どこにでもあるFate/のオリ鯖参戦系の他愛ないお話 作:凍傷(ぜろくろ)
もう少々お付き合いくださいませ。
もしも神秘があったなら
それからの話をしようか。
結論から言うと今回の聖杯戦争にて聖杯戦争は終結し、冬木から聖杯は消滅した。
召喚されたサーヴァントは受肉して、今では衛宮邸で暮らしている。
間桐慎二は「僕の代で魔術を発展させるんだ!」と言い出して、日々研究をしているらしい。師が居ないから空回りだが。まあいずれ絶えるんだろうなぁなんて思われつつ、御三家は遠坂だけになりそうだった。
そんな時間の中で、再び凜が衛宮邸に訪れるようになると、出会う人も居るわけで。
休暇をヒロラインで、と訪れたウェイバーを見て、凜ちゃん絶叫。
時計塔で講師を務める人がなしてこげなところにー! なんて気持ちを盛大に抱いた彼女だったが、つまり凜は少年ウェイバーしか知らなかったため、彼がかつてのウェイバー・ベルベットだとは思いもしなかった。とんだうっかりである。
なもんだからウェイバーは特に気にするでもなく大樹に触れて、他愛ない。猫の里へ飛ぶと、イスカンダルとゲーム談義や発売日の話をして、それが終わるとALaLaLaLie。
ともに大地を駆け、世を全力で楽しんだ。
アーチャー……エミヤは屋敷で暮らす中、自分が英雄を目指したきっかけや、切嗣を見送った日のことを完全に思い出したが、それも今さらだ。
正義の味方としてでなく、その遺志だけは胸に刻もうと目を伏せ笑った。
始まりはあの地獄から。
救ってくれた人の顔を思い出して、この世界では存命であり、女性に言い寄られまくってる義父を見て、笑み、笑い───心の底から爆笑した。
今さらになって、壊れたどこかでも癒されたのかもしれんと言う彼は、けれど正義の味方を目指すでもなく、悪として意思を貫こうとするこの世界の自分を磨いてみようと思った。
ヘラクレスは当然ながら早々にヒロライン行きであった。
イリヤが頬を膨らませていたが、あっちでは普通にバーサーカーではなく通常のヘラクレス様として行動。
初期レベルの内から滅法強いってんで、皆さまから褒め称えられていた。
中井出の知り合いには、出会うたびに牛乳を奢られていたが。
ヘラクレスは困惑しながらも、奢ってくれる者が「マイティー……ハーキュリー!」と言って牛乳を喉に浴びせ流す様を見守っていた。
ライダーは普段は桜と過ごし、暇が出来ればマクスウェル図書館に入り浸る日々。
姉妹にちょっかい出されることのない平和な日々を満喫している。
とはいえ、ペガサスに乗って自由に飛んでいたら、デスゲイズに遭って開幕メテオでブチ殺された瞬間は軽くトラウマであり、浮遊大陸の山にあるマクスウェル図書館には、転移装置を使って移動している。
たまに会うウェイバーとは読書仲間だそうだ。
ランサーはバゼットの仕事の付き添いなんぞをたまにしているらしいが、基本はここへ戻ってきてはヒロラインに飛び、まだ見ぬ強者を求めて暴れている。
しかし平和は好きなようで、時折ふらっと出かけては釣りを楽しんでいるんだとか。
釣り仲間としてギルガメッシュと出会い、ヒロラインに存在する釣りポイントの談義などで盛り上がっている。
葛木宗一郎とキャスターも衛宮邸に住まい、甘い新婚生活を満喫している。
個々の部屋が完全防音、空間がいじくられていて広いためか過ごしやすく、むしろキャスターにとっては夢心地空間。
部屋を訪れる無粋な輩も居ないしキッチンもある。
当然宗一郎は仕事に出かけるが、それ以外はほぼ一緒なのだ。
毎日うっとりしている。
セイバーは日々、父上父上と口にしてはアルトリアの後ろをついて回っている。
面白いもので、過去にて選定をし、王と認められたからだろうか。手にすればランクが下がったクラレントが手に馴染み、黒き輝きも白銀のそれへと戻っていった。
寿命も選定の剣によるものなのか、抜いた日から一切歳を取る様子もない。
その効果が現代にも通用しているようで、セイバーが中井出に訊ねたところ、ホムンクルスだからって短命じゃあ楽しくないじゃない? と、あっさりと言ってのけた。
「お前いいやつだな!」と大変喜んだセイバーであったが、直後にからかわれ、嘘の知識を教えられては騙され、中井出を追いかけ回している。
で。
そんな英雄らが普通に闊歩する衛宮邸にて。
「ヒロミツ。その……気づいたことがあるのですが」
「ホ? なんぞ? もしかして漬物美味しくなかった?」
「とんでもない! おかわりをください!」
「うむうむ。たーんとおあがり。ご飯は? 大盛り? 中盛り?」
「大盛りでお願いします。っと、そうではなく。その……最近、いえ以前からですが、この衛宮邸はその……聖域と呼べる場所になっているではありませんか。それで、なんですけど───」
「そうですね。主への感謝も心から贈れるというものです」
「ジャンヌはどうする? おかわりは?」
「おねがいします。大盛りで」
衛宮の食卓。
他の皆がそれぞれすることがあるからと、ヒロラインへ行っている現在。
アルトリアとジャンヌは昼食を食べながら、ご飯をよそってくれた中井出に感謝しつつ、話をしていた。
「その……聖域の話ですが。これは一種の神秘ですよね?」
「そうじゃない?」
「えぇとその。新しい生き方の模索───外来の種、というわけではありませんが、神秘を別の場所から持ってきて、別の大地で育むことは可能でしょうか」
「? 元々僕がここに来る前、ここは普通の屋敷だったデショ。それ考えれば可能なんじゃない?」
「───! ひ、ヒロミツ! では! っ……ブリテンに、癒しとマナの大樹を植え、結界を張り、育めば……!」
「ホ? …………グムムー、やっぱり諦めきれない?」
「手段があるのならばとどうしても考えてしまうのです。終わったことはどうしようもない。そんなことはわかっています。ただ、ひとつでもいい……救われる世界があるのなら、そんな結果を見届けたいと……私は思います」
