短編試作【吟風弄月】   作:有馬 遊

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プロットその他諸々

吟風弄月

 

錆 紅葉

謳え 吟風弄月

 

月がほしいと泣きながら背(せな)の赤児(あかご)は手をのばす。あれは取れぬと云いながら子守はやけに脊ゆする 吟風弄月(ぎんぷうろうげつ)

 

卍解 月華幻想吟風弄月

 

錆斬り

常時解放型の斬魄刀であり紅葉自身。そもそも錆家の人間は剣術を納めた剣士では無く、それそのものが己の扱い方を知る剣そのものであり、魂魄の在り方もその有り様に依存する形で人からは半ば外れている。

あらゆるものを刀として扱う事ができ、全刀流の剣術を扱う事が出来る。

 

卍解 完了形変態刀 然刀 鉋

 

修羅の道を行き遂に完了形へと至った紅葉の卍解。

完了形へと至ったそれは最早全刀流でもなんでも無く、寧ろ虚刀 鑢に近いそれになった。何もせずとも己の意志で物を斬り、削る。

 

遥か昔から失敗作と銘打たれ、屈辱を味わってきた錆家の末裔にして、二代目錆黒鍵。僅か3歳にして全刀流の奥義を会得し、一度刀を振れば鎌鼬を起こしながら戦車数台を纏めて切り裂き、突きを放てばまるでスナイパーライフルで狙撃されたかの様に防弾ジャケットを、それどころか軍艦の装甲板すらも容易く貫く。

その強過ぎる力は現代では全く何の役にも立たず、周囲からは孤立しながらも自分の趣味(サブカルチャー)を楽しんでいた。

人生の最後は偶然公衆トイレに仕掛けられていたテロリストの爆弾の爆発に巻き込まれ、死亡。

一人だけだったならば爆縮地を使って逃げれたのだが、トイレの出口付近にいた女の子と黒猫を庇った為に逃る事が出来なかった。しかも不幸な事に、爆弾の威力が高かった為に、紅葉の奮闘空しく女の子と黒猫も共に死亡してしまった。

 

吟風弄月

(幻覚)鬼道系。自分の中にある精神世界。心象風景の一部を流出させる事が出来る。また、応用で自分自身を半分程精神世界に取り込む事で、相手の攻撃をすり抜ける事も出来るし、自分を一度完全に取り込んでから再度流出させる事で霊力に頼らない瞬間移動を行う事も出来る。

因みに、自分自身が現実世界よりも精神世界よりの存在である為か、藍染の鏡花水月や平子の逆巻を素で無効化してしまう。

fearのアルマ+ナルトのうちはオビト

 

性格

基本的に興味関心は自分自身のみに向いており、他人の事など塵芥程にしか思ってないが、それは他人に優しくされる経験が全く無いからであり、慈愛を持って接すれば漫画アニメのチョロインもびっくりな程チョロい。

基本的に精神世界にいる女の子や流出して共にいる事が多い黒猫、卯の花や浮岳などの面々には驚く程従順であり、逆にそれ以外の他人はほぼ認識出来ていない事が多い。

鑢の某姉の様に雑草とまではいかないが、『人間の形をした喋るナマモノ』としてしか認識しておらず、上記に挙げた面々以外では誰であろうともほぼ真面目に会話していない。

因みにこれは総隊長にも当てはまり、その態度に業を煮やした副隊長と死闘を繰り広げ、その末に紅葉が負けよりの引き分けに終わった事をきっかけに副隊長にも従順になる。

 

「Here is where? 」

 

はてさて、ここは何処なのだろう。

辺りはまるで先代の数世紀前か否かと言うくらいの超ど田舎であるし、住民の服装も、最低限の文化的な生活が保証されている現代においては絶対にありえないボロ切れの様なもの。自分のそれもよくよく見れば周りと同じものであり、ゴワゴワしていて気持ち悪い。

 

「...なんだよこれ。六銭はきっちり払い切ったにしては待遇悪かないかな?」

 

現世の金銀財宝もあの世には持っていけず。

無一文に等しいこの身では呉服屋を見出したとしても、盗むか強請り捕るかしか方法が無い。仕方なく、暫くはこのまま過ごしていく事を決める。

 

「うーん...取り敢えず獲物でもこっさえるかねえ。全く、錆びついた才が死んだ後に役立つってどういう事なんですかねえ...(白目)」

 

