・キャラ紹介・
真名 無銘
身長 210㎝
体重 107㎏
出典 三國志・外史
地域 古代中国
属性 混沌・中庸
カテゴリ 星
性別 男
イメージカラー 灰色
特技 特に無し
好きなもの 酒・道楽・平和
苦手なもの 戦
天敵 話を聞かないやつ・年増
クラス適性 セイバー/バーサーカー
人物
ボサボサな長髪を橙色のバンダナで纏めており上半身は腹部に晒しを巻いている以外は裸、藤色の腰布を巻いており、灰色の裾がボロくなった袴を履いている。素足。
性格は豪放磊落であり、基本的には温厚な飲んだくれ。
自身を常に雑兵と位置付けておりマスターに対する忠言はほぼ無い。ただし、外道な行い、例えば人喰い等を命じられれば令呪すらもはね除ける程の強情ぶり示す。
また、自身の境遇からか子供やそれに類する相手にはとことん甘く、それが敵であっても手を差し伸べようとするほど。
女性関係で色々と有ったらしく特に妙齢の女性に対しては頭が上がらないことも屡々。
能力
戦闘能力は自身の戦嫌いとは反して高い。クラスの適性は基本的にセイバー若しくはバーサーカーだが一応としてアサシンにも適性を持っている。しかし、アサシンのクラスは正規の適性では無いため当て嵌まってもそこまでの実力は示すことが出来ない。
万全に力を振るわせるならばセイバー、単独で暴れさせるならばバーサーカーになる。
基本的な戦闘スタイルは刀と喧嘩殺法を用いた白兵戦。遠距離への戦闘手段を持たないがスキルによりアーチャー等、遠距離主体の相手と当たると距離を詰められない限り膠着状態となる。
・ステータス・
◇セイバー◇
筋力 EX
耐久 A+
敏捷 A
魔力 C
幸運 C-
宝具 EX~D
クラス別スキル
対魔力 C
騎乗 D-
スキル
剛力 A
文字通りのスキル。怪力と似ているが此方は魔獣等の人外が元ではなく生来の腕力が元となっている。自身の筋力ステータスにブーストを掛け自身の力を跳ね上げる。そのパワーは他のサーヴァントすら寄せ付けないほど
酒乱 B
飲めば飲むほど強くなる(酒)
ただし、飲みすぎると行動不能に陥る
直感 A
未来予知レベルの先見持ち。
生前よりこの直感によって遠距離攻撃を無効化してきた
心眼(真) B
物心ついた当初から戦い続けたことにより磨かれたもの。前線に立ち続けたことにより策を看破することも可能
戦闘続行 B
諦めが悪い。絶望的な戦力差を前にして一度として諦めず勝利をもぎ取るまでの働きから来ている
矢避けの加護 A
遠距離からの狙撃をその相手が視界に収まっている場合必ず避けられる。
上記の心眼(真)、直感と合わせて視界の端に一瞬でも映ればそれだけで捕捉され背後から撃とうとも必ず避けられる。
◇バーサーカー◇
筋力 EX
耐久 EX
敏捷 A+
魔力 D
幸運 E
宝具 EX~D
クラス別スキル
狂化 B
ー補則ー
狂化により言語能力の一部喪失、及び幸運値と魔力値がセイバーの時よりも落ちる。代わりに肉体的なステータスが上昇し並み居るサーヴァントでは単純な武芸ではマトモに抗うことが出来ない程の怪力と耐久性を得られる。
一部スキルが劣化し代わりに剛力のスキルがEXとなる
・宝具・
我身至万夫不当
“ワガミイタルハバンプフトウ”
ランク EX
種別 対軍宝具
レンジ:─
最大捕捉 1人
由来 本人が行った過去の戦による一対多数の戦争に勝利したため
ー説明ー
生前参戦した戦においてほぼ全ての戦いに勝利し続けた末に至った極致。
何人たりともこの極致の者を殺すことができず、いかなる策を用いてもその悉くを潰される。