「楽なことじゃあねぇズラよ?」
「覚悟の上です」
「なに!? そんなことは神が許さんぞ!」
「ならば神とも戦うまで!」
「退けぬか!」
「退けぬ!」
何故か途中から北斗の拳が混ざったものの、中井出はアルトリアの目に本気の意思を見た。
「んー……神代ってのが終わってね? それでも神秘を持たせたままにするってぇのはキミ、その場所を人の住み辛い場所にするってことだ。たぶん、ブリテンに生きる人や……その大陸に生きた人じゃなきゃ、生きられなくなる。いずれの話だし、すぐにそうなるわけじゃあねぇけどさ。それでもいい?」
「構いません。可能性、というものを……私に見せてください」
「島を結界で覆って、神秘性で満たして逃がさないようにする。癒しもマナも魔力もぎっしりになって、妖精とか竜とか、ピクト人とかブリテンの民が生きやすいだけの世界になる。そりゃ、そこに生きる人にとっては楽園になるだろうし、神秘の島になったら、いずれ空とかにも浮いちゃうかもしれん。ある意味でその時間軸からブリテンの名が滅ぶかもだけど、マジでいい?」
「滅ぶ? な、なぜです? 私は可能性を───」
「外の人が入れないからだよ。また、楽園からわざわざ外に出ようとする人は稀少だ。ブリテンは浮遊島になったり、外敵の侵入を拒むために空間へ隠れたりと、神秘を使うだけ使って消えるかもしれない。そうなれば、いずれそこには島があった事実さえ忘れられる。……アルちゃん、神代は終わったんだよ。今の地球は神秘にとってはとってもとっても“在り難い”世界だ。疑問があれば探求するのが人で、島に住む者は、その探求者を敵としてしか見れない。何故って? 神秘側ではないからさ」
「……つまり、滅ぶというのは、在りはするけど名だけの、たどり着けない島、という意味で……?」
「そ。それでも……いいかい? 期待したことばかりじゃないかもしれない。辛いことだって当然あるかもしれない。それでも、キミはそうしたい?」
「ヒロミツ……」
中井出は慈しむように真っ直ぐにアルトリアを見た。
散々と地獄を見てきたその目は、偽ることなくアルトリアを心配していた。
ジャンヌも箸を止め、茶碗を卓に置くと、黙してアルトリアの言葉を待つ。
「………」
自分の胸に手を当てて、その果てを思い描く。
この場所で過ごした日々の中、似たような神秘を見たことがある。
“天空の城ラピュタ”を見た時は本当に心躍った。イスカンダルやギルガメッシュと一緒に、ものすごくわくわくしながら見たものだ。
しかしそのラピュタが、ブリテンの未来になってしまうかもしれない。
神秘を閉じ込めるあまり、外界を拒絶し、それらの干渉から逃げる。
それはつまり、この世界から消えるということであり───なるほど、ヒロミツの言うことも理解できた。
“神秘”、というものはどうあれ───人にこそ追われ、消える運命にあったのだろう。
けど。それでも。
「……はい。それでも私は。私が愛したあの国の未来を……見てみたい」
躊躇も不安ももちろんあった。
が、期待がそれらを上回った。
だからこそ───
「んじゃ、まぁまたマーリンをなんとかするところから始めるか」
「苦労をかけます」
「いやいや。俺ゃね、訳知り顔で自分は大して動きもせず、あとになって“あ~あ”なんて言うヤツは大っ嫌いだ。起こり得ることに諦めを押し付けて、解ってるから動かない? あァ~ンぁくっだらない。ヤツは楽しいを探求するこの博光とは対極に位置する存在ぞ。なのでからかう。めっちゃからかう。この博光の常識破壊がヤツの“こうであるべき”を破壊した時、あいつの本性が見られるだろうから」
「前回はそれでも静観していましたね」
「精々知ってる未来を破壊してやりますわ。“今”を見ることしか出来ないとか言っておきながら、その“今の先”は知ってるとかぬかすし、ややこしいのよあの虹色ベイベー。なので困惑するがいいのよさ花の魔術師めがグオッフォフォ……!!」
───だからこそ。
「貴方こそ口が悪い。破壊するのは、彼が作る檻でしょう」
「散々女の尻追っかけ回した所為で状況を崩して、あとは死なず、永遠の傍観者で居るなんて、ほんと失礼な野郎だしね。引っ掻き回したなら、一度周囲が納得するまで文句を言われてみなさいっての。だからまず、アヴァロンに逃げるアイツを……まあ、僕も心底嫌だけど、“守護”るところから始めますわい。守るだの応援だのってほんと嫌いだけど、自分の常識も破壊せんで相手の常識を破壊とか、それこそふざけんなだし」
「あの。ヒロミツさん? しゅごる、とはどういう言葉で……?」
「本部語」
どうやっても変わらなかった結末を変えたいのなら、常識なんてものをまず破壊するしかないのだ。
神秘性が失われるなら、失わせなきゃいいと。
誰もが諦めることを、可能に出来る馬鹿がそこに居るのだから。
「それで……ヒロミツさん? 過去に飛ぶのはいいんですけど、今回はどうするのですか?」
「誰を連れていくかってことだよね? ンー……神秘性の問題だから、人間はちと連れていけないね。受肉したサーヴァントならオッケーってくらい。ジャンヌはどうする?」
「もちろん行きます」
「オッケン。じゃあ……てゆゥか、僕が行けばヒロラインに行ってるやつら強制参加だから考えなくていいか」
「それもそうですね」
と言いつつ、既にイスカンダルにtellを飛ばしてしまっていた。
tellとはナビネックレスというものをこの馬鹿者にもらうか、ヒロラインに入っていれば誰でも使える機能で、ようするに電話のように話すか、メッセージを飛ばせるものである。
最初、聖杯問答に召喚されたのち、時を戻してから使った連絡手段というものがこれだ。
『《ブッ》クロリスト、呼んだか? 今、王は手が離せないんだが』
応答に出たのは、すっかり大人になってしまったウェイバーちゃんだった。イスカンダルを王だなんて呼んじゃって。
もう“ちゃん”だなんて呼べないね。
時計塔とかいうところで講師やってるらしいよ?
