ伏していて、あとはケイネスの令呪を奪って召喚するだけで準備は整った。
分析、コピー、切断。
それだけをして令呪を移し、召喚の呪文を並べた。
もちろん呪文なんて知らなかったので、令呪から読み取ったものをそのまま口にする形で。
するとどうでしょう、眼前に全身タイツっぽい男が現れ、自らをディルムッド・オディナと名乗った。
「やあ僕博光。早速で悪いんだけど、あなたの聖杯にかける願いを聞かせて?」
返答。無い。
マジかテメー! とばかりに訊ねてみても、無いと言う。
「強いて言うのであれば、主のために騎士道を貫きたい。忠義を貫く……ただそれだけの願いであると、知っていただきたい」
「…………」
騎士道云々は、まあこの外道にわかるはずもなく。
しかし貫きたい想いがあるのはステキなことだと、彼は令呪を構えて命令をしました。
「全令呪を以て、中井出博光が命じます」
「主っ!? なにを───」
「ディルムッドよ。忠義を……己が騎士道を、なにがあっても貫き通しなさい」
「《ドクンッ……!》……! これは………っ………主……!」
「たとえ僕の命が危うき時でも、あなたはあなたの騎士道を貫くのです。たとえその所為でなにかを失うことになろうと、これは俺が勝手に命令したものであるから、キミはなぁんにも悪くない。そう、全部俺が自分のためにしたことじゃけぇ、全力で騎士道ってやつを貫いてくりゃれ?」
「───……~……感謝を……!!」
これでとりあえずはOK。
あとはケイネスさんを、影を通じてアモルファス(影のバケモノ)でガボォンと丸飲みして、ヒロラインへと飛ばした。
過去を覗いてみれば、なんでもソフィアリ嬢に認めてもらいたくて頑張りたかったらしいので、ならばなにも聖杯戦争じゃなくてもいいじゃないの、と。
大丈夫! 僕の世界は誰もが退屈出来ません! 常識の悉くをぶち砕くファンタジーが、あなたとソフィアリ嬢を待っていることでしょう!
そんな思いを胸に、彼はケイネスとソフィアリ嬢を博光の野望ONLINEという世界へ送った。
頑張ればレベルアップも可能な、仮想ではない実体そのもので挑む異世界冒険記となりましょう。
「そういえばあの黄金の人、なんか俺が来てからやたら不機嫌そうだったけど、なんだったんだろ」
やはり自身からあふれ出る凡人村人オーラが、彼にそうさせたのだろうか……! と無駄に迫力を出しつつ悩んだが、とりあえずはまあ動くことにした。
そもそもこの世界のことを何も知らないので、まずは適当に移動を開始した。
「主よ!」
「《びくぅ!》ヒィ!? な、ななななに!? なんなの!? どしたの!? 敵襲!?」
「いえ……! ……不用意に移動するのは危険かと。ここはこのディルムッドが偵察に───」
「過保護すぎません!? え!? 騎士ってそういうものなの!?」
……悶着はあったものの、とりあえずは出たのである。
───……。
のちに。
時間を戻す前に渡しておいた連絡手段で連絡を取り、外国までセイバーと白い人を迎えに行ったり(キリツグ? はもう早くに発ったらしい)、ライダーと落ち合ってガッハッハと笑い合ったり。
その先で、死の匂いを嗅ぎつけ、惨殺現場に馬鹿が到着した。
「恐怖というものには鮮度が」
「《どがぁっしゃあああんっ!!》オーーーリーーービーーーアーーーッ!!」
「むひょおぉおう!?」
ご丁寧に窓ガラスをぶち破って。
召喚され、子供を海魔に食わせたキャスターは奇声を上げ驚くが、次の瞬間にはセイントマッスルパンチで鼻っ柱を真っ直ぐに殴られて吹き飛んでいた。
