「島村卯月、逆行します!」   作:赤猫;

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まゆPが地味に出てくるのでビジュアルを説明してみると、新海賊みたいな名前の監督の爆売れボーイミーツガール映画の大人版ヒロインみたいなイメージでやってます。
目をまゆに近づけた感じで、スーツは黒みたいな。
あと性格はノーマル衣装が尋常じゃないくらい映える桐生つかさ社長と佐久間まゆを混ぜたくらいだと勝手に思ってる。



13.島村卯月は10年ぶりに会う。①

『みんなー!今日は来てくれてありがとー!』

ワアアアア!とファンが歓声をあげる。舞台に立っているのは私ではなく、城ヶ崎美嘉ちゃん達、五人のアイドルだ。たった今、このライブのオープニング曲『お願いシンデレラ』を歌いきったところである。このあと彼女達はCPの説明に入る。

CPのみんなは控え室からこのステージを見ていることだろう。私は個人ステージのトップバッターなので舞台袖に控えている。凛ちゃんと未央ちゃん、そして他のCPのみんなに送り出された後だ。余裕が無いなりに応援の言葉をかけてくれた。

「島村さん、体調は問題ありませんか?」

「はい、大丈夫です。プロデューサー、あのできれば凛ちゃん達についていてあげられませんか?ポップアップ装置が追加になったことでだいぶ不安になっていましたよ」

「練習でも成功していましたし…彼女達は大丈夫だと思います。もちろんステージ前にはこうして確認させていただくつもりですが」

前の世界でのポップアップ練習は失敗してたんだけどね。そこは私がしつこくレッスンメニューにうさぎ跳びを推薦した甲斐があったのかもしれない。

「それならまあ…他の子達は大丈夫でしょうか?」

「…大体は。緒方さんが少し心配でしたがどうやら島村さんの発破がまだ効いているようです。『彼女達の大切な曲に参加させてもらうのだから、降りられる訳がない』それをモチベーションにレッスンにも向かっていたのではないかと。それで双葉さんの"サボり"が減ったのも私としては助かりました。三村さんはお菓子を食べていました」

「それは…よかったです」

食べてていいの?それはともかく、まあ智絵里ちゃんはなんとかなるだろう。前回では少しテレビ番組に出るだけであの様子だったのだから考えられないことだが、どうやら私の感じていたのは間違っていなかったらしく一種のトランス状態になっているようだ。その興奮状態が千人以上の観客を見て吹っ飛んでいなければいいけど(カエルさんに置き換えれるレベルじゃないし)しかしまあたぶんそこは杏ちゃんがフォローしてくれるのだと思う。あの子は大人の私から見ても大人だ。

そんなこんなで、私たちが話しているうちに、ステージではCPの紹介へ移るためのつなぎのトークが終わったようだ。川島瑞樹さんの司会が聞こえてくる。

『じゃあ、まゆちゃんには個人ステージの準備に行ってもらいましょうか』

『ではまゆさん!また!』

ブンブンと手を振る茜ちゃんに見送られてまゆちゃんが舞台袖に入ってきた。ファンの人もワアアアア!と、ピンクのサイリウムを振っている。やっぱりこういうのいいなぁと思った。

入ってきたまゆちゃんにすかさず麻友Pが駆け寄って水を渡す。まゆちゃんはそれを一旦脇に置いて『まゆはどうでしたかぁ?』みたいな事を言うと思ったのだけれど、彼女は素直に水を飲んだ。タオルで顔を拭かれたりしても少しくすぐったそうにしただけで、それ以上の反応はしなかった。真剣な表情だった。

「いつも通りにね、まゆ」

「ありがとうございます。頑張ります」

一瞬目を合わせた後、すぐにまゆちゃんが麻友Pの横を駆け抜けた。彼女もすぐに他のスタッフに指示を出す。

「ごめん!もっかいまゆのメイク直してあげて!衣装着たらすぐ!」

わかりました!とどこかから声が聞こえた。そういえば彼女はここのライブを仕切っているのだ。私とプロデューサーがぼうっと見てるとこちらに気付いたらしく、おや、と歩いてきた。

「いつもなら汗を拭ってメイク乱すなんて真似はしないんだけどね。どうやら結構緊張しているみたいだよ、まゆは。君と違って、卯月ちゃん」

凄い倒置法を使って話しかけてきた。凛ちゃんや飛鳥ちゃんみたいな話し方だ。これで素だというならそれは確かにアイドルのプロデューサーだろう。

「今なんか失礼なこと考えてる?」

「いえ、私もとっても緊張してますよ!緊張し過ぎて顔に出てないだけだと思います!」

「そんなことは無いと私は思うけど。まるでこのライブをやるのは初めてじゃないって感じ」

まゆちゃんに似た光の無い瞳で麻友Pは私を見ていた。結構動揺した、けど、表情は変えなかった。

「おいおい、ちょっと、マジで新人じゃなかったりするの?」

それでもバレたらしい。やっぱり目だ。ヤバい。そのまま顔を覗き込まれそうになるがプロデューサーが間に入る。

「本番前ですので」

「あぁ、ごめん。っていうか武内、随分余裕そうだけど今日分担あったよね?」

「朝までに全て終わりました。リアルタイムで増える事は一応マニュアルに追記して渡してあります。それでもまずいことがあれば千川さんに連絡が行くはずです」

「相変わらず未来が見えてるような備えっぷりだねぇ。ちひろかぁ、スタドリ買った?」

プロデューサーは苦い顔をした。

「…買いました。前回のライブでは忙しくて全く楽屋に顔を出せませんでしたので…」

「前回って、冬のやつ?楓ちゃんってまだ武内の担当なの?まあ、もうそろそろまゆも出てきそうだし、二人ともがんばってね」

「ありがとうございます!」

「そちらも。成功を」

 

 

 

 

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