幸い辺りは緑に囲まれた自然豊かな村(※なお人間が豊かとは言えない模様)。少し枝振りの良い木から見繕えばこのサバイバル生活も多少は楽になる事だろう。

爆縮地の応用で上空へ跳ね上がり、目星を付けていた比較的真っ直ぐなそれを手刀で切り落とす。

虚刀流では無いが、これくらいならば不完了系でも出来なくは無い。本家本元はこれで刀と斬り合えると言うのだから、うちよりよっぽど化物だと思う。

何回か切り落としたそれを軽く素振りしてーー手加減を間違えて何本か根元から伐採してしてしまったがーー暫く納得して鋒を下げる。

果てさて、この大木共はどうしようか。

考えた挙句、薪に加工して村に配ってやる事にした。

どうせ元出はただ。プレゼントフォーユーしたところで痛くも痒くもない。

一応村人達は感謝してくれたが、まあ案の定こいつは何者なんだ的な目を向けられた。

別にこの村に留まるつもりも無いので、まだ森の浅いところに持ってこれなかった分のまきがあるからと伝えると、俺は何処へ向かうでもなくえっちらおっちら歩き出した。

その直後に優しいおじいちゃんが次の村はあっちだよと教えてくれて掌クルックルで回れ右したが。

 

さて、歩き出したは良いものの、俺はあの世の事など欠片も知らない。仏さんに蜘蛛の糸を垂らされて天国にいけるもんだとばっかり思っていたから、こんな殺伐とした彼岸の向こうの常識など知ってる筈も無く。無一文、水食料も無し、寝床も無しと高架下などで眠りに就くホームレスのおっさんも真っ青な有様だった。

次の村では何か恵んでもらおうか。

常ならのんびりと歩いて行きたいものだが、いかんせん飲み食いできない今の身の上。故に今は体力を消耗しない小走り+爆縮地で先を急いだ。

暫く走ると次の村が見えてきた。だがどうも様子がおかしい。人っ子一人見えない癖に、やけに血の匂いが濃い地面や家屋。壁面には血糊が飛び、家屋の中には踏み潰された様に倒壊しているものもある。

 

「これは事件ですねぇ...あぁ〜^あの世にはフリーダイアルもホットラインも無いんじゃ〜^」

 

クッソ汚い悲痛の叫びを漏らすと、俺は火事場泥棒を敢行しようと家の中へと忍びこんだ。

暫くの家宅捜査(但し犯罪じゃないとは言ってない)の後、俺は暫く日持ちする干し肉や井戸の水で満たした革の水筒を装備する事と相成った。

一心地ついて、あの世でやって意味があるのかは分からないが村に向かって黙祷を捧げていると、何やら面妖な怪物達が姿を現した。

 

「ヒヒヒっ、こんなところに一人で来るたあ間抜けな嬢ちゃんだぜ」

 

まあとにかくこんな感じの下品な怪物4体が俺の方へとのっそのっそとやってきた。

大体が白い巨人の様な有様ではあるが、一体だけその巨人型の肩に止まったクロバットとプテラをフュージョンさせた様なフォルムをした奴がいる。全員が全員顔だけ外骨格なのか白い仮面を被っており、こうして見ると初代ライダーのショッカー共を彷彿とさせるそこはかとない残念臭が漂っていた。

 

「...見敵必殺、さーちあんどですとろーい」

 

先の村でこさえたただの木の棒【名剣デクスカリバー】を横薙ぎに振るうと、四体が四体とも巻き起こった鎌鼬でズタボロになりながら下半身と泣き別れ、光の粒子となって空へと舞い上がっていった。

その際、クッソ汚い叫び声や捨て台詞を吐いていた様な気もするが、この幻想的な光景の前では塵程の価値も無い。

やがて、怪物達が完全に空へと還ると、俺は今度こそ何処へ行くとも無く適当な方向へと歩き出した。

 

 

「さあ見てらっしゃい見てらっしゃい。この名剣デクスカリバーでありとあらゆるものを斬って差し上げよう」

 

数週間後、俺はソウルソサエティの流魂街一番街、精霊邸のお膝元で見世物屋として大道芸に精を出していた。

あの後、あっちこっちへふらふらした結果、あの世、つまりソウルソサエティについて触り程度には解るようになった。

ソウルソサエティ、精霊邸、死神、流魂街。まあ、その代償に俺の死後の世界へのイメージは知識を知ると共に大暴落を被る羽目になったのだが。

そして、何はともあれ、現世であれソウルソサエティであれ、必要な物は9割の金と1割の思いやりである。俺が手っ取り早く稼ぐには、こうして俺の失敗作を見せびらかすのが最も効率がいい。