「ぶふはっ……おぉおおおのれおのれ何者かぁああ!! 神聖なるこの恐怖の儀式を邪魔立てしようとはぁあっ!」
「博光である! 死ね!」
「おいおいおいなんだよアンタ! 人がせっかく楽しんでるところにさぁ!」
さらに殴ろうとする彼へ、召喚者である殺人鬼、雨生龍之介は堂々と、億することもなく真っ直ぐに、両手をバッと広げて文句を飛ばす。
「お? 楽しんでたの?」
「そうだよ! おたくが誰か知らないけどさぁ、人の楽しみに水差す権利とかあんの!?」
「権利? ふむ……権利…………」
問われた彼はふむりと頷くと、にこりと笑った。
「殺していいのは殺されてもいいヤツだけだよ? 人殺しの権利なんてそれで充分だ」
「へ? なに言って《ぼとり》……は? ………………うわぁあ……!」
足元から音がして、見てみれば……自分の腹から内臓が零れ落ちていた。
普通は恐怖するだろうに、雨生は目を輝かせ、頬を染める。
その赤を美しいと感じ、迫る気配を死と実感すると、それこそが今まで自分が求めていたものだと知る。
身を震わせ、歓喜に飲まれ、その赤に触れようとした時、その目はぐしゃりと潰された。
「え……? あ、うあぁああああ!? なんで……なんでこんなっ……! やっと見つけたのに! なんでっ……」
触れようとした手もぼとりと落ち、感動の全てに触れることも出来ない事実に、彼は喉が張り裂けんばかりの絶叫を放つ。
「恐怖というものには鮮度が、でしょう? 絶望というものの鮮度もたぁ~っぷり味わうとよいですよ、あー……殺人鬼クン?」
そう言った途端、視界の外から触手が伸び、中井出の体を拘束した。
次いで激突という言葉が似合うほどの速度で叩きつけられ、その壁から生える触手にミシミシと締め付けられ───やがて骨が砕け肉が千切れる音が暗い家屋に鳴り響く。
やがてその体が骨ごとぐしゃりと潰れると、その姿は壁ごと海魔に飲み込まれた。
「おお……悲しいことです。よもや魔術師が先に攻撃を受けてしまうとは……。しかしご安心なさい、その程度の傷ならば死ぬことは───」
「残像だ」
「───ハッ!?」
キャスターの背後。そのさらに後ろで奇妙なポーズを取り、普通に立っている村人の服姿の男。
代わりに海魔はぐしゃぐしゃに潰れ、塵となって消えた。
「馬鹿な! なにを! なにをしたというのか! 確かに潰し、血肉を喰らった筈なのにィィィィ!!」
「潰れた血肉さえ偽装し、騙してのける……これぞ秘奥義幻影無光拳……!」
「秘奥義……! なるほど……それが貴様の宝具……」
「え? あ、いやその……違うんだけど……」
「よろしい。この場はひとまず預けましょう。大丈夫ですよ我がマスター。あなたが死することはございません。せっかく理解ある者と巡り合えたのです、海魔と融合させてでも、あなたを存命させてみせましょう」
「あれ? ちょっと!? ねぇ!? 勘違いしてるよ!? おたくマジで勘違いしてるよ!? いやべつにどういうものが宝具かとか思われてもいいんだけどさ! 恥掻くよ!? きっと恥掻くよ!?」
言うや、その場が噴出した赤い霧で覆われる。
そんな霧をブラックホールを創造して吸い込むと、そこにあるのは惨殺現場のみ。キャスターの姿も、そのマスターの姿もなかった。
「…………《コリコリ》んーむ」
英雄全員と楽しく愉快に、とは。なかなか上手くいかないものである。
善悪関係なく楽しみたい身としては、こんな状況には溜め息を吐く以外なかった。
「まあ、世界から外された時点で、もうなんでもやるつもりではあるんだけどね」