宝具としては限定的にその効果を得られ、一定時間あらゆる攻撃を無効化、全攻撃に防御その他特性無視の効果を与える。
効果時間はマスターの技量と魔力量に左右され、未熟者が扱うには令呪全角を消費して漸く1分発動できる。
城塞砕鉄蹄脚
“ジョウサイクダキノテッテイキャク”
ランク B
種別 対城宝具
レンジ 1
最大捕捉 1(例外有り)
由来 ある戦にて城門を蹴り壊した事により獲得。
ー説明ー
生前行った偉業の1つ。というか本人的には黒歴史が宝具化したもの。
やってることは単なる前蹴り、だがその一撃は堅く閉ざされた堅牢な城門を一撃で蹴り抜く程のもの。仮に対人で用いるならば、くらった対象は木端微塵に吹き飛ぶことだろう。
宝具としても一対一の戦闘では強力無比なものだが本人が気に入っていないため使わせるならばそれ相応の信頼関係、若しくは令呪を用いなければならない。
最大捕捉に関しては相手が縦に並んでいる、建造物の中にいる等の限定的な場面においてのみその効果が全体へと及ぶ。
名の通り建造物関係に対してはほぼ無敵の宝具。
無銘刀
“ムメイトウ”
ランク C
種別 対軍宝具
レンジ 1~5
最大捕捉 1~1000人
由来 彼自身の愛刀が宝具化したもの
ー説明ー
幼少の頃より用いていた刀。一般的な刀よりも少々長く大太刀と打刀の中間ほどの長さ。
鞘は白地に鱗模様が刻まれ途中に腰に下げるための朱の紐が巻かれている。柄紐は白、鍔は一般的な円型。
宝具としては特殊な力を何一つ内包していない只々頑丈な刀。
ただし、その強度は並みの宝具を逆に破壊しかねないほどのモノでありある意味それが唯一の特異な点だろう。
朱瓢箪
“アカヒョウタン”
ランク E
種別 対飲宝具
レンジ ─
最大捕捉 1人
由来 彼愛用の酒瓢箪から来ている
ー説明ー
生来の大酒飲みである彼が肌身離さず持ち歩いていた瓢箪。
宝具化してからは無限に酒が湧き出す代物と化しており飲ん兵衛にとっては喉から手が出る一品。
◇■◇
~冬木 大空洞前~
「じゃあ、いくよ?」
少女、藤丸立花は召喚サークルへと今までの道中で手に入れた聖晶石3つを捧げて両手を組んで祈る。
彼女の後ろではデミ・サーヴァントであるマシュ・キリエライトと道中で出会ったキャスターがその行方を見守っていた。
発生した光の輪は3つ、つまりはサーヴァントの召喚だ。浮かび上がったクラスカードはセイバーのカード。
光が溢れて反射的に瞼を閉じて暫くたつと漸く目を開けることが出来た。
現れるのは見上げるほどの大男。筋骨隆々の体躯であり元々一般人である立花は気圧されるように1歩下がった。
「……ん?おお、召喚か。俺を呼ぶとは酔狂な奴だな」
男は瓢箪を煽りながらカラカラと笑い一行を品定めするように目を向けた。
「クラスはセイバー。真名は…………あー……好きに呼んでくれ」
「えっとじゃあ、とりあえずセイバーで良い?」
「おう。よろしくなマスター」
にこやかに握手を交わす両者。二人にはかなりの身長差がありセイバーが若干ながら腰を曲げる。
「ほう……テメェ相当な手練れだな」
キャスターもといクー・フーリンはセイバーの強さを見抜いたらしく好戦的な笑みを浮かべるがその笑みを向けられた当の本人は苦虫を噛み潰した表情だ。英霊の中でも一、二を争うレベルで彼は闘争を嫌う。クー・フーリンのような戦闘狂は最も苦手とする人種なのだ。
「俺は単なる雑兵だ。あんたを満足させるほどの腕は無いさ」
「はっ!それこそ嘘だな。俺がランサーのクラスならお前に一突きいれてるところだ」
「血の気の多い奴だな」
「ちょ、キャスターさん!」
「喧嘩はダメだよ!」