しかし伝えることはべつに無く、解決してしまったからどうしたものか。
「おう! 俺だぁ! トメだァ! 今年の花火大会はよォ……! 俺っちの“乱れ竜昇り八変化”を! 楽しみにしてくんな!」
それだけ言って、通信を切った。
「悪は去った……」
「ヒロミツ? 誰かから通信ですか?」
「ああうん、ちょっと征服王にtell飛ばしちゃっててね? でもいいから適当に《ヂヂッ》……おや、tellが届いた。誰?《ブツッ》」
『花火大会とはなんのことだ。王が燥いでるんだ、きちんと説明しろ』
「おう! 俺だぁ! トメだァ! 今年の花火大会はよォ……! 俺っちの“乱れ竜昇り八変化”を! 楽しみにしてくんな!」
通信を切る。
……またかかってきた。
『おい、人の話を』
「おう! 俺だぁ! トメだァ! 今年の花火大会はよォ……! 俺っちの“乱れ竜昇り八変化”を! 楽しみにしてくんな!《ブチッ───ヂヂッ》」
『だから切るなと───!』
「おう! 俺だぁ! トメだァ! 今年の花火大会はよォ……! 俺っちの“乱れ竜昇り八変化”を! 楽しみにしてくんな!《ブチッ───ヂヂッ》」
『いい加減にしろこの馬鹿がぁあーーーーっ!!』
「やあお帰りウェイバーちゃん」
『人を怒らせて楽しいか!? 横で王に爆笑されているわ! で! なんの用だ! これでくだらない用件かったら覚悟しておけよ貴様!!』
「お? なんだ? ヤんのかコラ。言っとくけど俺をナメてっとアレだぞ? もう他の世界のゲームやらせてやんねーぞ」
『ファック! 貴様は本当に嫌な奴だ! いいから用件を言え用件を! 言われてからでなければ決められるものか! お前はもっと自分の言葉の無茶さ加減を学べ!』
「これからまたブリテン行くんだけど、イスカンダルもどう?」
『……貴様の中に居るんだから好きにせい、だそうだ。というかだな、そのままだと私も───いや、休暇中ではあるのだが』
「あ、ブリテン行ったらサーヴァント以外は外に出られなくなるから、ずっとヒロラインに居てね?」
『ちょっと待て正気か貴様! どれほどブリテンに滞在するのか知らんが、そっちの一時間でこっちは一ヶ月なのだろう!? 一年二年などといったら───!』
「月日の調整くらい出来ますよ失礼な。一日経ったらこっちで10年経ってりゃ文句ない?」
「加減をしろ!」
これだから無駄に生きているヤツは嫌なんだ、と言っているウェイバーに、「ウェイバーちゃんてば口調変わりすぎよ? もうちょっと童心ってものを大切にだね」と言っている最中に通信を切られた。
「……。ちなみにヒロミツは時を止めることも、吹き飛ばすことも出来るのですよね?」
「え? うん出来るよ? 僕がっていうか武具能力で。その能力の恩恵みたいなもんだよ、時間の流れをいじくれるのは」
タイムスリップって能力があって、それを使えば外見年齢を変えることもできる。サンタの時の老人の姿がソレだ。
そう言って、高校生あたりの容姿から爺さんになってみせ、「サイボーグじいちゃん! G!!《ビッシィ!》」ポージングを決めてみせた。無駄に元気である。しかし長くやっているとサンタだとバレるので、すぐに戻した。
なにせ最初の来訪から毎年、訪れるたびにプレゼントをくれる敵として認識されて、数年前からのクリスマスなんざ、“無償でプレゼントを贈る子供”が居ないという理由で、衛宮一家全員とバトったのだから。
なので去年のクリスマスは一家総員迎撃態勢状態を突っ切ってのプレゼント渡しであった。
捨てても戻ってくる邪神像がこれ以上増えてはたまらないと、アルトリアも最初からエクスカリバーをぶっ放すほどのカオス。普通に戦って認められれば、きちんとステキなプレゼントをもらえただろうに、宝具にばかり頼った戦いを叱られ、結局邪神像だったらしい。
「ならばその。私も自分の成長した姿、というのを見てみたいのですが」
「あ。そういえばアルトリアは選定の剣を抜いてから歳をとっていないのでしたね。というか、ヒロミツさんのマクスウェル図書館にある別の史実では、エクスカリバーを手に入れてから年齢が留まった、とあるものもありましたが」
「私は選定の剣を抜いてからですね。砕けてしまってからは多少は成長……したのでしょうか。大した違いがないように感じるのは、きっとケイ兄さんかマーリン、もしくはモルガンが私に成長が止まる呪いを……!」
「はいはい呪いとか軽々しく言うんじゃござーせん」
「しかしですよヒロミツ。結局、過去のやり直しを散々とやった際、剣を抜かずに騎士としてブリテンに尽くした時も、何故か私がエクスカリバーを得ることになり、成長した自分を見るには至りませんでした。良い機会なので、一度だけでも」
「ぬう。じゃあ……そのままの格好でいいかえ?」
「ええ、構いません。そう、多少だろうと背が伸び、む、胸とかこう、変わってくれるのなら」
不安を感じつつ、今よりはきっと大きくなるんだ。どこがというか、その。あそことかあそことか。
ぼそぼそ言っているアルトリアに、中井出はスキル・時間蝕を実行。
内側ではなく外見の概念をいじくる方向で時を変動させてみれば、背が伸び、腰はくびれ、胸もお尻も大きくなって服がキツすぎるなんて状況になってしまうアルトリアさんが───!