こほんと咳払いひとつ。
左腕を軽く持ち上げて、その腕に走る紋様……霊章、というものだが、そこに右手を沈めこみ、そこから一振りの巨大長剣を抜き出す。
それをヒュフォンと回転させると、剣だったそれが錫杖に変わり、その底を床にドンと叩きつけるとともに口にする。
「刮目せよ」
武具の能力を発動させるには、それぞれの持ち主が使っていた言葉を口にするのが一番早い。
あくまで力を引き出す者でしかない彼は、武具が無ければ激烈雑魚である。
経験したことがある事実から言ってしまえば、産まれたての赤子に小指をきゅっと握られて、指がゴキベキ折れて“HEEEEEYYYY!”と泣き叫んだことがあるほどに雑魚である。
それこそが彼の生前の弱点であり、武具の大元である指輪を外してしまえば普通の人間より弱く、むしろ赤子より雑魚である。
代わりに、武具があれば強者。様々な知識から生まれたゲーム世界の武具の全てを合わせ持つこの男は、それこそそれらの武具にちなんだ弱点もあるわけだが、不老不死ではあるが背中が弱点とか、まあいろいろと情けなくも悲しい弱点があるわけである。
ともあれ。
ドンと叩きつけた錫杖がしゃらんと鳴って、この場の音を支配した。
完全に音が消えた世界は、まるで巻き戻しのように扉が開いたり閉じたり、倒れていた椅子が起き上がったり飛び散った血が戻ったり。
タイムヒーリングという、時間に干渉する癒しであり、人が死のうがどうしようが元通りにしてしまう奇跡的な魔法である。
記憶はどうしようかなぁと考えつつ、まあいいやとそのままに。
触手に襲われた筈の子供がその場に倒れたところからこの家の時は始まり、その衝撃で子供が目を開くと、暗いその部屋を見て悲鳴をあげそうになった。
ちなみに、子供の家族らしい人達は、まだ眠っているわけで。
「い、いかーーーん!」
叫ばれれば起きて面倒なことになる。
そう感じた中井出は、咄嗟に子供の口を塞ぐと
「フン」
「《ゴキィ!》うきっ!? ……《ドシャア》」
首を捻って黙らせた。
そうしてドシャアと力なく倒れる姿を見届けると、「若すぎる……遅すぎる……そしてなんと弱い」と呟いた。鬼である。
「危なかった……! 少しでも対応が遅れていたら、間に合わなかった……!(通報的な意味で)」
自身を悪と断言し、自他共に認める外道として人生を謳歌するこの馬鹿は、老若男女の差別をしない。
子供は好きだし老人も好き、同年代だって好きだが、状況が迫れば手段は択ばない。故に悪で外道。
安堵の溜め息を吐きつつ、気絶した子供の首に癒しを流して、この家族に起こった不幸の全ては、夢として終わったのだった。
「しかしこう、相手の首をゴキィと捻ると、ドドリアさん思い出すよね」
どうでもいいことを呟き、転移して消えた。
気づかれる前にそれでさっさと消えていればよかったものを。
◆ネタ曝しです。
*ド外道さんよ、有れ
うしおととらより、お外堂さんよ、有れ。
設楽さんの回はなんというか……うん、アレでしたね。
ホッコォって意味わからない人にはなんのことかわかりませんよね。当たり前ですけど。
*ポセイドンウェーブ
ラリアット。餓狼MOWにてグリフォンマスクが使う技。
*M11型デンジャラスアーチ
相手を腕ごと抱き締めてブリッヂ。
KOFシリーズより、マキシマの痛そうな技。
*ブチコロがす
アニメ・魁クロマティ高校より、殺すのソフトな言い回し。
*エキサイティン
1P目の1コマ目にて、儚げな顔やドヤ顔などでどうぞ。
もうスンゴイ! 漢魂!!など、南ひろたつ漫画より。
*オァマァー!