一触即発とは言えないまでもピリピリと雰囲気を尖らせていく二人を慌てて立花とマシュの二人が止めにかかる。
今は私闘に時間をかける訳にはいかないのだ。
「まあ、いい。とりあえずこの奥に大聖杯は在る。それに残りのサーヴァントもな」
「あん?残りだ?これは聖杯戦争だろ?」
召喚されたばかりのセイバーは状況の把握が出来ていないらしく首を傾げる。
そこで立花、マシュ、そしてロマニ、通称ドクターロマンがある程度の状況説明を行い一応の納得を得ることが出来た。余談だがその間にもセイバーは酒を煽っており酒臭い息に二人が顔をしかめていたりしたのだが、まあ、気にしないでおこう。
『それにしても君はいったいどこの英霊なんだい?此方の計器ではかなりの格がある事ぐらいしか分からないんだけど』
「ま、まさか反英霊とかじゃないわよね?」
少しびびっているオルガマリーとロマンの問いに一同の目がセイバーへと向けられる。
当の本人は柳に風と無視しているが徐々に強くなる視線にため息をつくと口を開いた。
「三國志って?知ってるか?」
「はい。古代中国の三国時代を描いたものですね」
「あ!私も知ってる!呂布とか関羽とか出てくるやつでしょ!」
『となると、君は中国の英霊なのかい?』
「英霊、て呼ばれる程大層なものじゃないさ。俺は単なる雑兵だからな」
言葉を切り瓢箪を煽る。その間にカルデアの3人はセイバーに対する考察を行っていく。とはいえ、今は裏付けの資料も足りない。その上敵地のど真ん中だ。
「お?…………キャスター」
「分かってるさ。盾の嬢ちゃん、確りとマスター守ってろよ。セイバー」
「おうさ」
前衛にセイバー、後衛にキャスター、更に後ろに立花とマシュを配置して歴戦の二人は戦闘体勢をとった。
突然の事に後の二人が目を白黒しているがマシュはキャスターの指示に従いガードの体勢をとる。
飛んでくるのは剣を模した複数の矢だった。
その全てを刀を鞘に収めたまま振り払いセイバーは眼前を睨む。
そこに居たのは一人の青年。黒化したアーチャーその人だ。彼は片手に黒い弓を出しており更に複数の矢を投影していた。
一息に放たれるこれまた複数本の矢。その一つ一つが一般人には視認できないほどの速度で空を切り裂き一行へと突き進む。
「…………ふっ……」
だが、やはりその尽くが叩き落とされる。スキルの恩恵によりセイバーには遠距離からの攻撃は通用しないのだ。
「フム、私とはずいぶんと相性の悪い相手だな」
だが、アーチャーにとって相手が自身よりも格上の事などザラだ。そこから如何にして勝利をもぎ取るか。それが彼の戦い方だ。
対してセイバーは今一戦いにたいするモチベーションが上がっていなかった。人理焼却への思いが無いことも無いのだが元々他人への情が薄くことなかれ主義な彼にとっては戦場に駆り出される聖杯戦争が好きではないのだ。
「…………むぅ………」
やる気が無いために今一決定打にかける中、それでも彼は手傷1つ負うことはない。
先程からアーチャーは白兵戦に切り換え双剣を振るっているのだがそれすらもセイバーは刀を抜かずに鞘を鯉口付近で握り捌いていた。
「くっ…………!」
そんな中でアーチャーは攻めあぐね合間で飛んでくる火球によって所々に火傷を作っていた。
というのもやる気は無いのだが自身の後ろに通す気は更々無いらしく脇を抜けようとすればその都度牽制を入れ1歩たりともその線より前へと進ませないのだ。
矢は効かず、白兵戦でも抜けず剣戟が止めばその都度火球による火傷を負う。
じり貧だった。それはもう切り札を切らねば成らないほどに。
だが…………
(隙が、ない…………!)