「───」
「……ふぅ。よっしゃ、これがきちんと成長したアルちゃんね? ほい手鏡」
「すごいですヒロミツさん……まるで別人ですね……」
「これが……、私……、ですか……? これが……はっ!?《ぺたぺた、さわ、もにもに、……たゆんっ》───!!《ぱああっ……!》」
手鏡を渡され、頬に触れ、髪を撫で、胸に触ってみて……ちょっと跳ねてみた。
遅れ馳せ ぽゆんと弾む たわわ様
アルトリアの笑顔が輝いた瞬間であった。
「どどぉおおどどどどうしましょうヒロミツ! 予想以上です! はちきれんばかりです! これは勝ちですよね!? なににとは言いませんがなんだかもう勝ちでいいのではないでしょうか! 行動に支障がないようにと少しダボついた服を着ていたというのにこのピッチリ感……! む、胸を張れば、何がとは言いませんが弾けとんでしまいそうなこのっ……えへへ……っと失礼。いえ笑ってません。笑っていませんが…………にへー……♪《にこー……♪》」
耐えているつもりなんだろうが、顔が盛大に綻んでいた。
ニヤケているのではなく、綺麗な花が咲いたような自然な笑みであった。
なんか白いセイバーが見えそうなくらいの笑顔の、はちきれん服装の正座美女。
「じゃ、戻すよ?」
「もうですか!? まっ……まだ早いのではないでしょうか! もうちょっといいじゃないですか! いえいっそこのままでもっ……!」
「アルちゃん? キミもう受肉してるんだから、しっかり成長出来るのよ? 一応今回はきっちりと栄養を取ったりした上での成長、って過程を踏ませたけど、実際キミがこうなるかっていったら、努力が足りなきゃどうにもならんのよ」
「そんな! あ、いえ、確かに成長するのなら、このままでは私は早々に外見ばかりで歳をとるわけですが……でも……でも……! ───ハッ!? ひ、ヒロミツ! 俯いたのに、胸で太腿が見えません!《ぱああっ……!》」
「じゃ戻そう」
「待ってくださいごめんなさいふざけたわけじゃないんです純粋に感動したというかあのせめてこの姿をなにかしらの媒体でかたちとして残しぁああああ待ってください待ってやめて待ってぇーーーーっ!!」
…………。
「…………《こーーーん……》」
で、戻った。
なんだか伸びてしまったっぽい服越しに自分の体を見下ろし、ぽむぽむと胸に触れ、ずご~~ん……と落ち込み出した。
今はただ、いつもしている正座がとてもとても痛々しい。
「きちんとした栄養……理想の体型…………なんと……なんと遠き理想郷か……《ずぅうううん……》」
喜びが大きかった分だけ、ショックも大きかったのだろう。
ア~ヴァロンア~ヴァロンう~るわしの~……とか、光のない瞳でぼそぼそ歌っている。
そんな彼女に中井出はサムズアップをしてみせる。
「アルトリア。主が言うように今のが理想の体型だというのなら、主の導きに倣い、栄養を取ればいいのでは?」
「!! そ、そうでした! 私は目先のことに囚われるあまり、大事なことを───! というわけでヒロミツ!」
「まず食事の量を減らそうね?」
「申し訳ありませんがそれだけは頷けません」
「……エクターさんとケイさんの日々の苦労が目に浮かぶわい……」
「……こほんっ! ともかく、協力を願います、ヒロミツ。そしてさあ、出立しましょう。今度こそ私は、あの気の多い女たらしの外道なんぞに、“王は人の心がわからない”などと言われない未来を目指すのです!」
「人の心がわかってて、女をとっかえひっかえするヤツに言われたくねぇよねぇ……」
「最近、モードレッドも“トリスタン殺す”とか言っています」
「物騒この上ないですね……今さらなんですが、どうやって成り立っていたんですか、円卓の騎士。私利私欲の猛者だらけじゃないですか」
無欲な王など飾り物にも劣るんだろうが、その下に就く騎士が強欲すぎたから滅んだんじゃないかしら、ブリテン。
そう思わずにはいられない。
ジャンヌは静かにうんうんと頷き、アルトリアの手伝いをすることを決意した。
───……。
どごぉん、と。
ある島は輝きを持った。
「ィヤッハッハッハッハ!! ───絶景!!」
まず過去に飛ぶや宙に飛び、大地を見渡せる位置から結界スキルを武具から引き出し、次いで精霊妖精魔獣に幻獣、召喚獣やら魔物、それらが持つ力や、自分の中にある世界から引っ張れる力という力を引き出して、神秘ってものを編んでゆく。
「さてさてマーリン。キミが現在の何を見てどう悟るのかは知らんけど、俺はそんな貴様を楽しませよう。だからまず、この島の神秘性を記憶して閉じ込める」
アバン先生っぽく魔法陣を描き、マホカトールとか言って結界を張った。
次いでヒロラインは遠方、そのとある侯爵家領地に存在する癒しとマナの結晶を取り出して、結界内で破壊することでそのまま解放。
結界の中だけが癒され、ブリテン島に存在する自然の活力が増強された。
彼はそれから各地に飛んで、その各地に癒しとマナの種を植え、元からある木々にも癒しとマナを植え込み、出てくる妖精たちや幻獣種にそれらを破壊しないようにと伝えて回った。
神秘を素に生きるものたちは、それが自分たちにとって糧であり癒しであると知ると素直に頷いてくれ、融通の利かないヤツは精霊を召喚してきっちり話し合って終了。
その大地の妖精精霊魔獣や幻獣とも契約を交わすと、このブリテンの神秘性を守ることを誓い合った。
その一方で、アルトリア───アルトリウスは5歳よりやり直し。
中井出がまずはと、妖精らが住みやすい環境作りのために行動。
アルトリウスはジャンヌに影ながら見守られる中、久しぶりの養父や義兄との触れ合いに笑みをこぼしていた。
それはいい。とても楽しかったから。
ただメシがまずいらしかった。何度やり直してもそれだけは変わらない。“よくも当時はこれで満足していたものだ”と信じられないほどに。
なので馬鹿者は姿も料理も見えなくしながら、まずい料理を食べるアルトリアの横でガツガツモッチャモッチャウンマァアイと食事をし、殴られた。
なにもない空間を殴った義妹に、義兄がどうした? と訊ねるが、アルトリアはなんでもありませんと返す。
そして香りだけで料理を辿り、見えないソレを食すと、笑顔をこぼした。
「いずれ枯れた大地も瑞々しくなりますわい。もうちょいお待ち」
さすがに堂々とお宅訪問して食べさせるわけにもいかないので、もっと食べたいと囁くその少女にはそのまま我慢してもらった。
アルトリウスの顔に絶望が浮かんだ。
そのくせ、まずくても人一倍は食べた。竜の血は伊達ではないらしい。
とまあ。
そういったこともあって、というのも妙なのだが。
アルトリウスは、かつてのように過ごした。起きている21時間の稽古と勉学、寝ている3時間も夢魔であるマーリンから教えを叩きこまれる、なんて日々。
いくら竜との混血だからって、睡眠はしっかりとりましょうってんで、中井出が夢の中に侵入、レインボーベイベーをセイントマッスルシルバーパンチで殴った。銀の手は消えない!