ギャグマンガ日和より、聖徳太子がブランコから飛び降りて失敗した時の叫び。
元は落とし穴に落とした妹子に言わせたかったらしい。おあまあー。
とりあえずなにをやってもダメな人生は妹子の所為にする。
*それだけよ! それだけが満足感よ!
勝利して支配する! ジョジョ三部より、膝が砕けたDIOの内心。
過程や方法などどうでもよいのだァーーーッ!!
うん、まあ、絶対にこうしたいって思うことがあるなら、過程や方法を選らんじゃいけませんよね。
周囲の人には存分に嫌われるだろうけど。
*ずあっ!
ドラゴンボールより、腕とか再生する時にはやっぱりこれ。
つおっ、というステキな掛け声もある。
ずどどえあーはなんだったんだろうか。
*1192
元鎌倉幕府。今じゃ1185。
難敵屠ろう風塵縛封。
*たでーもー
ただいまの意味。
けだるく、目を腐らせながらどうぞ。
*レンタベイビー!
4年1組起立!より、ものを借りる際に叫んで攻撃、強奪。あ、強奪って言っちゃった。
*ダンターク流奥義ぶちかまし
ロマンシングサガ2より、七英雄ダンタークの得意技。
ダンタークといえばぶちかまし。べつに奥義ではない。
*マジかテメー!
カメレオンなど、加瀬あつし漫画の不良がよく語尾につける言葉がテメー。
例:死んだぞテメー! 明日の朝刊載ったぞテメー!
アに濁点をつけて伸ばすことでも知られる。
*アモルファス
ギルティギアシリーズの影さん。主にザトー=ONE。
いや、主なのはエディか。うう、塩沢さん……。
*オーリービーアーー!!
サガ2より。お前どうやってここまで来た! 代表。
オリビアが「もう、ないもこわくない!」と言っているのは時代を先駆けたフラグ……にはならなかった。
*セイントマッスルパンチ
キン肉マンより、ゼブラがボクシングスタイルで繰り出す拳。痛い。
*これぞ秘奥義幻影無光拳……!
ストレンジ+より、フケ顔の弟が密かに練習していた必殺技。
*HEEEEEYYYY!
ジョジョ第二部より、エシディシの方向。
アニメでヘェエエエイイイって叫んでくれたのが妙に嬉しかった。
*い、いかーん!
アニメジャングルの王者ターちゃんより、ターちゃんが他者の危機に叫ぶ言葉。
中の人は現在、舞台や演出家などをやっているらしい。
*うきっ!?
浦安鉄筋家族より、ねぎまねーちゃんの首折り劇場。
ちぇい! ぺい! フン《コキン》うきっ!? の三連リズム。
ちぇい、ぺいまでは叫んでるのに、フンの首折りだけやけに静か。それがいい。
いたいけな少年の首を容赦なくゴキャアと捻じって気絶させる……外道の所業よな!
ええ、こういうことを普通に出来る主人公もどきです。
*若すぎる……遅すぎる……そしてなんと弱い
首折るだけでなんで三つもネタがついてるんだ……。
えー、バキより、マホメド・アライ。jrは結局なんだったんだ……。
*ドドリアさん
ドドリアさんとザーボンさんにはさんをつけたくなりますよね。
もちろんフリーザ様には様を。コルド大王には大王を付けなきゃなんか語呂が悪いように感じるソレとよく似てる。
たぶんいきなりコルドとか言われてもわからないし、大王をつけなきゃなかなか認識さえしてもらえないと思うの。
◆あとがき
えー、一度このネタ曝しやあとがきが消えました。
水がこぼれまして、たこ足がびしょぬれで切断せざるをえなくなりまして。
そんなわけで第一話終了です。
こんな調子の、特にこれといった戦闘描写も多くないお話が続きます。
……たぶん、戦闘ではないと思うので。暴力シーンはあります。ええ、暴力です、
ではではヘンテコなノリのSSですが、よかったら次もよろしくです。