詠唱の暇すら与えられない。
セイバーも自身が優勢であることは理解している。故に逆転の芽を1つ残らず潰しにかかっていた。
詠唱潰しもその一つ。そもそも唱えさせる隙を無くせばそれで終わりなのだ。しかし、言うは易く行うは難し。的確にこなせるセイバーが異常だった。
「怪物じみたものだな、全く」
「……んー?そうでもないだろぉ」
「未だに刀も抜かずに鞘のみで対応される私の身にもなってほしいものだな」
一度、ため息をつきアーチャーは後ろへと飛び下がった。そしてそこが狙い目だったのだ。
「焼き尽くせ木々の巨人。『灼き尽くす炎の檻』!」
キャスターの宝具が顕現。小枝が大量に絡みあって形成された巨人が現れ炎を纏い拳を降り下ろす。
炎の拳はアーチャーに逃げる隙すら与えず一瞬の抵抗も許さず、彼を叩き潰してしまった。
「あんた、結構えげつないな」
「抜かせ、テメェなら刀抜けば一瞬だったろうが」
「さぁてねぇ」
「チッ、タヌキが」
キャスターは鼻を鳴らしてそっぽを向き、セイバーは自身の瓢箪を更に煽り喉を鳴らして旨そうに酒を飲む。
そんな彼らを立花とマシュの二人は目をぱちくりと瞬きを繰り返していた。
キャスターが強いことは知っていたが、セイバーもここまで強いとは思っていなかったのだ。
「おうい、マスター。行くぞー?」
件のセイバー本人はどこ吹く風といった感じで先を親指で指し示す。
大空洞の最奥からは禍々しい魔力が漂ってきていた。
◇■◇
大空洞、大聖杯の前。そこに立つのは一人の影。黒い鎧に身を包みその手には黒く反転した聖剣が握られている。
「…………」
「うわ……禍々しい奴だな」
皆が皆、キャスターでさえ口をつぐむほどの威圧感の中セイバーは変わらぬ調子で黒化した相手を茶化す。
だが、その危険性は理解しているらしく然り気無く立花とマシュを守るように彼女たちの前で盾になるように立っていた。
「アイツがあの聖杯を守る最後の一騎だ。俺がランサーのクラスなら一突きなんだがな」
「…………今回は俺が接近戦を仕掛けるって事で良いのか?」
「お前、盾の嬢ちゃんに前衛やらせる気か?」
「おっと、そういやそうだったな」
変わらない軽口の応酬、自然と前衛、後衛が別れ各々が戦闘体勢へと移行する。
「……随分と口の軽い男だな」
そんな中で初めて目の前の黒化サーヴァントは口を開いた。
その声色は冷たく、聞いたものの背筋に冷たいものを走らせる、そんなものだった。
「何だ、お前喋れたのかよ。いっつも黙ってたからてっきり喋れねぇもんだと思ってたぜ」
「ああ、何を語っても見られていた。故に案山子に徹してしたまでだ」
それだけ語り黒化サーヴァント、セイバーオルタはその手の魔剣を両手で自身の頭の上へと掲げ魔力の放出量を跳ね上げる。
禍々しい光が剣へと纏わり付き大地がそれに反応するように震えた。
だが、この状況は想定済みだ。
全員を守るようにマシュが最前列へと躍り出る。
「卑王鉄槌。極光は反転する。光を呑め!」
「真名、偽装登録───行けます」
「宝具、開帳します……!」
向かい合う両者の魔力が高まり宝具が開帳される。
「『仮想宝具 疑似展開/人理の礎』!!!」
「『約束された勝利の剣』!!!」
何重にも重なった魔方陣の盾と禍々しい光を内包した魔力のビームが真っ正面からぶつかり合った。
周囲に衝撃と暴風を巻き起こし互いに拮抗…………いや、微妙にだがマシュが押されていた。
(このままでは……!)