現に、木の棒一本で瓦だろうが岩だろうがスライスにしていく俺の芸は瞬く間に口コミで広がり、今ではお捻りガッポガッポでウハウハな芸人生活を営んでいる。

そうこうしている内に今日のお仕事も終わり、俺は間借りさせて貰ってる家への帰路をのんびりと歩いていく。

この仕事をしているうちに金も溜まり、最初の頃は違和感が酷くて泣きそうになったあのボロ切れの服からも卒業して、今は黒に紅葉の赤が映える女物の浴衣と白い薄手のストール(の様なもの)に衣笠が常の格好である。このソウルソサエティでは中々現世の衣類などは手に入りにくい為に、こんな服装と相成った訳であるが、これはこれで中々気に入っている。

そんな格好をしていると女と勘違いした強姦魔(笑)に絡まれるのも世の常で、帯に刺した名剣(意味深)デクスカリバーを取り出せば一も二もなくすっ飛んで逃げていく様が面白い。その背を散々煽りながら3分程追い回す事もいとおかし。

そんなこんなで帰宅すると、優し気なおじいちゃんとおばあちゃんが出迎えてくれる。

この老夫婦、なんと孫が死神らしく、今は十三番体で平隊士をやっているそうで、時々俺にも死神の学校に通う様に勧めてくる。

どうやら、このソウルソサエティでは己の持つ霊圧が高いとその霊圧を保つ為に腹が空くらしく、もれなく3時間も経てばお腹をぐーと鳴らす俺は死神としての才能があるそうだ。

ただ、死神になったらなったでやたら拘束時間が長く、しかも基本的に住み込み(要はタコ部屋)らしいので中々ブラックな職場である模様。

当然、今の方が職場環境は健全なので充分遊べる様なお金が貯まったら暇潰しに入ってみるのも良さそうだ。何せここは死後の世界ソウルソサエティ、時間だけならたんまりあったりしちゃうのである。

 

 

 

-つまらない-

 

-有象無象共が威張り腐りやがって-

 

-万象一切、塵芥-

 

-自分の身体が一番チートで困っちゃうアルよ-

 

-生まれる時代を間違えたな-

 

-ああ来世に期待来世に期待。それまで拙者は萌え萌えにときめくでござる(笑)-

 

-あ〜^ このジジイ共俺に勝てない癖に生意気なんじゃ〜^-

 

 

「はっ...! しらない天井だ」

 

定番のネタをぶっ込んで間借りしている部屋の天井を見やる。

年月が経っているのか茅葺の屋根と香ばしい色に仕上がっている張りの木材のコントラストが美しい。

ああ溜息ばかり。久々に嫌な夢を見た。前世でのくだらない日常。ありきたりな言葉で言うと灰色の毎日。

正に生まれる時代を間違えた己は歴代最強の使い手と呼ばれる錆白兵を通り越して、歴史から抹消されたそのお母上。歴代当主に受け継がれる巻物の中にも化物としか記載されなかった不完成の化物の二代目と表された。

その異名に相応しく、俺の名は家系図にも記されない。戸籍を遡ればみつけられるかもしれないが、果たしてそこまでして己を探したい変態など何人居ることやら。

もう一つ溜息をついてから、俺は身支度を整えていく。着付けはしっかりと。無駄に覚えた着物の着付けがこんなところで役立つとは、人生分からないものである。

 

今日も今日とてお仕事お仕事。おじいちゃんとおばあちゃんと朝食を共にした後、意気揚々と外へとくりだす。

さてはて今日は何を斬ろう。鉄でも斬ろうか。何時までもネタが瓦や岩では客足も遠のく。ネタの切れ目は金の切れ目。金の切れ目は命の切れ目。

 

「さあさあ今日も始まるよ! 錆紅葉の斬り斬り芸! このただの木の棒デクスカリバーと我が刀術に掛かれば瓦も岩もなんでもござれ! この名ばかりの名剣に掛かれば、斬れぬ物などあんまりない! 」

 

この微妙な前口上にも関わらず、客足は上々。さてさて今日も始めようかと思ったところでふと気付く。

なんと客の中に殺気を飛ばしてくる者が居るではないか。

現世で言う嫌儲民と言う奴か、はたまた己を試しているのか。

まあ構うことは無い。芸人がショーの中で暴動を起こしてしまっては大惨事。二度と芸など出来ないだろう。

正当防衛の建前はソウルソサエティでも重要なのである。

 

