しーかさん、てぃかさん、つっくんさん宅のお子様お借りしました。
瀬羅様と京花ちゃんの服装は私の独断と偏見で選びました。ごめんなさい。
会場の空気はすっかり宴会モード一色である。
隙間なく横一列に並べられたローテーブルには、真っ白なテーブルクロスが掛けられている。その上にグラスや飲み物、取り皿が均等に並べられている。和室でありながら、さながらそこは一種の洒落たレストランのような雰囲気を醸し出している。
壁にはカラフルなガーランドや、一つ一つ手作業で作ったのであろう紙花が飾られている。いわゆる「お誕生日席」の後ろの壁には『Happy Birthday Master』と書かれた横長の紙が貼られている。横文字に慣れないのかアルファベットは手書きであることがひと目でわかる形をしている。何故感じにしなかったのか、そして敢えて「Iori」ではなく「Master(主、のつもりで書いたのだろう)」にしたのか。それはおそらく、彼らのみが知るところなのだろう。
客人を含め、席はくじ引きで決められた。本来なら主人の客人なのだから、招待客が伊織の近くに座っても何ら不自然ではないのだが、ここにいる刀剣たちも彼の傍に居たいのだろう。それを察した秋穂本丸の鶴丸が「だったら公正にくじで決めればいいだろう」と言い出したことから、誰がどこに座るかは神の手に委ねられる形となってしまった。…とはいえ、今決められた席はせいぜい最初の数分のためだけの席順となるだろうが。
「彩姉と隣になれて良かった〜。やっぱり隣に居てくれると安心するな〜」
「場所、代わってくれた方にちゃんとお礼言うの忘れないでね?」
「大丈夫だよ、ちゃんと言った!」
真ん中より少し伊織から離れた席についたのは、彩と、彼女が先ほど迎えに行った紅。少し癖のある白髪をふわふわと揺らしながら、嬉しそうに微笑んでいる。客人と同行の刀剣男士も出来るだけ離れて座ろう、という流れになったため、紅はせめて信頼のおける彩と隣に居たいと思ったのだろう。彼女の隣の席を当てた薬研(伊織の本丸の)に頼み、場所を代わってもらったらしい。
「あるじさんが入ってきたら、これを鳴らすんですよね」
「そうだよ。清光がせーの、で合図をするから…」
部屋の端の方では、安定が中心となり、数人の刀剣男士がクラッカーを片手に打ち合わせをしている。
不意に障子が開く。
「お客様を連れてきたよ」
入ってきたのは石切丸。客の到来を知らせる声に、会場にいる者の多くの視線がそちらに向く。
「こんばんは、遅れてすみません!」
「まだ始まってない…みたいね、安心したわ」
連れられてきたのは、黒髪と茶髪の女性。黒髪の女性は、白いニットのセーターにジーンズ、その上にコートを羽織るいった動きやすさを重視したスタイル。決して幼くはないようだが、前髪の3本のヘアピンがあどけなさを見せている。茶髪の女性は薄紫の矢絣柄の袴を着ており、随分と大人びた顔をしていた。
「京花です。こっちは近侍の光忠!よろしくお願いします!」
「私は美久留瀬羅。こちらは今日の同行人の鯰尾です。今日はよろしくね」
呼ばれて、それぞれの隣に居た燭台切光忠と鯰尾藤四郎がお辞儀をする。
皆がよろしくー!と声を揃えて4人を歓迎したところで、開いたままの障子から長谷部が顔を出した。
「皆、主の準備がもうすぐ終わる。所定の位置で待機を頼む。俺はこれから主を迎えに行ってくる」
皆、口を閉じ、互いに顔を見合わせる。
ついに、一大企画が始まろうとしていたのだ。
「ではな」
長谷部が障子を静かに閉め、伊織のもとへと向かっていった。
加州が合図を出す。
「みんなクラッカー持って。俺がせーのって言ったら鳴らしてね」
クラッカーが手渡されていく。緊張と期待と興奮と…様々な感情を混ぜた表情を浮かべながら、会場にいる全員がクラッカーを手にした。
数分経って、足音と話し声が聞こえてきた。
クラッカーを握る手に、僅かに力がこもる。
ちょっと短いですが今回はここまで。
次回からようやく、パーティが始まります。
お待たせしてすみません。もう少しお付き合いください。