ジリジリと押され内心でも焦りが生まれる。焦りは力みとなって本来の力が発揮できなくなる原因になるとも言えるのだ。
しかし、今のマシュは一人ではない。
「マ、シュ……!」
「先輩……!」
その背を支える立花は後ろから抱き付くようにマシュを包み込みその盾へと手を伸ばす。
「もう、少し、だから……!頑張って!」
「はい……!」
二人がかりで盾を支えその時を必死に待つ。
対してセイバーオルタは違和感を感じていた。自身の攻撃で見辛くはなっているが目の前にはキャスター、そして唯一のマスターと銀髪の女、更にデミ・サーヴァント。
(あの男はどこに行った?)
軽口を叩いていた刀を携えた半裸の男が消えていたのだ。
そこで寒気が彼女を襲う。勘に従うままに宝具の開帳を止め脇腹へと魔剣を回す。
直後、轟音を響かせて剣に衝撃が走り魔力放出によるブーストすらも上回る怪力により弾き飛ばされた。
「お?防ぎやがったか」
先端から白煙を薄く上げる鞘を片手に頭をかくセイバーはのんびりと瓢箪を煽り吹き飛んだオルタへと笑みを浮かべる。
やったことは単純。宝具の衝突に紛れてオルタの背後へと回り込み鞘での突きを放っただけのことだ。
ただ、その威力がおかしいだけだ。
「何者だ、貴様。その怪力、ただの英霊ではないな」
「俺は単なる雑兵さ。それ以上でもそれ以下でもない」
そう言いながらこの戦いで初めてセイバーはその刀の柄へと手をかけた。
ゆっくりとその刀身が引き抜かれ明かりの元に晒されていく。その切れ味を表すかのように鈍く光り、妖しい色気すら感じるほどの刀。切っ先がオルタへと向けられる。
「ほら、続きといくんだろ?」
「…………良いだろう」
応えるように中段で魔剣を構えオルタは自身でも気付かない内に不敵な笑みを浮かべていた。
◇■◇
何合目だろうか。既に数えることすら億劫に成る程刃は打ち合わされていた。
「っ!ぐっ……!」
「オォッラァ!!」
押していたのはセイバーだ。
技量による差はあまり無い。大きな差はその膂力。
魔力放出によるバックファイアすらも歯が立たない程の圧倒的な力。
更にオルタにとって厄介なのはセイバーの用いる剣術だ。
鞘と刀の二刀流。事はそう単純ではない。
(打ち合いながら持ち変えている……!)
刀と思えば鞘が来て、鞘かと思えば刀が来る。正に変幻自在。
「叩き潰す……!」
逆手に持った鞘を大上段に構え一息に振り下ろす。
オルタは勘に従いその場を飛び下がる。同時に地面が粉々に叩き割られた。
「ふっ…………なに!?」
オルタの顔に驚愕の色が射した。
セイバーは鞘打ちの衝撃をそのまま突撃の元手として突進、横回転しながら刀を振り下ろしたのだ。
斬撃がオルタへと駆け抜け彼女の立つ地点を両断する。
「あらら、避けられたか」
「化物め………!」
「あんたに言われたくねぇよ」
刀を肩に担ぎセイバーはぼやくように呟く。ついでにため息も垂れ流される。
意気揚々と殺り合ってはみたものの相手が強すぎて萎えてきていた。
「なあ、そろそろ斬られてくれないか?めんどくさくて堪らねぇよ」
「そう思うならお前が斬られれば良いだろう?」
「やなこっ、た!」
地面を蹴り砕き飛び上がると振り下ろされる剛刀。真っ正面から受け止める魔剣。火花を散らしぶつかり合う。
「シッ!」
「フンッ!」
空中に浮いたまま放たれる蹴りとそれを相殺する籠手でのガード。衝撃が周りへと走る。
オルタは蹴り足をそのまま弾きその勢いをいかして剣をカチ上げる。
衝撃で滞空していたセイバーはその場で回転するがただでは終らない。