馬鹿じゃなかと!? と説教すると「すまない、たしかに自分にやれと言われたならうんざりする」と納得して、睡眠時間は……なんか増えた。時間をいじくったらしい。
というのも、眠ればレムだのノンレムだの鬼がかったアレはさておき、一瞬で“風呂上りにホットミルクを飲んで7時間バッチリ寝た”かのようなスッキリ爽快な睡眠を提供するベッドを提供。
訝しみいろいろ言ってきたエクターとケイに、マーリンからの指示であると大法螺を吹いて納得させて、一瞬で眠ってからは圧縮授業。
難しいことばかり説いたってわかるもんですかいと、夢の中で面白い授業も織り交ぜて学ばせていった。
「大体、国のためにと走る王が年がら年中難しい顔をしててどうしますか」
「───! そ、そう! その通りですヒロミツ! 私はまた、同じことを繰り返すところでした!」
答えを得たアルトリアは頷き───まあその、夢の中ではきっちりおなごなので、女性のままの姿のアルトリアは頷き、中井出とともにマーリンにバスターバリエーションPart5をキメた。
この馬鹿者が来てからというもの、マーリンは“現在”の先に霧がかかって見えなくなっており、それはそれで楽しく、一度見た一枚の絵のような世界に霧で蓋をしたような道を歩くのは、これで案外間違い探しをしているようで面白いらしかった。
「さてと。アルちゃんの夢の方はこれでよしと。あとは───枯れてる大地にゃ容赦はいらんね。まずは枯れた原因を除去して大地を潤して栄養を与えて……」
自然の精霊と強い結びつきのあるこの馬鹿者は、どこでだろうと草花を咲かせられる。
まずは根の強い植物を生やして水を吸いあげられるようにして、次に癒しとマナの樹を植えまくっていった。
マナってのは神秘性を強く持つ生き物の食料にもなる。
特にヒロラインの妖精は、これがなければやっていられないってほど。
精霊も同様であり、幻想種と呼ばれる稀少生命体も該当するだろう。
『■〇¶▲?』
「ウヌ、そうなんすよ。ほら、神秘性とか薄れて久しいじゃない?」
『〇▲〇×~……』
「だよねぇ……というわけでさ、神秘性を増幅させたいわけですよ」
『××、〇■?』
「え? 人間に世界を明け渡して、消えるつもりでいた? ノンノン、消える必要なんてないって。この島に結界張ってあるからさ、たぶん、神秘性を増幅させ続ければ素敵な場所になるし、むしろ明け渡す必要もなくなるって」
『■〇?』
「押忍」
森に先住していた妖精に事情を説明、マナを増やすと喜んではくれたが、自分達は世界の裏側に行くつもりだったという。
そんな妖精たちに中井出は根気よくこれからのブリテンのことを説き、移住の必要云々を笑いながら語った。
……。
アルトリウスが選定の剣を抜いた。
既に傍にモードレッドとランスロットが居たが気にしちゃいけない。
え? モルガン? 既に捕らえてあります。大丈夫だ、問題ない。とは中井出の言。
竜も妖精も人間の生きる世界では反則だというのなら。
そのルールという常識の悉くを破壊し、超越、凌駕にて未来を創造してゆこう。
まあまずは修行期間である。
抜いたからって最初から扱えるわけでもないので、じゃあ旅をしながら鍛錬でも───と言ったマーリンの前で、異民族を滅ぼした剣技を披露してみせたアルトリウス。
「フゥ~フ、穏やかな顔で使いこなすことがどうのと。物知り顔で語っていたマーリン、お前の姿はお笑いだったぜ」
そして普通にクズい馬鹿者。
マーリンはむしろ驚いたり喜んだりしていた。
知っている絵画が予想外の感動を与えてくれるってのは、どうあれ楽しく嬉しいものなんだそうだ。
世界が一枚の完成した絵にしか見えない彼にとって、この馬鹿者はいい刺激になっているのだろう。
そんなマーリンに、新鮮をお届けしまくる馬鹿者は実に絶好調であった。
「マリィ~~~ン! マリィ~~~ン! マリーン!! マッリィイイ~~~~ヒヒイイイ~~~ン!!」
「いや……君な。マーリンだと何度言ったら───」
顔を合わせると大体、からかった。からかった上で、常に行動の斜め上よりもうちょっとだけ左でストライクって、妙に痒い位置でぞわぞわ蠢くなにかっぽい漠然とした不安感で在り続ける彼は、それこそ妙にマーリンにその存在を覚えさせた。
日々をそんなに悟った顔で生きるくらいなら、もっと自分自身でおかしな行動を取ってみやがれべらんめぃとばかりに。
しかし彼がそんなことをどれだけしようと時間は進み───
「おいジャンヌ! また異民族が来やがったぞ! どれだけここを侵略したいんだよあいつらは!」
やっぱり海を渡ってこの島へやってくる異民族さんに、モードレッドは嫌気を隠しもせず叫んだ。
この島にある国のお偉いさんがたは散々と国同士で諍いを起こしたものの、異民族をブチノメすって点では協力。これは前に経験したのと変わらず、いつも通りの光景。
その王の中で裏切り、異民族を招いたというのがヴォーティガーン。白い竜である。
輝きを呑み、死した兵の血肉を喰らい、魔素を飲み、希望を咀嚼する。
その存在そのものが───ブリテンの意思だといわれている。
元はアーサー王の父ウーサーの兄であり、白い竜の血を飲むことでブリテンの化身となったのだと。
『ブリテンは滅びねばならぬ……! 人の手で侵されるくらいならば、この手で滅ぼし、原始に帰すのだ……! 貴様らなど認めるものか……! 人の手で癒される世界などたかが知れるというものだ───!』
魔竜は吼える。滅ぼし、そして滅びようと。
異邦人を招き、混乱している内に潰してくれようぞ、と。
居城を破壊し覆いつくすほどの巨竜となった彼は、あふれ出る力で邪魔者を滅ぼさんとした。
「モードレッドさん! ヒロミツさんから聞いています! ヴォーティガーンはブリテンそのものだと! 倒すことなど容易では───!」
「大丈夫だジャンヌ! なんか知らねぇけどヒロミツのやつにこれを渡された! 吹けば倒せるらしいぜ!」
「え?」
ひょい、とモードレッドが出したのは法螺貝。
それを吹くと、空中が歪んで、そこから巨大なアーサー王が……!
