三浦グループにクールな女の子が入りました。 作:アルティメットサンダー信雄
翌日、学校。海老名は自分の席に座って、三浦と話していた。
「へぇー。前の席の子が?」
「うん、面白い子なんだ。あまり表情が変わる子じゃないけど、意外とおしゃべりだし」
「ふーん。かわいいん?」
「私は可愛いと思うけどなぁ。ただ、優美子と違って制服とか着崩すタイプの子じゃないかな」
「へぇー、海老名みたいに元が可愛いタイプね」
「元が可愛い、うん。そだね。髪とかもすごく綺麗だし」
そんな話をしてると、教室の前の扉が開いた。入って来たのは噂をすればという奴か、泉だった。
「あ、おはよう。泉さ……⁉︎」
挨拶しかけた海老名の声が止まった。泉の頭に白と黒の汚物、鳥のフンが付着していたからだ。
「おはよう、海老名さん」
「ど、どどどどうしたの⁉︎その頭!」
「見ての通りよ。鳩に糞を掛けられたの」
「あ、洗いに行こう!ていうかなんでそのまま来たの⁉︎」
「荷物があるんだもの。とりあえず、机の上に置いてから洗おうと思って」
「ダメだよ!先に頭を洗いなよ!ほら、行こう」
「でも、私タオル持ってないわよ」
「私の貸したげるから!」
海老名に連行され、女子トイレに向かった。
1
頭を水道で流し、海老名にタオルで拭いてもらっていた。
「ごめんなさい、海老名さんに面倒をかけさせてしまったわね」
「い、いいよ、そんなこと。あ、ドライヤーかけるね」
「いいわよ、そこまでしなくても」
「ダメだよ。女の子なんだし。何より、まだ四月なんだから風邪引いちゃうよ」
「そう?そこまで言うなら……」
と、いうことでドライヤーも使う。ブオーッと髪の毛に暖かい風が直撃し、泉は気持ちよさそうにほけーっとした表情で目を閉じた。
「驚いた、ドライヤーって気持ちいいのね」
「? ドライヤー使ったことないの?」
「ええ。放っておいても、髪なんて直ぐに乾くじゃない」
「自然乾燥なんて髪に良くないよ!泉さん、女の子だよね?」
「ええ、そうだけど。それが?」
「女の子ならちゃんと身だしなみとか気を付けないとダメだよ。今日、寝る前はちゃんと髪の毛を乾かすこと」
「………わかったわよ」
何故か怒られ、反論するのが面倒だったので頷いておいた。
「よしっ、これで終わりっ」
「ありがとう。ごめんなさいね、何から何まで」
「いいよいいよ、気にしないで」
「この借りは必ず返すわ」
「悪役⁉︎」
「それより、ホームルームが始まってしまうわ。帰りましょう」
「そうだね」
二人は教室に戻った。
2
昼休み。泉が昼飯にしようと鞄の中をごそごそと探ってると、後ろから肩を突かれた。
「泉さん、一緒にお昼にしよう?」
「良いけれど……」
「じゃ、こっちきて」
弁当を取り出すと、海老名に連れられて窓側の席へ向かった。
「はろはろー、お待たせー」
「海老名遅いしー」
待っていたのは、三浦と由比ヶ浜だった。
「その子が泉さん?」
「うん。泉さん、三浦優美子と由比ヶ浜結衣だよ」
「え、ええ。……その、何故私をここに連れてきたのかしら?」
「え?みんなでお昼食べようと思って。嫌だった?」
「嫌ではないけれど、慣れてないのよ。複数人で食事をするの」
「なら、これから慣れればいいよ」
そう言うと、海老名は空いてる席に座った。一度、一緒に食べると了承してしまったからには、今は食べないと失礼だろうと思い、改めて挨拶した。
「泉七海よ、よろしくね。三浦さん、由比ヶ浜さん」
「よろしく」
「うん、よろしくね」
二人に挨拶して、昼飯にした。3人に並んで、泉は弁当を開けた。その弁当を見るなり、由比ヶ浜が
「わっ、泉さんのお弁当かわいいね。手作り?」
「ええ。一応、私は一人暮らしだから」
「へぇ!この子、できる女だ⁉︎」
「いや、意味がわからないのだけれど」
冷ややかにツッコミを入れながら、きんぴらごぼうを箸でつまんで口に入れた。
「あーし、料理は無理」
「三浦さんは繊細なこと苦手そうだものね」
「どういう意味だし」
「他意はないわ。まぁ、料理ができない子はまだまだいそうだし、そんなに焦る必要ないと思うわ」
「そ、そうだよね!まだ焦ることないよね!」
由比ヶ浜が何故か大きく反応した。
「ね、泉さん。一口ちょうだい」
「へ?」
いいよ、と言う前に海老名は泉の弁当から唐揚げをとった。
「ちょっ、海老名さ……!」
「おおー!美味しい!」
「マジ?あーしも」
「ちょっ、三浦さんまで……」
「本当だ!マジ美味っ!」
「え、あのっ、私の分の唐揚げ……最後まで取っておこうと……」
弁当を食い荒らされ、メインの唐揚げを食べれることはなかった。