アルベドからなんとか貞操を守ったアインズは、9層にある執務室でデミウルゴスから諸々の報告を受けていた。
「…ですから、このように現在調査しているという所です」
「ふむ…実にわかりやすかったぞデミウルゴスよ」
実は半分もわからなかったアインズはとりあえず労いの言葉をかける。
「深謀なる御方のアインズ様からわかりやすいと仰られることは、このデミウルゴスにとって最高のよろこびでございます」
「そ、そうか。私は私よりもお前の方が頭が良いと思っているけどな」
「そのような事はございません!アインズ様の今までなされてきたこと全てにおいて私が考える以上の成果がでております。これはアインズ様の知略が優れている他ありません」
とアインズ自身もびっくりの評価だった。
「(うひゃー…どうしてそうなるんだ。)まぁそれはそれとして、これからの方針を話し合おうと思うのだが」
「それについては私から1つ提案がございます」
「なんだデミウルゴスよ」
「アインズ様とセラフィス様が冒険者として人間の英雄になられると仰られた時から考えていたのですが、アインズ様とセラフィス様がモモンとセラという冒険者として人類の英雄になる為にはそれに相対する魔王が必要だと私は進言致します」
「魔王…か。良かろう、その案件お前に任せてもいいか?勿論擦り合わせは必要だと思うからやるが」
「はっ!私にお任せください。必ずやご期待に添えるものを」
そう言ってデミウルゴスは深く礼をする。
「うむ、任せよう。では私は冒険者に戻るとしよう」
「では草案が決まりましたらご連絡致します」
デミウルゴスに見送られてアインズは再び宿屋へと戻っていった。
アインズと別れた後、セラフィスはリアと共に次々と来る名指しの依頼をこなしていた。
「これ程までに名指しの依頼が来るとはな」
現在受けている依頼は5つで、1つが護衛で後の4つはモンスターの討伐であった。
セラフィスはリアと共に討伐対象であるギガントバジリスク2体を相手取りながらアダマンタイト級の有名度に感心する。
「私はセラ様が活躍する姿を見られて凄く幸せですけどね」
リアはこちらに噛み付こうとするギガントバジリスクを思いっきり殴り飛ばす。
「そ、そうなのか…。まぁこんなのに時間掛けていたらいつまで経っても終わらないからな。速攻で終わらせるぞ」
そう言ってセラフィスは2体の首をはね飛ばし、絶命させた。
「さてと、ここを剥ぎ取って…よし、じゃぁリア次行くよ」
「はいっ!セラ様、次は森の奥で暴れているマンティコアですよ」
2人は5つの依頼を全てこなし、宿屋へと戻ってきた。
アインズが“黄金の輝き亭”に移動し、セラフィス達も一緒に同じとこを借りたので、「金が…」とアインズが泣きそうになっていた、泣けないけど。
部屋のドアを開けると、シオンが抱きついてくる。
「おかえりなさい!」
「あぁ、ただいまシオン。元気にしてたかい?」
「はいっ!シオン元気にしてました!」
「そうかそうか、偉いね」セラフィスはシオンの頭を優しく撫でてあげる。
続いてルカも出迎えてくれた。
「おかえりなさい」
ルカの方はリアが抱きしめてあげていた。
「いつも自由にさせられなくてすまないね」
「いえ!拾っていただいただけでなく、こんな綺麗な部屋に住めるだけで僕達は幸せです」
「うーむ…なぁリア」
「なんでごさいましょう」
「アインズ君に了承取れたら、この子達を1度ナザリックに連れていこうと思う」
「そうでございますか!きっとアインズ様も許してくださいますよ」
「そうだといいが…呼んでみるか、《伝言/メッセージ》」
セラフィスはこめかみに指を当て、アインズにメッセージを使う。
「(アインズ君、もう戻ってきてるかね)」
「(セラさん?えぇ、戻ってきてますけど。どうしました?)」
「(あぁ、1つ相談事があってな、こっちの部屋に来てくれるか)」
「(えぇ、わかりました)」
しばらくしてアインズがやってきた。
「それで相談事というのは?」
「あぁ、それがな…この子達を1度ナザリックに連れていこうと思ってな」
「…あぁなるほど。んー別に構いませんよ」
「ん?アインズ君、君余所者を入れるの嫌いじゃなかったっけ」
アインズは苦笑し、
「相談しといてそれはないでしょうセラさん。確かに余所者は入れたくないですけど、その子達はセラさんの子みたいなもんでしょう?ならナザリックの一員としていいんじゃないですか?」
「あ、あぁそうだな。あとはこの子達がアルベド達を見てショック死しないかが問題か」
「まぁ行けそうになかったらそれまでですよ」
「…ルカ、シオン。私とリアの正体は知っているね?」
するとルカが答える。
「…はい、セラさんは天使様で、リアさんは鬼ですよね」
「あぁ、それであってる。あ、アインズ君も見せてあげれるか?」
「え?私を見て大丈夫ですかね、心の準備とか…まぁいいか」
アインズは鎧を解除し、アンデッドの姿を見せる。
アンデッドの姿を見たルカとシオンは一瞬怯えるが、怯えをすぐに隠そうとした。
「ありがとう、アインズ君。怯えるのはしょうがないか。…私やリア、アインズ君はナザリックと呼ばれる者でな、そこにはアンデッドも天使も色んなモンスターがいるんだが、仲良くやってるんだ。ここでは窮屈だけどあそこは広くて皆大切にしてくれる。…どうかな、一緒に来るかい?」
ルカとシオンは少し迷ったがすぐに答える
「確かにモンスターは怖いし、恐ろしいです。けど僕達はセラさんについていきます!」
「そうか…大丈夫。お前達には絶対手は出させないから。な、リア」
「えぇ、それにきっと皆喜んで迎えてくれますわ」
「じゃぁアインズ君、次は私達がナザリックへと行ってくるよ」
「分かりました。今もうアルベド達には伝えてあるので大丈夫ですよ」
「ありがとうアインズ君。あ、はいこれ。アインズ君が帰ってくるまでに稼いだお金」
セラフィスはアインズに革袋いっぱいに詰まった金貨を渡す。
アインズは当分の宿代が確保できたのを安心した。
「先に稼いでくれたんですね」
「というか、多分君達の所にも名指しの依頼来てると思うよ。これから大変だと思うけど、頑張って稼いでね」
「…覚悟します」
「じゃぁ行こうか。リア、ルカ、シオン」
『はいっ!』
4人は仲良くセラフィスの開いたゲートを通ってナザリックへと向かうのだった。
次もナザリックの中でのお話ですね