「え……えぇえええええええっ!?」
「父上!? ちっ……父上! おおおおお父上ーーーっ!!」
でもなんか全体的に丸い。体は細いけど、なんか手とかが丸い。
「ここここここれはいったい!? そのっ、えっ!? ななななにがーーーっ!?」
「大丈夫だって! なんかプリテンインパクトとか言ってたけど、これに乗って暴れるだけでいいらしいからよ! 父上の形とかわかってるぜあいつ!」
「説明になってな───《ひょいパクッ》いやーーーーーーっ!?」
言っているうちに丸い手で掴まれて、ごっくんされた。巨大なアーサー王に。
なんか妙なBGMがうるさいが、ごっくんされた中にあったコックピットにて、彼女らはゴエモン……もとい、ブリテンインパクトを操縦することに。
もちろんどうすればいいのかもわからないため、適当にやるしかないのだが。
そんなモードレッドとジャンヌの耳に、どこからか声が……!
『ミ~ト~ミ~ト~! ドヘッドヘッ!』
「誰ですか!?」
『私だ!《どーーーん!》』
「いや姿形もねぇよ!」
『まあまあ』
聞こえた声は思い切りおバカさんの声だったので、ジャンヌは安心して、モードレッドはまたからかわれるんじゃ、と不安に思いつつ耳を傾けた。
結局はまずは歩くことだけを考えてと言われたので、歩くためのレバーを……と操縦桿を見てみれば、なんかバーチャなロンとか出来そうなものが飛び出てて、コマンドリストとかがその横にペターと貼られていた。
さらには操作方法も細かに書いており、その通りにやったらきちんと動いたので───
「ブリテンインパクト! 発進!!」
「あっ! ずるい!」
モードレッドがきらっきら笑顔で発進を宣言。
言ってみたかったジャンヌもまた素直な言葉を発して、しかしこれより始まるは殺戮ショー。
何故ってこのブリテニンパクトがデカいからである。
動くというか、足の裏についたローラーで走るだけで、異民族がプチッと潰れるデカさ。
お馴染みのBGMが流れる中で異民族を潰し、エクスカリパーを振るえば風圧で異民族が吹き飛び、落下で死ぬ。
というかとことんまで斬れないこのエクスカリパーだが、普通に鈍器にはなったので、無遠慮に振るった。
異民族を潰した先───白い竜、卑王ヴォーティガーンがこんな謎の状況に戸惑っていたが、ぼうっとしていれば厄介になることこの上ないと判断、戦いを始めた。
そうしてヴォーティガーンの前に立つと、目の前に急に半透明のウィンドウが出てきて、
緊急ミッション! ヴォーティガーンを生け捕りせよ!
などという文字が! 「おいふざけんな!」とモードレッドが叫んだが、次にウィンドウに出てきた文字に、諦めにも似た溜め息が出た。
神秘性の維持のために、竜族などは極力必要である、と。
なので、人は竜に勝ってはいけないのだと。
人が神秘性の場所でまで頂点に立ってしまっては、やはり神秘は廃れてゆくのだと。
言いつつ、ブレスを喰らっても全然びくともしないブリテンインパクトにこそ、二人は驚愕したわけだが。おまけにヴォーティガーンも。
「生け捕りって、殺すよりよっぽど難しいじゃねぇかよ!」
『黙れ小僧!!』
「小僧!?」
『今はその“難しいこと”の先が見たいって、キミの父上が言うからやってるの! しかし、ホホッ……ン? いやならやめてもいいんじゃぞ?』
「や、やるさ! やってやるよ! 父上の望みは、オレが───!」
『ようがす! ではジャンヌちゃん!』
「はいっ! 主よ!」
『やってしまえぃ! ぶっちゃけると生きてさえいればいいから、フルボコって十分!』
「はい!」
『あ、その間、僕はランスロット卿と一緒にモルガンさんに提供した新王国の案内とかしてるから。聞けば王様になりたいとか、親の愛をアルちゃんばっかがもらったのが悔しかったから、アルちゃんにちょっかい出してたらしいじゃない? なのでね、ちょっといろいろいじくることにした』
「いろいろ、とは?」
中井出とジャンヌが話し、モードレッドが操作し暴れる。
左トリガーひとつで丸い拳が突き出て、ヴォーティガーンをドゴォと殴り、右トリガーでエクスカリパーを振るって敵を殴打。
細かなレバー操作で素早くウェービングも可能で、両方のレバーの同時操作によってしゃがむこともジャンプすることも出来た。
「うおおおお! やれー! 父上ー! あははははははは! 強い! 父上強い!!」
ヴォーティガーン、困惑のうちにボコスカ殴られるの図。
『見えてるブリテンと辿り着く島の複製と乖離が完了したから、神秘大陸ブリテン島は神秘に包みます。けど、普通のブリテン島はモルガンに任せるよ。彼女が王になる。面白いことにね、彼女、“ブリテン島の王の資質”って意味では、アルちゃんより王の素質はあるんだ。まあそこには円卓の騎士とかおらんから、それからのブリテンがどうなるかは彼女次第だね』
「なるほど。言ってしまえばこの王位も用意されていたものです。そこに座りたいのなら、自らが努力して、学び、勝ち取らなければ意味がありません」
『そゆこと。で、試しに24時間アルトリウス育成計画を一週間続けてもらったら、ものの見事に過労でぶっ倒れた。そんなことでは王になれんぞ! って言ったら泣いちゃった。素質はあっても、竜の血はないものなぁ』
「誰かが通った道をなぞることさえ出来ないのに、ただ王位というものに執着するあまりに人を不幸にする。……いつの時代も、権力と威光の争いとは悲しいものですね」
『人間ですもの』
笑って締めくくり、最後に「じゃあ、そのー……言った通り応援とか苦手だけど。頑張ってね。そっちはお願いね、ジャンヌ」と言って通信は切れた。
ジャンヌはぽかんとしていたが、徐々に笑みを浮かべ、はい、と笑った。
「オラオラオラオラ! 父上パーンチ! 父上エクスカリパー! 思い知れヴォーティガーン! これが父上だ! これがブリテンの力だ!」
『ブボバッ! おごっ……! ちょ、待───! どこがブリテンのっ……! そもそも我が力こそがブリテンの───』
「うるせぇな父上が剣を取って相対したらそれは敵で父上はブリテンなんだよいいから泣いて叫んでさっさと死ね!!」
『えぇえええーーーーーーっ!?』
で、笑みを浮かべて見た先は地獄絵図でした。
……うん。そういえば、自分の主神の武具は、呆れるくらいに屠竜に特化したものだった。
そこから作り出されたものが、よもや竜に弱い筈もなく。
モードレッドがレバガチャして様々な技を編みだす中、ヴォーティガーンはボッコボコにされ、最後に龍神烈火拳がキマったところで動かなくなり、捕縛と相成った。
「うおおお父上すげぇ! なんだ今の技! 拳からこう、竜みたいなのが! 最後に回転して蹴って! 父上かっこいい!」