「さあさあ皆々様、岩に鉄になんでもござれ。私に挑戦したい方は挙手をお願い致します」

 

大袈裟な身振り手振りの最中にチラッと視線を投げやれば、そこには黒い紋付の色無地に袴を履いた死神様が。

この程度の殺気に引っかかると思っていたのならちゃんちゃらおかしいが、何よりその顔に浮かべたニヤケ面がイラっとさせる。

死神様はおざなりに手を上げると前に進み出た。辺りはざわつく。全くもって営業妨害である。

 

「おい坊主、そんな事言うんだったらこれでも切ってみろよ」

 

そう言って差し出すは死神の死神足る所以の斬魄刀。見るに未だ始解にも至っていない浅打だ。

おじいちゃんおばあちゃんに聞いたところでは、息子さんは始解まで後少しのところらしいが、果てさてこの死神様はどうなる事だか。

 

「おや...こんな大事な物、斬ってもよろしいので?」

 

「はっ、そんな事言うって事は、斬れないって事か? おいおい、なんでも斬れるってのは嘘だったのかよ」

 

一応確認を取っておく。後で精霊邸でお尋ね者になるのは勘弁願いたいところ。

さて...

 

「...はあ、仕方ないね(開き直り)。さあさあ皆々様! なんと今日は死神様が挑戦だ! 獲物はなんと斬魄刀の浅打! 斬れるのか斬れないのか? それはこの駄剣のみが知っている! さあ皆様、静かに、集中して...それでは参りましょう!」

 

浅打をひょいっと放り投げる。客の目線は宙を舞う刀に。死神様は目を点に。てっきりこのまま諦めるとでも思ったのだろう。しかし、そんな物はフヨウラ!

タイミングを合わせて無造作に木の棒を振れば、そこには綺麗に四当分された浅打の姿が。ワザマエ!

さあ、死神が我に帰る前に逃げ出そう。客に礼をしておまんまを回収したら、すたこらさっさ。固まる死神を尻目に逃走劇は開始された。

 

 

「待ちやがれこのクソガキ‼︎」

 

ひょいひょいと路地裏を走り抜け、向かうは少し広めのひらけた場所。人目のない其処へ向かうついでに、一目後ろを振り返れば般若の様な恐ろしい形相の死神様の姿が。

 

「待てるもんなら待ちたいんだよなー俺もなー」

 

「ふざけやがって...!」

 

クッソ汚い語録で煽ってやればその形相は瞬く間に天狗の様に赤くなり、心なしか脚が速くなった気がする。これが世に言うお顔真っ赤っかと言う奴である。いとおかし。

そのまま適度に引きつけながら走れば目指していたそこに到着した。ピタッと止まって回れ右をする。

 

「斬っていいと言ったのは貴方でしょうに。私は聞きましたよ? 本当に斬っていいのかと」

 

「んな事知るか! あれは俺の生命線なんだよ! 今度こそお終いだ! お前のせいでな⁉︎」

 

「はは、ワロス」

 

斬っていいから斬った。当たり前だよなぁ(ゲス顔)。

プギャーと指差して嗤ってやったら死神様は雄叫びを上げて突っ込んできた。

やっぱ...死神様の...おちょくりを...最高やな!

 

「うおおおおおぉぉおおおお‼︎」

 

「 fuck noob 」

 

良い笑顔で死神様を煽ってから木の棒を少し前方の地面へと振り下ろす。下段への変則的な突きであるそれは、俺の失敗作によって地雷でも炸裂させたのかとでも言う様に地面と供に死神様を吹き飛ばす。

 

 

 

 

この後

死神がこれを切ってみろと冗談半分に浅打を差し出す。

紅葉スパッと切断。死神激おこぷんぷん丸。

死神と追いかけっこ。路地裏で地面を突きで砲撃して爆風で吹き飛ばす。死神気絶。そそくさと逃げ出す。

場面転換。死神上司の日和に折檻。

一話終了。

日和、平子に愚痴り出す。京楽と浮竹合流。皆んなで見に行ってみよう。

 

着地点

卍解後、覚醒藍染と互角に斬り合うが、無限に強くなる藍染に不利を強いられる。覚醒一護到着。紅葉と斬り合った事で更に強くなった藍染は一護と同格に斬り合うが、紅葉がブチ切れて卍解することで藍染に隙ができる。そこに一護の最後の月牙。藍染終了のお知らせ。

 


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