セラフィスが紙に記された場所に着く少し前、リアはゲートでナザリックへと戻っていた。
「一刻も早くアインズ様に知らせなくては…!」
リアはアインズがいると思われる第9階層の王座の間に急いだ。
リアが王座の間に続く扉を開けると、アインズとアルベドが何かを話しているところだった。
「ん?リアか、いったいどうしたんだそんなに慌てて」
「アインズ様、ルカとシオンが攫われてしまい、セラ様が一人で行かれてしまいました!」
「攫われただと?それにセラさん一人でとはどういうことだ!?」
「セラ様は怒りで冷静になられておらず、私一人ではどうしようもできなかった次第でございます…」
「…とにかくセラさんの所へ行くぞ、アルベドよナザリックの警戒レベルを上げ、各階層守護者に連絡し、いつでも出撃出来るように準備させろ」
「アインズ様の護衛は誰が致しましょうか」
「リアがいるからひとまず大丈夫であろう。アルベドも出れるように準備をしておけ」
「わかりました。では私は先に」
アルベドが命令を伝達するために王座の間から離れる。
「ではリアよ、セラさんの所へ案内してくれ」
アインズは《上位道具創造》で漆黒の鎧を装備し、リアと共に王国へと向かった。
「あの紙に記された場所はここでございます」
「セラさんは…いたな。少し隠れて様子を見るぞ」
アインズとリアは少し離れた所にある廃墟で様子を見る。
「…どうやらルカとシオンはここにはいなかったようだな」
セラフィスが男の頭を掴み何かを聞き出しているところを見てアインズが言う。
「アインズ様、あのご様子ではやはりセラ様は冷静ではございません…」
「分かっている。だが今行けば伏兵、さらに私達では対処出来ないものが存在するかもしれないのだ、迂闊には動けん」
「あ!セラ様が飛び立たれます」
「っ!追うぞ《飛行》」
飛び立ってしまったセラフィスを、アインズとリアはフライを使って追った。
「だいぶ離されてしまったが…ここは貴族の屋敷か」
「えぇ、確か…ブライス卿…の屋敷でしたかと」
「ブライス?…もしかしてあいつか…」
アインズはセラフィスが睨みつけていたある貴族を思い出す。
「セラ様は一体どこへ…っいました!」
リアが指さす先には、セラフィスが武装した男達に囲まれていた。
「リア、あの集団のレベルがわかるか?」
「大抵が5~6レベルかと…ん?あの奥にいる貴族の後ろに控えている6人は少々高いですね、20.22.21.24.30といったところですわ」
「ほう、ガゼフやラキュース達以外にこの国に30レベルがいたのか」
「このまま降りていきますか?」
「いや、先程と同じようにこのまま待機だ」
「…了解致しました」
アインズとリアはフライで空中に浮いたまま、セラフィス達を見下ろす事にした。
セラフィスが剣を捨て、仁王立ちしているのを男達が痛ぶるのを見て堪らずリアは突撃しようとするがアインズが手で制す。
「なぜお止めになるのですか!」
「…まだだ、まだ行ってはならない。見ろ、セラさんは【上位物理無効】を切っている。何かあるはずだ」
「くっ…」
セラフィスが血だらけになる姿を見てリアは今すぐ周りの人間を殺したい衝動に駆られるが何とか踏みとどまる。
ついに貴族が奥にいた若干強い者達をセラフィスにけしかける。
彼らは丁寧に名を名乗っており、それはアインズ達にも聞こえてきた。
「六腕…確か八本指の一つか、雇われたようだな」
「そんなことよりもセラ様がっ!」
リアが我慢出来ずに突撃しようとしたそのとき、セラフィスはゼロと名乗った男の放った拳を受け止めそのまま握り潰すのを見て止まる。
そしてそこからはセラフィスの虐殺が始まり、残るは貴族とセラフィス達だけになったようで、
「どうやら終わったようだな、さっそくデミウルゴスに八本指を掌握するように言わねばな、ではリアよ後は頼んだぞ…」
アインズは大事なく終わったと考えて、次の計画を考えていた。
しかしリアが「あっ」と呟いたのを聞き、セラフィスの方に振り返る。
片腕を切り飛ばされた貴族がルカとシオンの無事を確認していたセラフィスに、何か黒水晶のようなものを向けるのを見た。
「あれは…ワールドアイテム!?いかん!リア、あいつを止めよ!」
リアも危険を察知し、アインズに言われる前にセラフィスを守ろうと向かっていた。
しかし時既に遅く、黒水晶から伸びた黒い影の槍がセラフィスを背中から胸を貫いてしまっていた。
すぐに貫いた槍は消え、水晶の中に結晶となって吸い込まれていった。そしてセラフィスは倒れ込こみ、ルカとシオンはセラフィスの横でへたりこんでしまった。
「セラ様っ!」
リアが倒れ込んだセラフィスの元へ向かい、必死に声をかける。
「セラ様!起きてくださいませ!」
続いて降りてきたアインズがルカとシオンに声をかける。
「大丈夫か、ルカ、シオン」
「僕達は大丈夫です…けど、セラさんが…」
「…あのワールドアイテムは精神干渉系だったはず、なら今のセラさんは…」
リアがセラフィスに治癒魔法をかけ、傷を全快させると肩を揺すって声をかける。
するとセラフィスは微かに意識を取り戻したようで、口を少し開けて何かを言おうとしている。
「セラ様!何ですか!?どこが痛いですか!?」
リアは聞き取ろうとして顔を近付ける。
「…ひ…」
「ひ?」
「…一人目もぉらい」
「え?」
「リア!」
目を開けたセラフィスが突然リアに向けて放った手刀をアインズはリアを後ろに投げ飛ばし、素早く抜いたグレートソードで防ぐ。
「やはり精神が侵されているようだな…セラさん」
「…ちっ邪魔しやがって、お前から先に殺してやろうか?」
「狂ったか…悪いがお前をここで倒させてもらう」
「はぁ?お前が、俺を?…冗談言ってんじゃねぇよ潰すぞ」
「やってみろ!リア!子供達を連れてナザリックへ!守護者を招集しろ!」
アインズはセラフィスを蹴飛ばし、言う。
「っ…わかりました。ルカ、シオン早くおいで!」
「セラさん…ほらシオンいくぞ!」
「うぅ…セラぁ」
ルカはシオンの手を引きリアの元へ向かうと、リアがゲートを開いてナザリックへと戻っていた。
「よし、まず一つだな…」
アインズは子供達の安全を確認し、一安心する。
蹴飛ばしたセラフィスはすでに【Ciel Sanctuary/天空聖域】を拾っており、こちらに向けている。
「あーあ…3人も逃げちゃってんだけど…お前、どうしてくれんの?」
「セラさん…どうか正気に戻ってください。ナザリックの皆があなたの帰りを待っています」
「正気ぃ?…俺は至って正気だぜ?全てを壊し、全てを殺すのが俺。ナザリックなんぞ知るか…邪魔するのならアインズ、お前も壊すぞ」
「…いいだろう、お前がそこまで狂ってしまったのなら私が正気に戻してやろう。こい!お前の全てを叩き潰してナザリックへと連れ帰ってやろう!」
戦闘シーンは次で書きますね。