「ちょっ……モードレッド! 捕獲! 捕獲ーーーっ!!」
「へ? あ、うわやべぇ忘れてた! 父上! 父上待った! 父上ーーーっ!! ……あ、でも容赦のない父上も格好いい……!」
ああ主よ、加速度的に父上を神格化して見始めている人がここに一人。
どうするんですかこれ。
この大きなアーサー王が出来ること=アルトリアが出来ること、って勘違いしてますよこれ絶対。
ああ、あんなに目を輝かせて……。
「よぅっし捕獲完了だな! まあ父上が本気を出せばこんな竜野郎なんてこんなもんだろ!」
「………」
そうして、ぐったりとしてはいるけど生きてはいるヴォーティガーンを捕獲。
ジャンヌはどこか遠い目で、神秘性ってこんなのでなんとかなるものなんでしょうか……と呟いた。
……。
ヴォーティガーンを生け捕りにして、ブリテンとの繋がりを切断。
代わりに中井出が器詠の理力にてブリテンと繋がり、意思を通すと、ブリテンは一層に神秘性を増した。
人間なのにどうなってんだお前、とはモードレッドの言葉だが、人間かどうか以前にこの男は常識破壊の孤独な馬鹿だったのだ。
ともかくそうして「アイアム・ブリテェン《ジャーーーン!》」と、ライデンの真似をしつつ胸を張る馬鹿の一丁あがり。
ブリテンの意思は、“穢されたくない”と叫んでいたようで、ならばともに美と愛と美の未来を
ヒロラインから流れるマナと癒し、必要な神秘性を感じたブリテンは喜び、感謝し、中井出に身を委ねた。いや、エロい意味じゃなくて。島がエロいとかなにそれ。
エロマンガ島はそりゃあエロいかもだが。名前が。
そんなエロさはさておき、ヴォーティガーンを捕縛し、その城をエクスカリバーを持ったアルトリアが治めると、そこはキャメロットになったとか。キャメロットの拠代めいたものがエクスカリバーらしく、もしかしたらこれ、エクスカリバーを湖に帰したらキャメロット滅びるんじゃないかしら。と思わなくもない。
心配はどうあれアーサー王の時代がやってきた。本人、ヴォーティガーン討伐には参加していなかったんだが。
なにをしてたのかといえば、上陸しようとしていた異民族をカリバーンで殲滅作戦。ガウェインとともにそれを為し、それが作戦であることを伝えると、ガウェインさん案外あっさり納得。
しかしそうしてヴォーティガーンの脅威がなくなっても。癒しとマナに包まれようと、異民族はやってきた。
アータらいったいどっから湧いてくんのとばかりに。
調べ上げてみれば、帝国が手引きしていたのだとか。どんだけブリテン滅ぼしたいのか彼らは。
ちなみにカリバーン紛失事件は起きなかった。何故って、モルガン捕まえてあるし、マーリンが女癖の悪さをご披露あそばせようとする時は、大体中井出がセイントマッスルパンチで沈めるからだ。
厄介事に父上を巻き込むんじゃあない、脳内虹色馬鹿野郎。とはモードレッドの言葉だ。
「ところでランスロットさんや? ギャラハッドのこと、どうするの?」
「……済まぬ」
「その声でそれはやめなさい。既にギネヴィアさんも現れたけど、とりあえずアルちゃんとの結婚は保留。アルちゃんのことをめっちゃ慕ってたけど、支えようとしてくれてたけど、性別的な違いはどうしようもない。そうして相談役にキミをつけてたら、キミに惚れちゃったし。なんのかんの手ぇ回してキミと結婚って流れは作ったけどさ」
「そのことに関しては深く感謝を。同時に、やはり謝罪を」
「え? なんで?」
「……その。祝われたのち、酒を呑まされ、ボウっとしているところにギネヴィアに誘われ、寝所をともにしたのだが───」
「…………相手が実は、キミを魔術で誑かしたエレインだったってオチならグーで殴る」
「……済まぬ《マゴシャア!》ウボア!」
「テメェェェェ!! ほんといい加減にしなさいよ!? なんでそうポンポンとヤっちゃうの! たしかにこれでギャラさん産まれるけどさ! モーちゃんの矛先にまたキミが含まれるじゃないの! モーちゃんがトリスタンぶん殴りに行くの止めるの、どんだけ苦労したと思ってんの!?」
結果としてギャラハッドは産まれたそうな。
すくすくと成長し、数々の困難を乗り越え、円卓の呪われた13番目に座し、資格を得た。
その頃になると聖杯の幻覚が見えるようになったーとかで、せっかく揃った円卓の騎士が“聖杯さ探してくるだよ!”的なことを言って旅立とうとする。
元々の歴史では、神秘が失われるのなら、相応の奇跡を手に入れればいい、ということで探すことになる聖杯だが、それ欲しさに幻覚を見るとかどうなってんのブリテン。
そうして、聖杯を探しに騎士たちが行動したのち、彼らが死ぬことや、手に入れられずに無駄な旅になることを知っているアーサー王は、もちろんそれを許可するわけもなく。
むしろ揃って座すのがこの一度きりなど、なにが円卓の騎士なものかと唇を噛む。
しかし幻覚は見える一方で、騎士たちも我こそがと進言するばかり。
どうすれば───と悩んでいると、
「聖杯です《どーーーん!!》」
聖杯が向こうからやってきた。というか中井出だった。
そういえばこの人、聖杯を武具に融合させてたよ。
そんなことに気づいたら、知らず、アルトリアは笑っていた。
「おお……! 王が笑った……!」
「なんと美しい笑みか……!」
「はっ!? い、いや、笑ったというのはだな、その……~~……ええい、とにかくだ! 聖杯はここにある! 皆が出ていく必要などないのだ! ……ここに居て、ともに国を守ってくれ。頼む」
『───…………』
騎士たちは皆驚き、しかし礼を取り、誓った。
このやさしき王のため、尽力しようと。
かつて、この王は己の在り方など振り返ることなく、ただひたすらに国のためを願って走った。
今この場でそれを知っているのは、モードレッドとランスロットのみだろう。
そんな思いを知っていれば、また、そんな過去を覚えていれば、王もまた新たな生き方だって出来たのだ。
自分は一人でも独りでもない。
今は手を取ってくれる仲間がいる。
不可能だと思っていた常識を破壊してくれる馬鹿者も居る。
故に。
叶うのなら、この愛しき国を神秘に変え、滅ばぬ未来を望みたい。
願うことは、選定の剣を抜いたいつかと変わらない。
民が笑顔だったから。
人が幸せそうだったから。
───そう。
その顔を、覚えているから。
目に涙をためて、弾けるように笑う姿が眩しかった。
そんななんでもない日常を心の底から楽しんでいる、男女の姿を覚えている。
それがあまりにも楽しそうだったから、まるで見ている自分さえも幸せなんじゃないかって思えたほど。
だから、私は───
◆ネタ曝しです。
*なに!? そんなことは神が許さんぞ!