回転の勢いをいかして反転すると逆手に持った鞘の鞘尻をオルタへと突き出したのだ。
「…………ッ!」
間一髪で鞘を防ぐがオルタは背後へと思いっきり吹き飛ばされる。
だが、これ以上の戦闘を行う気は彼にはない。
「キャスター」
「チッ、仕方ねぇなぁ…………焼き尽くせ木々の巨人。『灼き尽くす炎の檻』!」
この鞘の一突きはオルタを立花やマシュたちから最も遠い位置に弾き飛ばす為。
真剣勝負に命を懸けるような男ではないため横槍大歓迎なのだ。
燃え盛る巨人の一撃。通常ならば避けられるオルタも吹き飛ばされた反動が消えておらずその場を動けない。
魔力放出のバックファイアを十二分に発揮して受け止める。
「ぐっ……!」
一瞬でも気を緩めれば押し潰されそうな圧力を歯を食い縛ってオルタは耐える。
「マスター!宝具の開帳許可を貰うぜ!」
「え、ちょ…………」
「行くぜ……!」
立花の制止も聞かずセイバーの今まさに生死の境目であるオルタへと1歩で距離を詰め肉薄した。
右足を体の正面へと持ち上げる。
「ぶち破る!『城塞砕鉄蹄脚』!!」
繰り出されるのは何の変哲もない前蹴り。しかし、その威力は城の防備を一撃のもとにぶち抜くもの。
いくら魔力で編んだ鎧であってもその威力と衝撃は殺せない。
「カッ…………ハァ……!?」
衝撃がその小さな体躯を貫き1拍おいて蹴り飛ばされた。
一直線に弾丸の様に吹き飛びその残滓として鎧の破片を振り撒きながらオルタは背面の壁へと叩き付けられその周辺に盛大なヒビが刻まれる。
「俺よりお前の方がえげつないな」
「そうか?敵に情けをかけるなんてバカのすることだろ?」
刀を鞘に収めセイバーは腰に括っていた瓢箪を手に取り煽って喉を潤す。
「殺れるなら殺る、殺れないなら逃げる常識だろ?」
個人戦なら特にな、と続けるセイバー。
誰もその言葉には反論しない。それはキャスターであっても。
◇■◇
時間は少し進み聖杯の確保も終えた大空洞。既にセイバーオルタ、キャスターの二人も消え残すは立花達カルデア組が帰還するだけとなった。
「せっかく聖杯を与えたというのにこの体たらく使えんな」
そんなタイミングで水を差すように現れたのはカルデア爆破の主犯、レフ・ライノール。常の微笑をその相貌に張り付け現れた彼にオルガマリーを除いて緊張が走る。
「レフ!……ちょ、なにを…………」
一目散に駆け寄ろうとする彼女を押し止めたのはセイバーだった。その表情はオルタ戦の時以上に引き締まっており刀は鯉口を切っていた。
「お前はナンだ?気持ち悪い気配しやがって」
3人を背に隠しセイバーは1歩前へと出た。居合いの構えを取りいつでも切り捨てられる様に片足に力を込める。
「ほお、随分と勘が冴えるようだな。雑多なサーヴァントにしては中々の頭の回転だ」
レフは下卑た笑みをその顔へと張り付け盛大に笑い始めそして語る。人理の焼却は自身の仕業だと。声たかだかに語り尽くした。
そして最後の最後で爆弾発言を落として消えていく。
「嘘……でしょ…………」
オルガマリーの手が指先から光の粒子として消えていきそれは足先も同様だった。
フワリフワリと光の粒子は消えていく。それと比例するように彼女は半狂乱となっていく。
「いや……いやぁ…………何でよ……私はま……むぐっ!?」
「ちっと黙れ。それと呑め」
「むー!むー!」
そんな彼女を抱き寄せセイバーは自身の瓢箪をその口へと突っ込んだ。
涙目で彼を見上げるオルガマリーは素直にその酒を嚥呵する。直後、喉が焼けるかと錯覚するほどのアルコール度数に意識が飛んだ。