ならば神とも戦うまで!
北斗の拳より、師父リュウケンとラオウの会話。
*ねェズラよ?
美人だズラァ……! マブイズラァ……!!
ジョジョ第二部より、鋼線(ワイアード)のベック。
こいつもう大好き。
*天空の城ラピュタ
一度は見てほしいジブリアニメ。
ネタがどうとか以前に、ステキな物語です。
*守護る───しゅご・る
刃牙道より、本部さんの言葉。
まもる、じゃなくてしゅごる。
たまにというか、妙なところで守護と書いてまもる、じゃなくなっていた。
個人的に、ハチャメチャな魔法効果だったけど続きが気になったのは、愚地克己対ピクルだったりしました。
丸みがあった克己の顔が、どんどん細っていって戦士の顔になっていくのがまた……。
でもやっぱり音速の拳や衝撃波よりも鞭打が痛い理論はどォ~にもこう……納得がいきませぬ。
*おう! 俺だぁ! トメだァ!
ときめきメモリアルより、花火を楽しみにしてろとか言ってらっしゃる。
連絡手段がどうだったかは思い出せない。
急にかかってきた電話等だったらた、何故電話番号を知っている。
……あれ? 広告てきなものに書いてあったんだっけ? やっぱり思い出せない。
*麗しのアバロン
ロマンシングサガ2より、アバロンを称えた歌。
なんでか跳躍する。壁にめりこむ。
*銀の手
ロマンシングサガ3より、夢魔イベント。
夢の中のアイテムは、夢の中を攻略すると消えるのに、銀の手だけは消えない。
*レムでノンレムで鬼がかる
Re:ゼロから始める異世界生活より、レムさん。
アニメでは……切なかったなぁ。どうあっても白紙の親書は届いたわけだから、つまりそれを書いた筈のレムは……OH。
過去の痕跡さえ消せるっていうんだから、魔女教もすごいもんです。
*眠る前にホットミルク
吉良吉影に限らず、本当にぐっすりできる方法。
地味にゆずそふとさんののーぶるわーくすでもオススメしていたり。
いや、あれはちょぴり違うか。
*バスターバリエーションPart5
ツープラトンのキン肉バスターチックな技。
キン肉マン、キン肉マン二世より。
*大丈夫だ、問題ない
今さらですけどエルシャダイ。もう何回か使ってた気がするけど書き忘れました。
*お笑いだったぜ
サイヤ星の王などと。
劇場版ドラゴンボールより、パラガス。
*マリィ~ン! マリィ~ン! マリーン! マッリィ~~ヒヒィ~~~ン!!
外国の歌でそういうのがあるの。ジョリーンって歌。
ジョジョ六部より、グェスがジョリーンをからかった時の歌。
*もうちょっと左でストライク
うすた京介の読み切りの名前のもじり。
*ブリテンインパクト
がんばれゴエモン2より、ゴエモンインパクト。
これのBGMがまたいいんですよ。
熱さと寂しさと爽やかさを兼ねそろえているというかなんというか、ともかくいいです。
*バーチャルなロン
バーチャロン。
随分とゲーセンで楽しんだものです。
バルバスバウとかスペシネフをよく使っておりました。
あとはグリスボック。
*エクスカリパー
FF5より、ギルガメッシュが掴まされてとっても弱いことに驚いた武器。
こっちではエンキドゥでしたね。いや~、ギルガメッシュ、憎めないヤツでした。
のちのシリーズで声が郷里さんだったのが、意外というか……うん、正直もっと若い声かと思ってました。
*黙れ小僧!
モロ。狼かと思ったら犬なんだって。
もののけ姫より。
*いやならやめてもいいんじゃぞ?
FF11より、マート。
一発じゃあ足りない、気が済むまで殴らせろ。
その想いが叶ったと思いきや、強すぎたジジイ。
世界の広さに反して足の遅いゲームであった。
調べてみれば弱い敵に手個づりまくり、あまつさえ殺されるなんてあってはならんと思うのよ、スクウェアさん。
*泣いて叫んでさっさと死ね
KOF小説、最大多数の最大幸福より。たしか庵が言っていたと思うの。
*龍神烈火拳───りゅうじんれっかけん
拳で殴りまくったあとに回し蹴りで締め。
殴るたびに龍神闘氣が散る様は、なんとも見ていてアツイ。
*ライデン
バーチャロンのではなく、CAPCOMvsSNKシリーズより。
飢狼伝説のライデンのBGM,結構好きです。
あとキャラ選択のBGM。最近は使わないけど、SNKは昔よく“ポピポー”って音をよく使ってた気がする。
飢狼伝説のキャラ選択とか、龍虎の拳のジョン・クローリーのステージとか。
よくって程でもないか。